仕事をする上で「想像力を高めたい」と感じることがあるでしょう。
例えば会議で「そういう視点もあるのか!」と周囲を感心させている人を見ると、「自分も想像力がもっとあったらなぁ」と羨ましく思いますよね。
想像力があると多角的な視点でものごとを捉えることができ、得することがあります。
生まれながらにして想像力が豊かな人もいますが、想像力は意識することで高めることができる力です。
この記事では、想像力とはどういうものかを探り、想像力を高める具体的な方法を紹介します。日常に想像を取り入れて想像力を高めていきましょう。
目次
想像力とは
まず想像力とはどういうものか見ていきましょう。辞書には次のようにあります。
想像する能力やはたらき。過去の表象を再生するもの、全く新しいイメージを創造するものなどに大別される。(参考:三省堂 大辞林 第三版)
今、自分の目の前にないものを脳裏に映し出すことが、想像するということ。まだ実現していないものを想像するだけでなく、過去を思い出し「あの時はこういう気持ちだったかも」と想像することも想像力です。
想像力がある人は1つのことから多くを思いつきます。
例えば、道に片方の手袋が落ちていたのを見つけたとき。想像力がある人は「あ、落ちてる」だけでは終わりません。
「落として困っている人はいないかな」「高そう」「今日は暖かいから、落としたのは昨日かな」「ポケットから?カバンから?」「昔、てぶくろという絵本を読んだ」
このようにたくさん思いつきます。想像力があると1つのものを多角的に見ることができるのです。
想像力を高めると得する場面
想像力があると得する場面を具体的に見ていきましょう。
芸術関係の仕事、商品開発、企画立案
まさに「今はないもの」を創ることが仕事のため、想像力は不可欠。特にこれらの仕事においては、想像力があると多角的な視点で柔軟に発想できます。
例えば商品ターゲットとなる顧客のニーズを想像できると、開発に役立てられます。想像力は企画立案にも必須。
商品化した後の顧客の動向や満足度を想像すると、開発後の商品の展開や関連商品のアイディアが思いつくでしょう。今あるわずかな情報から想像して、新たな商品・企画を創れるのです。
商談
取引先のニーズや状況を想像し、相手の満足度の高い提案をすることができます。
こちらの希望と相手の希望がいつでも合うとは限りません。そこで相手の反応をあらかじめ想像し、対応策を用意しておきます。
相手の意向に沿いながらこちらの希望を伝えることができて、うまく商談を進めることができるのです。取引先からも「配慮が行き届いている」と良い評価をもらえるでしょう。
タスク管理
想像力がある人はタスク管理が上手です。業務全体におけるそれぞれのタスクの位置や重要性を想像し、優先順位を見極められます。
その業務で求められていることも想像できるため、期待以上の成果を出せるでしょう。タスク管理が「ただ仕事をこなすためのもの」で終わらないのです。
リスク管理
業務上起こり得るトラブルを想像できるため、対処法を事前に準備できます。
万が一トラブルが起こっても準備した通り対処するだけ。焦ることがなくなるでしょう。想像力でリスク管理も万全になるのです。
社内コミュニケーション
想像力がある人は、上手に社内コミュニケーションをとっています。相手の嫌なことや苦手な態度を想像し、そうしないように心がけているのです。
自分とは違う意見を言われた時でも想像力があると、その背景を想像して意見に共感できます。嫌な言動をしない人とは気持ちよく話ができるので、「また話したい」と思ってもらえるのです。
相手の立場も考えて話し合うことで、より建設的な良いアイディアが生まれるでしょう。
想像力を高める方法
得する場面がたくさんある想像力。もともと想像するのが得意な人もいますが、そうでなくても心配いりません。
想像力は高めることができるのです。想像力を高めるためには何よりいろいろな角度から「想像する」ことが大事。個人差はありますが、たくさん想像することで想像の世界は広がっていくでしょう。
想像する方法を次に紹介します。
擬人化してみる
いろいろなものを擬人化して、視点を変えて想像してみましょう。例えば、歯を磨くという動作。歯ブラシを持って歯を磨く、というのは人間視点の見方ですよね。
歯に視点を変えると、「ブラシで磨かれ痛い思いをしながらも汚れが落ち喜んでいる」と言えるでしょう。ブラシに視点を変えると、「こんなに働いているのにちっとも落ちない」と、歯垢にイライラしているかもしれません。
物に感情はありませんが「もし感情があったら」と想像すると、いろいろな視点で考えられます。
例えば他にも気分が落ち込んでいる時は部屋に置いてある置物に話を聞いてもらいましょう。その置物のアドバイスを想像して客観的に物事を考えられれば、悩みが解決するかもしれません。
人間観察をする
通勤途中で見かけた人の人生背景を想像してみましょう。名前や家族構成、今日の予定など、その人の印象から想像します。
「誰がどこの駅で降りるかクイズ」もおすすめ。想像が的中したら小さくガッツポーズ。ただ想像するだけではなく正誤がわかるのがこのクイズの良い所です。
しかし想像を働かせようとジロジロその人を観察するのはNG。不審に思われないよう、チラッと見た印象で想像するようにしましょう。
また、この練習にハマりすぎてどんな人にも「自分の印象」を押し付けないように注意。
心の中で思うのは自由ですが、「こういう見た目だから、絶対こう思っているはずだ」と言いふらすなど、差別的な行動をとらないようにしましょう。
オーディオブックで小説を聴く
オーディオブックは想像力を鍛えるのに適しています。耳で聞いた内容を頼りに脳裏に自分なりの映像を作り上げるからです。
登場人物の姿、街並みなど頭の中には自分だけの映画が上映されているような気分。聞いている間ずっと想像していることになり、想像力は間違いなく鍛えられます。
小説だけでなく落語などストーリーがあるものを聴きましょう。
主人公以外の視点で映画を見る
多角的にものを捉えられるようになるためには、面白かった映画を繰り返し見るのもおすすめ。見るたびに違う登場人物の視点で見てみましょう。
「主人公の味方だったけど、この人の目線だと納得いかない」
「まさかこの人がこんなこと思っていたなんて」
このように今まで気づかなかったことがわかるかもしれません。
ストーリーや場面など全体の流れは分かっているからこそ、より深く映画の世界を楽しめるでしょう。
関連疲れた時に観る映画20選|仕事を頑張りたい人におすすめ知識を増やす
知識を増やすと想像の幅が広がります。知識に結び付けて多様な想像をすることができるからです。
例えば「カオマンガイ」という料理名を聞いて、どんな料理か想像するとき。料理や言語の知識があれば、「確かタイ語で”カオ”はお米を意味するはずだ」「ガイは肉だっけ魚だっけ…」と、あらゆる知識を組み合わせて料理を想像できるでしょう。
知識を増やすためには、情報を選ばず入手することが大事です。
例えば、スマホで読むニュースを好みの話題に限定していませんか。限られた話題に関する知識では、想像もその域を超えられません。
一般的な話題も表示される設定にして、多種多様な知識を想像に使いましょう。豊富な知識が想像力を高めます。
(カオマンガイ:東南アジアで食べられる料理。カオ=米、ガイ=鶏を意味する)
想像力を高めたい時にNGなこと
想像力を高めたい気持ちに水を差してしまう言動に注意しましょう。次にあげるような言動は、想像を妨げてしまうかも。
NG言動を控えるだけでも想像力がついたと感じる人もいるかもしれません。
「常識」「普通」「絶対」という言葉を使う
「普通〇〇ですよね」「絶対にこれは〇〇です」が口ぐせのようになっていませんか。
「普通」「常識」「絶対」という言葉でそれ以外の可能性を否定してしまい、想像が働かなくなってしまいます。
時には「私にとってこれが普通でも、他の人にしてみたらどうなんだろう」と違う視点で考えることも大事です。自分以外の価値観や少数派の意見を尊重することで、想像力を高められるでしょう。
関連思い込みをなくす最短ルート|明日試せる”自分らしさ”奪還のコツ・自滅癖の克服方法好き嫌いが激しい
嫌いなものは避け、好きな事ばかりをしていると想像力は乏しくなります。知識が自分の好きなことに偏ってしまうため、多角的な視点に立つことが難しくなるのです。
例えば、人の集まりが苦手で、同期の飲み会に一度も出たことがない人。「行ってもつまらない」と思うかもしれませんが、実際話してみると想像もしていなかった一面があるかもしれません。
嫌いなことも多くを知れば、いろいろな要素に気づきさらに想像を膨らますことができます。好き嫌いせずどんなことも積極的に体験し、知識を広げて想像力を高めましょう。
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全てのことにいろんな面があります。自分が今見ている面と全く違う面を想像するなんて、わくわくしませんか。
柔軟な発想が会話を豊かにし、コミュニケーションに役に立ちます。想像力を高め、楽しい毎日にしましょう。