「自分の意見をうまく伝えることができない」
「ちゃんと言語化しろと言われてしまった」
言語化能力は自分の意見や感情を言葉で簡潔に相手に伝えるスキル。社会人として身につけておきたいスキルの1つです。
しかし「やばい」「すごい」などの簡単な言葉のニュアンスでコミュニケーションが成り立ってしまう今、言語化が苦手な人も多いのではないでしょうか。
言語化は相手には意見や感情をわかりやすく伝えるためだけでなく、実は自分自身にも役立つスキルです。
この記事では言語化とはどのようなことか詳しく解説し、言語化能力を鍛えるトレーニング方法を紹介します。言語化を身につけて「やばい」人から「できる」人になりましょう。
目次
言語化とは
言語化とは物事の状態や考え、思いを言葉で相手にわかりやすく伝えること。単に頭で考えたことをそのまま言葉にするだけではありません。
人は頭で考えるときも言葉を使っているので、上手く言葉で伝えることが出来ない人は頭の中でも上手くまとまっていないはず。そのままを口に出しても言語化された発言にはなっていないのです。
上司に「仕事の進み具合はどうだ?」と聞かれ、「 スケジュール通り進んでいます。資料が足りないところは〇〇さんに協力してもらって揃えることができました」と簡潔に答えることが言語化です。
言語化されていない「いい感じです。大丈夫です」という言葉からは、仕事の進み具合の具体的な状況を全く描くことができませんね。言語化すると、相手は言葉を聞いただけで状況を頭に描くことができるのです。
最近では、リモートワークの導入でオンラインでのやり取りも増えてきました。直接会う対面でのコミュニケーションと異なり、オンラインでは「その場の雰囲気」「ボディランゲージ」といった非言語的情報が少なくなります。
対面では上手く言葉にできなくてもなんとなく相手に察してもらえる状況もありましたが、オンラインではそうはいきません。
自分の意見や感情を正確に言語化できることが、オンラインでも誤解なくコミュニケーションを取るために必要となっています。
言語化することによるメリット
言語化できるようになると、次のようなメリットがあります。
人からの意見・フィードバックがもらえる
言語化ができると自分の意見が相手に伝わりやすいので、その意見に対してフィードバックがもらいやすくなります。上手に言語化できないと相手は何を言ってるのかがよく分かりません。
取引先から帰ったあと上司に報告するとき、上手く言語化できれば上司も内容をすぐに把握し次の指示を出してくれるでしょう。しかし言語化できないと、報告を受けているのか、指示を仰いでいるのか分からず上司も困ってしまいます。
また仕事で助けて欲しい時、「大変なんです、助けてください」だけでは誰だって自分の仕事に忙しいのですから、簡単には協力してくれません。
状況と協力してほしい内容を言語化することで、周囲の人も手伝う内容が明確になるので快く協力してくれるでしょう。
自分の思考を客観視できる
言語化するには、まず自分の思考や感情を自分で理解する必要があります。つまり言語化できるということは、すでに自分の思考を客観視できているということです。
思いつきで発言してしまうと思いがけない質問を受けて答えに詰まることがありますよね。それはまだ言語化できていない証拠。自分が何を考えているのかきちんとわかっていないので心は不安です。
言語化できていれば、自分がそう思い至った経緯や根拠、何を一番相手に伝えたいかについて客観的に理解できているので何を聞かれても大丈夫。落ち着いて仕事に取り組むことができます。
相手が求めている内容を簡潔に答えられる
言語化できる人には要約する力も備わっています。無駄を省き、一番伝えたい内容を絞ることで相手に分かりやすく伝えることができるのです。
外出から帰ってきて上司に「どうだった?」と聞かれ、「うまく話をまとめることができました」と即答できるのは言語化できる人。言語化できる人は外出先での様子を頭の中で要約し、さらに上司が求めている内容のみを簡潔に答えられます。
そうすることで「じゃ、詳しい内容はまとめておいて」という次の指示につながり、効率よく仕事が進むのです。
「電車が遅れて焦りました。…」と外出の様子の一部始終を答え始めるようでは、上司が求めている内容に行き着くまで時間がかかり、上司の機嫌を損ねてしまうかもしれません。
言語化能力のトレーニング方法
言語化は次の3つのステップで行われるもの。
1.インプット
2. 思考
3.アウトプット
それぞれのステップを高めるトレーニング方法を紹介します。
インプットのトレーニング:語彙力を高める
言語化能力を高めるにはまず語彙力を高めることが必要。自分の考えや意見が相手に伝わるようにするためにはふさわしい言葉を選ぶ必要があります。
語彙力が高ければ、それだけ表現できる内容も具体化されたわかりやすいものになるでしょう。
語彙力を高めるには本や新聞を読むことがおすすめ。単語を知るだけでなく、その単語を使った表現も同時に学ぶことができ、すぐに真似して使えます。
【語彙力とは】もう「ヤバイ」は使わない!語彙力を鍛えるメリット・トレーニング方法
インプットのトレーニング:言語化が上手な人の真似をする
身の回りに言語化が上手な人を探し、その人の真似をしてみましょう。同じ職場なら似たような場面に遭遇することも多いはず。似たような場面で自分の発言と言語化が上手な人の発言がどう違うのか観察してみましょう。
真似をするのはあくまでも発言の組み立て。意見を述べるときどのような筋道を立てて話すと分かりやすいか、言語化の上手な人から学びましょう。
直接本人にやり方を聞いてみるのもいいかもしれません。先輩も同じように苦労してきた可能性もあります。実体験に基づいたアドバイスが役に立つこともあるでしょう。
思考のトレーニング:5W1H思考を習慣づける
5W1H思考とは短い思考時間でより良い結論にたどり着くための考え方で、思考を整理したい時に役立ちます。
日頃から5W1Hを意識する習慣をつけると、自分の意見を要約できるようになっていくでしょう。人に伝えるときにもこの6つに基づくようにすると、誤解なく効率的に伝えられます。
Why:なぜ
How:どのように
Who:だれが
What:何を
When:いつ
Where:どこで
必ずしもこの6つ全てを話に盛り込む必要はありませんが、このような順番で考えていくと要点がまとめやすくなるでしょう。
思考のトレーニング:自分の意見を図示する
自分の意見が自分で分かっていないと言語化することができません。自分の意見を客観的に説明できるようにまず図示してみましょう。
仕事をしている最中、意見を求められるたびに図示している時間はありませんね。まずは仕事の合間や仕事が終わってから、今日求められた意見を振り返って行ってみることをおすすめします。
1.一番言いたいこと
2.前提条件
3.今後の展開
4.必要なこと
図を見ながらもう一度自分の意見を言ってみましょう。無駄が省かれ、言いたいことをわかりやすく伝えられる表現に変わっているはずです。
この練習を繰り返すと次第にその場で頭の中で図示できるようになり、言語化できるようになります。
アウトプットのトレーニング:食レポに挑戦する
自分の思考をアウトプットする練習には食レポがおすすめ。テレビで食レポに苦労しているタレントさんもいるように、食レポは語彙力そして言語化能力がはっきりと分かるものです。
「おいしい!」だけでは視聴者はおいしさをイメージできません。おいしさのバリエーションは豊富。だからこそ豊かな語彙でインパクトを与える食レポが求められるのです。
ランチを食べながら自分の感想を言語化してみましょう。
・なぜ美味しいと思ったか
・何の味がしたのか
・食感はどうか
・香りはどうか
たまには仲の良い同僚と食レポし合うのも楽しいもの。1人のランチもリポーター気分で頭の中で食レポしてみると楽しめます。お店のレビューをサイトやSNSで書くのも楽しいかもしれません。
まとめ
同じ景色を見ても「空が綺麗だ」という人もいれば「木々の緑が良いね」という人もいます。
自分の考えは言葉にして伝えなければ伝わらないし、人の考えは聞いてみなければわかりません。誰かの頭の中を想像しようとしてもそれは無理な話。
言葉を使って人に伝達をするのは、絵で示すより、雰囲気で感じさせるより難しいことです。しかし人と人とのつながりで生きている私たちには言葉は必要な道具。社会では思いや考えを言葉で伝える必要があるのです。
上手に言語化できるようになって、たくさんの人とつながっていきましょう。