キャリアデザインとは、「知識や経験を活かし、”仕事を通じて自分が描きたい人生設計”をつくりあげていく」ことです。
「働き方改革」「人生100年時代」「終身雇用の崩壊」など、さまざまな変化が起きている現在。特に就職・転職・結婚・出産など、人生の大きな節目となるタイミングでは、きちんとキャリアデザインをしなければいけません。
「他人任せでなく、自らの意志で舵を切りながらキャリアを歩むため」
「出たとこ勝負で後悔することなく、納得できるキャリアを歩むため」
キャリアデザインをする方法を理解しておきましょう。
目次
キャリアデザインとは?意味・定義
キャリアデザインとは、「知識や経験を活かし、“仕事を通じて自分が描きたい人生設計”をつくりあげていく」ことを意味します。
もう少し詳しく言い換えると、「理想の将来像を描き、それを実現するための仕事・職種・働き方は何かを考えること。それに基づき、ゴール(目標)と進むべき道(行動指針)を打ち立てること」です。
◆キャリアプランとの違い
「キャリアデザイン」と「キャリアプラン」は同じ意味合いで使われることもあり、ほとんど同義です。しかし、「キャリアデザイン」は”人生計画”、「キャリアプラン」は”職業人生”と、捉える枠組みが若干異なるニュアンスで表現されることもあります。
キャリアデザインが注目される社会的な背景
キャリアデザインが注目されるようになったのは、個人が自律したキャリアを歩む必要性が高まっているからです。
・終身雇用/年功序列の崩壊により、一つの企業に安泰できなくなった
・VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)時代が進み、どの企業も倒産リスクが高まった
・深刻な労働者不足による人材市場が売り手専攻に。自ら選ぶ必要性が高まった
・働き方改革により、働き方を選べる自由度が上がった
・寿命が延び、人生100年時代が到来。生き方を問い続ける必要性が高まった
・企業側も社員が辞めないよう、社員のキャリアを一緒に考えてあげる必要が高まった
さまざまな背景があり、キャリアデザインの重要性は一気に高まっています。最近では、大学にも「キャリアデザイン学部」が次々と誕生しているほど。今後も注目度が上がるのは確実なので、早めに学び、実践しておきましょう。
誰もがキャリアデザインとは切っても切り離せない時代が到来していることを覚えておきましょう。
※キャリアに関する補足データ
Adecco『「人生100年時代」のキャリアビジョンに関する意識調査』
データ結果:職者の半数が「人生100年時代」に対してポジティブに捉えるも自身のキャリア構築については、約8割が不安であることが判明。
キャリアデザインを描くべき理由
そのような時代背景がある中、どうしてキャリアデザインを描くべきなのでしょうか。3つ紹介します。
これまでの「普通の人生」がなくなってきている
終身雇用の崩壊や働き方改革などにより、これまでの「”良い”企業に入社したら、定年まで問題ない」という人生は終わりを迎えようとしています。
そのためキャリアデザインを描き、自ら「どんな人生を歩みたいのか」「どんなキャリアを築いていきたいのか」能動的に考える必要があるのです。
「働き方改革で残業が禁止、収入が大幅に減った」
「定年が早まり、転職したけど社外で通用しない」
このように予期せぬ変化で計画が破壊されるキャリアショックも話題になりました。変化の激しい時代により、大手企業だからといって”一生安泰”とは限りません。
「企業から用意されたもの」ではなく、自分の理想に基づいてキャリアデザインを描くことで、あらゆる変化に対応できるようになるでしょう。
実力で勝負しなければならなくなっている
上記に伴い、「新卒から入社しているから」「あの有名企業で働いていたから」は通用しません。これまでの実績や経験、持っているスキルが重視されるのです。
・自分の理想に近づくには、どんなスキルが必要か
・どんな実績があると、市場価値が上がりそうか
これらを考えてキャリアデザインを描く必要があります。
自由な働き方を選べるようになっている
これまでの説明を読むと、「厳しい時代になってきた」と不安に思う人も多いでしょう。しかしそれは反対に、「自分次第で好きな働き方を選べる」ということです。
・本業で生活費を稼ぎ、副業で好きなことに挑戦する
・プログラミングやWebデザインを習得して、旅をしながら生活する
・家族との時間をとりやすい会社に転職する
このような自分らしい生き方をするためにも、キャリアデザインは欠かせません。
※自由な働き方系記事まとめ
キャリアデザインの必要性が高まるキャリアの節目
人生において、キャリアデザインの必要性が高まる節目を並べてみました。いつ、どんな状況で、キャリアデザインの必要性を検討すべきかを把握しておきましょう。
意図的につくり出せる「節目」
・異動希望を出す
・留学をする
・移住する
・起業する
・転職活動を始める
・結婚する
・離婚する
・子どもを授かる
・家を購入する
・旅に出る
・ボランティアをする
・影響力の大きな人に出会う
・強烈な印象を残す書籍を読む
・イベント/セミナーに参加する
意図せず生まれる「節目」
・大きく健康を損なう
・上司が変わる
・転勤を命じられる
・昇格する
・降格する
・業務が大きく変わる
・家族が亡くなる
・宝くじが当たる
・事故に遭う
・天災に遭う
・スカウトされる
・予期せぬ自分の適性を知る
これらは全て、後々思い返した時に、人生の転機であったと気付く出来事かもしれません。事前に確認しておき、きたるべき時に向けて着々と準備を進めておくことが大切です。
※同時に、キャリアにおいて”あれこれ考えすぎず、時の運に任せる重要性”を説いた「“あえて流される”「キャリアドリフト」」も理解しておきましょう。
キャリアデザインをする具体的な方法
キャリアデザインをする具体的な方法を紹介します。自分が実践しやすい方法を選び、実際に試してみましょう。
❶キャリアの枠組みを理解する
内的キャリア、外的キャリア、外部要因の3個に分けられる。
✅キャリアとは何か?たった3種に整理可
✅絶対に避けたい条件を選ぶ
❷市場価値の枠組みを理解する
専門性(スキル・能力・経験)、行動特性・思考特性(習慣・態度)、個人属性(価値観・マインド)の3個に分けられる。
✅エンプロイアビリティとは?意味・向上のコツ
❸目標を立てる
「達成」と「状態」、2つの目標タイプがある。向き不向き・好き嫌いを振り返り、目標を立てる。
✅目標がを立てる6つの方法
✅揺るがない指針「キャリアンカー」設定法
✅行動に移す10の鉄則
✅3種の超簡単振り返り法
❹偶然の大切さを理解する
「達成」と「状態」、2つの目標タイプがある。向き不向き・好き嫌いを振り返り、目標を立てる。
✅”あえて流される”「キャリアドリフト」
✅キャリアの8割は偶然の出来事で成り立っている
✅偶然の幸運を呼び寄せる
✅柔軟性がないと仕事はキツい?
キャリアをデザインするためにはまず、デザインする「キャリア」とは何たるかを知らなければ始まりません。
また、自身の「キャリア」を整理していても、そこから人材市場で価値ある部分を見極める必要があります。そこで、「エンプロイアビリティ」(雇用され得る力)を理解しておきましょう。
その上で、業界や職種・仕事内容・職場環境などにおける向き不向き・好き嫌いを洗い出し、今後歩んでいきたいキャリアの将来像を掲げてください。実際に起こす行動まで落とし込めたら、実践あるのみ。定期的な振り返りと改善も忘れてはいけません。
最後に、想定通りにはいかないのがキャリアである(8割は偶然の出来事で成り立っている)こと、偶然を大事にする姿勢も持っておくべきであることを理解しておきましょう。それだけでも、あれこれ考えて悩みすぎてしまい、目の前のチャンスを逃してしまうリスクを減らすことができます。
着想を、それが僕の心に浮かんだとおりに定着できることは稀なのだ。仕事にとりかかるや否や、別のものが僕の画筆の下から浮かび上がるのだ。…描こうとするものを知るには、描き始めねばならない。
-芸術家 パブロ・ピカソ-
※キャリア用語一覧
✅キャリアアップ
✅プロティアン・キャリア
✅スラッシュキャリア
✅キャリアショック
✅キャリアドリフト
✅プラチナキャリア
✅ポートフォリオ・キャリア
✅キャリアサバイバル
✅キャリアアンカー
※職業選択のカテゴリ
①業種/職種
事務はきつい、企画が得意、自動車製造が良い、IT系が良い
②就業形態
転勤がない、派遣が良い、時短、在宅ワーク、勤務地は都内が良い
③収入/待遇
年収目安、福利厚生、評価制度
④価値観
社会性の有無、革新的か、ビジョンはこういう系が良い
⑤人間関係/人脈
こういう人と仕事がしたい、こういう人と仕事は嫌だ、人と頻繁に話す仕事は嫌だ
⑥憧れ/イメージ
ずっと夢見ていた職業は○○だ、あの人みたいに働きたい
キャリアデザインを学べるおすすめ書籍
キャリアデザインを学ぶ際に、おすすめしたい人気書籍を紹介します。
①転職の思考法
:小説形式で読みやすく、全労働者必読の一冊
➁insight(インサイト)
:自己理解の7日間プログラム解説
③働くひとのためのキャリア・デザイン
:研究ベースのキャリア論入門書
書籍を通じて、より専門的、実践的な知識を付けておきましょう。キャリアデザインを学べば学ぶほど、あなたが望むキャリアに向けた道筋を立てやすくなるはずです。
キャリアデザインは、自分にしか考えられない
キャリアデザインの目的は、仕事を通じた“自分だけ”の人生設計です。
それは、キャリアにおける選択で重視すべきは、“自らの意志が反映されているかどうか”であることを意味します。
自分で決めた!自分で選び取った!
という感覚こそが、後悔の少ない納得できるキャリアを歩む秘訣です。
弊害となるのは、他の人の意見に流されてしまう心理的な働き(社会的証明)があること。(行列に並ぶことや、流行りのタピオカを飲むことも、これに当てはまる場合があります。)
尊敬する人が言っていたから
友人が言っていたから
ネットで有名な人が言っていたから
いつも見ているメディアに書いてあったから
こういった理由だけで物事を判断してしまうと、そこに自分の意志は存在していません。何よりも、自分の頭で考えることを大事にし、キャリアデザインをしていきましょう。
「私は五大陸の最高峰に登ったけれど、高い山に登ったからすごいとか、厳しい岩壁を登攀したからえらい、という考え方にはなれない。山登りを優劣でみてはいけないと思う。要は、どんな小さなハイキング的な山であっても、登る人自身が登り終えた後も深く心に残る登山がほんとうだと思う。
-日本人初のエベレスト登頂成功者 植村 直己-
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