エンプロイアビリティ[Employability]とは”雇用され得る力”を意味します。
Employ(雇用する)+ Ability(能力)= Employability(雇用され得る力)
“社内外での人材市場価値”とも表現できます。
エンプロイアビリティの定義・高め方・自身のエンプロイアビリティを図るチェックシートをまとめてみました。
これを読んで、エンプロイアビリティ、雇用され続ける力の習得に一歩踏み出しましょう!
目次
エンプロイアビリティの定義
エンプロイアビリティ[Employability]とは”雇用され得る力”を意味します。
さらに分解された厚生労働省『エンプロイアビリティの判断基準等に関する調査研究報告書について』内での定義は以下の通り。
A 職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの
B 協調性、積極的等、職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの
C 動機、人柄、性格、信念、価値観等の潜在的な個人的属性に関するもの
ABCを簡単に言い換えると、以下のようにまとめられます。
①専門性(スキル・能力・経験)
②行動特性・思考特性(習慣・態度)
③個人属性(価値観・マインド)
①専門性(スキル・能力・経験)は、履歴書や実績、資格などで目に見えて客観的・具体的に評価しやすい項目です。
一方で、②行動特性・思考特性(習慣・態度)と、③個人属性(価値観・マインド)は、目に見えにくく、評価対象になりづらい特徴を持ちます。
①専門性(スキル・能力・経験)②行動特性・思考特性(習慣・態度)③個人属性(価値観・マインド)の具体的な事例解説は、以下の関連記事をご覧ください。
関連キャリアとは何か?たった3種に整理可・役立つ理論3個・新用語12種【意味・定義】「内的」「外的」エンプロイアビリティ
エンプロイアビリティには、「内的」「外的」の2種類があります。
内的エンプロイアビリティ:現在の職場で評価され、雇用され続ける能力
外的エンプロイアビリティ:現在と同等以上の待遇や条件で転職できる能力
これらには相互作用があります。例えば他社でもすぐに活躍できる人は、現在の職場でも評価され、雇用され続ける能力を持つのです。
エンプロイアビリティを高めるには、これらの2つの視点が欠かせないといえるでしょう。
エンプロイアビリティはこのように言い換えられる
エンプロイアビリティは以下のように表現・解説されることがあります。
・人材の市場価値
・転職力
・雇用される力
・採用される力
・継続して雇用される力
・選ばれる力
様々な表現がされますが、カンタンに”「この人なら雇いたい」と思われる力“だと理解しておきましょう。
エンプロイアビリティを高めることは、人材としての価値を上げ、企業に欲しがる人材に近づくということです。
エンプロイアビリティを高める3つのメリット
エンプロイアビリティはなぜ必要なのでしょうか。3つのメリットを紹介していきます。
必要なスキルの変化に対応できる
エンプロイアビリティが高い人は、「何年働いたか」よりも「どんなスキルが必要とされるか」「自分はどんな実績を残したか」を重視します。よって、これまでの自分の経験・スキルを活かしつつもそれに固執しないのです。
特に変化が激しいこの時代。いつAIに仕事を奪われるかわかりません。そんな時でもいち早く自分ができることを見つけ、存在感を示していくでしょう。
必要とあればすぐ挑戦する姿勢も、「雇用したい」と思われる要因なのかもしれません。
どの組織でも通用する
外的エンプロイアビリティでも説明したとおり、転職をしても年収ダウンや低待遇に悩まされることはありません。同じ会社の中で異動しても、転職しても、自分のスキルを使って活躍できるでしょう。
最近は終身雇用の崩壊も危惧され、1つの組織で一生働き続けることは少なくなるかもしれません。そんな時にエンプロイアビリティがないと、転職の度に路頭に迷ってしまうでしょう。
転職を少しでも考える人なら、エンプロイアビリティは高めておいて損はないといえます。
将来の不安が解消される
「どこでも通用する」「その時々の求められるスキルに対応できる」と思えば、将来の不安が解消されます。将来の不安を感じる時は、このような時が多いのではないでしょうか。
「突然クビになったらどうしよう」
「転職先が見つからなかったらどうしよう」
「収入が減って、家族を養えなくなったらどうしよう」
このような不安も、「エンプロイアビリティがある」「いざ困っても自分にはなんとか対応していく力がある」そう思えば、不安が軽減されるはずです。
将来の見通しが立たない時代だからこそ、エンプロイアビリティは必要でしょう。
エンプロイアビリティ向上のコツ
では、エンプロイアビリティはどうすれば向上するのでしょうか。今すぐできる方法を6つ紹介していきます。
自分のエンプロイアビリティをチェックする
できるだけ客観的な視点から、自身のエンプロイアビリティを定期的に振り返る習慣を持ちましょう。
「自分が社長だったら、自分を雇いたいかな?」
良い点・改善点を洗い出せる”振り返り”になるでしょう。振り返りしやすくなるチェックシートは次の見出しで紹介します。
周りに自分のエンプロイアビリティを尋ねる
周りに自身のエンプロイアビリティを尋ねてみるのもおすすめです。
・同僚
・上司
・社長
・転職エージェント
できるだけ、複数の職歴を持っている人や、社会・業界トレンドに詳しい人(転職エージェントなど)を探しましょう。より客観的・専門的な意見がもらえるはずです。
キャリアプランを立てる
「ただひたすら目の前の業務をこなす」
「気づいたら自分にどんなスキルがあるのか、これから何が必要なのかわからない」
そのような状態にならないため、キャリアプランを立てて自分の軸を持ちましょう。
・どんな自分でいたいか
・そのために何が必要か
・目指すところはこれからどんな変化が起こりそうか
難しそうに思えますが、軸が決まれば考えやすく、調べやすくなるはず。ノートに書き出したり、憧れの人のキャリアを調べたりして自分のキャリアプランを立ててみましょう。
関連キャリアプランとは何か?読んですぐ真似できる例文・事例・書き方・考え方今の仕事で得られるスキルを明確にする
「内的エンプロイアビリティ」を高めるため、今一度現在の仕事・職場で得られるスキルを可視化してみましょう。
・専門スキル(営業、会計、マーケティングなど)
・マネジメントスキル
・コミュニケーション能力
・業界の知識(金融、IT、食品など)
・文章力
・リサーチ力
このようにいろいろな視点から見つめていくと、今の職場でも十分得られるスキルが見つかるはずです。
「今の職場では何のスキルも身につかない」
そう諦めるのはもったいない!1つづつ「このスキルはこの業務で得られる」「今このスキルが足りてないから、この業務のやり方を工夫しよう」と考えていけば、エンプロイアビリティは向上できるでしょう。
実際の仕事を通してだと、スキルの習得も早いはずです。
市場ニーズを掴む
エンプロイアビリティを向上する上で欠かせないのが市場ニーズ。いくらスキルが高くても、求められていないスキルなら雇用され続けることはできません。
・新しい製品/サービスに敏感になる
・それはどんなニーズを元に作られたか、分析する
・情報収集を欠かさない
・これまでの仕事から、需要はどのように変わったか振り返る
これらを踏まえながら、「今後求められそうなもの」を予測して「得るべきスキル」「自分に足りないスキル」「得意分野」などを洗い出していきましょう。
今後の予測が完璧に当たるとは限りません。予期せぬ出来事で変わることもありえます。定期的にチェックして、「予想が外れてむしろエンプロイアビリティが下がってしまった」とならないようにしましょう。
研修を活用する
社内外の研修に参加して、エンプロイアビリティを向上しましょう。特に社内研修は内的エンプロイアビリティ、社外研修は外的エンプロイアビリティの向上に繋がります。
・どんなスキルが得られるのか、明確にしてから受講する
・足りないスキルを得られる研修を見つけて参加する
・得た知識を実際の業務に落とし込んで試してみる
「つまらない」と思いがちな研修ですが、このように準備・振り返りを徹底してスキル向上に役立てましょう。
エンプロイアビリティのチェックシート【質問リスト】
自身のエンプロイアビリティをチェックするための質問をまとめてみました。
①専門性(スキル・能力・経験)
・他の会社でも即戦力になれる専門性はあるか
・新たな領域に踏み出す姿勢はあるか
そのために今、何をしてるか
・他の会社では得にくい経験をしているか
・自分の強みを具体的な実績で説明できるか
・他の会社で活かせる専門性を説明できるか
②行動特性・思考特性(習慣・態度)
・社会人としての基礎能力は備えているか
・自律的に考え、行動する習慣があるか
・規律を徹底して守れるか
③個人属性(価値観・マインド)
・協調性を発揮できているか
・周りの社員に信頼されているか
・思い込みだけで他人に価値観を押し付けていないか
雇用する側の視点に立って、魅力的な回答ができるかどうかを考えてみましょう。自信がない部分は、今は足りていないスキルなのかもしれません。
エンプロイアビリティ向上で将来の不安を解消しよう!
エンプロイアビリティは、働く人全員にとって大切なスキル。高めておいて損はありません。
一気に上げるのは難しいので、まずは現在の自分の状態を把握することが大事。そこから現在の職場で得られるスキルを可視化し、すぐにできることから始めていきましょう。