レイシャルハラスメントとは、人種や民族、国籍を理由に苦痛を与える発言・行動のこと。さまざまなバックグラウンドを持つ人と働く・接することも増え、レイシャルハラスメントは問題視されています。
「自分に偏見なんてない」
「外国人やハーフの人ってかっこいいよね」
そう思う人ほど、要注意!レイシャルハラスメントの意味、事例、対策、対処法を知って被害者/加害者になることを防ぎましょう。
目次
レイシャルハラスメントとは
レイシャルハラスメント(略:レイハラ)とは、以下のように定義されています。
人種、民族、国籍に関する、不快かつ不適切で配慮に欠く言動。
近年、「ダイバーシティ」という言葉を聞く機会が増えたのではないでしょうか。
ダイバーシティとは、日本語で多様性。多様性の内容は性別や性的指向、性自認、年齢、国籍、障害の有無、価値観など多岐にわたります。
レイシャルハラスメントに関連した内容でいうと、日本でも全員が日本で生まれて日本で育った人ばかりではありません。さまざまな国の出身、民族、人種の人が共存しています。そんな中問題になっているのが、レイシャルハラスメント。
・自分が差別しているとは思っていない
・接し方がわからない
このように思っている人は要注意。「アメリカは人種差別があるけど、日本にはないよね」などと自分や周りの社会にある差別・偏見に気づかないと、知らない間に傷つけている可能性もあります。
また、「接し方がわからない」と過剰に心配するのも要注意。出身が違うとはいえ、同じ地球に生まれた人間です。
レイシャルハラスメントの事例・対策を知って加害者/被害者になることを防ぎましょう。
レイシャルハラスメントの事例
実際の事例から、どんな発言・行動がレイシャルハラスメントにあたるのか理解していきましょう。
差別的な発言
「日本人に説明してほしい」
「外国人だからわからないか」
「ハーフって良いな!」
このように人種・民族・国籍を理由にした発言はハラスメントです。
「日本人じゃないとちゃんと説明できない」「日本人じゃないとわからない」これらは根拠がなく、ただの差別。言われた本人は「国籍を理由に信頼してもらえない」と追い込まれてしまうでしょう。
3つ目も褒めているように思えますが、「ハーフ=かっこいい」というイメージに苦しむ人もいます。
参考:東洋経済ONLINE 人を「ハーフ」と呼ぶ人が無邪気にしている差別
また、決めつける発言で相手に苦痛を与えている場合もハラスメント。
「アメリカ人とのハーフなのに英語喋れないの?」
外国のルーツを持っているからといって、全員がその国の言葉を喋れたり、その国で育っているわけではありません。日本で生まれ育った場合もありますし、両親のルーツとは違う国で生まれ育った場合もあるでしょう。
メディアで頻繁に使われる「ハーフ」も実は差別用語。ハーフは英語では「半分」を意味し、半人前という印象を与えてしまう他、区別されているように感じるのです。
※「ガイジン」と略した言葉も差別用語にあたるので、注意しましょう。
不当な待遇
「外国人だから」という理由で給料を安くしたり、仕事を分けたり、評価基準を変えたりなどの不当な待遇もハラスメント。労基法によって、労働者の権利は人種・民族・国籍関わらず保証されています。
どれだけ実績を出しても”日本人”※と同じように評価されず、しかし国籍や人種、民族は変えられないため行き場がなくなってしまうでしょう。
※その場で「日本人」だと思われている人のこと。外国で生まれ育っても、両親が日本出身だと”日本人”だとみなされる場合はある。反対に、日本で生まれ育っても外見や両親のルーツで”日本人ではない”と思われることもある。
出身についての必要以上の質問
興味本位で聞きたくなるかもしれませんが、それぞれの事情があります。
「なんで日本に来たの?」
「ハーフなんだ!お母さんとお父さんはどうやって知り合ったの?」
もしかして相手にとって答えたくない質問かもしれません。話したくないことでも聞かれると断りづらく、その度に辛いことを思い出させて傷つきながら答えていることもあります。
レイシャルハラスメントの対処法
レイシャルハラスメントを受けてしまった場合の対処法を紹介します。
ハラスメントの詳細を記録する
ハラスメントを訴える時は証拠第一。5W1Hを意識して記録し、ハラスメントが起こった証拠を詳細まで話せるようにしておきましょう。
しかし記録しながらハラスメントを思い出し、さらに傷ついてしまうこともあるので、無理する必要はありません。できる時は詳細まで書き、辛いようならメモ書き程度にしましょう。
社内・社外相談窓口を利用する
ハラスメントを自分だけで抱え込まず、信頼できる人に話しましょう。
社内にハラスメント相談窓口があれば気軽に利用できますが、バラされてさらに傷つく可能性もあります。(セカンドハラスメント)
その時は社外の相談窓口を利用しましょう。専門家が適切なアドバイスをしてくれます。
転職をする
今の職場で改善が難しそうであれば、転職を考えても良いでしょう。あなたを受け入れてくれる場所はきっとどこかにあります。
1人の転職活動が不安な場合、キャリアアドバイザーの利用がおすすめです。次の職場でもレイシャルハラスメントにあわないよう、企業選びをサポートしてくれるでしょう。
レイシャルハラスメントへの対策
レイシャルハラスメントは、実際に起こらないのが一番。「うちの会社では起こらない」と思っている人こそ、今から準備しましょう。
ダイバーシティ研修を行う
レイシャルハラスメントが起こる職場は、女性やLGBTQ、障がい者など“マイノリティ、少数派”とされる人々全員にとって安全ではない可能性があります。
まずは職場の意識を変え、知識を浸透させるためにも研修を行いましょう。
・なぜダイバーシティを推進すべきか
・業績にどんな変化が起こるか
このように、自分ごとにできるような内容にしましょう。「自分には関係ない」と思っていた人も興味を持ってくれるはずです。
定期的にアンケートを行う
研修を1回行っただけでは、当たり前ですがダイバーシティは浸透しません。定期的にアンケートを行うことで、その都度思い出させましょう。当事者がハラスメントを言い出しやすい環境も作れます。
無理やりプライベートの話をしない
レイシャルハラスメント関わらず、職場にはいろいろな事情を抱えた人がいます。
ついコミュニケーションとしてプライベートの話に突っ込みたくなりますが、その時は深呼吸を。無理やり聞かず、自分から話して心を開いていきましょう。そうすれば相手が話したい内容を話してくれます。
レイハラ以外にも!あなたはいくつ知ってる?職場で起こり得るハラスメント
レイハラ以外にも、職場ではさまざまな種類のハラスメントが起こり得ます。例えば以下のハラスメントを知っていますか?
・パワーハラスメント(パワハラ)
・モラルハラスメント(モラハラ)
・ラブハラスメント(ラブハラ)
・シングルハラスメント(シンハラ)
・SOGIハラスメント(ソジハラ)
・セクシャルハラスメント(セクハラ)
「自分は大丈夫」と思っていても、知識不足だと被害者にも加害者にもなる可能性が高まります。被害者、そして加害者にならないように、以下の記事をぜひチェックしてみてください。
関連【ハラスメント大全2022】職場で起こる40種類のハラスメント一覧職場環境の悩みで辛いなら退職代行の利用も検討してみよう
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