自己肯定感は、現代を生きる上で欠かせない”エネルギー源”です。不足していれば、まともな生活を歩めません。なぜ、それほどまでに重要視されているのでしょうか?なぜ低くなってしまうのでしょうか?高めるためには、どんな習慣が必要でしょうか?自己肯定感の意味・社会的な問題であるデータ・陥りやすい誤解・高める方法・低くなる要因を簡単にまとめてみました。
本記事のPOINT
目次
自己肯定感とは・使われ方
自己肯定感とは、”自分の存在そのものを大事だと思える感情”です。他にも、以下のように表現されることがあります。
❶どんな自分であっても、自分をかけがえのない存在だと思える“力”
❷いつでも自分を肯定的に捉える“意識”や“感情”
❸自分が自分について、どう考え、どう感じているかによって決まる“感覚”
❹ありのまま、そのままの自分を認め、受け入れる“こと”
❺自分は大切な存在だ。かけがえのない存在。と思える“状態”
力、状態、意識、感覚、行動など、様々な表現で説明されています。どの表現にも一貫しているのは、「何をしてきたか、何をできるか、何を持っているかは関係なく、自分自身が大事な存在だと思える」意味合いを含んでいることです。この点だけは、覚えておきましょう。
多くの人が自己肯定感に悩んでいる
自己肯定感が低さに悩んでいる人は大勢います。この事実を裏付ける3つのデータを見ていきましょう。
平成27年度の国立青少年教育振興機構による日本・米国・中国・韓国の高校生を対象とした調査によると、《自分はダメな人間だと思うことがある》という質問に「とてもそう思う」や「まあそう思う」と答えた学生が日本は72.5%。アメリカ45.1%、中国56.4%、韓国35.2%、他国に比べると、日本人の自己肯定感は低い傾向にあるのです。
また、日本人はポジティブ遺伝子と呼ばれるセロトニントランスポーター遺伝子が少ない傾向にあり、慎重・臆病・神経質になる傾向が強いことが判明した実験結果もあります(ヴェルツバーグ大学のピーター・レッツ医学博士らの研究)。遺伝子的な視点から見ても、日本人の自己肯定感は低くなりがちなのです。
参考:日本セルフエスティーム普及協会『日本人の自己肯定感が低い理由の一つは「遺伝子」が関係してる?』
他にも、ここ5年間、Google検索で「自己肯定感」と検索されている回数も急増しています。現在、「自己肯定感」と検索される回数は月間40,500回です。(2019年9月6日時点の分析ツール『Ubersuggest』での分析結果)
中でも、特に検索数が急増しているのは、「自己肯定感 高め方」と検索した回数です。これは、日本中の人々が「自己肯定感を高めたい!どうやって高めるんだろう?」と思い悩んでいるということ。
自分だけが自己肯定感の低さに悩んでいるわけではなく、多くの人が同じ問題を抱えている事実を理解しておきましょう。少しだけ気持ちが楽になりませんか?(Twitter『自己肯定感』で検索)
自己肯定感の誤解を解いておこう
自己肯定感を高めるのは簡単ではありません。一歩一歩着実にアプローチしていく必要があります。まず最初は、自己肯定感に関して”抱きやすい誤解“を解いておきましょう。大きく2つの誤解があります。
順番に解説していきます。
❶自分を好きでいる必要はない
自己肯定感を高めようと思ったら、自分を好きになろうとしてはいけません。無理に好きになろうとすると、その瞬間、理想の自分を想像し、いまの好きになれない自分と比較してしまいます。これでは全くの逆効果。むしろ、嫌いになってしまうのです。
そもそも、自分を好きでいる必要性はありません。好きかどうかなんて二の次です。
目指すとしたら、ある日突然、
「あっなんか、さっきの自分、良い感じかも…」
これくらいのテンションで自分を褒められる”ちょっとした瞬間”が、ポツポツ来たらうれしいなぁー。と、ボンヤリとでも描いておきましょう。
❷秀でる必要はない
自己肯定感を得るために、秀でた能力や見た目、経験・実績がなけらばいけない。
この考え方は、自己肯定感を遠ざけてしまう誤った思い込みです。
もちろん、秀でる何かが自信につながるのは、言うまでもありません。それでも、「秀でなきゃいけない」と焦ってしまう気持ちが、そうでいない現状とのギャップを膨らませていることを知っておきましょう。
自己肯定とは、”ありのままの自分を受け入れ、認めること”。だらしないところも、にくたらしいところも、感情的なところも、自分の存在そのもので、大事だと思える感情です。
自己肯定感を高める7つの習慣
2つの誤解を解けたところでさっそく、自己肯定感を高める7つの習慣を解説していきます。
①自己肯定感が下がっていることを認識する
自分の自己肯定感が下がっていることを認識するだけで、気持ちが軽くなります。
「こういう原因があって、こういう風に考えてしまうから、こういう行動をしてしまうのかー」
このように、自己肯定感が下がっていることを、一歩引いた客観的な視点で考えられるのです。それがないと、「なんで自分はこんな風に!」と思い悩み、苦しむ時間が増えてしまいます。
自己肯定感が下がっているかどうかを確認できる質問を用意しました。
✅無意識に自己否定しちゃっていない?
✅長く気分が落ち着かないときはない?
✅いつも本心を隠していない?
✅褒められても喜べない?
✅努力が続けられない?
✅行動するのが怖くない?
✅周りの目を気にしすぎていない?
✅周りの人より劣っていると思う?
✅意見を押し付けていない?
当てはまる質問をクリックし、自己肯定感が下がりかねない行動をしてしまった理由・背景の解説を読んでみてください。思い当たる節があれば、その時点で、自己肯定感を高める準備が整い始めています。
②長所と短所は、表裏一体
自己肯定感を高めるためには、長所と短所が表裏一体であることを知っておくべきです。自己肯定感の低い人は短所に目が向きがちですが、その”短所こそが長所に”なり得ます。発想を変えましょう。
株式会社CAMPFIRE 代表取締役CEOの家入一真さんは、自己肯定を下げる要因でもある「劣等感」や「怒り」こそが、人間らしさであり、替えの効かない個性であると話しています。
弱みやダメさは代替不可能です。僕は若い起業家への投資もしていますが、応援したいと思うのは、今までの人生で生きづらさを感じていたり、劣等感や怒りを抱えている人ばかり。そういう弱さにこそ、人間らしさがあると思うからです。そして、弱さが生まれた経緯は人それぞれ違います。「幸福の形はいつも同じだが、不幸の形はそれぞれ違う」という名言があるように、つらい体験や感情はその人だけのものであり、それが替えの効かない個性になるのです。
弱みやコンプレックスにこそ、自分の底力が眠っていることを自覚しましょう。眠れるエネルギーを呼び覚ますためには、自分の弱みを受け入れ、認めることが肝心です。
また、脳科学者の茂木健一郎さんは、Twitterアカウントにて、以下のようにつぶやきを投稿しています。
個性は欠点と長所が表裏一体になったものだが、自分の欠点をメタ認知することで、それだけで欠点に「パッチ」を当てることができる。自分というシステムの運用の強靭性が高まり、他人とのコミュニケーション力も高まる。その意味でメタ認知は一つの「革命」と言ってもいいほどの大きな変化をもたらす。
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) January 22, 2017
※メタ認知とは「自分自身を客観的に認知すること」です。
弱み・欠点を認めることを「パッチを当てる」と表現しています。自分の弱み・欠点を認めることは、他人の弱み・欠点も受け入れることにつながり、良好な人間関係をつくれるようにもなるのです。
ちなみに、茂木健一郎さんは「落ち着きがないこと」が欠点だそう。その欠点を逆手に取ると、「同時にいくつもの仕事をこなせ、切り替えが早い」と、考えることができます。
多くの人が抱えやすい弱み・欠点を逆手にとって強み・長所に変えてみました。
自信がない
→過信することなく謙虚な姿勢がある
→成長の必要性を感じている
長続きしない
→好奇心が旺盛
→挑戦心が尽きない
協調性がない
→自分のペースで進められる
→周りに惑わされない
優柔不断
→周りへの気遣いを忘れない
→慎重に冷静な判断ができる
当てはまるものはありましたか?弱み・欠点は、もはや強み・長所です。否定するのではなく、ポテンシャルなんだ!と考えてみましょう。
③嫌な人から距離を取る
自己肯定感が下がる最も大きな原因は「環境」にあります。自己肯定感の低い人に囲まれれば、自己肯定が低い言動や行動が当たり前になり、その空間が心地良く感じてしまいます。
しかし反対に、自己肯定感が高い人に囲まれれば、自己肯定感の高い言動や行動が習慣になるでしょう。互いを褒め、励まし、助け合い、挑戦を後押しする。そんな自己肯定感の高い人たちが近くにいれば、おのずと同じように振るまおうとするものです。
まずは、自己肯定感が低い人の特徴を持ち、一緒にいて、あなた自身が嫌だと感じる人から距離を置きましょう。そして、自己肯定感の高い人たちと日常的に交流を始めてみること。簡単な方法を紹介します。
・SNS(Twitter・Instagram・Facebook等)で自己肯定感の高い人をフォローする
→最低限、タイムラインでツイートが埋もれない人数
・新しい趣味に挑戦する(習い事・趣味体験)
→初心者が多いニッチな趣味がおすすめ。経験・知識がなくても挑戦する人の中には、自己肯定感が高い人が多い。
ニッチな趣味も挙げておきます。
社会人が友達づくりをする8つの方法は以下の通り。
各方法の詳しい解説は、友達の作り方入門”ラクに試せる”お手軽な方法をご覧ください。
④人間関係の法則を知る
人間関係の相性に関する「2:7:1の法則」を理解しておけば、人間関係に悩みすぎるリスクを減らせます。結果、自己否定のクセが減り、自己肯定感を高めることになるのです。
「2:7:1の法則」は、先天的な他人との相性を割合で示した以下のようなものです。
2割:相性が良く、すぐに仲良くなれる人
7割:どちらでもない普通の付き合いの人
1割:どうしても合わない人
誰にでもどうしても合わない人、嫌われてしまうリスクの高い人は必ず、一定数は存在することがわかります。無理をして八方美人を振りまいても、全員に好かれることはまず不可能だと、割り切れませんか?
嫌われてしまった…
と卑屈になるのは、無駄かもしれません。もとからの相性が悪かった可能性も多いにあるからです。それよりも、
まあ世の中には合わない人もいるよな!
このようにサクッと気持ちを切り替えることが大切。「2:7:1の法則」を知っていれば、相手から嫌われても悲観しすぎず、自分を傷付けないための予防になるはずです。
関連記事:最近話題の感情コントロール術”リフレーミング”とは!?
⑤小さな成功体験を積む
自己肯定感を高めるためには、小さな成功体験を積み上げましょう。自分自身に「出来る自分」を見せてあげるのです。
成功体験は、どんなに些細なこと、当たり前なことでもOK。毎日こなしている習慣でも構いません。しかし、ほんの少しでも「やって良かった。」と思える行動を選びましょう。
・掃除をする
・洗濯をする
・ゴミを拾う
・信号を守る
・階段を使う
・挨拶をする
・店員に会釈する
・道を譲る
・ドアを開けてあげる
・洗い物をする
こなす回数は多ければ多いほど、効果があります。毎日の習慣を思い出し、やっていたこと・できそうなことを探してみましょう。中でも、他人への小さな親切は、効果が絶大だと言われています。参考:Mentalist DaiGo Official Blog『10秒でできる【最強のストレス対策】がこちら』
注意点は、周りと比べないこと。
誰でもできることだから、喜べない…
こんな風に思うかもしれません。しかし、その考え方自体をなくすことこそ、自己肯定感を高めることにつながります。成功体験をコツコツ積み上げられるのは、自分だけ。ちょっとでも気分が良くなることを見つけ、一つ一つ認める練習をしてみましょう。
記録にはスマホアプリを活用するのがおすすめ。『できたログ』(IOSアプリ)や『Myできたこと日記』(IOSアプリ)では、お気軽に小さな成功体験を記録し、振り返ることができます。
⑥考えていることを紙に書き出す
自己肯定感を高めるためには、頭のモヤモヤ・ごちゃごちゃを消し去る必要があります。そこで、頭の中で考えていることを全て書き出してみましょう。
この行動はエクスプレッシブライティング(体験談)と呼ばれ、科学的な効果も実証されています。毎日8分~20分程度の時間をかけて書き出すと効果が見込めるので参考にしてみてください。
参考:東洋経済ONLINE 『「感情を紙に書く」習慣でストレスは減らせる』
書き出す内容の例を挙げてみました。
・お腹空いた
・Aくんの連絡返事していない
・来週のプレゼン課題やらなきゃ
・明後日発売の最新ゲームが欲しい
・来月の振り込みいくらだって
・寝不足が続いているかも
・熱い
・腰がちょっと痛い
・シャワーのノズル壊れてる
・歯磨き粉なくなった
・髪切りたい、おしゃれに
・恋人がほしい
・将来英語で話したい
どんなことも構いません。どこに書いても構いません。思いつくがまま、あふれ出るがままに書き出してみましょう。すると、脳のデータ使用容量に余白ができます。
書き終えた後のスッキリ感はやってみた人にしかわかりません。挑戦あるのみです。
書き出すことでストレス解消!?感情を紙に吐き出そう!【方法・効果】
⑥褒められたら感謝を伝える
自己肯定感を高めるためには、自分を卑下しすぎてはいけません。褒められた時は、3つの要素を含めた返事をしてみましょう。
①喜ぶ、感謝する
②周りにも感謝する
③今後の意欲を伝える
この3つです。
「ありがとうございます!嬉しいです!でもやっぱり、周りのみんなのサポートあってなんです、感謝してもし切れませんね。これからも頑張ります!」
良い返事を例に挙げてみました。少し丁寧すぎるかもしれませんが、このような返事を心がけておくと、自己否定することなく自分を認められるようになります。
また、褒めた相手は気持ちよく返事を受け取れるはず。良い人間系を築くきっかけにもなるでしょう。
関連自己肯定感を高める注意点
自己肯定感が高ければ高いなりに、苦労することもあります。事前に把握しておきましょう。
❶否定される可能性がある
自己肯定感が高まると、興味・関心の向かう先にある新しい何かに、挑戦したくなるでしょう。しかし、出る杭は打たれる世の中です。周りからは、足を引っ張るような否定意見が出てくるかもしれません。特に自己肯定感が低い人が周りにいれば、妬みや嫉妬から、このような発言を受ける可能性があります。
えーそれは向いてないと思うよ。
そんなのできるわけないよ。
何を考えているの?
あんまり良いと思わないな。
なんかイキってるね。
突然どうしたの?辞めた方がいいよ。
その発言にあなたへの愛がなければ、何も気にしてはいけません。(悪口から自分を守るテクニック)自分を信じて挑戦しましょう。そこでは、より強い自己肯定感という名の、ブレない軸が必要です。乗り越えると、さらに自己肯定感を高められる!と自分を奮い立たせましょう。
❷他人を否定してしまう
自分を肯定しようとしすぎるあまり、他人を下に見てしまう癖がつくこともあります。それは、自己肯定感が高いというよりも、自分勝手で傲慢になっているだけです。自分より何かが劣っている人を見つけ、否定をすることで、自分を認めようとしてはいけません。
あいつは自分より下だ!
あいつは自分よりできない!
自分の方ができるから偉い!
ありのままを認める自己肯定感が高まれば、他人のありのままを肯定する力も育ちます。自分の考え方・行動だけでなく、他人の考え方・行動までも尊重し、大事に感じることができるのです。
周りを否定するほど、自己肯定感が下がることを知っておきましょう。
関連記事:職場で嫌われる人が”自分で気づかない”10個のNG習慣
自己肯定感が低い人の特徴
自己肯定感が低い人の特徴を10個挙げてみました。度合いにより、当てはまる特徴と当てはまらない特徴があるかもしれません。
①自己否定の思い込み癖がある
②気持ちが落ち着かない
③無理に良い人を演じてしまう
④卑下しすぎる
⑤努力が続かない
⑥行動が起こせない
⑦周りの目を気にしすぎる
⑧他人との比較で劣等感を感じる
⑨自分自身以外の自慢をする
⑩過剰にアドバイスをしたがる
①自己否定の思い込み癖がある
自己肯定感が低い人は、他人の気持ちをネガティブに想像してしまいます。事実を確かめることなく、想像のみで自分を傷つけ、ダメ出しを続けてしまうのです。
避けられている!
嫌われた!
迷惑をかけた!
愛されていない!
自分には価値がない!
頭の中で展開される「自己否定専用の想像力」がフル稼働しています。「そんなことないよ!」周りに励ましてもらっても、聞く耳を持てません。
関連記事:思い込みをなくす最簡単ルート
②気持ちが落ち着かない
ネガティブな想像をする癖が染みついていると、周りに対して敏感になりすぎてしまい、怯える感覚を持ち始めます。
あれっ、今悪口言われたかも
あれっ、今自分の顔見て笑われたかも
あれっ、今の発言で嫌われたかも
想像の世界に怯え、安心ができないのです。その結果、おどおどした雰囲気を出してしまうこともあるでしょう。また強烈な不安感の反動で、いきなり感情的になってしまうこともあります。
③無理に良い人を演じてしまう
自己肯定感が低いと、少しでも否定されるのを恐れ、誰にも嫌われたくない!という強い気持ちが芽生えます。
嫌われないためには、良い人でいなければいけません。他人の気持ちを優先し、感情にフタをするようになれば、その抑圧は、本心を隠すクセ、我慢のクセにつながります。結果、何が好きかわからない。やりたいことがない。嫌なことをされても怒れない。自分の気持ちを押し殺しながら、我慢に我慢を重ねてしまうのです。
結果、良い人というよりも、むしろ周りにとって都合の良い人になってしまっていることもあります。
関連記事:職場で好かれる人気者に共通する”たった7個”のシンプルな習慣
④卑下しすぎる
自己肯定感が低いと、自分を卑下しすぎてしまいます。褒められたときは、こんな反応です。
いや、自分はダメダメですよ
そんなわけないですよ
やめてください
謙遜しているつもりでも、この否定的な反応はやめましょう。無意識に「自分は褒めるに値しない」と自己暗示をかけてしまうからです。当然これが、自己肯定感の低下を招きます。(褒められたら感謝を伝える)
また、褒めた相手も気持ちよくありません。褒めた自分を否定されているのと、ほぼ同じだからです。良い人間関係をつくるためにも、自分を卑下する癖を改善してみましょう。
⑤努力が続かない
自己肯定感が低いと、目標を達成する自信が持てません。達成した自分をイメージすることができないのです。「自分には無理だろう」という自己暗示をかけてしまうので、前に進めなくなります。
少しもゴールが見えなければ、大きな恐怖や不安がつきまとうので、ちょっとした行動でも疲れてしまいます。結果、努力が続けられなくなるのです。
自己肯定感は「自分を信じ、動かすエネルギー」でもあることを覚えておきましょう。
⑥行動が起こせない
自己肯定感が低いと、行動を起こすハードルをつくり上げてしまいます。
失敗したらどうしよう…
ダサい姿を見せてしまうかも…
ダメな人間と思われるかも…
周りに止められるかも…
自信をなくすかも…
お金を無駄にするかも…
想像の世界で、やらない逃げ道をつくりあげてしまうのです。自己肯定感が下がれば下がるほど、挑戦への恐怖は増え続けます。一歩踏み出すための行動力を身に付けるためには、自己肯定感を高めることが欠かせないことを理解しておきましょう。
関連記事:行動を起こすための10の鉄則
⑦周りの目を気にしすぎる
自己肯定感が低いと、周りの目を気にし過ぎます。自分の言動や行動に自信が持てないので、周りからネガティブな反応を過剰に想像してしまうのです。
自分なんかが参加したら、楽しい雰囲気が壊れる
自分なんかが喜んでも、相手は嬉しくない
自分なんかが褒めても、相手は嬉しくない
自分なんかが頼んでも、相手は助けてくれない
いつでも「自分なんか」が付きまといます。
自分が思っている以上に、人間は他人のことを気にしていません。試しに、先週、周りの誰かが行った行動を思い出してみましょう。どんな気持ちでしたか?そのことについて、今も何か思いを巡らせていますか?
ほとんど気にしていないはず。そんな余裕はないのです。人はみな、自分のことで一生懸命です。少しだけ、周りの目にするのがもったいないことだと思えませんか?
自己肯定感が高いキリンさん
関連記事:自己主張できない人の3つの特徴
⑧他人との比較で劣等感を感じる
自己肯定感が低いと、他人との比較を自己否定につなげてしまいます。自己肯定感が高ければ、他人との比較は競争心を掻き立て、やる気が上がるきっかけになり得ます。例を挙げてみましょう。成績の良いBさんを見たとき、
自己肯定感が高いタコさん
このように考えられるのが自己肯定感が高い人です。一方、自己肯定感が低ければ、どんな場合でも自己否定につなげます。例えば、自分の方がBさんよりも成績が良かったとしても、
自己肯定感が低いキリンさん
自己肯定感が足りないと、他人との比較は、劣等感・嫉妬心を掻き立てるきっかけになり、さらに自己否定のクセが強まってしまいます。
⑨自分自身以外の自慢をする
自己肯定感が低い人の中には、人脈、ブランド品など、自分自身以外の何かをアピールしないと落ち着かないタイプの人もいます。
自信がないので、周りに認めてほしいが、自分自身は自分を認めていないために、何か別のもので自慢をするしかないからです。
⑩過剰にアドバイスをしたがる
自己肯定感が低い人の中には、アドバイスをしたがるタイプの人もいます。
ここで言うアドバイスの目的は、「相手を助けたい」というよりも「自分の意見を認めて欲しい。褒めて欲しい。助けてもらったと感謝して欲しい。」と、自らの欲望を満たすため。アドバイスの受け手は、意見を押し付けられている感覚になるでしょう。
自分で自分を認められない自己肯定感の低い人は、焦り・不安をかき消さないと落ち着けません。「誰かに自分を認めてほしい」と、承認欲求が強くなりすぎてしまうのです。
自己肯定感が低くなった要因
自己肯定感が低くなってしまう、そもそもの要因を2つ挙げてみました。
❶自分への期待値が高すぎる
自己肯定感が低い人は、自分への期待値を高く設定しすぎている可能性があります。
例えば、このような将来像を描いていませんか?
仕事を楽しみつつしっかり稼ぐ。お金に困らず、恋愛も充実している。仲良しの友達に囲まれて、休日はおしゃれなバーに通う。たまには、海外旅行にも行って…
理想を描くのは良いことです。しかし、高すぎたり、漠然としすぎたりしていては、果てしない幻想止まり。いつまで経っても辿り着けない自分が、嫌になってしまうかもしれません。
自分に期待しすぎないためには、現実的に達成できそうな目標を考えることが大切です。
等身大の目標を設定できれば、理想と現実(いまの自分)とのギャップに苦しむことは少なくなるはず。一つ一つ、自己肯定感が下がってしまうリスクを減らしていきましょう。
❷幼少期の環境
学生時代の集団教育も、自己肯定感を下げた要因かもしれません。集団教育には、徹底したルールが付き物。縛られ過ぎてしまえば、自分の好き・得意を発揮できなくなるでしょう。
嫌いなものでも食べなきゃいけない。給食は残してはいけない。やりたくないことをやらなければいけない我慢が当たり前になれば、自分は二の次。本来の自分が抱いていたはずの感情にフタをしてしまいます。
仮面を被り、素直に感情を出せない自分を好きになれる人は、まずいないでしょう。
他にも、いじめられてしまった経験や、そういった境遇を受けた人を目撃している経験も、自己肯定感を持ちたくなくなるきっかけになり得ます。言わずもがな、いじめを受けると、自分の存在価値を感じられなくなるからです。目撃者も力になれなければ、無力を感じてしまうでしょう。
ちなみに、いじめる側も自己肯定感が低いケースがほとんど。自分の存在価値を高めるために、いじめる対象者を「自分よりも価値の低い人」に仕立て上げるのに必死なのです。
両親の育て方にも、自己肯定感が下がる要因が隠れているかもしれません。褒められる習慣がなく、否定され続ける家庭環境。好きなことをさせてもらえないルールに縛られた家庭環境。どちらも、自己否定の癖付けには最適な環境に違いありません。
集団教育、いじめ、家庭環境など、幼少期の環境が自己肯定感を下げた可能性は十分にあるのです。しかし、環境のせいにして諦めるのでなく、「幼少期の環境が影響しているかもしれない」事実を認識しましょう。それが、自己肯定感が低い”いまの自分”を受け入れ、高めるための一歩を歩むきっかけとなるはずです。
自己肯定感が高まる良い影響
自己肯定感が高まると、どんな良い影響があるのでしょうか?いくつかの例を挙げてみました。
・新しいことに挑戦したくなる
・周りに振り回されない
・急な不安に襲われない
・ポジティブに物事を考える
・自分を否定しない
・他人を尊重できる
・他人との信頼関係を築きやすい
・ポジティブな人が周りに集まる
・人との違いを受け入れられる
・失敗を成長の糧にできる
・人の話を聴けるようになる
・自分の意見を伝えるようになる
・信頼されやすくなる
・嘘をつかなくなる
・悪口を言わなくなる
・柔軟性が高い
特に大きな効果である2つを簡単に解説します。
挑戦心が高まる
自己肯定感が高いと、「自分なら叶えられる!」と掲げた目標を実現できる自信が持てます。それが、挑戦も恐れず、一歩踏み出す行動力につながり、その後にコツコツと努力を続ける原動力にもなります。
自分を信じているからこそ、できない理由を考えて諦めることはなく、どうやったら超えられるかを考えるようになるのです。
ポジティブな人が周りに集まる
自己肯定感が高ければ、相手の良いところを認め、褒めるようになります。助けを求める謙虚さもあり、また、嘘がなく自分を繕ろう必要がないので、周りからも信頼されやすい。前向きなコミュニケーションが多く、一緒にいると周りを明るい気持ちにさせる存在です。
これらの特徴があればおのずと、同じく自己肯定感が高いポジティブな人が集まってくるでしょう。良好な人間関係に恵まれるはずです。
関連記事:コミュ力急増!心の知能指数を高めるコツ
自己肯定感が下がりやすい日常の瞬間
自己肯定感が下がる可能性が高い、日常の瞬間を挙げてみました。
「あっ!今かも!」と気が付くことができれば、自己肯定感が下がっていることを認識することができます。
・自分だけ誘われない
・周囲があだ名で呼び合う中、自分だけさん付けで呼ばれる
・相手が自分の話を聞いいない
・自分が話すと盛り下がる
・冷たい対応をされる
・悪口/陰口を言われる
事実ではなく、自分のネガティブな想像の場合もあるでしょう。もし、事実であっても、自分を傷つけてはいけません。自己肯定感を高める7つの習慣を復習しましょう。
悪口から自分を守るテクニック
先に挙げた「自己肯定感が下がりやすい日常の瞬間」の中でも、特に『悪口/陰口を言われる』ことのダメージは大きいです。自分を傷つけ、自信を失くし、一気に自己肯定感は下がってしまう可能性があります。そこで、悪口から自分を守る対処法を2つ紹介します。
順番に解説していきます。
①現実歪曲法
現実歪曲法は、相手が悪口を言った背景を、自分の都合が良いように解釈してつくりあげることです。TwitterなどのSNSで無関係の人から悪口を言われたとき、特に役立つテクニックです。
3分前に恋人から悲惨な振られ方しているっぽいなこの人…
さっき理不尽に喧嘩を吹っ掛けられて、ムシャクシャしてそう…
会社でイジメられていて、鬱憤を吐き出すとこがないのかな…
今朝家庭で奥さんにこっぴどく怒られたのかな…
友達が一人もいない寂しさを紛らわせたいのかな…
何でも構いません。確かめようのない部分だからこそ、自分の解釈次第で受け取り方が変わることを覚えておきましょう。
関連記事:“捉え方が全て”のABC理論とは?
②悪口は「不幸さ宣言」
悪口を言うことは、「自分は不幸です」とアピールしているのと同じ。悪口は、自分より幸せだと思う相手に対する嫉妬・妬みが生んでいるからです。
自分は不幸だ!運が悪い!なんも楽しくない!
悪口には、こんな嘆きが乗っかっています。「かわいそうかも…」と同情してあげる姿勢を持っていると、ダメージを受け流させるかもしれません。
自己肯定感を高めるのは難しい
自己肯定感を高めることは簡単ではありません。特に、自己否定の癖を減らすのには、長い年月がかかります。
すぐに直せるものだと思い込んでしまうと、思うように変われない”いまの自分”を否定してしまい、完全に逆効果になることを覚えておきましょう。
自己肯定感を高めるのは時間がかかる。期待しすぎず、コツコツ続けよう!
このような心構えを持っておくことが肝心です。
あなたのペースで少しずつ少しずつ、あなたにしか歩めない人生を歩めるように、自己肯定感を積み上げていきましょう。
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映画『ロケットマン』では、”自己肯定への過酷な道”が描かれている
伝説的な音楽家、エルトン・ジョンの壮絶・壮大な人生を描いた映画『ロケットマン』でも、「自己否定と自己肯定」が見落とせないテーマとなっています。
親からの愛情不足、セクシャリティの悩み、薬物・アルコールの乱用、ファンからの期待で「あるべき姿」の仮面を取れない苦しみ…ギリギリの精神状態に苦しみ、もがき続ける描写の数々は、想像を絶するほどの過酷さです。
そんな中、作中のあるタイミングで、本来の自分を愛する”自己肯定感”が芽生える瞬間が訪れます…
自己肯定感が環境に左右されること
自己肯定が簡単ではないこと
自己否定が人生を狂わすこと
自分に嘘をつき過ぎてはいけないこと
自分を一番大切にできるのは”自分”であること
人生は素晴らしいものになり得ること
映画『ロケットマン』を見れば、自己肯定に関する上記のような気づき・学びが得られるでしょう。自己肯定感の低さで悩む人は、ぜひ一度ご覧になってください。
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