アーリーリタイアとは、定年退職よりも前に働くことを辞めること。
「人生100年時代。40年も働き続けたくない!」
「元気なうちに世界中を飛び回りたい」
「とにかく働きたくない」
そんな人は興味がある生き方でしょう。ただ、「お金はどうするの?」と不安も多いアーリーリタイア。その後の生活が想像つきにくいですよね。
後悔しないアーリーリタイアのために、まずは情報収集と入念な計画が大切。この記事ではアーリーリタイアのメリット・デメリットから向いている人、資金計画の方法まで紹介していきます。
アーリーリタイアに後悔しないように、事前にチェックしておきましょう。
目次
アーリーリタイアとは
アーリーリタイアとは、定年より前に働くこと自体を終えること。一時的に会社を辞めて、すぐにまた働き出す場合はアーリーリタイアとは言いません。
また、アーリーリタイアはあくまで自らの意思でリタイアした場合のこと。会社の都合による早期退職はアーリーリタイアには入りません。
どんな生活を送るのか
アーリーリタイア後の生活は、とにかく自由!今まで働いていた週40時間以上を好きなように使えるのです。
・旅に出る
・地方移住する
・海外移住する
・夜型の生活を送る
・ひたすら好きなことをする
今までやりたくても仕事があるからできなかったことを、誰にも邪魔されずにできるでしょう。
アーリーリタイアを後悔しないために考えるべきこと
なんでも好きなことをできて、まさに天国!と思えるアーリーリタイアですが、自由には責任が伴います。仕事から解放される分、今までは会社から提供されていたことを自分で管理しなければならないのです。
事前に以下のポイントについて考えておきましょう。
・どうやって過ごすか
・孤独を感じないか/払拭する方法
・お金は十分にあるか
人との関わりやお金は死活問題。今まで会社に行けば当たり前にあった会話や、月末に振り込まれる給料がなくなり、むしろ心の余裕がなくなることも考えられます。
アーリーリタイアをしてから後悔しないためにも、これらの点にどう対処するか、次の「アーリーリタイアのデメリット」で紹介していきます。
アーリーリタイアのデメリット
まずアーリーリタイアをすることのデメリットを考えてみましょう。
収入がなくなる
完全に会社を辞めてしまうので、もちろん会社からの収入がゼロになります。
しかしリタイアしても生活費はこの先ずっと必要。リタイアする年齢から亡くなるまでに、資金はいくら必要になるのでしょうか。あらかじめ把握したうえで資金計画を立てておかないとみじめな老後生活を送ることになりかねません。
このような状況を避けるためにも、下記のように策を立てておきましょう。
・あらかじめまとまった資金を用意しておく
・投資などで収入源を確保しておく
・場合によっては、復帰するのもアリ!?復帰できるルートを確保しておく
事前に生活費だけでも収入が確保されているとわかれば、安心できるはずです。
社会的信用がなくなる
会社勤めの身ではなくなるので、社会的信用がなくなります。会社に勤めていると、会社のネームバリューや業績のおかげでローンを組んだり借り入れができたりするのです。
仕事をしていない場合、金融機関から「(ローンや借り入れに対する)返済能力が無い」とみなされる可能性も否定できません。
ローンを組む必要がないほどの資金を用意する、完済してから退職するなど、先述の「収入がなくなる」とあわせて事前の対応策を考えておいたほうが安心です。
加えてローンや借り入れが難しくなるので、あらかじめ家族からの理解を得るようにしましょう。アーリーリタイアをすると決めた時点で家族との相談の場を設ける場合が多いと思いますが、この点も忘れずに。
ローンや借り入れができなくなることで、家族のうちのだれかや夢や計画(進学や留学、海外旅行、マイホーム購入など、まとまった資金がないとできないこと)を諦めさせることは避けたいものです。
アイデンティティークライシスに陥る可能性がある
仕事中心の生活をしている人は注意です。アイデンティティークライシスとは、以下の意味を持ちます。
自己喪失。若者に多くみられる自己同一性の喪失。『自分は何なのか』『自分にはこの社会で生きていく能力があるのか』という疑問にぶつかり、心理的な危機状況に陥ること。引用:コトバンク
アーリーリタイアではありませんが、病気でやむを得ず休職せざるを得なかった筆者の同僚が、社会とのつながりがなくなったことと責任感の強さゆえに過去に似た状況になったことがあります。
筆者自身も一度だけ事情により無職を経験していますが、その期間には孤独感や「私は何もできない人間なのかもしれない」と無性に焦りを覚えていたことを覚えています。
リタイア後に似たような心境に陥る可能性は否定できません。そして、失った自信を取り戻すことは簡単なことではありません。
あらかじめ、ボランティアや趣味など職場以外のコミュニティに属しておき、退職後も消えない人間関係を作っておくと自信を失わずにすみます。社会や周囲とのつながりを失わないように自分の活躍の場を用意しておきましょう。
アーリーリタイアのメリット
アーリーリタイアのデメリットを確認できたら、次はメリットも一緒に把握しておきましょう。
仕事のストレスがない
ストレスの原因がもし仕事からきているのであれば、とても大きいメリットでしょう。嫌いな上司や同僚と顔を合わせることもありませんし、クレーム対応やきついノルマ、課題に追われることもありません。
もし仕事のストレスで体調を崩しやすいと悩んでいるのなら、アーリーリタイアの選択肢を考えてみてもいいかもしれません。もちろんリタイア後の生活もしっかり考えましょう。
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時間の余裕ができる
今まで仕事に費やしてきた時間がそのまま自由に使えるようになります。これはアーリーリタイアの一番のメリットかもしれません。
もしこれまで8時間働いてきたとすれば、それをすべてやりたいことに自由に使えるなんて夢のようだと思いませんか?毎日朝9時に満員電車に乗る必要もありません。ちなみに、アーリーリタイアをした人は以下のような生活を送っているようです。
・遊んで暮らし、片手間で株式投資をする
・旅行に行きまくる
・趣味に打ち込む
・郊外に移住して、農業などを楽しむ
・海外移住をする
どのように時間を使うかはあなた次第。ダラダラと過ごすこともできますが、できることなら自分自身がやりたいことのために時間を使いたいものです。
体力が無くなる前に好きなことに打ち込める
定年退職をした後も自由に時間を使えますが、もしかしたらその時は若い時よりも体力が無くなっているかもしれません。
定年退職後の生活を思い描きながら長年仕事を頑張ってきたのに、それを体力が理由で泣く泣く諦めるとなるとその辛さは想像に難くありません。体力がまだ残っているうちにアーリーリタイアをすれば、そんなつらい思いをせずに済みます。
先日、筆者が小学生だったころの担任の先生の話を偶然耳にしました。なんと50代前半でアーリーリタイアをし、現在は趣味やスポーツに明け暮れているとのこと。もともとスポーツが得意な先生ではありましたが、
「60歳で定年退職をしても、その時の私は体力的に満足できる状態なんだろうか。ひょっとしたら思いっきりスポーツを楽しむことができないかもしれない」
と考えアーリーリタイアに踏み切ったそうです。
人生は一度きりだからこそ後悔のない選択をしたいものですが、アーリーリタイアこそ選択肢の一つなのかもしれないと思わせる出来事です。
アーリーリタイアに向いている人
アーリーリタイアのデメリットとメリットを把握できたところで、実際に向いている人はどんなタイプの人なのか考えてみましょう。
人生における目標が明確な人
自分は残りの人生で何をやりたいのか、はっきりと揺るがない目標を持っている人はリタイア後も充実した生活を送ることができるでしょう。「会社勤めを早々に切り上げる」という、他人とは異なる自分の下した決断に自信を持てるようにありたいものです。
そうでなければ、リタイア後の人生は楽しめません。もし行き詰っても、「アハハ、失敗しちゃった!でも乗り越えるぞ!」と笑い飛ばせるほどの心の強さがあれば向かうところ敵なしです。
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先述のデメリットでもご紹介した通り、「アーリーリタイアした後にどれくらいの資金が必要で、どうやってその資金を確保するか」のポイントで明確に計画をたてられる人であれば、踏み切ってみてもいいでしょう。計画をしっかり立てられるのであれば、アーリーリタイアを視野に入れたときに家族など周囲の人からの理解も得やすくなるはずです。
人生はいつ何がおこるかわかりません。
「リタイア後に想定外の大きな出費が発生したときにどう対応するか」
「(子供がいるなら)〇年後に進学のためにまとまった資金が必要」
このようなシミュレーションも忘れずにしてみましょう。
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恐らく多くの人が不安に思うのが、「どのくらいのお金があれば、アーリーリタイアをしても生きていけるのか」ではないでしょうか。
必要な金額は、「生活費」「理想とする生活」によって人それぞれ異なります。より自分の生活に合った金額を見積もるため、以下のポイントを考えてみましょう。
・普段の生活費にいくらかかっているか?
・リタイアして何をしたいか?
・それにいくらかかりそうか?
・年金までにあと何年あるか?
・社会保険料や税金はいくらかかるか?
・突然の出費はどんなことが考えられるか?
(結婚、子育て、病気…)
「考えることが多すぎる!」と思うかもしれませんが、生きているだけでかかるお金。「お金が足りない…働き口もない」と焦らないように、大事な計画です。
・投資をする
・物価が安い海外に移住する
・食材は自給自足をする
・家を買う
例えばこのような工夫をすれば、必要な額を抑えられるでしょう。
アーリーリタイア以外にも働き方は無限大!
思い切って会社を辞める以外にも、いろいろな選択肢があります。
このように、「仕事を第一優先にしなくても」「今の会社でなくても」いくらでも働き方はあるのです。自己分析をしたり、他の人に話を聞いたりして、自分に合った働き方を見つけていきましょう。
【自由に働く】具体的な5つの方法と自由に働くために必要なこと
最後に
アーリーリタイアのメリットとデメリット、そして向いている人を紹介しました。
アーリーリタイアをして人生を謳歌している人を見ていると、悠々自適な生活をかっこいいと思うのは筆者だけではないと思います。働かなくていいという点では「羨ましい」と感じる人もいるかもしれませんが、アーリーリタイアもポジティブな側面ばかりではありません。
これから長生きする人が多くなる時代だからこそ、しっかり事前に調査をして自分に向いている生き方なのかどうかを判断したいですね。