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「この企画ゼロベースで考え直してみて」
「新商品、ゼロベースから考えていこう」
上司からこんなことを言われた経験ありませんか?「ゼロベースで考えろ」なんて言われてもそもそも何からすればいいかわかりませんよね。
そんな時に役立つのが「ゼロベース思考」。本記事では「ゼロベース思考」のやり方や具体例、身につけ方をご紹介します。
後半ではオススメの本も紹介しているので、この思考法を身につけたい方はぜひ最後までお読みください。
目次
ゼロベース思考とは
そもそも「ゼロベース思考」とはなんでしょうか。
ゼロ:0、まっさら、何もない
ベース:土台、既存の枠組み、基となるもの
つまり「既存の枠組みや考え方に捉われず、まっさらな状態で考えること」を意味します。
冒頭の上司の発言「この企画、ゼロベースで考え直してみて」は「今までのやり方だけじゃなくて新しい意見が欲しい!」ということだったんですね。
ゼロベース思考が役立つとき
ゼロベース思考は新しいもの、イノベーションを生み出す時に役立ちます。つまり今まで当たり前に考えていたものを違う視点で見ることで新しい発想が生まれるのです。
例えば「通勤時間がいやだなあ」と思っていた時、一般的な考えであれば「近道を探す、小走りで駅に向かう」なんてものが考えられますよね。
しかし、よりゼロベースで考えれば「会社の近くに引っ越す、転職する」というまた別の発想が生まれます。更に突き詰めれば「家で働けるよう会社に交渉する、起業する」なんて更に新しい考えが思いつくでしょう。
ゼロベース思考の成功例
ゼロベース思考の成功例としてよく挙げられるのがドトールコーヒー。
それまでの喫茶店のコーヒーは1杯500円程度が当たり前で、ドトールコーヒーの150円という当時の価格設定は常識から完全に外れていました。「競合が500円程度だから安くできても400円くらいかな」といった既存の考え方に捉われていたら、そんなことはできなかったでしょう。
ドトールがこの価格にした背景は創業者・鳥羽博道氏の強い想いだったとのこと。
景気が低迷していた時代に消費者に負担にならない価格で美味しいコーヒーを届けたい。そこからどうやったら安く美味しいコーヒーを提供できるのかから考えられたものだそうです。
(参考:東洋経済オンライン ドトールのコーヒーが根強く愛される理由、Enjoy Cafe!ドトールの「ブレンドコーヒー」は220円!安くて美味いには理由がある!)
コーヒーつながりでいえばセブンイレブンのコーヒーだってそうです。ドトールによって市場が一変した後、コーヒー専門ではないコンビニが更に安い100円で挑むなんて一般的に考えたらできていません。
「挽きたてコーヒーは喫茶店で飲むもの」なんて従来の枠組みに収まっていないからこそ実現できた素晴らしいイノベーションと言えます。
なぜ、今ゼロベース思考が注目されているのか
今ゼロベース思考が注目されているのは、企業や市場が新しい視点=イノベーションを求めているからです。
少し前までは「モノを作れば売れる時代」でした。しかし、これだけモノに満ち溢れた時代ではちょっとした商品の改良や進化では売れません。
デジカメやガラケーがどれだけ性能をあげようとスマートフォンに取って代わられたことがいい例でしょう。
そのため今までにない新たな視点で考え、大きく差別化を図ることが重要視されているのです。
また、テレワークや在宅勤務の普及で誰もが新しい働き方を体験している今こそ「新たな視点」の重要性は増しているのでしょう。
ゼロベース思考を身につけるメリット
ゼロベース思考を身につけるメリットは大きく3つあります。
問題の本質を理解できるようになる
従来の思考法だと制約条件から考えてしまいがちです。予算、風習や文化、使っている機械やシステムなどが挙げられるでしょう。
例えばコスト削減がテーマであれば「交通費が多いので外出を減らそう」「カラーコピーだと高いから白黒にさせよう」など。このままだと「どのコストを減らすか」というテーマをそのまま細分化させた発想になりがちです。
ゼロベースで考えるのであれば「なぜコストがかかっているのか」という視点から入ります。
「わざわざタイムカードを押しに帰社するのが手間だから勤怠管理システムを導入しよう」
「紙を使っている業務をそもそもペーパレスにするためにタブレットを導入しよう」
このようにコスト削減の話なのに「新しいものを購入・契約する」というアイデアが浮かぶようになります。
「なぜ〇〇なのか」から考えることは今までのやり方をブラッシュアップするよりも本質的な解決方法を生み出すことにつながります。
顧客視点での思考や発想を得ることができる
従来の考え方に捉われているとどうしても会社視点になりがちです。
例えば技術力のあるメーカーは「うちのカメラは◯◯万画素!」と機能を存分に押しがちですが、そもそもお客さまがそこまでの機能を求めているとは限りません。
そこでゼロベース思考を取り入れることで「うちの商品はここが長所だからそこをもっと伸ばさなきゃ!」や「競合にこの点で劣っているから克服しないと!」ではなく、「お客さま・人々がなにを求めているか」と考え、自社の文化から脱却することができるのです。
「あんなこといいな できたらいいな」とドラえもんのオープニングのような気持ちで考えることがゼロベース思考の第一歩と言えるでしょう。
主張に説得力が増す
そもそもゼロベース思考とは思考法の一種です。つまり取り入れることは、論理的な主張につながります。
過去の風習に基づいて考えると「うちの商品の強みは〇〇だからもっと〇〇にしよう」「競合がこんな機能を入れてきたからうちも入れないと!」など、主張が他者比較になりがちです。
そこでゼロベース思考を取り入れると
①現状整理
お客さま・人々がどんなものを求めているのか 現状の課題は何か
②分析
どんなものを提供すれば解決できるか
③結論
だから◯◯すべき
このようにちゃんと課題の本質から仮説・分析を通して考えをまとめることができます。上司やクライアントから見てもきっと説得力のある意見に聞こえるでしょう。
ゼロベース思考を身につけるためには
最後にゼロベース思考を身につけるための大事なポイントを3つご紹介します。
「なぜ〇〇なのか」から考えることを習慣化する
上司からの依頼や指示を受けるとどうしても思考停止になりがち。
しかし、ゼロベース思考を身につけるためには、ちゃんと「なぜこんな指示がきたのか」「そもそも他に方法はないのか」と自分の頭で考えることがもっとも重要です。
「このデータをグラフにまとめて資料作って」と言われてそのまま作るのではなく、その資料の目的を理解できれば「それであれば最近新しくこんなデータが出てます」「合わせてこの話を入れた方が先方の納得度も増すと思います。」などと、より良い意見を提示することが可能になるでしょう。
上司としてはそんな部下がいたら嬉しいですよね。まずは何事も自分で考える癖をつけましょう。
もし「黙って言われた通りやればいいんだよ!」なんていうタイプの上司ばかりの会社であれば、発想を変えて転職することも視野に入れるのがおすすめです。
知識・思考法を学ぶ
前述の通り、ゼロベース思考は思考法であり知識・体系を学ぶことで習得に近づきます。ここではゼロベース思考を学ぶためのオススメの書籍を2冊ご紹介します。
ゼロベース思考、で検索した時にまず出てきたこの本は「人間はバイアス(偏見)に満ち溢れている」ということを教えてくれました。
自分が何かを考える時も、相手に何か伝える時も、人間の考え方の癖=偏見を学ぶことはゼロベース思考を身につける上で重要。
ゼロベース思考を学ぶ第一歩としてぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
慶應義塾大学教授をしながらヤフーCSOを務める安宅和人さんが著者。
何に答えを出すべきか定義することが重要であると説くこの本は、まさにゼロベース思考の入門にオススメです。
サラリーマンが陥りがちな「とにかく言われたことをたくさんやれ!経験をいっぱい積めば力になる!」といったことをダメな行為=「犬の道」と否定しています。
そこから始まる安宅節は圧巻。まさにゼロベースで考える必要がある方、知的生産をすべき方は必読です。
感性思考 デザインスクールで学ぶ MBAより論理思考より大切なスキル
タイトルの通り、これからの時代はロジカルに考えるだけではありきたりになってしまい通用しなくなるかもしれません。その時に役立つ思考を学ばせてくれる一冊です。
実際に使えるフレームワークが多く載っていて、実際の事例も書かれているのでとてもわかりやすくおすすめです。
ゼロベース思考だけでなく、伝え方も理解する
みなさんがゼロベースで物事を考えられるようになっても困ることがあります。それは周りの人々が経験や偏見に捉われている(=ゼロベースで考えられない)ということです。
どれだけ問題の本質を突いた素晴らしいアイデアでも伝える相手によっては「そんな前例がない」なんて返されてしまう可能性があります。
だからこそ人間は既存の経験や偏見に捉われがちだということを理解し、上述「主張に説得力が増す」の思考法を使った説得力のある主張ができるようになる必要があります。
ゼロベース思考がしっかり身につけば、自然と説得力のある伝え方はできるようになりますが、それまでは少し難しいので意識的に行うことが大切です。
そんなときに役立つ、思考をまとめる方法が書かれている本がコチラ。
タイトルの通り紙一枚に大事なことがまとめられるようになる本です。せっかく考えたアイデアならちゃんと通したいですもんね。
ぜひ考え方だけではなく伝え方まで習得していただきたいと思います。
まとめ
ゼロベース思考の意味からメリット、身につけ方までご紹介させていただきました。
これから世の中はどんどん変わっていきます。そんな中、思考停止になってしまわないようにゼロベース思考を身につけて、世の中を変える側になりましょう!