「テクノロジーハラスメント」(通称テクハラ)を知っていますか?コンピューターやスマホ、タブレットなどIT機器の扱いが苦手な人へのいじめ・嫌がらせのことです。IT時代特有のハラスメントといえるでしょう。
ここでは、身近な「テクハラ」に関して紹介します。正しい知識を身につけて、被害者・加害者になることを防ぎましょう。
目次
テクノロジーハラスメントとは
テクノロジーハラスメントとは、ITに関する知識が豊富でスキルの高い人がそうではない人に対し、わざとわかりそうもない専門用語で指示を出して追い詰めたり、相手が対応できないと侮辱的な言葉で叱責したりする行為のことです。
引用:「テクハラ」とは? – 『日本の人事部』
テクノロジーハラスメント、略してテクハラは、上司から部下、先輩から後輩、同僚間だけでなく、部下から上司に行われることもあるパワハラの一種です。
業務がアナログからデジタルに急速に移行し、それに伴う知識も急速に求められる現代。特にミレニアル世代は「デジタルネイティブ」と呼ばれ、「上司よりも部下の方がITに強い」ことは珍しくないでしょう。
「立場が上の人から下の人へするものがハラスメント」という誤った認識を持っていると、自分自身がいつの間にか加害者になってしまう可能性があります。
テクノロジーハラスメントの具体例
どのような発言・行動がテクノロジーハラスメントに当てはまるのか、具体例をみていきましょう。
心無い発言をする
「こんなこともできないのか」
「もう自分がやるからいい」
例えばこのような、十分な教育をせずに相手を責める発言です。
業務にパソコンや携帯端末などを使用する機会が急速に増えているなか、ついていけない人がいると業務に遅れがでることもあるかもしれません。
ITスキルが高い人からすると「こんな簡単なこともできないの?」「もう自分でやるからいい!」と思ってしまうこともあるでしょう。急ぎの業務やみんなで協力して終わらせなければならない業務があればなおのこと、焦りがイライラに変わってしまうことも。
しかし、たとえ業務に必要なITスキルが不足していたとしても、相手が傷つくような言葉を発するのは許されません。自分にとっての当たり前は、誰かにとっての当たり前ではないのです。
悪気がなく放った一言でも、受け取る人によっては「自分はこんな簡単なこともできずに人に迷惑をかけるダメな人間だ」と必要以上に自分を責め、鬱になってしまう可能性もあります。
ため息や嘲笑をする
テクハラは発言だけではありません。ハイテク機器を使いこなせなかったときに、相手に分かるような「大きなため息をつく」「嘲笑する」という行為も立派なテクハラです。
口に出した言葉よりも、無言の態度の冷たい態度の方が人を傷つけることもあります。言葉に出していないからセーフ、ということはではないのです。
心ないため息や嘲笑により追い込まれていく人がいることを忘れてはいけません。
高度なPCスキルが求められる仕事を、苦手な人に任せる
苦手なことを知っていながら、ある程度のPCスキルが求められる仕事をその人に依頼することも、れっきとしたテクハラです。
例えばPCが苦手な上司に報告書を提出する際に、「情報漏洩防止のため、メールを暗号化してパスワードをかけておきましたので、あとはよろしくお願いします」と伝えたとします。その上司がパソコンが苦手なことを知っていながらこうした行動を取った場合は、立派なテクハラです。
ITスキルを早く身につけてもらいたいが為にそれを苦手とする人に「やっているうちにできるようになるから!」と強引に業務を押しつける場合もまた然り。
純粋にその人を思っての行動であれば丁寧なフォローが必要です。
・締切りを設けない
・基本的なマニュアルを渡す
・分からない場合は聞いてOK
このような助け船を出さない限り、任された本人にとっては嫌がらせ以外の何でもないのです。
意図しての行動ならもちろん、自分では意図していない時にもテクハラが起き、傷ついている人がいることを理解しましょう。
テクノロジーハラスメントへの対処法
被害にあう前に備えられるところは備え、被害にあった場合は決して一人で悩まずに相談しましょう。
パソコンスキルをつける
急速なIT化が進む現代で、今やパソコンスキルは業務には欠かせないものとなっています。
ハラスメントは決して許されないものですが、誰かのスキルが不足している分、スキルがある人に負荷がかかっていることもまた事実。業務上必要なパソコンなどのスキルを身につけましょう。
「難しいことは苦手だから・・・」「こういうのは詳しい人にやってほしい・・・」という態度は周りに伝わります。テクハラに被害にあった場合も、スキルアップのために努力していない人と努力している人の訴えには差が出てきます。
得意不得意はあるとしても、ハイテク機器の扱いは誰もが最初は初心者です。苦手だった人がハイテク機器のスキルを身につけることは、今後同じような思いを持つ人の助けになるでしょう。
記録をする
記憶が曖昧になる前に、メモや日記に記録しましょう。もしも問題が大きくなった際には、正確な記録が有利となります。
記録する内容
・日付
・時間
・場所
・人物名
・何をされたか(どんな発言があったか)
これらのことを細かく記録しておきましょう。詳細な記録は、誰かに相談する際にも信用や理解を得やすくしてくれます。
社内の相談窓口に相談する
社内に「ハラスメント」に関する相談窓口が設けられている場合は、相談窓口を利用しましょう。人事や労務関係の社員が間に入り、解決してくれる可能性があります。
その際にも前述のメモが有効になりますので、手元に準備をして相談しましょう。
外部機関に相談する
社内相談窓口が無い場合や、社内で相談することに抵抗がある場合は、外部機関に相談をするのも方法のひとつです。匿名で相談を受けてくれる窓口もあり、社内の相談窓口を利用するよりもハードルが低いでしょう。
専門家のアドバイスをもとに対処することで、スムーズに悩みが解決できる可能性があります。
テクノロジーハラスメントへの対策
テクノロジーハラスメントの被害者・加害者にならないために今何ができるかをみていきましょう。
PCスキルの研修を行う
テクノロジーハラスメントを防ぐためには、会社全体でのパソコン等の業務上必要なハイテク機器の取り扱い研修や教育が必要です。「業務中に頻繁に周りの人に教わる」「ミスが重なる」などの無駄がなくなるでしょう。
研修ではスキルのない人が遠慮してしまうことがないよう、いつでも質問できるような体制を整えることが大切です。誰が見ても理解できるような、わかりやすいマニュアルも作成すると、業務中に各自で見直せて便利でしょう
PCスキルが人事査定に響く可能性があると周知する
職務上PCスキルが必要であり、スキルを習得する環境が整っているにも関わらず習得を怠る人がいると、業務がスムーズに進められません。
業務効率化のためにPCスキルを習得して仕事に活かしている人と、環境が整っていても努力をしない人の人事査定が同じ場合、そのことに不公平さを感じる人もいるでしょう。
たった一人の「自分ができなくても誰かがなんとかしてくれるだろう」という考えや、「自分はあの人の分までやっているのに」という不満が後のテクハラに繋がることも十分に考えられます。
こうしたことを予防するためにもPCスキルが人事査定に響く可能性があることを周知する必要があるでしょう。
参考:カオナビ テクハラとは? ITスキルに疎い人への嫌がらせが違法となるケースと対策方法
ハラスメント研修を行う
多くのハラスメントがそうであるように、加害者にとっては自らの言動がハラスメントであると気づいていない場合が多いのです。受け取る人が不快に思ったらハラスメントになり得ることをしっかりと理解する必要があります。
・してはいけない発言、行動
・ハラスメントの具体例
・ハラスメントへの対策方法
これらを教える研修制度を整え、大きな問題に発展する前に、普段から個々で言動を注意し合える環境をつくっていきましょう。
テクハラ以外にも!あなたはいくつ知ってる?職場で起こり得るハラスメント
テクハラ以外にも、職場ではさまざまな種類のハラスメントが起こり得ます。例えば以下のハラスメントを知っていますか?
・パワーハラスメント(パワハラ)
・モラルハラスメント(モラハラ)
・パタニティハラスメント(パタハラ)
・エイジハラスメント(エイハラ)
・ソーシャルハラスメント(ソーハラ)
・ハラスメントハラスメント(ハラハラ)
「自分は大丈夫」と思っていても、知識不足だと被害者にも加害者にもなる可能性が高まります。被害者、そして加害者にならないように、以下の記事をぜひチェックしてみてください。
関連【ハラスメント大全2022】職場で起こる40種類のハラスメント一覧職場環境の悩みで辛いなら退職代行の利用も検討してみよう
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