「ラブハラスメント」という言葉を聞いたことがありますか。
ラブハラスメント、略してラブハラは恋愛に関するハラスメント。何気なくする恋愛話ですが、個人的な内容に踏み込む性質上、知らぬ間に相手を傷つけている可能性もあります。
「え?付き合ったこと、ないの?」など恋バナで数多く聞かれる発言、実はラブハラスメントに該当するのです。
この記事ではラブハラスメントの具体例、被害にあった時の対応とともに加害者にならない対処法を紹介します。ラブハラを正しく知って、うっかり加害者にならないよう自分の行動を考えましょう。
目次
ラブハラスメントとは
ラブハラスメント、略してラブハラは恋愛に関する話題で、相手に不快な思いをさせるハラスメントのこと。ラブハラという言葉は新しく感じるかもしれませんが、ハラスメントになり得る行為は実は日常的に身の回りで発生しているものです。
ひどいラブハラスメントはセクハラやモラハラの一部と捉えられてきたかもしれません。
「彼氏、いないの?」
「そういうことだから、彼女もできないんじゃない?」
日常的によく聞くフレーズですよね。しかしこの発言がラブハラの原因。あなたが何気なく言ったことでも、精神的に深く傷ついている人もいるのです。
「こんな言葉もハラスメントと言われてしまったら、恋バナもできない!」そういう声もあるでしょう。ハラスメントの焦点は「言われた人がどういう気持ちになるか」ということ。どんな言動でも「精神的苦痛を与えられた」と被害者が思えばハラスメントです。
また、誰もが恋愛話を好きとは限りません。あなたが恋愛の話をしたいのなら自分の話をし、他人に押し付けるのはやめましょう。
ラブハラスメントの何がいけないのか
何気ない言葉がハラスメントになるなんて「一体どうすればいいのか」と思ってしまいますよね。どうしてラブハラスメントと言われてしまうのか、もう少し探ってみましょう。
価値観の押し付けになる
「ナンバーワンよりオンリーワン」という言葉が知られるほど、今は個性を重んじる風潮が高まっています。
恋愛観についても同様。自分の価値観をあたかも常識のように捉えた発言は、価値観を押し付けることになり相手に精神的苦痛を与えてしまうのです。
「その歳で一度も付き合ったことないの?」
「恋していないなんて、毎日つまらないでしょう?」
例えば、「ある程度の年齢になれば、誰もが一度は恋人と過ごした時間がある」と思うのは勝手な思い込み。恋愛があってこそ毎日が輝くと思い込んでいる「恋愛至上主義」の人にとっては、恋をしていない人は何を楽しみにしているか想像できないのかもしれません。
恋愛に興味のない人にとっては、そういう言葉は「余計なお世話」と感じることでしょう。自分は付き合ったことがないダメ人間なのか、と悩んでしまうかもしれません。
自分の恋愛観が常識だと思い込んで発言すると、ハラスメントに発展する可能性があります。
話せない事情がある場合がある
恋愛観や恋愛事情を人に話したくない人もいるでしょう。そういう人の気持ちを無視して、複数の人がいる場所で恋愛について話を振ったり、最近の恋愛事情について質問したりすることはハラスメントになります。
そもそもあまり恋愛に関心がない人にとっては、いつも恋バナばかりされると会話を楽しめません。その上「関心がないなんて信じられない」と否定されるようなことを言われたら、「自分はおかしいのか」と自分自身を疑ってしまうでしょう。
あるいは恋愛の対象が異性ではない人もいます。カミングアウトしていないために、日頃は恋愛の話にはあまり加わらないようにしているのかもしれません。それにも関わらず、当たり前のように異性を対象にした恋愛の話をされると、まるで「異性愛者以外は存在しない」と言われているような気分になります。
そういう他人の背景を想像することなく、誰もがオープンに恋バナをするものと信じ込んで発言すると、知らず知らずのうちに大きな精神的ダメージを与えハラスメント加害者となってしまうのです。
ラブハラスメントの具体例
実際、どのような発言がラブハラとなるのか、具体的に見ていきましょう。
「恋愛すべき」との価値観を押し付ける
「まだ一度も付き合ったことないの!?」
「人間性に問題あるんじゃない?」
「人は誰もが恋愛をする」と信じ込んでいる人は、一度も恋人を持ったことがない人を下に見てバカにするような発言をしがちです。恋愛に対する価値観は人それぞれ。恋愛こそ人生のすべてと信じている人もいますが、恋愛よりも自分の趣味を重視している人もいます。
「恋愛できないのは人間性に問題がある」などの発言はモラハラにも該当します。付き合ったことがなく、友人と恋バナになるたびに肩身の狭い思いをしている人にとって、そのような発言は大きなショックを受けるでしょう。
「今まで一度も恋愛感情を抱いたことがない自分はダメ人間かも」と思い、うつになってしまう恐れもあります。
軽はずみに発言したひと言が恋愛の価値観を相手に押し付け、不快にさせるのです。
勝手に相手を紹介してくる
「彼女、いないんだろ?あの子なんてどう?紹介してやるよ」
「彼氏いない歴、長いよね?何なら、俺、付き合ってやろうか」
親切心なのかもしれませんが、素敵な人を紹介してくれるこの言葉もハラスメント。場合によってはセクハラにも該当します。
1人でいる時間を謳歌している人や趣味が生きがいになっている人にとって、どんなに素敵な人を紹介されても「余計なお世話」。今は恋愛どころではないかもしれないし、その人はタイプではないかもしれません。相手の気持ちを全く想像することなく人を紹介するのは、失礼と思われる行為です。
性的指向をカミングアウトしていない人にとっても、このような発言はハラスメント。異性を紹介されても恋愛にはならないことを告げることもできず、親切心を裏切ることもできず、深く悩んでしまいます。
最初は知らずに言ってしまっても、話しているうちに相手の消極的な態度に気付くべきでしょう。それぞれの人の背景を想像することが必要です。
「異性の恋人がいれば人生は素晴らしい!」という自分の思い込みで人の世話を焼くのも、度を過ぎるとハラスメントとなり、相手の心を傷つける行為です。
勝手に恋愛のアドバイスをしてくる
「月に数回しか会わないなんて、付き合ってるって言う?」
「もっと服装をこうすればモテるのに」
恋バナをしている中で、他人の言動や服装についてアドバイスをすることはよくありますよね。「この言葉もハラスメントになるの?」と驚かれるかもしれませんが、相手が傷ついていればハラスメントになり得ます。
問題は言われた人の気持ち。その場は笑顔を浮かべて聞き流していても、実は深く傷ついていることもあります。何度も何度も言われることで、傷がどんどん深くなりうつ状態までなるかもしれません。
「恋愛ってこうあるべき」「恋人ならこうするべき」と思うのは自由ですが、それを他人に押し付けるのはやめましょう。
ラブハラスメントの対処法
ハラスメントを受けたと感じたらどうしたら良いのでしょうか。大切なことは1人で考え込まないこと。次に紹介する対処法を参考にしてみてください。
スルーの仕方を覚える
恋バナがどうにも止まらない人の話は聞き流しましょう。誰もが恋バナに興味があると信じて疑わない人と、真正面から向き合う必要はありません。話が始まってしまったら、自分の意識をその話とは別のことに向けましょう。
例えば、2人きりの時は適当に相づちを入れながら聞いている素振りを見せ、頭の中では実況中継をしてみましょう。
「始まりました、得意の〇〇さんの話です。昨日は全く逆のことを言ってましたねぇ。」
など第三者目線をキープして聞くと、話の内容を深く考え過ぎず聞き流せます。
職場など複数の人がいるときに話し始めたときには「またセミが鳴いてる」と思うようにしましょう。どんなに大きな声でも「ミーン、ミーン」と言っていると思って聞き流すことで、気にすることなく業務に集中することができます。
ハラスメントの意識が高いと思わせる
ラブハラに限らず、ハラスメントは知識不足が原因となり発生する場合が少なくありません。ハラスメントを意識していると周囲に思わせることで、ハラスメントの対象になる可能性を低くできます。
デスクにハラスメントに関する本を置いておくと、わかりやすくアピールできるでしょう。
ハラスメントをよく知らない人は、何が原因で加害者にされるかわからないため、何か言うたびに「この言葉はハラスメント?」と不安になるでしょう。一度でも「それはハラスメントになりますよ」と言われた相手には軽はずみな発言はしないはずです。
恋愛の価値観を明確に持つ
自身の恋愛観や価値観を明確にしておくと、他人に何を言われても不安になりません。ハラスメントになりそうな心ない言葉を言われたとしても、軽く流せるでしょう。
「1人でいる時間が至福」
「異性には興味が湧かない」
「仕事が恋人」
職場の人や友人に公言する必要はありませんが、自分の中で明確にし「ありのままの自分で大丈夫」と思えば他人の言葉に右往左往しません。
「自分はこれでよいのか」と不安な気持ちがあると他人の価値観をそのまま信じ、興味もないのに出会い系サイトにアクセスするなど、無理してしまうかもしれません。予期せぬ素敵な出会いがある可能性もありますが、無理がたたって精神的ダメージを受けることも考えられます。
何事もそうであるように、恋愛に関しても自分は自分、他人と違って当たり前です。
社内相談窓口に相談する
あまりにもストレスがたまり、到底聞き流すことなどできない場合は、社内の相談窓口を活用しましょう。
ハラスメントがあった日時、状況、具体的なハラスメントの内容など事実を報告。まずはハラスメントが起きている実態を、社内の担当窓口にわかってもらいましょう。
社外に相談窓口に相談する
社内ではウワサになる可能性もあり相談しづらい場合は、社外の相談窓口という方法もあります。電話やメールで相談でき、もちろんプライバシーは守られます。
社内で相談するとき同様、客観的な事実を細かく伝えるとより適切な対処法を専門家が教えてくれるはず。「こんなことをハラスメントというのはおかしいのだろうか」と不安に感じるときも社外の相談窓口に話すと良いでしょう。
辛い気持ちに寄り添って話を聞いてくれます。
加害者にならないために!ラブハラスメント対策
ラブハラは知らず知らずのうちに加害者になる可能性があるハラスメントです。
加害者と言われないために日頃から気をつけるべきポイントを紹介します。
プライベートの話は言われるまで待つ
知り合い程度の間柄であれば恋愛など、プライベートに関して深く聞いたりするのは避けましょう。相手が心を開いていないのに根掘り葉掘り聞いてしまうと、不快感を与えます。
交友関係を知ることで、相手の人間性を知りたいこともあるでしょう。その場合はまず自分の話をするようにしましょう。恋バナをしたい時には「パートナーいる?」と聞く前に「うちの彼/彼女がさ、…」と話すことで、自分は心を開こうとしている姿勢が伝わります。
もし自分の話をしても、期待どおりに相手がプライベートを話題にしなかった場合は、無理に聞くのはNG。「プライベートの話はしたくないかもしれない」「話せない事情があるかもしれない」と相手の背景を想像し、深入りするのは避けましょう。
相談されていない時はアドバイスをしない
恋バナをしているとつい「こうすればいいんじゃない?」とアドバイスしたくなる時、ありますよね。しかしそれは口に出さないように努めましょう。アドバイスを求められていないなら、勝手なアドバイスは余計はお世話になりかねません。
恋愛をすべきか、恋人とどうあるべきか、など恋愛に関する考えは人によって違うものです。悩んでいるけれど、今は自分でじっくり考えている最中の場合もあるでしょう。
「どうすればいいと思う?」と明らかに相談を持ち掛けられた時には親身になって話を聞き、アドバイスすべきです。アドバイスを参考に納得のいく答えを見つけ、感謝してもらえます。
しかし「ただ話を聞いて欲しいだけ」の時に自分の価値観でアドバイスをしてしまうと、不快に思われる可能性もあるので、アドバイスは相談を受けた時だけにしましょう。
同調しない
加害者でも被害者でもない第三者の立場でも、態度によっては加害者に含まれてしまうことがあるので注意しましょう。ラブハラとなり得る言動をしている人が周囲にいた場合、同調や共感の態度を見せると加害者と同じと思われます。
例えば「付き合ったこともないから、人の気持ちもわからないんじゃない?」などとラブハラとなる発言に対して、頷いたり一緒に笑ったりすると加害者側の人間とみなされるかもしれません。
心ない言葉を言われた被害者から見れば、その場でその発言に対して笑った人は自分の味方と思えません。その人も加害者と同じ気持ちで自分を傷つけたと思うでしょう。
周囲でハラスメント行為が見られる時には、その場は無関心を心がけましょう。被害者の味方になりたい気持ちからその場で加害者に向き合うと、二次被害の恐れがあります。被害の状況を第三者の視点から冷静に記録し、その後の対応に活かせる証拠を残すことが役目です。
加害者の知らないところで被害者に「大丈夫?」とひと声かけることで安心してもらえるでしょう。第三者として出来ることは被害者に「1人じゃない」とわかってもらうことです。
ラブハラ以外にも!あなたはいくつ知ってる?職場で起こり得るハラスメント
ラブハラ以外にも、職場ではさまざまな種類のハラスメントが起こり得ます。例えば以下のハラスメントを知っていますか?
・パワーハラスメント(パワハラ)
・モラルハラスメント(モラハラ)
・シングルハラスメント(シンハラ)
・マリッジハラスメント(マリハラ)
・ソジハラスメント(ソジハラ)
「自分は大丈夫」と思っていても、知識不足だと被害者にも加害者にもなる可能性が高まります。被害者、そして加害者にならないように、以下の記事をぜひチェックしてみてください。
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・周りの目が気になる人
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このような人は、退職代行を利用すればスムーズに辞められるでしょう。きっとストレスからも解放されるはずです。
不安な場合は、まずは退職代行サービスに相談してみましょう。 安全に利用できるおすすめの退職代行は「【2022年徹底比較】退職代行おすすめ人気ランキング29選」の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。