日本では、子どもを出産する(した)女性のための産休制度と、子どもが生まれたときのための育休制度が設けられています。
「育休復帰後が気まずい」
「復職後子育てと仕事を両立できるか不安」
育休・産休は公的に認められた休暇ですが、このような思いから、育休取得を諦めたり、早々に育休復帰したりする人もいるようです。
しばらく離れた職場に復帰するのは確かに不安なもの。しかし、準備次第で、その不安を軽くすることも可能です。
今回は2児の母であり育休取得経験もある筆者が、産休・育休復帰の流れや事前にしておきたい準備などを紹介します。
目次
産休・育休明けの復帰でのよくある不安
共働き家庭が増え、産休・育休制度も広く認知されるようになった昨今。しかし、いざ産休・育休をとったとき、その後の仕事復帰に不安を感じる人も少なくないようです。
実際、産休・育休明けの復帰にどのような不安を感じるのか紹介します。
時短勤務や早退などで周りに迷惑をかけないか
子どもができると生活は一変します。会社での働き方も例外ではありません。保育園のお迎えの兼ね合いで時短勤務をせざるを得ないケースは特によくある例です。
また、子どもが小さいうちは病気にもかかりやすく、急遽仕事を休んだり早退したりしなければならないことも。
このような時短勤務や早退、急な欠勤などで復帰しても周囲に迷惑をかけないか悩む人は多いでしょう。
復帰後の職場に馴染めるか
産休・育休で職場を離れている間、職場の様子や雰囲気が変わっている可能性もあります。
離職や人事異動で部署内のメンバーがガラリと変わっていた、なんてこともあり得るでしょう。そんな変化に馴染めるのかどうか懸念を抱く人も多いはず。
育休期間を長くとるほど、この不安は大きくなるでしょう。
久しぶりの仕事についていけるか
以前は難なくできていたことが、ブランクがあいたことでスムーズに仕事できなくなってしまうのでは、という不安もよく聞かれます。
育休中は子どものことで頭も手もいっぱい。その状況から急に仕事モードに切り替えようとしても、なかなか難しいのかもしれません。
仕事と育児を両立できるか
多少働き方を変えたとしても、仕事と育児の両立はやはりハード。仕事も子どもも待ってくれません。寝る時間が削られたり自分の時間が持てなかったりすることもあるでしょう。
体力がもたず、心身ともにぐったり…なんてことも。
育休後、職場復帰するまでの流れ
わからないことが多いとより不安が大きくなってしまうもの。まずは育休から職場復帰までの流れを把握し、自身が職場復帰するイメージトレーニングをしてみましょう。
Step1.子どもの預け先を確保する
仕事復帰をするのであれば、仕事中の子どもの預け先を確保しなければなりません。親やほかの家族に預けるのか、保育園に預けるのか、家族間でしっかり話し合いましょう。
保育園を希望する場合は保育園の空き状況の調査や見学などの準備も必要です。
Step2.勤務先に復職する旨を伝える
子どもの預け先の目途が立ったら、勤務先の人事担当者に復職したい旨を伝えましょう。
その際は、以下の現状報告・復職においての希望をわかりやすくまとめて伝えます。
・子どもの預け先
・預け先で預かってもらえる時間
・自身や子どもの健康状態
・子どもが病気になったときの対応
(パートナーやほかの家族の協力体制の有無など)
・希望する勤務時間、出社・退社時間
・残業や休日出勤が可能かどうか
Step3.育休復帰に関する所定の書類を提出する
育休から復職する際は、育児休業復職届などの書類提出が必要。復職について会社から同意が得られたら、復職に関する所定の書類に記入し会社に提出します。
具体的にどのような書類が必要かは事前に人事に確認しておきましょう。
Step4.職場の人に復職する旨を伝えあいさつする
復職する日がおおよそ決まったら、事前に職場の人に職場復帰を報告しておくと良いでしょう。
ありがちなのが、復職する部署のメンバーへの連絡のみで、元同じ部署だったメンバーへの連絡を忘れてしまうこと。
後々気まずい思いをしないよう、元同じ部署の人たちへの連絡も忘れずにしておきましょう。
育休復帰に向けてすべきこと
育休復帰をよりスムーズにするため、また、復帰後に感じている不安を軽くするために、復帰前からやっておきたいことを解説します。
生活リズムを整える
育休中は子どものリズムに合わせた生活をしている人も多いでしょう。しかし、復帰後は仕事の就業時間に合わせた生活にならざるを得ず、一気に時間に追われるようになります。
心の準備とともに体も慣れさせるため、復帰が決まったらできる限り復帰後のタイムスケジュールに合わせた生活にしてみましょう。そうすることで生活イメージも湧きやすくなります。
家事の分担を決めておく
復帰後共働きとなる場合、夫婦間や家族間での家事分担は事前にしっかり話し合っておきましょう。
無理して1人で家事・育児を抱え込み、体を壊してしまったら、せっかく復帰したのに仕事の継続すら難しくなってしまうかもしれません。また、事前に役割を決めておくことで復帰後のタイムスケジュールも立てやすくなります。
家事・育児は家族で協力して行うもの。家族みんなの幸せのために、しっかり分担しましょう。
子育て支援サービスを見つけておく
基本的な預け先以外にも、いざというときにサポートしてもらえる子育て支援サービスを見つけておくと安心です。
子どもの発熱時にも預かってもらえる病児保育や急な残業の際に代わりにお迎えに行ってもらえるファミリーサポートなどは働くパパ・ママの強い味方。
こういったサービスの多くは事前登録が必要なので、登録まで済ませておくと良いでしょう。
子どもの予防接種を受けさせておく
仕事復帰の不安のひとつが子どもの急な病気。感染症などのリスクをできるだけ下げるためにも、予防接種はきちんと受けさせておきたいところです。
また、子どもが小さいうちに受ける予防接種は思いのほか多く、一種類の予防接種を受けたあと一定期間はほかの予防接種を受けられないなどの決まりもあるので予防接種のスケジュール立てはかなり大変。
時間調整がききやすい育休中の間にできるだけ済ませておくのがおすすめです。
復職する仕事の情報を仕入れておく
仕事のブランクが心配な場合は、育休中から隙間時間を見つけて情報を仕入れておきましょう。職場にいる知人に、現在の仕事の状況や環境を聞いておくのも良いかもしれません。
育休の間から少しずつ頭を仕事モードに切り替えておくことで、復帰後の慣れも早くなるはずです。
育休復帰当日にすべきこと
育休復帰当日の動きも重要。当日どのように振舞うかで、周囲からの印象や理解が変わってくることもあります。
あいさつ回りをしっかりする
あいさつをしっかりするかしないかで、印象は大きく変わります。部署の上司やメンバー、さまざまな手続きを行ってくれた人事部の人へのあいさつは必須です。
育休中、自身が不在の中で業務をカバーしてもらった御礼、迷惑をかけたことに対する謝罪の気持ちは態度と言葉でしっかり伝えましょう。
理想は直接席にお伺いしてのあいさつ。残念ながらタイミングが合わず会えなかったときは、メールであいさつ文を送り、別日に改めて対面であいさつしましょう。
手土産を渡す
あいさつすると同時に、お菓子などの手土産をお渡しすれば、より好印象。
部署の人数が多い場合は、あいさつ文を添えて休憩室などに置いておくのも良いでしょう。特にお世話になった人や役員クラスの人には別途で用意しても良いかもしれません。
職場ではその日出社していない人がいることもあるため、持参する手土産は日持ちのするものがよいでしょう。個包装の焼き菓子などは配りやすくおすすめです。
予算相場は2,000円~3,000円ほど。休業後で金銭的に厳しい部分もあるかもしれませんが、今後の職場生活を円滑にするための必要経費と考えましょう。
復帰後の働き方を伝える
時短勤務での勤務時間や出勤・退勤時間など、現時点で決定していることは、人事部にはもちろん、上司や職場のメンバーにきちんと共有しておきましょう。
子どもの病気などで急な欠勤となってしまう可能性がある場合も、事前に伝えておくことで理解を得やすくなります。
「仕方がないことだから了承してほしい」といった態度でなく、「ご迷惑おかけします」とお詫びの気持ちを表すことが大切です。
産休・育休復帰後、自分のリズムを整えるコツ
休暇中とは大きく変わってくる、復職後の生活リズム。しばらくは朝起きるのが辛かったり疲れやすかったりと自分のペースを取り戻せない日が続くかもしれません。
生活リズムを整えるコツを掴み、心と体を慣らしていきましょう。
無理しすぎず家族に頼る
仕事復帰に加え、これまで通りの家事・育児をこなそうとしても、心身ともに疲弊するばかり。睡眠時間も削られ、生活リズムも整いません。
家事・育児はパートナーやほかの家族にも積極的に手伝ってもらい、まずは自分のリズムを戻すことを優先しましょう。
頼ることに罪悪感を抱いてはいけません。「生活リズムが整えば自分でもやれることが増える」と自身に言い聞かし、甘えられるところは甘えましょう。
休日に作り置きをする
仕事後のバタバタを少しでも緩和するために、休日を使って作り置きしましょう。
仕事後の買い物や夕食準備の手間がぐっと省けて、心に余裕も持てるようになります。
心に余裕ができれば、早く寝たり就寝前に明日の準備をしたりと、リズムを整えることに集中できますね。
便利家電を利用する
同じく、平日の家事を最小限にし心に余裕を持たせるには、便利家電を取り入れるのも手。
食器洗浄機や乾燥機能付き洗濯機、掃除ロボット、材料を切って入れるだけで料理ができあがる圧力IH炊飯器など、家事の時短に役立つ家電は豊富にあります。
値段もピンキリなので、予算に合わせて購入可能。この機会に検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
育休制度を積極的に利用すべきという声が挙がっている一方で、多くの人が育休復帰に不安を抱いています。
育休をとらない、短くするという選択肢もありますが、育休期間は子育てにじっくり向き合える貴重な時期。不安を上手に解消しながら育休制度を利用できると良いですね。