【リストラハラスメントとは】意味・事例・対策・対処法

リストラハラスメント

リストラハラスメントとは、リストラ対象となった人に対するハラスメントのこと。会社都合退職であるリストラを避けるため自主退職に追い込む嫌がらせ行為で、パワーハラスメントの1つ、あるいはモラルハラスメントの1つと考えられることもあります。

 

リストラハラスメント、略してリスハラは被害者になってしまうと戦う相手が企業となることも多く、社内に相談場所がないなど精神的苦痛が大きいハラスメントです。一方で、リストラに関してふと口した言葉がリストラハラスメントとみなされ、思いがけず加害者になってしまうこともあります。

 

ここでは、実際にあった事例を参考にリストラハラスメントについて紹介します。正しい知識を身につけて、被害者・加害者にならないようにしましょう。

目次

リストラハラスメントとは

リストラハラスメント、略してリスハラはリストラの対象者に対する嫌がらせのこと。企業側が会社にいられなくなるような状況を作ることで、自主退職に追い込む嫌がらせ行為を指します。

 

ケースによってはパワハラやモラハラにも該当するハラスメントです。例えば、次のようなものがリストラハラスメントに該当します。

・本人が望まない部署へ急に異動を命じ、経験も活かせず慣れない仕事をさせる
・こなしきれないほどの膨大な量の業務を任せる
・本人が拒否しているにも関わらず、しつこく退職を迫る

あたかも能力が劣っているかのような印象を与えたり、自由な意思決定を妨げたりしてリストラに誘導するのです。

 

リスハラの背景にあるのは、リストラする際の会社側のリスク回避。社員がリストラ対象となったことを不満として争ってリストラが無効になった場合、会社側には不就労期間中の賃金を補償する義務が発生します。

 

そのリスクを避けるため、リストラ対象者に対し自主的にさせようと誘導し、合意退職を成立させようとするのです。

 

退職へ誘導する行為自体は違法ではありません。しかし執拗に退職を迫ったり、大声を上げる、長時間叱責するなどの行為になるとハラスメントと見なされます

リストラハラスメントの具体例

どのような言動がリストラハラスメントに該当するか、具体例をみていきましょう。

退職への執拗な誘導

退職を促しても簡単に応じない社員に対し、退職への執拗な誘導がハラスメントとなった事例があります。

 

例えば、平成11年の全日本空輸(退職強要)事件。退職しない旨を伝えると、4ヶ月で30回以上もの退職を求める行為をうけた事例です。さらに先輩や同僚から「仕事に向いていない」「普通は辞表を出すもの」など心ない言葉も数多く浴びせられたそう。

 

人権を侵害されたとして損害賠償を請求した結果ハラスメントと認められました。

参考:明るい職場応援団「『退職勧奨とパワーハラスメント』ー全日本空輸(退職強要)事件」-厚生労働省

退職への誘導に応じないことへの報復

退職への誘導に応じなかったために、配置転換や業務内容の変更によるハラスメントも起きています。

・今まで培った能力が全く発揮されないような部署に何の通告もなく配属される
・こなせない量の業務を押し付ける
・プロジェクトから外す

ミスを誘発するような環境、あるいは自分の能力が周囲より劣っているかのような印象を与える環境を意図的に作り、会社に居づらくなるようにして自主退職に追い込むのです。

 

平成12年のフジシール(配転・降格)事件では、技術開発部門の部長が退職への誘導に応じなかったため、肉体労働への配転命令が下りました。

 

後にも先にも他にこの業務専任者がいないこと、経験などを考慮してもこの業務につく必要性はないことなどから、この配転命令は退職への誘導を拒否することに対する嫌がらせと判断され、権利の濫用が認められています。

 

参考:明るい職場応援団「『退職勧奨に応じなかった、開発業務に従事していた管理職に対する肉体労働への配転命令が、権利の濫用として無効と判断され、元の部署に勤務する地位にあることが認められた事案』ーフジシール(配転・降格)事件」-厚生労働省

リストラ対象者に対するいじめ

「こんなこともできない奴はこの会社にいらない」
「お前みたいな奴、リストラされて当然だよ」

会社に必要のない人間だと思わせるような発言、相手の能力を見下し馬鹿にするような発言を何度もすることも立派なリスハラです。

 

その言葉を信じて自分を責めてしまい、最悪の場合うつにかかって入院、なんてこともあるでしょう。言う側は一瞬でも、言われた側は一生傷ついて頭から離れない場合もあります。

リストラハラスメントへの対処法

被害にあってしまった時の対処法を紹介します。何より大切なことは、一人で加害者側と戦おうとせず、相談するようにすることです。

記録をとる

記録は、相談するにも役立つだけでなく会社と戦う際の貴重な資料となり得ます。できるだけ細かく記録しておくようにしましょう。

記録する内容
・日付
・ハラスメントを受けた場所
・同席した人物
・何をされたか(どんな発言があったか)

文書やメールなども証拠となります。「2人きりで話そう」と言われるなど同席者が見込めない場合には、あらかじめ発言内容を録音できるような準備をしておく方が良いでしょう。

 

もし録音できなければなるべく正確に記録しておく必要があります。

社内の相談窓口へ相談する

周囲の人から馬鹿にされるような発言、見下すような発言でハラスメントを受けた場合には、信頼できる上司や社内の相談窓口に相談しましょう。

 

ハラスメントは人にわからないように行われることも多いもの。まずはハラスメントが行われている事実を報告し、わかってもらうことが必要です。

 

信頼できる上司であれば、相談を受けた上でさりげなく状況を把握し対応策を練ってくれるでしょう。

専門家に相談する

リスハラはパワハラの一面も持っていることから、社内では相談しにくいこともあるでしょう。その場合は社外の相談窓口を利用する方法があります。

 

労働局や労働基準監督署に相談するとハラスメントに対するアドバイスを受けることができます。弁護士に相談するのもひとつの方法です。

 

ハラスメントを受け、精神的にダメージを受けている中で企業と一人で戦うのはかなりハードなこと。専門的な知識を持つプロの力を借りれば効果的な戦い方ができると共に精神的に楽になるでしょう。

加害者にならないためのリストラハラスメント対策

リスハラの加害者にならないための対策を紹介します。発言する側の意図に関わらず、相手が不快と感じればハラスメントとなってしまうため日頃から注意するようにしましょう。

なんでもかんでも「退職」を持ち出さない

「そういうことをしてるとリストラされるぞ」
「そんなことではクビになるよ」

ミスや失態を冗談でもリストラに結びつけて発言しないようにしましょう。誰にとってもリストラは嬉しいものではないので、リストラを思わせる発言は相手に不快感を与えます。

 

執拗にリストラに結びつけて話をすることは避けるようにしましょう。

改善してほしい点は明確に相手に伝える

一旦リストラを宣告し、改善がみられればリストラは撤回、というケースもあるでしょう。その場合はは、相手の悪いところや改善して欲しい点をきちんと伝えることが大切です。

 

言われる側の心情を想像すると、改善して欲しい点を伝えるのは酷に思うかもしれません。しかし改善する見込みがあるのであれば、冷静に改善すべき点を伝える方が善処といえます。本人が自分に非があることに気付いていない可能性もあるのです。

心ない言葉を言わない

リストラ対象となった社員に対する言葉に注意しましょう。「あ、やっぱり」「役立たずだったからね」などと発言してしまうとハラスメント。

 

心ない言葉は本人がいない場所でも口にせず、心に留めておくことが重要です。

被害者にならないためのリストラハラスメント対策

次に、リストラの対象となってしまってもハラスメントを受けないための対策を紹介します。

ハラスメントに関する書籍をデスクに置く

デスクにハラスメントに関する本を1冊置いておきましょう。ハラスメントに対する意識の高さを感じてもらえるため、「この発言はハラスメント?」と相手に考えさせるきっかけになります。

 

「この人にハラスメントをすると、ややこしくなりそう」と加害者側が自分から逃げてくれる可能性もあるのです。

 

例えば次のような本などは題名だけで警戒心を持たせる効果があるでしょう。

会社の方針として自主退職に追いやることに従っている人が、正しいハラスメントの知識を持っているとは限りません。デスクある本を見て自分の行動がハラスメントにならないよう考えてくれるでしょう。

任された仕事を全うする

「つけ入る隙がある」と思われるとハラスメントに発展する可能性があるため、どんな業務でも責任を持って全うすることが大切です。

 

万が一、ミスすることがあってもごまかしたりせず誠意を持って謝罪し、再発防止への姿勢を見せるようにしましょう。

 

どんな状況においても自分の担当業務に責任を持ち全うする姿勢があれば、ハラスメントの対象にはなりにくく、もし起こっても周囲の協力を得てハラスメントに屈することは避けられるでしょう。

無断欠勤・遅刻をしない

無断欠勤や遅刻をしないことは仕事に対する誠意の現れ。誰の目から見ても仕事に対する熱意が感じられる行動なので「リストラされて当たり前」のような捉え方は決してされないでしょう。

 

このような姿勢があるにも関わらずハラスメントをしてくるのは理不尽なこと。リストラ対象の理由として、勤務態度が上げられることを避けるためにも無断欠勤や遅刻をしない心がけが大切です。

リスハラ以外にも!あなたはいくつ知ってる?職場で起こり得るハラスメント

リスハラ以外にも、職場ではさまざまな種類のハラスメントが起こり得ます。例えば以下のハラスメントを知っていますか?

・パワーハラスメント(パワハラ)
・モラルハラスメント(モラハラ)
・パタニティハラスメント(パタハラ)
・エイジハラスメント(エイハラ)
・ソーシャルハラスメント(ソーハラ)
・ハラスメントハラスメント(ハラハラ)

「自分は大丈夫」と思っていても、知識不足だと被害者にも加害者にもなる可能性が高まります。被害者、そして加害者にならないように、以下の記事をぜひチェックしてみてください。

関連【ハラスメント大全2022】職場で起こる40種類のハラスメント一覧

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