『みんなのキャリア相談室』新企画「#私のキャリア失敗談」。これは、さまざまな分野で活躍する方の社会人生活のしくじり・失敗談を紹介する企画です。
第9弾の今回は株式会社ジェイック常務取締役、近藤浩充さんの経験談を紹介します。
15年ほど前の話になりますが、当時、自ら提案した新規事業を任され柱となる事業に育てるべく日々取り組んでいました。
寝る間も惜しんで必死に取り組んでいましたが、中々、業績が上がらず2年が経過、3年目ようやっと光明が見えてきたタイミングでリーマンショックが起きました。
担当していた事業はHR系だったこともあり見えていた光はあっという間に暗転。業績も急落していきました。
全社的にも存続が危ぶまれる事態であり、不採算部門を継続することは出来ず、新規事業は取り潰すこととなりました。私が手掛けた新規事業は脚光を浴びることなく撤退することになりました。
新規事業を任され執行役員に格上げしてもらった中での大失敗。
メンバーのマネジメントも上手くいかず撤退に合わせて次々と退職していってしまい、新規事業に取り組んでいたメンバーで会社に留まる人はごくわずかしか残りませんでした。
「事業撤退を進めている間は、苦労しか掛けず会社を去らせてしまったメンバーに申し訳ないし、顔向けできないからきちんと整理がついたら自分も退職しよう」
「なんでこのタイミングでリーマンショックとかが起こるんだ、予期せぬ事態が起こったのだからもう少し事業を継続させてくれたって良いじゃないか」
当時はネガティブになり、不貞腐れていたことを覚えています。
事業撤退業務が終わりに近づいてきたタイミングで、代表と話す機会がありました。そこで
「今回、事業撤退の憂き目に合ったのは誰のせいでもない、君の責任だ。
もちろん、会社としてもっとサポートしてあげられることはあったと思うが、そのサポートを引き出すことも含め、君の力不足でおこったことだ。
本事業は会社の1事業としての取り組みではあるが、もしも、君が起業して取り組んでいたとするならば、何があろうとも誰のせいにも出来ない。
自分の責任として受け止められるかどうかでこれからのビジネス人生が大きく変わる。受け止め方は大事だぞ。」
といった内容の話をされました。
正直、最初は〝全部オレのせい〟ってなんだよ。あなたには責任ないのか?と思ったものですが、この話を何度も自分の中で思い返すうちに徐々に自分の中の感情が変化していきました。
「確かに大きな投資をしてもらったものをきちんと返さずして退職というのは逃げでしかない。退職するにしても投資してもらった分をしっかり返してから辞めよう」
「投資してもらったのはお金だけではない、会社の貴重な戦力を退職させてしまった分、今いるメンバーをしっかり育成し戦力化させてから辞めよう」
このように考えるようになりました。
そう考えて目の前の役割に集中し取り組み続けていくことで徐々に〝責任〟とはどういったことか?捉え方が変わっていったように思います。
会社への責任からわが社のサービスを待っていただいている顧客への責任、本来であれば貢献すべきまだ顧客になっていない顧客への責任を果たし続けることが本当の意味で〝責任を果たすという事なのではないか?〟と思うようになり、今に至っています。
あの時、代表からの言葉がなく、責任をとって退職するという選択をしていたら、〝自分が社会に対して果たす責任〟に気づけていなかったのではないかと思います。
全ては自分の責任で物事は進んでいるという考えが自分の中で醸成されてきたことでメンバーのマネジメントも好転するようになりましたし、成果を出せるようになってきたと思います。
逃げたくなる自分と向き合い本来の責任を果たす、この感覚を身に付けられたことが今でも私の宝です。
そんな私から、今キャリアに悩む皆さんにお伝えしたいこと。
どんなに取り繕ったとしても目の前の事実から逃げたかどうか?それは自分が一番わかっているはずです。
自分を褒められなければ自己肯定感が高まらず、良い仕事はできません。
自分で自分を褒められる、自分が本来果たすべき役割を自己責任で果たしていく。そこから逃げていないか?毎朝自分に質問をしてみてあげて欲しいと思います。
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このエッセイを書いたのは・・・・
近藤浩充
現在、株式会社ジェイック 常務取締役、マーケティング開発事業部長 兼 教育事業部本部長。
大学卒業後、IT企業に入社し8年間従事、2002年ジェイック入社、同社マーケティング部門を中心に各事業責任者を歴任。
先輩社員達が抜けていく中、組織の変化を楽しんだ結果、気づいたらNO.2のポジションへ。TOPとは9歳差、社員教育と採用支援が中心軸の事業を行っている。
・Twitter:@columer