人と一緒に仕事をしていくには、コミュニケーションが重要であることは間違いありません。何かをお願いしたり何かを伝えたりする時、コミュニケーションのやり方一つで印象や効果・アウトプットが変わります。
ただ、そこまではわかっていても職場でうまくコミュニケーションがとれずに、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
JTBコミュニケーションデザインの調査によれば、コミュニケーションを「苦手」「やや苦手」と回答した人は57.6%と過半数を上回っているそうです。
「コミュニケーションが得意な人」を想像すると「話が面白い」「会話の隙間を作らない」「気の利いた一言が咄嗟に出る」など、かなりレベルの高いイメージになりますよね。
しかし、仕事でそこまで高いコミュニケーション能力は必要とされていません。
本書では、当たり前な内容からついやってしまうNG行動まで、「仕事でのコミュニケーションにおいて大事なこと」をまとめていきたいと思います。
目次
仕事でコミュニケーションが必要な理由
そもそも仕事でコミュニケーションが重要とされるのはなぜでしょうか。
大きく分けるとそれは3つにまとめられます。
1.生産性向上
2.社員満足度向上
3.顧客満足度向上
生産性向上
コミュニケーションが活発になると役割分担が明確になります。仕事全体の進捗がわかりやすくなり、困った時の相談相手を見つけやすくなる上、情報共有もスムーズに行えるでしょう。
コミュニケーションがうまくいっていないと、以下のような問題が起こりがち。
「え、そのイベント中止になったの?準備進めてたのに・・・」
「書類の送付先変わったの?先月の会議ではそんなこと言われてないよ!」
「〇〇ってそうやってやればいいの?わからなくて1週間進められなかったよ!」
しかしコミュニケーションが活発だと、このような余計な仕事や手間、時間がなくなります。売り上げを上げるより圧倒的に簡単なことで、生産性を上げられるのです。
社員満足度向上
コミュニケーションがうまくとれている環境では、自分の考えていることや意見が言いやすくなります。すなわち仕事に対して「私の話を聞いてくれる人がいる」と信頼や安心を感じられるのです。
例えば「何を言っても意見を曲げない上司」と「何かあったらすぐ解決に向け一緒に動いてくれる上司」だったら後者が良いですよね。
相談だけでなく、不満や改善案・要望を言いやすい状態が、社員満足度向上につながることは間違いありません。
顧客満足度向上
少し意外かもしれませんが、コミュニケーションが円滑な企業は、お客様にとってもありがたいのです。なぜなら引継ぎが丁寧に行われ、人が変わっても安定したサービスを受けられるから。
例えば今まで金融業界のお客様を担当していた営業の人が、広告業界のお客様の担当になった場合。同じ営業といえど、提案内容だけではなくお作法・重視するポイントも変わるのです。
そんな時に経験や知見を聞きやすい職場は、そういったデータだけではわからないものをちゃんと引き継いでいけます。お客様からしても「あ、この会社はちゃんと引き継ぎされているな。情報共有がしっかりしているな」という風に受け取るものです。
些細なことかもしれませんが、こういった丁寧な対応が会社同士の信頼関係を築いていくためには必要でしょう。
仕事で最低限必要なコミュニケーション
仕事でコミュニケーションが重要な理由はわかりましたか?本章では「最低限これはやろう!」というポイントを紹介していきます。
当たり前なものばかりですが、つい疎かにしていることもあるかもしれません。
どうか学生に戻ったような気持ちでご一読ください。
1.挨拶
2.相手の状況を見てから話かける
3.相手の理解を都度確認する
挨拶をする
「え、そんなの当たり前じゃん!」と思った人も多いでしょう。しかし「自分は会社でちゃんと挨拶できている!」と胸を張って言えますか?幼稚園児や小学生の時と同じくらい元気に言えていますか?
「挨拶くらいしろって言われるから・・・」と後ろ向きな考えで、「なんとなく」している人も多いのではないでしょうか。
挨拶の力は偉大です。元気に挨拶されて嫌な気持ちにはなりませんよね?新入社員が元気に挨拶をしていたら「あ、なんか感じの良い人が入ってきたな」と思うはず。「たった5秒で印象が変わる」「良いコミュニケーションがとれる」と思ってやってみましょう。
正しいやり方や効果、詳しいお話はぜひ以下のリンクをご覧ください。
相手の状況を見てから話かける
会社に慣れてくると忘れがちなこの気持ち。
仕事中に話しかけることは友達への連絡とは違うのです。なぜなら「相手も仕事をしている時間」だから。状況に合わせて、以下のように相手に配慮した話しかけ方になるよう工夫してみましょう。
相手が集中していそうな時
・タイミングをずらす
・一言加える
例:「集中しているところ本当に申し訳ございません。緊急の仕事で・・・」
相手の表情が沈んでいる時
・心配している気持ちを伝える
例:「今・・・大丈夫ですか・・・?」
そもそもコミュニケーションというのは相手が居て成り立つもの。
話をする前に相手の様子を見てから始めないと、良いコミュニケーションは生まれませんよ。「自分の仕事が一番大事!とにかく伝えるぞ!」というコミュニケーションはやめましょう。
相手の理解を都度確認する
何かをお願いするときに大事になるのがこの要素です。
人にお願いしていた仕事で、出来上がったものを見たら「全然違う!」なんて経験ありませんか?それ、実はお願いした方の責任が大きいのです。
日本人には「空気を読む」という文化が強いのでなんとなく「はい」「わかりました」と言ってしまいます。その結果「いや、こういうのを頼んだわけじゃないのに・・・」というズレが生じてしまうのです。
人に何かをお願いする時や説明する時には、少し話すごとに合言葉として「ここまででわからないことはありませんか?」と聞くようにしましょう。
営業職を経験すると、上司や先輩から教えられたはずなのに、なぜか社内の人に話す時は疎かになりがちです。
相手に正しく伝わっているか確認するのは、社外に限った話ではありません。
余計な時間や仕事を生まないためにも、最初から丁寧に伝えていきましょう。
仕事で良いコミュニケーションをとれるようになる方法
本章では良いコミュニケーションに必要な「より的確に相手に話を伝える」方法をまとめていきます。
聞き手のメンタルモデルを作る
急にカタカナが出てきましたが、簡単にいえば「これから何を話すかを常に分かるように話す」ということです。
メンタルモデルとは認知心理学の用語で「人が持つなにかしらのものごとや人に対して持っているモデル、イメージ」です。(参考:マナラボ メンタルモデルとは何か ビジネス上での意味と例文)
コミュニケーションで絞れば「聞き手の人が頭の中で作る理解・考え」と言えます。
あなたは人から何か話を聞いた時に、そのまま文字に起こして理解しているわけではないですよね?なんとなくで「こんなことを言ってるなあ」という形で理解しているはずです。
だから、人に話しかける時はそのことを意識して「何について話すか」まず最初に伝えると、相手の頭にもスムーズに入っていきます。
例えば美味しいラーメン屋さんを伝えたい時。
悪い例:「こないだ渋谷に行ったんだけど〜、道玄坂らへんにある〜」
良い例:「こないだめっちゃ美味しいラーメン屋さんがあったんだよ!渋谷の道玄坂あたりにあるんだけど〜」
このように伝えたいことから言うと、相手も理解しやすいのです。
よりわかりやすくまとまっている動画がこちら。8分の短い動画ですのでスキマ時間にぜひご覧ください。
参考:マコなり社長【話し方の極意】なぜあなたの話は分かりにくいのか
例え話を使う
相手がイメージしやすいものに例えて話をすると、理解・納得してもらいやすくなります。反対に抽象的な言葉を並べられた指示だと、何をすればいいかわかりづらいですよね。
人間は物事を理解するときに、既に脳の中にある記憶とリンクさせて解釈しています。例えば「犬」と聞いたらあなたがチワワを飼っていたらその姿が浮かび、人によっては柴犬を思い浮かべるでしょう。
仕事でいえば「先月の売り上げまとめて欲しい」だけでは、どうすればいいかわかりません。「あのときの会議で使ったときと同じように」「去年社長に報告したときと同じように」と共通の経験を例に出したり、「添付したこの資料みたいに」というと相手の理解度もグッと上がります。
このように説明できると、いろいろな物事を抽象化して紐付けられるようになっていきます。
一緒に仕事する仲間とも「同じイメージ」を持ちやすくなっていくのでオススメです。
仕事での良いコミュニケーションのためにNGなこと
反対にコミュニケーションをとっていく上でしてはいけないダメなことを簡単にまとめます。
プライベートなことを聞く
「良いコミュニケーションをとるために仲良くなろう!」と息巻く方が陥りがちなパターンです。例えば恋人の有無や体重、人によっては出身地や学歴、趣味を会社の人には言いたくない人もいます。
さらにこのようなことを聞く側の悪いところは、濁している相手に「なんだよそんなことも教えてくれないのか〜」とダメだししてくるところ。心当たりのある人もいるでしょう。
このご時世、ハラスメントに該当することもありますので要注意。仲良くなるならまずは仕事でちゃんと信頼関係を築くことから意識しましょう。
ただの知識や経験のひけらかし
「頼られたい!」と思っている方がやってしまいがちなのがこちら。ミーティング中に関係がないのに、以下のような発言をするのは良くありません。
「あ、そのお客さんの〇〇部長と知り合いだ」
「似たような話の会議参加したことある」
頼られたいと思うのであれば、まずはその場で貢献することから始めましょう。
最後に
改めてコミュニケーションについてまとめましたが意外とできていないことや、ついやってしまうことがあったのではないでしょうか。
そもそもコミュニケーションの本質は「相手をいかに思いやるか」。だから、「面白い話をしよう!」「気の利いたことを言わなきゃ!」よりも「いつもありがとう」「一緒に頑張りましょう」という気持ちを伝えていくことが最も重要です。