就職・転職活動をする際、自己PRや面接などで協調性を自身の長所としてアピールしようとする人は多くいます。しかしいざ自分の強みとして伝えようとした時、書き方や表現方法は意外と難しいものです。
今回は応募書類や面接で「協調性」を効果的にアピールするための工夫について、実際の例文を紹介しながら具体的に解説していきます。
目次
企業が求める協調性とは
「協調性」を辞書で調べると以下のように書かれています。
協調性(きょうちょうせい)とは異なった環境や立場に存する複数の者が互いに助け合ったり譲り合ったりしながら同じ目標に向かって任務を遂行する素質。
(参考 : フリー百科事典『ウィキペディア』協調性 – Wikipedia)
つまり協調性とは「他人と協力しながら同じ目標に向かって円滑に物事を進められる性質」を指すのです。
では具体的に企業が求める「協調性」とはどのような性質なのでしょうか?
まず同じ協調性であっても企業によって求めている協調性は異なります。企業ごとに働いている人たちのタイプも、業務内容も社風も違うもの。各企業は「自社にとっての理想の人材」を採用したいと考えているのです。
そこで多くの企業が求めているのは「主体的な協調性」。「協調性」には2つの性質があります。
・「従順的な協調性」
空気を読んで周りの意見に調和する
・「主体的な協調性」
周りに働きかけ共にゴールを目指す
「主体」と「協調」とでは反対の意味に捉えられることもありますが、主体性を「主体的に周りを巻き込み協力して物事を成し遂げる力」と定義すると「協調性」と同じ意味で使えるのです。
協調性を自分の強みとしたい場合は「主体的な協調性」であることをアピールしましょう。
協調性をアピールするときのポイント
応募書類や面接などで協調性をアピールする際、どんな点に注意し工夫すれば良いのでしょうか?具体的に解説していきます。
具体的なエピソードを用意する
ただ「協調性があります」と伝えても本当に協調性があるのか、信憑性がなく判断できません。
面接では採用担当者がイメージできることが大切。どんな時にどんな風にあなたが協調性を発揮するのか、具体的なエピソードを実体験を交えて説明しましょう。
まずは自分が協調性を発揮したと感じる出来事を振り返り、何かを成し得た経験を書き出してみましょう。
・数値(何回、何人、何年など)
・会話例
・具体的行動
このような詳細を書き出して準備しておくと面接で焦ることなく伝えられます。
協調性が感じられる話し方をする
「協調性があります」とせっかくアピールしても、ボソボソと自信なさそうに話していたり視線が定まらなかったりしていては説得力に欠けます。
協調性があり、周りと円滑にコミュニケーションがとれると伝わるように、面接官としっかり目線を合わせて堂々と話しましょう。
またグループ面接やグループディスカッションなどでは次のような姿勢も大切です。
・周りの人の話を相槌を打ちながら聞く
・グループの意見をまとめる
・発言の少ない人からも意見を引き出す
集団選考では全員の話す時間が必要になるので、自分の伝えたいことを簡潔に述べ、周りの話も興味を持って聞く姿勢で臨みましょう。自分の意見ばかりを主張したり、人の話を聞かかったりでは協調性があるとは捉えられません。
他の人が話している時にどんな姿勢でどんな表情で聞いているかも面接官は見ています。
短所に捉えられないように注意する
協調性は伝え方によってはネガティブに捉えられてしまう可能性があります。
・自分の意見を主張できない
・周りの意見に流されやすい
・常に指示を待つ
周りとの調和を重視するあまり、このような人ではないかと懸念されてしまうのです。周りにしっかりアンテナを張って空気が読める協調性も大切ですが、それだけでは物足りないと考える企業が多くあります。
・自分の意見を主張しつつも周りとのバランスがとれる
・相手の意見を尊重したうえで、自分の要望や意見を伝えられる
協調性を強みとして捉えてもらうためには、このように主体性や周囲とのバランスも織り交ぜて伝えるようにしましょう。
仕事にどう活かせるかを伝える
就職・転職時に自分の強みとして「協調性」を伝える場合は、仕事で活かせる内容であることが重要です。
協調性を発揮した経験を伝えるだけで終わらせずに、「協調性を活かして入社後にどんなことができるのか」を必ず伝えるようにしましょう。
「自分の強みである協調性を活かして、周りの意見をバランス良く取り入れながら○○を成し遂げたい」
このようにアピールすることで、入社後に協調性を活かして活躍するイメージされやすくなり、協調性が企業が求める強みとなり得るのです。
「協調性」の自己PR例文
次に「協調性」をアピールする自己PRの例文を紹介します。どんな点が良いのかについても解説しますのでぜひ参考にしてください。
自己PR例文 : アルバイト経験を踏まえて
私の長所は協調性です。学生時代を通して4年間飲食店にてアルバイトを続けてきました。そのお店では、朝シフトに入るメンバーと夕方以降にシフトに入るメンバーとで、壁があり情報が共有されないという課題がありました。
そこで「情報共有ノート」を作り、コミュニケーションを取ることを提案しました。店長と一緒に情報共有ノートのルールを作成し、皆に浸透するよう声をかけたのです。
結果、細かな情報が共有されると共に店内の結束が強くなり、メンバー間の壁がなくなりました。また情報の共有からお客様一人一人に合わせたコミュニケーションがとれるようになり、お客様にも喜んで頂けました。
社会に出てからも強みである協調性を活かして、社内・チームで協力して成果を上げ、共に喜び成長できるような仕事がしたいと考えています。
具体的な数値、そして具体的な取り組み内容が書かれていて読み手にとってイメージしやすいですね。
協調性を活かして取り組んだこと、その成果、そしてそれを今後どう活かしていくか、という流れで書かれていてわかりやすいです。
入社後には、周りに合わせるだけの協調性ではなく、周りを結束させるような協調性を発揮し、組織全体の利益を追求できる人材になることが期待できます。
自己PR例文 : 事務職の経験を踏まえて
私は前職で3年間、部署内の営業サポートの仕事に従事してきました。その中で私は5人の営業メンバーがどんな顧客を担当し、どんなふうに仕事を進めるタイプか、それぞれと密なコミュニケーションをとることで把握するようにしていました。
既存顧客のフォローをメイン業務としている人には、その顧客毎に必要な書類を先回りして準備するようにしました。新規顧客の開拓をメイン業務としている方には、新規の顧客リストを準備したりプレゼンのための資料を先回りして作成したりするようにしました。
その結果、チームで売上目標を達成した時には「○○さんのおかげでお客様から信頼がもらえたよ」と感謝の言葉を頂きました。
貴社に入社することができたら、関わる人たち一人一人に合わせた丁寧なコミュニケーションをモットーに、チーム全体の目標を共に達成できるよう努力して参ります。
この例文でのポイントは以下の通り。
・3年間、5人のメンバーといった具体的な数値を挙げている
・協調性を発揮して独自の工夫をしたことが述べられている
・その成果を具体的に挙げている
チームのサポート役として縁の下の力持ちとなり、チームの目標達成に尽力したことが伝わります。
そして、入社後にもその強みを活かした関わりを目指すという決意と、個人だけでなく組織としての目標を達成するという視点が備わっている点が好印象です。
自己PR例文 : 営業職を踏まえて
私は前職で学習教材を販売する営業を行ってきました。初めてリーダーとして配属された営業所では、目標の未達成が続いておりメンバーのモチベーションが低下していました。
「きっと達成できないだろう」と皆が諦めている空気を感じたため、士気を上げるために成功体験の共有会を行いました。
初めは義務感で参加していたメンバーも、自分のうまくいった体験や営業で成功したことを話すうちに目がキラキラとし始めました。
「自分にもできるかもしれない」「そういうふうにやれば成功するかも」とプラス思考が見られるようになり、少しずつ業績も改善していきました。
営業手法や行動管理などうまくいったことを共有することで、良いものを各自が取り入れ行動が変わりましたが、最も大切なのは気持ちが変わったことです。
結果としてチームは団結し、3ヶ月後には営業所の売上目標を達成することができました。
貴社に入社することができましたら、チームで協力し団結することの大切さ、そして強みを共有することでより大きな成果が上がることを伝え実践したいです。
そして一人一人の強みを伸ばし、組織の営業目標を達成させるリーダーになりたいと考えております。
チームワークを構築した取り組みと数字の成果、チームへの貢献が具体的に書かれています。直接的に協調性があるとは言及していませんが、チーム内で協力し合い成果をあげたことが伝わりますね。
このエピソードから、周りと協調しながら個人ではなくチームとしての成果をあげられる人材であることがアピールできます。
また、入社後にこの経験を活かして組織全体の目標を達成させたいというビジョンが描かれている点も良いですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?自己PRで自身の強みを「協調性」とする人はとても多く、馴染みがあり使いやすい言葉です。
しかしアピールの仕方を間違えてしまうと、「消極的」「自分の意見がない」「流されやすい」などのマイナスイメージとして捉えられてしまう可能性もあります。
まずは応募先企業が求める「協調性」について考えることが大切。伝え方を工夫すれば「協調性」はあなたの強みとして採用担当者に伝わります。
「こう表現したら相手にどう伝わるだろう?」
「自分の経験をこんなふうに言葉にしたらプラスに受け取ってもらえるかな」
このように受け取り手を思い文章を作成することも「協調性」の大切な要素なのです。
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