「真似しなさい」と言われてもどう真似していいのかわからない
「パクってばっかり」と怒られてしまった
守破離の「守」や「TTP(徹底的にパクる)」などで言われるように、何かスキルを身につけたい時に人を真似るのは大事なことです。
しかし、「真似る」のは大切とわかっていても、なかなか上手くできないものですよね。真似ることが良いことなのか、悪いことなのか分からなくなってしまう人もいるでしょう。
真似ることはメリットだらけ。ポイントさえ押さえれば、誰でも簡単に効果的な真似ができるようになります。この記事を参考にして、今後のスキルアップのために真似を極めましょう。
目次
「真似る」とは
真似すること=「パクる」とマイナスのイメージを持っている人も多いかもしれません。
パクるはいわゆる盗作、盗用のことで、他人のアイデアや作品をそのまま真似をして世に出してしまうこと。一方、「真似」はあくまでもその後の仕事の土台になるものです。
個性を大切にする人が多くなってきた今、真似されることを嫌がる人もいるでしょう。自分が努力して試行錯誤を繰り返しやっと見つけた方法を簡単に真似されたのでは面白くないのも当然。
そのため、真似することにも抵抗を感じる人も多いのではないでしょうか。
しかし、「真似」はスキルを身に付ける上でとても大切なもの。「真似る」と「学ぶ」の語源は同じだと言われているように、何かを学ぶとき最初の一歩は「真似る」こと。
例えば言葉の習得。赤ちゃんは大人を真似することで語彙を増やし使い方を学んでいきますね。ビジネスも同じ。新しい仕事を任されたときは先輩や同僚、前任者の真似をしてやり方を覚えていくのです。
また「守破離」という言葉を知っていますか。
守破離とは、もともと武道や茶道で用いられた言葉で、古くからものごとを学ぶ基本的な姿勢、取り組む順序と考えられていました。
その守破離の最初のステップとされている「守」は師から教えを忠実に学び、真似ることで基礎を固めること。守破離の中でも特に重要なステップとされてきました。
昔から真似ることの大切さは伝えられてきたのです。
「守破離」はもう古い?意味・ビジネスで用いられる理由【事例】
「真似る」メリット
真似すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
初めの一歩を踏み出せる
「真似る」の大きなメリットは、初めの一歩を踏み出せること。
今までやったことのない仕事を始めるとき、何から手をつけてよいのか分からないですよね。できることと言えば「前任者のやっていたようにやってみよう」と真似ることくらい。
その仕事の前後や背景もわからなくても真似することでまずは仕事を始められます。真似をしているうちにだんだん周囲の状況が見えてきて、仕事がわかっていくのです。
人の仕事の真似ができれば、まず一歩前に進められます。
効率よく仕事を覚えられる
仕事をより効率よくこなす為にも「真似」は役立ちます。仕事ができる人は同じ仕事でも速く正確にこなしていきますね。
自分も同じように速く済ませられるようになりたいと思うなら、できる人の真似をすることです。できる人が見つけた効率の良いやり方を、見つける手間なく取得することができます。
できる人の真似をする事は決して簡単な事ではありませんが、真似ようと努力することでいつの間にか自分自身もスキルアップしているはずです。
仕事が分かっている証拠になる
「真似る」のは初めの一歩ですが、これを正しく真似することはそう簡単ではありません。見よう見まねの真似だけではやがてうまくいかなくなります。
前任者の真似をしていても仕事の相手や環境は絶えず変化しているので、さまざまな状況の変化に対応する必要が出てくるからです。
周囲の状況などその仕事の背景を正確に理解してこそ、正しく真似ることができるようになります。つまり、仕事のできる人を徹底的に真似できるのは、仕事をしっかり理解できている証拠なのです。
型破りな発想ができる
誰もが思いつかないような型破りな発想は真似できる人しかできません。正確に真似できる人は他の人の経験に基づいた標準的なやり方(=型)を熟知しています。
やり方だけでなく、その裏にある本質的な仕組みや効果を理解できているため、それを発展させ新しいものを生み出すことができるのです。
守破離で言われているのもまさにこのこと。
プロジェクトの目標に向かうプランを立てるとき、今までの経験からその工程を考えるのが普通ですよね。しかし、真似ができる人はその理想や目的を十分に理解しているからこそ、型破りな発想で新た工程の提案ができるのです。
基本がしっかりしていなければ応用力は生まれません。
「真似る」ときのポイント
ただ、真似るだけではスキルアップには繋がりません。真似るには、次のような押さえておくべきポイントがあります。
自分を封印する
真似ると決めたら自分を封印しましょう。自分の価値観や習慣に蓋をして白紙の状態にするのです。真似するつもりでも知らずに自分の習慣を付け加えてしまいがち。それでは期待した効果は得られません。
せっかく仕事のできる人のやり方を真似していても期待通りの結果にならなかった時、真似出来なかったのか、アレンジした事に原因があるのかが分からなくなってしまいます。
白紙の状態でこそ、その人の考え方や価値観を素直に受け入れられるようになり、正確に真似できるのです。
理想の自分に近い人を真似る
誰を真似るかは大切なポイント。仕事ができない人を一生懸命真似ても、仕事ができるようにはなりませんよね。
・結果を出している人
・信頼されている人
・自分が憧れる人
真似ができた時に自分の理想の姿に近づけるような人を参考にすると良いでしょう。
そのために仕事ができる人の特徴を知っておくのもおすすめです。ぜひ『仕事のできる人に共通する23個の特徴【期待される人になる】』の記事も参考にしてみてください。
徹底的に真似する
真似をするなら徹底的に真似をしましょう。
例えば「仕事ができる人は残業しないから」と定時に帰宅することだけを真似ても先にはつながりません。定時に帰宅できるのはその日の業務を効率よく終わらせているから。
真似をするには参考にしたい人の行動をよく観察し、一連の行動を全て徹底的に真似するようにしましょう。自分ならこうするのに、とアレンジを加えるのはNG。
真似だけで周囲から評価されるようになるまで、真似を極めましょう。そうすることで確固とした基盤を作ることができ、今後のスキルアップが速く効果的なものになります。
行動の背景を想像する
真似をした後、その行動の背景を想像することも大切です。
仕事のやり方を真似している最中は想像している余裕はないかもしれません。仕事帰りに今日1日の真似した行動を振り返りながら想像してみましょう。
・どうしてそのような行動をとるのか
・どういう視点から物事を見ているのか
・その行動からどういう結果が期待できるのか
このような真似した背景が想像できれば、もっと正確に真似ができるはずです。仕事ができる人の視点や思考も分かるようになり、他のところで活かせるようにもなるでしょう。
真似したい人とコミュニケーションをとる
できる限り真似したい人とコミュニケーションをとるように心がけましょう。話すことで自分が見た行動だけでは分からなかったその人の価値観を知ることができます。
同じ部署であれば外出に同行させてもらう、一緒にランチに出かけるなど、積極的に時間を共有しましょう。
社外や他部署の人の場合はなかなかコミュニケーションをとるのは難しいかもしれませんが、どこかにチャンスはないか、いつも探っておきましょう。
コミュニケーションを取る中で、「○○さんを真似したいんです」と真似したい目的や理由など自分のことも説明できれば、真似されたと不快に思われることもなくなるはずです。
「真似る」ときの注意点
真似は大切な初めの一歩ですが、相手に不快に思われる可能性もあることを忘れてはいけません。次の点に注意して上手に真似しましょう。
相手の気持ちを尊重する
真似は自身のスキルアップのための一歩であり、真似される人にとっては特に大きなメリットはありません。だからこそ不快な気持ちにさせるべきではないのです。
自分が誰かに真似されることを一度想像してみましょう。どういうことをされたら嫌な気分がするでしょうか。少なくても自分がされたら嫌なことはやらないようにしましょう。
仕事のやり方ではなく持ち物や服装だけを真似されるのは良い気持ちはしませんね。想像力を働かせて、真似される相手の気持ちをいつでも尊重することが大切です。
真似をするだけで終わらせない
なんでもかんでも真似をして、それで終わりにならないように注意しましょう。
真似は自分がスキルアップするための第一歩です。ただ真似するだけでそこから何も得ようしない態度は相手に不快感を与えるでしょう。
真似をする目的がはっきりしていないと不必要なことばかり真似してしまうことにもなります。相手はなぜ真似されるのかわからず不信感を抱くはず。
なぜ真似したいのかを明確にしてから、真似するようにしましょう。
直接見聞きしたことしか真似しない
真似するのは自分が直接的に見聞きした内容にとどめましょう。他人から聞いただけの情報で真似をすると正しくない恐れがあります。
そこから背景などを勝手に想像して真似を続けてしまうと違いがどんどん大きなくなり、真似ではなくなってしまう可能性もあるでしょう。
自分のためにもなりませんし、勝手に誤解されて真似される人は迷惑ですよね。
オンとオフの区別をつける
自身のスキルアップのために真似するのですから、プライベートな内容は関係ありません。オンとオフの区別をきちんとつけてプライベートまで真似しないようにしましょう。
特に憧れる気持ちが強いとどんどんその人を知りたい気持ちが強くなってしまいますよね。しかしプライベートまで真似すると、本当にスキルアップのためなのか不審がられてしまいます。嫌悪感を抱く人もいるでしょう。
上手にコミュニケーションが取れていて、プライベートなことも許される間柄であれば問題ないこともあるかもしれませんが、真似するときは一線を画してプライベートに踏み込むことなく相手を尊重することが必要です。