「効果的なプレゼンがしたい」
「言葉だけで上手く伝わっていない気がする」
コミュニケーションにおいて重要な要素「ボディランゲージ」。外国人はよくボディランゲージを使いますが、日本人には少し抵抗があるかも知れません。
しかしグローバル化が進んでいる今、価値観や文化的背景の異なる相手とも円滑なコミュニケーションを実現させるには言葉だけでなくボディランゲージも大切です。
この記事ではボディランゲージの重要性を詳しく解説、簡単にできる効果的なボディランゲージの使い方を紹介します。
目次
ボディランゲージとは
ボディランゲージとは「表情」「身振り」「手振り」など、肉体の動作を利用した非言語的コミュニケーション方法のこと。
教養のある人の語彙は約5万語と言われるなか、ボディランゲージは普通の人でも70万余りを使っていると言われています。
しかし正しい言葉の使い方は子供のころから習ってきても、表情やボディランゲージの効果的な使用について教わった経験のない人がほとんど。
円滑なコミュニケーションにはボディランゲージは有効な手段。ボディランゲージで聞き手に与える印象は大きく変わっていきます。話を聞く時にもボディランゲージは大切。言葉には現れない本音がボディランゲージに現れることもあります。
例えば相手がよく時計を見るようになったらそれは「早く終わって欲しい」というサインかも。ボディランゲージを理解すると、効果的に自分の話を伝えることができるだけでなく、相手の本音も知ることができるのです。
主なボディランゲージの例
ボディランゲージをより理解できるように、主なボディランゲージの例を紹介します。
肩をすくめる
外国人によく見られるボディランゲージ。「分からない」「仕方がない」などお手上げ状態の気持ちを表しています。
ろくろ回しのポーズ
相手に話がよく伝わるように心がけるとついしてしまう「ろくろ回しのポーズ」。体の前であたかも大きな粘土をろくろで回しているかのように、広げた手を上下左右に動かす動作です。
頭の中を整理して分かりやすく伝えようとするあまり自然と手が動いてしまうのでしょう。
また大きく手を広げて動きも大きくなると相手に与える印象も強いものになるため、プレゼンでも活用されるポーズです。
腕を組む
「防御」の意味。「自分でよく考えたい」と思考が自分の内面に向かい、相手に「今立ち入らないでほしい」と伝わる可能性があります。
腕を組むと落ち着くので習慣となってしまっている人は要注意。
エアクォート
両手でピースサイン、指先を数回折り曲げる仕草。日本人はあまり使いませんが、英語圏で使われるので海外ドラマや映画で見かけることがあるかもしれません。
英語で使用される記号「“ ”(ダブルクォーテーションマーク)」(引用や強調に使用)を指で表すことで、自分の言葉を強調したり「要注意」「裏があるかも」など人の言葉を皮肉を言ったりする時に使われます。
ボディランゲージの重要性
ボディランゲージの重要性については興味深い数値があります。
アメリカの心理学者、アルバート・メラビアンによって発表された「メラビアンの法則」、人から話を聞く時の情報源は7-38-55の割合というものです。
目から得る情報が全体の半数を超える55%、話のスピードや声のトーンなど耳から得る情報が38%、言葉から得る情報はわずか全体の7%というものです。
言葉と表情、言葉とボディランゲージにギャップがあるとき、本音を表すのは表情やボディランゲージだと私たちは考えているということ。
無意識のうちに自分の意志に反したメッセージが相手に伝わっている可能性もあるのです。ボディランゲージの重要性についてもう少し具体的にみていきましょう。
気持ちが伝わりやすくなる
言葉に合ったボディランゲージを行うことで、相手に気持ちが伝わりやすくなります。
例えば取引先に初めて新商品の説明をする時、話しながら机の上の資料を探すように手を動かしていると、聞いている人は「新商品のこと、分かっていないのかな」と不安になりますよね。
相手の表情を見ながら胸を張って話すと自信を持って新商品を勧めていることが伝わります。また伝えたい内容に関係のないボディランゲージは誤解のもと。
不必要に髪に触れたり、腕をさすったりしていると不安な気持ちでいることが相手に伝わってしまいます。言葉に合ったボディランゲージを適切なタイミングで行うことが効果的なのです。
相手の本音がわかるようになる
日常的な会話では無意識にボディランゲージをしてしまうこともあります。
例えば、友人と話が盛り上がってくると自然と声が大きくなり、座る感覚が狭くなりがち。これは相手に共調することで声が大きくなり、安心感が増したことで距離が近づいているのです。
いずれも無意識ですが、気持ちがボディランゲージとなり表れています。視線や表情は特に無意識に動いてしまうもの。無表情で「ありがとう」と言われても嬉しくありませんよね。
本音は「余計なことをされた」と思っているのかと不安になります。ボディランゲージを意識すると相手が隠そうとしている本音に気づくかもしれません。
コミュニケーションスキルがアップする
意図的にボディランゲージを使うことで初対面の人とでも早く打ち解ける、話題が盛り上がるなどコミュニケーションスキルがアップできます。
笑顔や優しい言葉で接しても初対面の人との距離感はなかなか縮まらないものですね。そういう時はボディランゲージでミラーリング効果を利用するのがおすすめ。
相手が鼻を触ったら同じように鼻を触ってみる、相手が左手の上に右手を重ねたら、自分は右手の上に左手を重ねてみる。
このようにまるで鏡に映したようにボディランゲージを行うと相手に安心感が生まれます。心を開いて相手のことをいろいろ教えてくれることでしょう。言葉だけでなくボディランゲージを使うことで良好な人間関係が実現できるのです。
ボディランゲージの実践方法
有効にボディランゲージを使う方法を紹介します。ただボディランゲージを取り入れようといきなり海外ドラマの登場人物の真似をしても不自然な印象を与えてしまうだけに。
ボディランゲージをどう使うかは大げさに考える必要はなく、ちょっとしたコツを抑えれば有効的で自然にボディランゲージができるようになります。
そこで注意点を1つ。ボディーランゲージが語る情報が全てではないと考えておきましょう。例えば「腕を組むこと」は「防御」の意味を持ちますが、単に寒いだけかもしれません。
「さりげないしぐさから深層心理を知る」といった心理テストをよく見かけますね。心理学アプローチでボディランゲージを解析することはありますが、その場合単独の動作のみで判断されることはありません。
視線だけでなく体の他の部位の情報も合わせて判断されています。1つのボディランゲージで全てを決めつけないように注意しましょう。
参考:AERA STYLE MAGAZINE 『いま、日本人に必要なのは、国際社会で通用するボディランゲージ』
急所をオープンにする
体の中心にある「顔・喉元・胸・股間・足」をオープンにすることで、相手に安心感を与えられます。これらの部位は攻撃されると生死に関わる急所。
急所をオープンにすることで相手に安心して心を開いているメッセージが伝わるので、素直に話を聞いてもらえます。
TEDなどのプレゼンターはこの効果を利用して、手を大きく広げ体の真正面をオープンにすることがよくありますよね。
逆に腕組みをする、股間の前で手を組むなどこれらの部位を隠すようなボディランゲージは「緊張」「不安」「警戒」を相手に伝えてしまいます。
余計な動きをしない
言葉と関係のないボディランゲージはしないようにしましょう。例えば「頭をかく」「顔に触れる」「時計を触る」などは不安な気持ちを静めるための動作。
無意識にしてしまう人も多いですが、これらのボディランゲージは発言内容とは何も関係ありません。
このような動作が多いと「自信がない」「神経質である」というネガティブな印象を与えかねないので、商談やプレゼンでは極力避けたいボディランゲージです。
視線に気をつける
ボディランゲージの中でも重要な視線。聴衆の視線がどこに向いているかは話者にとって重要なポイントと言えるでしょう。
スマホを覗く=話に興味がない
話者と視線を合わせない=関心がない
視線が上を向く=退屈している
時計を見る=早く終わって欲しい
このように視線はさまざまなメッセージを話者に伝えます。聞いている時に無意識にメッセージを送らないように注意が必要です。話者の表情をよく見て傾聴の姿勢を見せましょう。
映像で確認する
自身のプレゼンを見直すとき、音声を消して映像のみで確認してみましょう。
声が聞こえないことで、話している時の視線や手の動き、立ち位置に意識を向けてみることができるようになります。
「スライドを見てください」と言いながら自分は一回もスライドに目を向けていない、なんてことはありませんか。言葉と同じボディランゲージをすることが大切です。
プレゼンのメリハリもボディランゲージの大きさでつけると次のプレゼンはさらに効果的なものになるでしょう。
まとめ
ボディランゲージは外国人が得意、日本人は苦手と思っている人は多いかもしれません。
グローバル化が進み、いつでも世界と繋がっている今、コミュニケーションもグローバルにすべき時代です。
積極的に自分に意見を主張する場面もどんどん増えていきます。より魅力的な主張と思ってもらえるように、ボディランゲージを大いに活用していきましょう。
日常生活ではさりげないボディランゲージが有効。人間関係の悪化を回避できます。
疲れた様子の人には、肩や背中にポンっと手を置く。ボディランゲージが優しい気持ちを大いに語ってくれるでしょう。