「どうしてそんなアイデアが浮かぶのだろう?」
誰もが驚くような斬新なアイデアを出す人って羨ましいですよね。
クリエイティブな発想ができる人の共通点は「アナロジー思考」のレベルの高さ。アナロジー思考とは、簡単に言えば応用する力です。アナロジー思考を身につければ頭の回転も速くなり、仕事ができる人になっていきます。
この記事ではアナロジー思考について身近な例をもとに説明。身につける方法も紹介しています。アナロジー思考を身につければ、あなたも明日からアイデアマンです。ぜひ参考にしてみてください。
目次
アナロジー思考とは
アナロジー思考とは「類推思考」とも呼ばれ、2つ以上の物事の間にある共通点に着目し、考えている課題に応用する思考法のこと。アナロジー思考が得意な人は、全く異なるように見えることに共通点を見出し、新しいアイデアを生み出せるのです。
アナロジー思考で着目するのは構造的な共通点。構造的な共通点とは物事の関係性における共通点のことです。
例えば
・必要な書類を全て準備してから、資料を作成する
・具材を全て切り調味料も合わせてから、調理を開始する
この2つには「下準備をしてから作業に取りかかる」という構造的な共通点があります。共通点が見つけられるからこそ、料理での工夫を仕事でも応用でき新しいアイデアを生み出すことができるのです。
「なんだか難しそう」と思うかも知れませんが、実は既にアナロジー思考を使って仕事をしている可能性も。
例えばクラスメートと協力して文化祭で大成功を収めた経験を持つ人。社会に出ても「1人では成し遂げられそうな仕事でも複数の人と協力すればできる」と思えますよね。
それこそがまさにアナロジー思考。文化祭と仕事。一見共通点の無いようなことに共通点を見出し、その経験を活かしているのです。
他にも例えば、アナロジー思考を使えば数学を使って業務効率を上げる事ができます。
「20枚の厚紙から100人分の名札を作成し、50音順に並べる」という業務。数学とは全くかけ離れたものに思いますよね。しかしこの2つには構造的な共通点があるのです。
業務:20枚の厚紙から100人分の名札を作成し、50音順に並べる
手順
a:20枚の厚紙から100枚のシートを作る
b:名簿を見ながら名前を記入する
c:ホルダーに入れる
d:50音順に並べる
これを数式で表すと・・・
100(a+b+c+d)=100(b+d)+100a+100c
◎数式の性質
和法では項の順序を入れ替えても結果は変わらない
数式の展開例)100(a+c)=100a+100c
左辺は1人分ずつ作るやり方。厚紙を1人分だけ切り取ってから作る方法です。1つ1つに心をこめることは出来ますが、PCも活用できず作業効率としてはよくありません。
右辺では作業工程を変えます。まずPCを使って名簿を50音順に並べ、裁断前の厚紙に名前を印字。それから紙を裁断し、ホルダーに入れれば最も効率よく行えます。
このような作業効率を上げる工夫は、日頃行っている人も多いのではないでしょうか。無意識ですがアナロジー思考を仕事に活かしているのです。
意識的にアナロジー思考を心がければ、さらに工夫の幅も広がります。新しいアイデアもどんどん湧いてくるでしょう。
アナロジー思考を身につけるメリット
アナロジー思考を身につけると次のようなメリットがあります。
新しいアイデアが湧いてくる
アナロジー思考によって構造的な共通点を見出す習慣がついていると新しいアイデアは生まれやすくなります。
新しいアイデアとはゼロから生まれるものではなく、既存のものの組み合わせ。
つい今までの延長線上だけでアイデアを考えてしまいがちですが、アナロジー思考を使えば全く異なる分野の例を考えるので、その分野では初めての「新しいアイデア」となるのです。
頭の回転が速くなる
アナロジー思考をしていると頭の回転が速くなります。
目の前のことではなく全く別のことを思い描いて何とかして共通点はないかと考えるため、頭のデータベースの検索に大忙し。いつでも頭を働かせているので、自然と思考回路の速度が速まっていくのでしょう。
理解力がアップする
共通点を探すアナロジー思考が身についていると人の話や文書の理解が深まります。分からない内容があっても、共通点を見出し意味を想像できるからです。
例えば上司によって違う指示を出されて困ることがありますよね。しかし言葉が違うだけで実は同じ指示という事もあります。
アナロジー思考が身についていれば文字通りの指示に惑わされず、内容の共通点に素早く気づけるので戸惑うことはありません。
いろんな話題についていける
いろんな話題についていけるのもアナロジー思考のメリットの1つ。アナロジー思考が身についているとどんな話題でも大体共通している話の展開をすぐに捉えることができるのです。
例えば「近所のレストランのイケメンシェフ」のことは全く知らなくても、その場にいる人たちの話の流れが想像できるので、自然な相づちやコメントができ、会話の雰囲気を損なうことはありません。
人の発言を全く別のことに上手に例えて場を和ますこともできるでしょう。
アナロジー思考を身につける方法
どうやったらアナロジー思考は身につけられるのか、アナロジー思考を身につける方法を紹介します。
視点を増やす
アナロジー思考を身につけるために日頃から視点を増やすよう心がけましょう。アナロジー思考では他の分野でも活かせる共通点を見出すためにデータを蓄積する必要があります。
電車でふと見かけた人の傘。いつもなら「青い傘だ」で終わりですが、もう少し多角的に見てみると「もしかしたら裏地はチェック?」「今日は雨予報じゃないのに」など想像が膨らんでいきます。
電車の乗客を観察してこっそり連想ゲームをするのも1つの方法。「傘といえば雨、雨といえば…」と次々と連想してみましょう。
1つのものに対して様々な角度から見て情報を集めることで何倍ものデータを蓄積でき、その後のアナロジー思考の材料にできるのです。
常識や経験にとらわれないように心がける
常識や経験にとらわれないようにすることもアナロジー思考を身につけるには大切です。全く別の分野の例を初めて応用させるのですから、非常識なのが当たり前。
オフィスにコタツを持ち込んで仕事をするCMがありますが、リラックスすれば業務効率が上がるという共通点を職場環境に活かしたものですね。
改革しようとするときに「前例がないから」とシャットアウトしてはいつまでも新しい風は吹きません。日頃より常識や経験にとらわれない考え方を心がけているとアナロジー思考も身につけやすくなります。
細かいところまで気を配る習慣をつける
アナロジー思考では共通点を探すので、できるだけ物事を細かく知る必要があります。
頭に備えるデータベースは大ざっぱなものより細かいものの方が使い勝手が良く、いろいろなものとの共通点になりやすいのです。
セミナーで聴いた話を担当業務に活かそうとすれば、聞いた話の詳細を思い出そうとしますよね。講話の中のほんの些細なひと言がヒントになることもあります。
先にあげた「視点を増やす」ことともつながりますが、何事においてもできるだけ細かいところまで注意を払う習慣をつけましょう。
ダブルループ学習を心がける
ダブルループ学習を心がけることもアナロジー思考を身につける方法の1つです。
ダブルループ学習とは、そもそもの前提から再度見直して業務を改善する学び方。例えば新商品の開発。販売後の調査をフィードバックして商品を改良する、これはシングルループ学習と呼ばれます。
ダブルループ学習では「20代をターゲットとした商品開発」で進めてきたけれど「ターゲットは20代で良かったのか」など、シングルループよりさらに大きなループを描くことで目標達成を狙うのです。
前提条件や方向性を根本から見直すダブルループ学習が実行できると、同じ路線上ではない画期的なアイデアが生まれる可能性も出てきます。路線を外れることでアナロジー思考ができるようになってくるのです。