柔軟性は、臨機応変な考え方・行動ができること。柔軟性のある人は、変化を物ともせず、臨機応変な考え方・行動をした末に、求められる結果・成果を生み出すことができる人を指します。
あの人は柔軟性が足りないんだよな。
何ごとも柔軟性が大切だよ。
仕事に柔軟性は欠かせないね。
採用人事は柔軟性を見ているよ。
様々なシチュエーションで用いられる柔軟性ですが、正直、漠然と理解しているだけの人も多いでしょう。本記事では、仕事における柔軟性を、具体例とともに解説していきます。
目次
柔軟性がある人の特徴
「柔軟性」は曖昧に感じる人も多いでしょう。柔軟性がある人の特徴から、「柔軟性ってなんなの?」を明らかにしていきます。
他人の価値観を受け入れる
柔軟性がある人は自分の計画と異なる方向に進んでも「そういう考えもあるんだ」「たしかにそっちの方が良いかもしれない」と素直に相手の意見を受け入れられます。
「自分が正しい」と思っていると他の方法だと失敗する、もしくは「みんなそっちに賛成するなんて、許せない」と思ってしまい、自分の考えに固執してしまうのです。
結果臨機応変な対応はできず、柔軟性は発揮されません。
長期的な目線で考える
突然の計画変更。柔軟性がある人はまず「計画変更によるタスク量の増加」など短期的な目線ではなく、「計画変更によってどんな効果がもたらされるか」など、視野を広げて考えます。
それによって突然の変更にも振り回されず、主体的に動けるようになるのです。
目標・目的意識がある
長期的な目線で考えるために必要なのが、目標・目的。「どこに向かっているのか」「なんのためにやっているのか」を明確に持つことで、変更が生じても軸をブラさずに行動できます。
さらに目標・目的をしっかりと持つことで、日々の仕事でも「もっとこうしたら良いのでは」とアイデアが浮かびやすくなるでしょう。結果的に評価される人になるかもしれません。
経験豊富である
柔軟性を持つためには経験も必要です。経験がなく1~3個の方法しか知らないと、「それ以外の方法では失敗してしまうのでは」と不安になりますよね。また、「うまくいく」「失敗する」の判断がつかないこともあります。
現在社会人経験が少ない人や今の職場・仕事で経験が少ない人は、「私には柔軟性がない」と落ち込みすぎず、上司や同僚の動きを見ながら柔軟性を身につけていきましょう。
仕事で柔軟性が求められるタイミング
仕事で柔軟性が求められるタイミング(臨機応変に考え、行動すべき状況)を10個挙げてみました。
①仕事内容が変わったとき
②働く仲間が変わったとき
③働いている場所が変わったとき
④会社の方針が変わったとき
⑤働く時間が変わったとき
⑥急な仕事依頼があったとき
⑦営業先から予期せぬ要望が出たとき
⑧MTGで空気を乱す発言が生まれたとき
⑨チームメンバーが急な不調を訴えたとき
⑩仕事の進め方を強く指摘されたとき
程度の大きさは、問いません。何かしらの変化が生まれときには、必ず柔軟性が求められます。ここで言う変化の中には、緊急性を要するもの。つまり、予想できないことが突発的に起こるケースも含まれます。
組織で働くビジネスマンである限り、どれかしらの状況を経験しているのではないでしょうか?その時、あなたは柔軟性を発揮し、臨機応変な対応ができたでしょうか?
仕事における柔軟性を身に付ける方法
続いて、仕事上で柔軟性が発揮された状況別に、柔軟性を身に付ける方法を紹介していきます。
①ピンチはチャンスの精神を持つ
②フォロワーシップを持つ
③感情コントロール力を磨く
順に解説していきます。事例は全て、Aさんが柔軟性を発揮しています。
ピンチはチャンスの精神を持つ
やむを得ない事情があり、急な業務変更を求められた事例です。
・昨日、チームメンバーのBさんが急病に罹り、半年間の休職が決まった。そして今朝、上司から「Aさん、突然になるんだけど、Bさんの仕事をすべて引き受けてほしい」と伝えられた。これまでの業務は、随時他のメンバーに引き継ぐようにとのこと。一時的に業務が増えることは避けられない。また、これまで一緒に働いたことのないメンバーと仕事をする必要がある。既存クライアントにも、事情を伝えて新しく関係構築をする必要がありそうだ。しかしAさんは、新しい仕事に挑戦できることを成長のチャンスであり、且つ、上手く結果を出せれば評価される機会だと捉え、快諾した。
「仕事内容」「働く仲間」「業務量」「クライアント」が突然変わる状況、柔軟性が求められます。Aさんが持っていたのは、”ピンチはチャンスだ”と捉え、偶然を活かす姿勢がありました。
柔軟性を発揮するためには、偶然の出来事をポジティブに捉える思考が欠かせません。
この思考を得るためには、常日頃から以下5つの行動指針を大切にしましょう。
カンタンに整理してみるとこうなります。
・新しいことに興味を持とう!
・努力を続けよう!
・ポジティブな姿勢を持とう!
・こだわりは不要、柔軟になろう!
・結果にこだわらず、挑戦をしよう!
これら行動指針が発揮された例をさらに紹介した以下の関連記事をご覧ください。
関連フォロワーシップの精神を持つ
チームメンバーの不調に気づいたとき。
・朝一もチームMTG、メンバーのBさんはいつもより発言が少ないような気がした。周りのメンバーが気にならない程度だが。昼頃、心配になりBさんに声をかけたが「問題ないよ!」と返事をしていた。しかし、表情はいつもより青ざめていたような気が…。AさんとBさんが所属するチームの上司は、その日に限って忙しく、動き回る中でBさんの様子に気づいていないようだった。
何かあってから動くのは遅いな。とAさんは上司のもとへ行き、Bさんが不調かもしれないと、今朝からの一連の流れを伝えた。上司はすぐにBさんのもとに話を聞きに行き、しばらく話した後に、急遽病院へ診断を受けにいくこととなった。昼のBさんの様子を受け、Bさんに何かがあるかもしれない!と、いつも以上に仕事をスピーディに終わらせていたAさんは、Bさんの代わりに、Bさんがやるはずだった業務をこなした。
Bさんの診断結果は、インフルエンザだった。社内で広まる可能性もあったが、Aさんの観察力と行動力のおかげで、事無きを得たのだ。加えて、Bさんの業務まで巻き取ったAさんの柔軟性を見て、上司は高く評価せざるを得なかった。
優れた観察力から「チームメンバーの不調」に気がつき、上司へ早めの報告をしたこと。加えて、Bさんの業務を巻き取る準備もしていたこと。Aさんの高い柔軟性は疑う余地がありません。
これら一連の能力は、チームを第一に考え、受け身にならず、リーダーの補佐をするフォロワーシップでもあります。フォロワーシップの7項目は以下。
①意見・アイデアを積極的に伝える
②雑務でもきちんとこなす
③報連相を怠らない
④上司が完璧でないことを理解している
⑤上司の最終決定を支持する
⑥前向きな姿勢を貫く
⑦チームの未来を考えている
Aさんはフォロワーシップが高いです。柔軟性を発揮するためには、フォロワーシップを学ぶ方法がおすすめです。
7つのフォロワーシップをさらに細かく解説している以下の関連記事をご覧ください。
関連感情コントロール力を磨く
定時目前、上司から緊急で業務の依頼があった。AさんとDさんの対応を比べてみましょう。
定時30分前、一日の業務を終えたAさんは次の日の準備を始めた。隣にいたDさんもAさんと同じ業務を任されているが、まだ終わっていないようだった。そこに突然、上司が現れた。「AさんとDさん。突然で大変申し訳ないんだけど、営業資料の作成手伝ってくれないか?社長から急な納期変更があったんだ。」
「かしこまりました…。」明らかに不機嫌そうなDさん。表情や口調に、上司は申し訳なさそうだった。対するAさん、実は退社後に予定があって前向きではなかった。それでもすぐに切り替え、すぐに終わらせてやろう。スピーディに仕事をこなす練習になるかも。スキルアップにつながるな。あと、いつも冷静な上司が焦っている。上からの圧を受けているんだろうな。ここは、フォローに入るべきだ。と考え、「かしこまりました!他に何か手伝えることはありますでしょうか?」と返事をした。
Aさんの姿勢に関心をした上司は、Aさんに対して積極的に新しい仕事のチャンスを与えるようになった。
上司からの急な依頼に対するAさんの反応で際立っていたのは、即座の感情コントロール力ではないでしょうか。切り替えができなかったら、柔軟な対応はできなかったかもしれません。
自分と他者の感情を正しく認識し、適切なコントロールができる能力を「EQ」と呼びます。EQを鍛える7つの方法は以下の通り。
・聴く姿勢を意識する
・相手の良い部分を認める
・1日の行動と感情を書き出す
・嘘をつかない
・感謝をする
・幸せを感じるモノ/コトに触れる
・許しが「人間的な成長」だと思う
さらに詳しい解説は以下の関連記事をご覧ください。
関連柔軟性を持つために軸を作ろう
「柔軟性」と「軸」。正反対に思えますが、軸があるからこそ臨機応変な対応も「振り回される」ではなく、「計画とは違うけれど、目標に向かうためには大事なプロセスだ」と主体的になるのです。
あなたの「働く意味」はなんですか?「働く意味」が明確になることで、仕事やキャリアで予想外なことが起こっても、「私にとっての働く意味はこれだ。それは変わらない」と冷静になり、柔軟性を発揮できるでしょう。
アメリカの教育学者ドナルド・E・スーパーによる、働く意味の例はこちら。
❶能力の活用
-自分の能力を発揮できること
❷達成
-良い結果が生まれたという実感
❸美的追求
-美しいものを創りだせること
❹愛他性
-人の役に立てること
❺自律性
-自律できること
❻創造性
-新しいものや考え方を創りだせること
❼経済的価値
-たくさんのお金を稼ぎ、高水準の生活を送れること
❽ライフスタイル
-自分の望むペース、生活ができること
❾身体的活動
-身体を動かす機会が持てること
❿社会的評価
-社会に仕事の成果を認めてもらえること
⓫危険性、冒険性
-わくわくするような体験ができること
⓬社会的交流性
-いろいろな人と接点を持ちながら仕事ができること
⓭多様性
-多様な活動ができること
⓮環境
-仕事環境が心地よいこと
この中から共感するもの、反対に「このためには働けない!」を分けて、あなたの「働く意味」を見つけていきましょう。
“働く意味”って何?自分流の”なぜ働くのか”を探す方法【書籍・名言】
柔軟性が裏目にであることもある
柔軟性は「周りに合わせる」ことではありません。「変化に対する臨機応変な対応」です。この点をはき違えてはいけません。
就職や転職時に、柔軟性を周りに合わせた対応だと理解したままアピールしてしまうと、「受け身の姿勢だ」と取られることもあるので注意が必要です。
柔軟性と、積極性は共存します。本記事で紹介した事例を踏まえると、柔軟性があるからこそ、積極性が発揮されることが理解できるでしょう。