「職業訓練校」って知ってますか?失業中や転職活動中に失業保険をもらいながら、転職に役立つ資格やスキルを身につけられる学校のこと。
「転職したいけど、活かせるスキルが何もない・・どうしよう」
「転職先がなかなか決まらない。金銭的にも厳しくなってきたしどうすればいいんだ」
このような悩みを抱えた人にぜひおすすめの施設です。
うまく職業訓練校の制度を活用することができれば、仕事選びの選択肢が増え、キャリアアップの可能性は広がります。しかもその間は失業手当をもらい続けることもできるのであればお得ですよね!
今回は、どんな種類の学校があるのか、受講するにはどうしたらいいのか、お金はかかるのか、意外と知られていない「職業訓練校」について具体的に解説します。
転職を考えているけれどスキル・経験がなくて不安になっている人はぜひ参考にしてください。
目次
職業訓練校とは
職業訓練校とは求職中の人が新たな職業に就くために必要な知識やスキルを無料で学べる学校のことです。国や自治体が主体となって運営しており、年間30万人に利用されています。
職業訓練校の申し込み等はハローワークで行いますが、実際に通うのはハローワークではなく民間の専門学校やカルチャースクール。
受講の条件や選考が必要な場合もありますが、働く意欲のある人であれば男女年齢問わず対象となります。
職業訓練校の受講要件
職業訓練校に通うためには「ハローワークに求職申込をしている人で、受講開始日からさかのぼって1年以内に公共職業訓練を受講していないこと」が必須条件になります。
いくつものコースを並行して受講することはできません。さらに入校するためには選考を受ける必要も。選考方法は学校・コースによって異なり、面接・書類選考・筆記試験・適性検査などが行われます。
人気の高いコースに関しては、不合格になることもあるので注意が必要です。
職業訓練校で学べる内容
次に職業訓練校で学べる具体的なコースの内容を一部紹介します。ここで紹介する以外にもさまざまなコースがありますので、詳しくはお近くのハローワークに聞いてみてください。
パソコンスキル系
職業訓練校の中では一番多いコースがパソコンの基本操作、主にエクセル・ワードを学ぶコース。
パソコンの基礎から、ビジネスに必要なパソコンスキルまでを学びます。1人1台のパソコンを使用して学ぶことができます。
具体例
・ビジネスパソコン基礎科
・初歩からできるビジネスパソコン基礎科
・ビジネスパソコン即戦力養成科
Webクリエイター・Webデザイナー系
Web制作の知識を学ぶためのコースです。このコースを受講すると基本的には自分一人である程度のWEBサイトが作れるようになります。
ITに関する知識の習得と、一つの完結したWEBサイトを制作する際に必要な技術(HTML5、CSS3、Adobe Illustrator、Photoshop、 Dream Weaver、 JavaScript、 PHP 等)が学べるのです。
具体例
・Webクリエイター科
・WEBデザイナー養成科
・Webサイト制作科
・Webエンジニア養成科
・Webクリエイティブデザイン科
医療・介護系
IT系以外のコースも職業訓練校にはあります。病院や診療所での受付や会計など医療事務や、高齢者や障がい者に対して支援を行うための専門的なスキルや資格を身につけるコースなどがあるのです。
具体例
・医療事務科
・保育士養成科
・ホームヘルパー養成科
・介護福祉サービス科
職業訓練校の種類
職業訓練校は対象者ごとに3つに分類されます。
離職者訓練
求職者を対象とした最も一般的な職業訓練です。条件を満たせば失業手当の受給期間延長や交通費の支給などの援助を受けることができます。
テキスト代などは支払う必要がありますが、基本的に受講料は無料です。
在職者訓練
在職者訓練とは主に中小企業の在職者を対象とした有料の職業訓練です。仕事をしながら通うため、平日夜や土日に行われるもの。
多くの場合、1回数百~数千円程度の受講料とテキスト代を支払う必要があります。期間は2〜5日程度で、内容は国が実施しているか都道府県が実施しているかによって異なります。
国が実施しているものは専門的な物づくりの知識・技術を習得するものが多く、都道府県が実施しているものは初心者向けの訓練や、地域の実情に合わせた訓練を実施することが多いのが特徴です。
学卒者訓練
中学・高校の卒業者を対象にした有料の職業訓練のことです。
学習内容ごとに普通課程、専門課程、応用課程と分けられており、それぞれ数十万円の入学金と年間授業料がかかります。訓練期間は長く、普通課程の場合1~2年、専門課程・応用課程の場合2年と定められています。
【学卒者訓練の詳しい学習内容】
・普通課程
地域産業に必要な多様な技能・知識を持つ労働者を養成。OA 事務科、機械加工科等。
・専門課程
技術革新に対応できる高度な知識・技能を兼ねそろえた実践的技能者を養成。生産技術科、電子情報技術科等。
・応用課程
高度な技能・技術や企画・開発能力を習得し、生産技術・生産管理部門のリーダーとなる人材を養成。生産機械システム技術科、建築施工システム技術科等。
職業訓練校に通うメリット
職業訓練校に通うとどんなメリットがあるのでしょうか。以下に5つのメリットを紹介します。
失業手当を多く貰える可能性がある
職業訓練校では、失業保険の給付を受けながら転職に向けた訓練を無料で受けられます。さらに職業訓練を受けている間は失業手当の受給期間が延長される場合も。
結果としてもらえる失業手当の合計が増加する可能性があります。延長するには条件があるので詳しくはハローワークで確認しましょう。
また失業保険は会社都合の退職であればすぐに支給されますが、自己都合退職の場合、3ヶ月の給付制限が設けられるのが一般的。しかし職業訓練を開始すると制限なくすぐに失業手当を受給できるようになります。
そして大切なのがこれらの失業手当の受給を受けるための手続き。本来であれば1ヶ月ごとの失業認定日にハローワークに足を運び面談を受け、就職の状況について報告する必要があります。
しかし職業訓練を受けていると、訓練校側が受給手続きを代行してくれるのです。毎月ハローワークに通わなくても訓練を受けているだけで失業保険を受け取ることができるので、受給手続きが楽になります。
【失業保険(失業手当)とは】失業保険について理解して、退職後の転職活動の不安を減らそう!
各種手当を受けられる
職業訓練校に通うと失業手当の他にも、受講手当や通所手当(交通費)がもらえるのもメリットの1つ。
・受講手当
500円/日 最大40日分(2万円)
・通所手当
上限4万2500円/月
※電車を利用する場合、一番安い経路の1ヶ月の定期代分を支給。
※車・バイク・自転車などで通う場合、距離によって支給。
この他に金銭的な問題を抱えている人には職業訓練給付金という制度も用意されています。これは月10万円の給付を受けながら訓練を受け、通所手当も支給されるというものです。
しかし、失業手当を受け取っていない、世帯収入が月25万円(年収300万円)以下、など条件は大変厳しいと言えます。他にも条件が存在するため、自分が該当するかどうかハローワークにてあらかじめ確認しましょう。
転職活動を共に頑張れる仲間が増える
職業訓練校に通うことで、学生時代に戻ったかのように皆で勉強したり、転職に向けて活動したり、この先同じ目標を持って頑張っていく仲間ができます。
退職すると生活はガラッと変わるもの。毎日一緒に仕事をしていた仲間とは会わなくなりますし、働いている人とはどうしても生活リズムが異なるため人との付き合いがぐっと減ります。
人との関わりが減ったりコミュニケーションが減ったりすると、退職した自分の状況を不安に思うことも増えるでしょう。
そんな時に職業訓練校に通うことで新しい目標ができ、新しい仲間ができることで、モチベーションを維持できるのです。
規則正しい生活が送れ、心身ともに健康でいれる
職業訓練校に通い始めると、始業の時間に合わせて朝起きなければいけなくなるので自然と生活のリズムが整います。
退職することで家にこもりがちになってしまったり、昼夜逆転生活になってしまったり乱れた生活リズムになってしまう人も多いはず。
しかし職業訓練校に通うことで日々に目的が生まれ、規則正しい生活を送れるのです。いざ転職先が決まった時も、すんなり仕事のある生活リズムに戻すことができます。
就職のサポートが受けられる
職業訓練校はハローワークと連携して就職先を紹介してくれます。また職業訓練校に一緒に通う仲間から紹介してもらえたり、訓練校に在籍しているキャリアコンサルタントにサポートをしてもらえたりすることも。
知識・スキルを習得し、それに合った就職先を見つけるサポートをしてもらえるのであれば大きなメリットと言えるでしょう。
職業訓練校に通うデメリット
メリットばかりの職業訓練校のように思えますが、職業訓練校にはデメリットも少なからずあるもの。3つのデメリットを紹介します。
これまでメリットを中心にお伝えしてきましたが、具体的なデメリットについても知ったうえで職業訓練を受けるかどうか検討しましょう。
転職までに時間がかかる
職業訓練校の選考は筆記試験、面接が実施されることもあり、合格できないこともあります。選考に落ちた場合は次のコースに応募することはできますが、並行して選考することができないため翌月以降の申込みになるのです。
また一度受講すると1年間は別のコースを受講できません。合格して受講すると、短くても3ヶ月以上、長いと1〜2年間は訓練に通うことになり、仕事に就くのはその後になります。
いずれにせよ、職業訓練校に通うことで次の就職までに時間がかかるのです。
収入面が厳しくなる
失業手当を受給しながら訓練を受けることができますが、収入はそれだけです。失業手当は前職の給与の3分の2と規定されているため、前職の給与が低かった場合は職業訓練中さらに低い収入で生活しなければなりせん。
また職業訓練中はアルバイトが禁止されています。もしアルバイトで収入がある場合はそれを報告しなければなりません。そしてその日の失業手当はもらえないのがルールです。
職業訓練校に通う間は失業手当のみで生活しなければならないのです。
訓練校による質の違いがある
職業訓練校によって質の違いがあります。特に民間に委託されている訓練校ではレベルや講師の質の差が大きいそう。
また興味のあるコースを選んだつもりが、実際学び始めたら面白くないと感じることもあるかもしれません。
講師の質によっては、就職に役立つほどの知識やスキルが身に付かないと物足りなさを感じることもあるでしょう。そのため説明会や見学会などを利用して自分に合った環境か見極める必要があります。
職業訓練校の入校までの流れ
「職業訓練校で学びたい!」と決めた場合、どうしたら良いのでしょうか。ハローワークで求職の申込みを済ませているこを前提として、その後の流れについて解説します。
Step1.訓練校とコースを選ぶ
まずは何を学びたいか、どんな職業に就きたいか、自分のキャリアプランを考えてみましょう。
コースは「なんとなく興味がある」「おもしろそう」だけで選ぶのではなく、学んだことを活かして就職をするのだということを忘れずに選択することが大切です。
訓練校やコースについての情報は、ハローワークの掲示板やパンフレットの他、各都道府県のホームページにも掲載されています。
またハローワークの窓口で相談することもできるので、「自分に合うコースがわからない」と悩む人は実際に足を運ぶのもおすすめです。
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Step2.説明会に参加する
受講したいコースが決まったら、申込み前に必ず説明会に参加しましょう。職業訓練校では定期的に説明会が開催されており、また見学することも可能です。
長い期間通うことになるかもしれませんし、そこで学んだことを活かして就職するのであれば、訓練校・コース選びはとても重要です。実際に目で見て納得のいく訓練校・コースに応募しましょう。
説明会の申込みについてもハローワークで相談するか、直接訓練校に問い合わせることもできます。
Step3.入学を申し込む
入学の申込みはハローワークで行います。ハローワークにおいてある訓練校のパンフレットや訓練校のサイトを検索して必要書類を揃えましょう。
一般的には、受講申込書、写真、雇用保険受給資格者証が必要です。
Step4.選考試験を受ける
入学の申込みをしたら、次は選考試験。試験内容は訓練校やコースによって様々で、書類選考、適性検査、学力テスト、面接などが行われます。
人気のあるコースについては倍率が2〜3倍と高くなることもあるようです。
面接に関しては、以下のような項目を答えられるよう用意しておくと良いでしょう。
・なぜこの訓練を受けたいのか
・訓練後はどのようにキャリアを考えているか
・学んだことを活かして就職する意志はあるか
Step5.入学手続きを行う
選考を突破し入学できることが決まったら、管轄のハローワークで入学手続きをしましょう。
再就職に必要な「就職支援計画」の交付を受けます。この手続きを忘れてしまうと入学が取り消されてしまうことがあるので注意してください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ぜひこの記事を参考に、あまり知られていないことも多い職業訓練校を1つの選択肢として検討してみてください。
選択肢を増やし、可能な限り有効活用することできっとあなたのキャリアの可能性を広げることができるはずです。
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