努力が大切と思いながらもこれ以上やっても結果が見込めないと感じた時、あなたはすっぱり諦められますか?
「諦められない自分が辛い」
「諦めたいけどそれって甘え?」
このように諦めることを難しいと感じる人は多いのではないでしょうか。
もちろん最後まで成し遂げるのは素晴らしいことですが、諦めることも前に進むための大切な選択肢。
この記事では「諦める」の正しい意味と諦められない心理状態を解説し、ベストの「諦めのタイミング」を紹介します。「諦める」の正しい意味を知れば、あなたも前向きな諦めできるようになるかもしれません。
目次
なぜ諦められないのか
「諦めた方が良い」と頭ではわかっていても、すっぱり諦めるのはなかなか難しいですよね。「なぜ諦められないのか」諦められない原因を探ってみましょう。
実現可能だとまだ期待している
「成功への道が全て絶たれた訳ではない」との考えに執着して諦められないのかもしれません。
過去に諦めなかったことで成果が出たという成功体験がある人は「あの時のように諦めるべきではない」と諦めようとする自分にストップをかけるでしょう。
過去の成功体験に固執し過ぎることで諦めるタイミングがわからなくなっているのです。
直面しているケースは過去の成功体験と切り離して考えてみましょう。「まだ策はある」と考える根拠はありますか?具体的な根拠もなく別の道を探る姿勢ではいつまでも諦めることはできません。
もう少し努力できると自分に期待している
「まだ自分にはできることがある」と思っているうちは諦めることはできません。「できることは全てやり尽くした」と過程に達成感があれば、期待通りの成果にならなくても諦めることができるでしょう。
自分はもう少し努力できる人間だと自分に期待していると、現状に達成感を抱けないので諦められないのです。
諦める自分は格好悪いと思っている
諦める自分を認めたくないので諦められない人もいます。
小さい頃から「諦めない姿勢は立派」と教育された影響で「諦める=悪」のイメージがついているのかもしれません。ダメな人間になりたくないので諦められなくなるのです。
何事も完璧を求めるタイプの人は特に諦めることは苦手でしょう。
周囲の目が気になる
諦める自分に対する周囲の評価が気になって諦められない人もいます。自分に自信がなく、いつも周囲の評価で自分の存在意義を確認するタイプの人は「諦める=ダサい」と考えがち。
諦める自分のことを「ダメだ」と思っているので、周囲の人も当然自分のことを「ダメ人間」と思うに違いない、と考えるのです。周囲からの評価を下げたくないので諦めることはできません。
特に「そんな簡単に諦めるな!」と叱責を受けた経験のある人は自分の判断に自信が持てなくなっている可能性も。自分で諦めのタイミングを見つけるのは難しいでしょう。
「諦める=悪」ではない!
「諦める」という行為は「失敗」「ダメ」「悪」ではありません。
確かに、親や先生、コーチ、上司などから「簡単に諦めるな」とはよく言われるもの。偉人の名言にも「諦める」を戒める言葉があります。
『世にいう失敗の多くは、成功するまでに諦めてしまうところに原因があるように思われる。最後の最後まで諦めてはいけない。』(松下幸之助)
『人生における失敗者とは、諦めた時にどれだけ成功に近づいていたかに気づかなかった人たちである。』(エジソン)
このような名言から「結果が出るまで続けなかった=忍耐力がない」「努力し続けなかった=逃げた」と「諦める」にマイナスイメージを抱く人も多いでしょう。
確かに簡単に諦めてしまえば、その分成果の上がる確率は下がってしまいますよね。諦め癖がつくと何に対しても達成できないので、達成感が味わえず人生も楽しくなくなるでしょう。
しかし「物事を途中で投げ出す」意味で現在使われている「諦める」の言葉ですが、その意味を辞書で調べると「明らかにする」と出てきます。(参考:小学館 大辞泉 「諦」の部首・画数・読み方・意味 – goo漢字辞典)
「諦」には「真理・真実」の意味があり、「諦める」とは「真実を明らかにすること」、つまり「現状を客観的に把握する」という意味なのです。(参考:じつは身近な仏教用語|日蓮宗ポータルサイト)
現状を客観的に把握した上で、他の選択肢の可能性を探ることが「諦める」。決して「諦める=悪」ではないのです。
諦めるべきタイミング
諦めたいと思った時「今で良いのか?」と悩みますよね。
諦めるべきタイミングとはいつなのでしょうか。どの段階なら諦めても「逃げ」にならないのか、その判断基準を見ていきましょう。
手段が目的になってしまった時
諦めるべきタイミングとして本来の目的を見失っている時が挙げられます。
例えばプレゼンテーション資料の体裁や表現方法の工夫に時間がかかり過ぎることはありませんか。本来の目的は取引先に新商品を試してもらうこと。本来の目的を軸に保てば効率よく資料をまとめることができるでしょう。
体裁を整える、表現を工夫するなど手段が目的となってしまうと必要以上に時間や手数が発生。目の前のことに集中し過ぎて本来の目的を見失っている時は現状を諦めるべきタイミングなのです。
体調に悪影響が出た時
体調に変化が現れたときは、潔く諦めましょう。
諦めたくないと現状に執着していることで知らず知らずのうちにストレスが溜まり、心身がSOSを出しています。そのストレスが積み重なると、日常生活に支障をきたす病気に繋がる可能性も。
・眠っても疲れがとれない
・食欲がない
・愛想笑いができない
・ぼーっとしている時間がある
このようないつもと少しでも違うことがあれば、自分の心と体の声に耳を傾け休息をとることが必要です。
心や体の健康に自信がある人ほど自身のストレス耐性に鈍感なもの。がむしゃらに前に進むのも良いですが、時には立ち止まって自分を大切にしましょう。
やりがいを見出せない
やりがいを感じられない時も諦めるべきタイミング。やりがいを感じる要素は3つ。
・評価
他人から評価される、自己評価できる
・報酬
収入が増える、感謝を受ける、人脈が広がる
・将来
今の仕事が将来の理想の自分に繋がっていると実感できる
やりがいがなければモチベーションは上がらず、何のためにやっているか分からなくなるかも知れません。
そのまま仕事を続けても成果が上がらずますますモチベーションが低下。どんなに努力しても現状にやりがいを感じられないのなら、時間を無駄にする前に潔く諦めましょう。
あなたの仕事のやりがいはなんですか?やりがいの意味・必要性・種類・見つける方法
諦める勇気を持つ方法
「もう諦めたい」と思っても、「諦めた方が絶対に良い」と確信があっても、「諦め」への一歩が踏み出せないときもあるでしょう。そんなとき、諦める勇気を出す方法を紹介します。
諦める自分を認める
「諦めたい自分=ダメな自分」ではなく「諦める自分も良し!」と考えましょう。
諦めるかどうかを決める時「こんな自分はダメだ」と自己否定をしないこと。自己否定をしているといつまでも現状に固執し、前に進むための方法を考え始められません。
自分を認めるには「諦めるか迷ってるなぁ、今」とつぶやくだけでOK。「逃げてる?」「失敗したのか?」とネガティブな考えが浮かぶたびに何度もこのひと言をつぶやいて自己否定を避けましょう。
諦めることは「明らかにすること」と心得る
周囲の目が気になって諦められないときは「諦める=明らかにする」を思い出しましょう。「諦める」は現状を的確に見極めた結果、最善ではないと判断された結果だと思い出してください。
客観的事実を確認することで自分のマイナスな気持ちで諦めたのではないと自信が持てます。自信を持つと他人にどう思われようと気にならないでしょう。
諦めると決めた自分に自信を持つキーワードが「諦める=明らかにする」です。
相談する
周囲の人に相談するのも良い方法です。諦めるという決断に至った経緯を理解してくれた人はきっと背中を押してくれるはず。
自分では気づかなかった広い視野で諦める方法にアドバイスしてくれるかも知れません。何より相談することで自分は1人ではないと思えることが不安をかき消してくれます。
目的を考える
諦める決心が鈍っている時は本来の目的をもう一度確認しましょう。そうすることで現状が目的到達に不要なことや他の方法の可能性に気づくかもしれません。
諦める=後退する、立ち止まるという罪悪感を持たずに、前に進むための選択肢として諦められるでしょう。
心身からのSOSを優先する
心身が出しているSOSは軽視しないようにしましょう。勤務中の集中が欠けてしまっていませんか。諦めるかどうかの適切な判断ができるエネルギーは切れてしまっているかもしれません。
睡眠不足や食欲低下などいつもの自分と異なる状態を感じたら、一度現状を諦めて心身の休息を優先しましょう。
まとめ
諦めるべきか、諦めないべきか。仕事をしていれば何度もこの決断を迫られる場面は訪れます。
何が〇〇にとって最善か?このことを追求している人は恐らく「諦めの達人」でしょう。
諦める言葉は決してネガティブな言葉ではなく、前に進むために大切な選択肢。時には粘り強く、そして、時にはポジティブに諦めて、効率よく仕事しましょう。