「ジェンダーハラスメント」とは、性別に関する嫌がらせのこと。近年では多様性の尊重が重要視されているにも関わらず、性別による差別や偏見は耐えません。
ジェンダーハラスメントを防ぐには、何より自分にある偏見に気づくことが大切。ジェンダーハラスメントの意味や具体例から、「どんなことに気を付けるべきか」学んでいきましょう。
目次
ジェンダーハラスメントとは
ジェンダーハラスメントとは、性別に関する嫌がらせ。そもそもジェンダーとはなんなのでしょうか。以下のように定義されています。
ジェンダー(gender)とは、生物学的な性別(sex)に対して、社会的・文化的につくられる性別のことを指します。世の中の男性と女性の役割の違いによって生まれる性別のことです。
たとえば、「料理は女がやるもの」って考えている人、いますよね?料理=女のシゴト。でも男で料理上手もいるのに?この性別がジェンダーです。
このように生まれ持った性別とは別に、「女性なら~すべき」「~なのが男性だ」のように特徴づけたものです。それを押し付けることがジェンダーハラスメントでは大きく問題になっています。
なぜジェンダーハラスメントをすべきではないのか。それは「女」「男」ではなく「人」としてみるべきだからです。
傾向として性別による特徴があることもありますが、それは全員に当てはまるわけではありません。押し付けることで「私は女性/男性なのに、これができない」とコンプレックスを感じてしまうこともあるでしょう。
さらに、近年では性的指向・性自認の多様性も叫ばれています。性的マイノリティの中にはカミングアウトによる周りからの非難に恐れる人も多く言い出せないため、「20代の女性なら早く彼氏を作るべき」「もっと男性らしく振る舞いなさい」などの言葉に一人で苦しむこともあるでしょう。
ジェンダーハラスメントは、アイデンティティに関わる悪質なハラスメントです。
ジェンダーハラスメントの具体例
ジェンダーハラスメントは、日常にはびこっています。例えば以下のような発言や振る舞いがジェンダーハラスメントとしてあげられます。
「女性なら仕事より子育てを優先しないと」
「お茶くみをするのは女性の仕事」
「女性なんだから、身なりを整えるのは当然のこと」
「男性なのに頼りがいがないな」
「髪が長くて男性らしくない」
「これくらいの仕事、男性なら軽々できるだろう」
「女性だから力仕事はできないよね」
「女性はふっくらしているくらいがちょうど良いよ」
「男なのに料理できるの?」
「女性なのに管理職だって」
「男なら家庭より仕事を優先でしょ」
「男性なのにメイクするの?変なの」
「若い女性が担当?不安だから代えてください」
・女性にはため口、ちゃん付け
・「おばさん」と呼ぶ
何がジェンダーハラスメントにあたるのか、理解できたでしょうか。挙げだすとキリがありませんが、このように性別による決めつけが元となって起こる発言・行動が多いでしょう。
誰もがいつ被害に遭うかわからないハラスメントでもあり、自分の偏見に気づかないといつ加害者になってもおかしくないハラスメントです。
ジェンダーハラスメントは根強い
ジェンダーハラスメントは社会的にも根強く浸透しています。
近年では高輪ゲートウェイ駅のAI駅員も話題になりました。駅で乗り換え案内や駅周辺の情報を教えてくれるAIですが、男性駅員は”いたって真面目な印象”にも関わらず、女性駅員はアニメキャラで質問すると年齢・住所・職業を答えるそう。
これは女性は通常の業務に加えて、プライベートな会話にも答えるべき/答えてほしいという押しつけではないでしょうか。
高輪ゲートウェイ駅に設置されるまで、恐らく何人もの確認があったはず。その過程で「ジェンダーハラスメントでは」と気づかない、もしくは気づいた人がいても抑えられてしまっている、という証拠でしょう。
参考:東洋経済ONLINE AI女子駅員が大活躍「高輪ゲートウェイ」の衝撃
しかし、これに加えて明るいニュースも。Twitterを始めとしたSNSで盛り上がりを見せている#Kutoo。女性へのヒール着用の強制に抗議する活動ですが、この運動の成果もありJALやANAではヒールの規定が見直しされています。
このようにジェンダー規範をくつがえす活動は一筋縄ではいきませんが、1人1人が意識を持ったり声をあげたりすることで確実に変わっていくでしょう。社会に根強く残っていて多くの人が有害性に気づいていないからこそ、動き出す必要があるともいえます。
ジェンダーハラスメントの対処法
職場におけるジェンダーハラスメントには、どのように対処すれば良いのでしょうか。
ジェンダー/ハラスメントに関する本を机に置く
特に上司にジェンダーハラスメントをされた場合、直接は言いづらいかもしれません。そんな時は無言の抵抗として、ジェンダーやハラスメントに関する本を見えるように置いておきましょう。
ハラスメントを行う人の中には、誰にやるか狙って行う人もいます。そのような人からは「この人に何か言ったら面倒なことが起こりそう」と思われて、避けられるかもしれません。
本を置いておくことでハラスメントを許さない空気も作れるため、一石二鳥でしょう。
同じ境遇の人に相談する
周りに同じような言葉をかけられている人はいるでしょうか。その場合は声をかけてみましょう。同じようなことに悩んでいるかもしれません。
1人では心細くても、集まれば力は何倍にもなります。話を聞いてくれる人がいるだけでも安心しますし、耐えられなくなった時は一緒に訴えを出すこともできるのです。
社内・社外相談窓口を利用する
1人で抱える必要はありません。限界が来る前に、第三者に相談しましょう。
会社にハラスメント相談窓口があるならそこでも良いですが、バラされる・噂になるなどセカンドハラスメントも考えられます。
担当者がどんな人なのか不安な場合、社外相談窓口がおすすめです。専門家があなたの話をじっくり聞いて、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
ジェンダーハラスメントの対策
未然に防ぐために、ジェンダーハラスメントへの対策方法を紹介します。
自分の価値観を押し付けない
基本として、どんな時も自分の価値観を押し付けないようにしましょう。自分が思うことと相手が思っていることが同じとは限りません。
「私はこう思うから、あなたもそうだよね」ではなく、相手の気持ちを聞く余白を残しましょう。いろいろな人の意見を聞くことで議論が活性化して新たなアイデアが生まれるなど、仕事においてもメリットがあります。
無意識の偏見に気づく
誰しもが偏見を持っています。経験や育ってきた環境からくるので、それを非難する必要はありません。
大事なのは、その偏見に気づき、思っても口に出さない選択ができること。相手の気持ちを想像したり、「本当にこれは”普通””常識”なのだろうか」と疑ったりしてみましょう。
ドラマや映画、本など物語で触れると考え方や価値観を想像しやすいです。そこで自分の偏見に気づけたら、大きな一歩ですね。
思い込みをなくす最短ルート|明日試せる”自分らしさ”奪還のコツ・自滅癖の克服方法
目の前の人と向き合う
ジェンダーハラスメントの特徴の1つは、「女は」「男は」など主語が大きいこと。そうではなく「目の前の人はどうなんだろうか」と向き合うことで、ジェンダーで分けなくなるでしょう。
相手の気持ちに敏感になることで、自分の思い込みに気づくこともあります。
万が一傷つける発言をしてしまっても、相手の表情や言動から気づけるようになるはず。その際は速やかに謝り、「どう言えばよかったか」「なぜ言ってしまったのか」を考えて、次からは気をつけましょう。
ハラスメント研修を行う
より多くの人に一度に簡単に伝えられる方法が研修です。
・ジェンダーハラスメントとは
・他にどんなハラスメントがあるのか
・具体例
・職場でどう振る舞うべきか
・ハラスメント、ジェンダーハラスメントによるリスク
これらについて研修すれば、社員の前提知識を揃えられます。「この会社はハラスメント対応がしっかりしている」と社員の心理的安全性も高まるでしょう。
意外にも一番ハラスメント研修が必要なのはマネジメント・経営層。意思決定権を持つため、その人たちの理解がないと会社全体の文化は変わりづらいでしょう。
加えて、定期的なアンケート実施などのアフターフォローも忘れずに。一度行うだけでなく、ハラスメントを許さない雰囲気を浸透させることが大事です。
ジェンハラ以外にも!あなたはいくつ知ってる?職場で起こり得るハラスメント
ジェンハラ以外にも、職場ではさまざまな種類のハラスメントが起こり得ます。例えば以下のハラスメントを知っていますか?
・パワーハラスメント(パワハラ)
・モラルハラスメント(モラハラ)
・ラブハラスメント(ラブハラ)
・レイシャルハラスメント(レイハラ)
・ソーシャルハラスメント(ソーハラ)
・ハラスメントハラスメント(ハラハラ)
「自分は大丈夫」と思っていても、知識不足だと被害者にも加害者にもなる可能性が高まります。被害者、そして加害者にならないように、以下の記事をぜひチェックしてみてください。
関連【ハラスメント大全2022】職場で起こる40種類のハラスメント一覧職場環境の悩みで辛いなら退職代行の利用も検討してみよう
職場環境の悩みに耐えられず会社を辞めたいと思っても「周りに迷惑がかかる」と辞められない人も多いでしょう。そんな人には退職代行がおすすめ。あなたの代わりに会社に退職の意思を伝えてくれるので、気まずい思いをせずにすみます。
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