新型コロナウイルスの感染拡大を機に、Web採用を取り入れる企業が増加しています。
突然の採用方法の変化に、「Webだけで判断できるの?」「対面とは選考基準が変わるの?」と戸惑いを覚える学生も多いはず。しかしその不安を抱えているのは、企業も同じです。
今回はそんな悩みに答えるべく、Web採用を取り入れている4社の人事にお集まりいただき、Web採用について語りつくしていただきました!
慣れないWeb採用を乗り切るヒントを見つけていきましょう。
目次
対談参加企業様のご紹介
①名前
※五十音順
②業界
③会社規模
④web面接を選考フローのどこで取り入れているのか
⑤Web採用の導入時期
①株式会社エスケーホーム 鹿島 賢太郎 さん
②不動産
③80人
④会社説明会・1次選考
⑤2020年3月から、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため
①株式会社エージェント 樽磨 篤嗣 さん
②人材サービス
③300人
④2020年4月の緊急事態宣言以降は、会社説明会から最終選考までのすべてをWebで実施
⑤面接は2018,19年から、地方・海外の学生に対応するため
会社説明会は2019年から
①株式会社ピアズ 末廣 樹理菜 さん
②コンサルティング
③80人
④全て
⑤2020年4月から、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため
①Retty株式会社 大森 美奈 さん
②グルメサービス
③100人
④全て
⑤2011,12年から。創業時から地方の学生とインターンや選考で関わることが多かったため
Web採用のメリット・デメリット
初めてのWeb説明会・面接だとどんなトラブルが起こるか想像できず、「どう準備したら良いのか」わからない学生も多いと思います。実際に今までにWeb選考でトラブルはありましたか?
大森さん:トラブルは特にありません。インターネット環境が悪くて入れないことはたまにありますが、その時は他の日程に変えるなどで対応しています。
家のインターネットの調子がたまたま悪くなることは社員でも経験がありますし、インターネット環境が何に耐えられるのか、はやってみないとわからないですよね。
末廣さん:事前準備が不足していて当日に出席できなくなるトラブルがありました。事前のご案内で「タブレット/PC推奨」「環境テスト必須」など、チェック項目をお送りしてはいるものの、当日直前に入って「繋がりません」という方もいらっしゃるんです。
せめて前日でも良いので、試しておいていただきたいですね。
Web選考特有だと思うのが、時間ギリギリに入ってくる方が多いこと。来社される時は10~5分前に余裕を持つ方がほとんどですが、Web説明会だと「時間ぴったり」「1~2分遅刻」の方が多いので、時間が守れなくなっているのでは、と思います。
人事側の理解、そして学生は前日準備や早めのスタンバイが必要ですね。
Web選考のメリットはどこにあるとお考えですか?
鹿島さん:弊社は、1次選考を対面でのグループディスカッションからWeb個人面談に変更したので、1人1人と向き合う時間が増えました。グループディスカッションだと、どうしても見きれない部分があるんですよね。
樽磨さん:就活生にとって大きな「距離」「時間」「お金」の問題を解決できるところですね。機会が平等になるので、地方にいても「この会社の選考を受けられない」「情報に格差がある」という状態を防げるのではないでしょうか。
企業側としては、説明会に参加してくれる学生が増えたのがメリットです。Webだとハードルが下がるのだと思います。
末廣さん:私も雨の日や午前中の説明会の出席率が上がっていると感じます。
あとは地方の学生も、都内の学生と同じペースで選考を進められるのはメリットですね。今まで地方の学生に関しては上京してくるタイミングに合わせていたので、どうしても選考と選考の間が空いてしまったんです。
大森さん:オンラインだと、15分や20分の短時間の面談もお願いしやすくなりました。
エントリー前に軽く会社の説明をする面談や、選考中の学生のフォロー面談の際、わざわざ来社してもらうのも申し訳ないけどお話したい時に、気軽に「最近どうですか?」などとお話できるのは、大きなメリットです。
Web採用の”限界”とは
選択肢が広がり、気軽に企業と連絡がとれてメリットばかりのように感じるWeb採用。
一方で「どうしてもWeb採用のみではわからない…」と限界を感じる部分はありますか?
末廣さん:対面の面接では熱意やポテンシャルを瞳や目力から感じ取ることも多いのですが、Webでは目を合わせることができないことが惜しいと感じます。カメラを見ても、画面を見てもお互いの目を見て話すということができないので、ここには限界を感じますね。
大森さん:”限界”と言うほどは感じていないです。
ただ末廣さんがおっしゃったような目線でいうと、例えば座談会で複数社員との交流の際、対面だと目線で「この人の話に興味があるなら、次はこういう人と話してもらおう」と考えます。
しかしオンラインだと目線が追えないので、学生がどんな話に興味を持っているかがわかりづらいですね。
あとはこれまでのインターンでは、オフィスで機器を手配してRettyのデータを元に実際の業務に取り組んでいただいていました。リモートだとセキュリティの問題で、同様の内容での実施は難しくなっています。
鹿島さん:Web採用の導入を始めたばかりなので、正直対面と比べて表情やジェスチャーなど伝わりづらい部分が多いです。対面の時よりも慎重に判断していますね。
ただ意外と言葉だけでも伝わるので、そういう方は良い印象を持ちます。
樽磨さん:Webだと学生の雰囲気がわかりづらいですね。雰囲気は視覚的な情報が多いので。身長や体形などは選考基準では全くありませんが、実際に会って印象ががらっと変わることもあります。
学生としても、企業の雰囲気や文化が対面よりわかりづらくなるのではと思います。
Web採用での取り組み
そのようなWeb選考で感じる限界について、どのように対処されていますか?
末廣さん:選考の間に面談を行うなど、コミュニケーション量を増やしています。先ほど大森さんがおっしゃったように、オンラインだと短い面談をとりやすいんですよね。
実際学生からも、「選考以外で気軽にお話ができる」と良い反応をいただいています。
大森さん:インターン実施に伴うセキュリティや機器手配の問題は即時の解決は難しいので、別の形で仕事を体験できるような、これまでとは異なるインターンを設計中です。22卒の夏秋インターンでは、セキュリティや機器のスペックが 関係ない課題を用意できたらと思っています。
鹿島さん:会社案内動画を作成し、座談会も開催しています。
会社案内の動画は、オフィスの入口から職場を映して、「どんな人が働いているか」わかるような内容です。座談会では、1次選考を通った方に社員数名のプロフィールを送り、興味ある社員とオンラインでお話をする機会を作っています。
不動産業界ではこのような取り組みをする企業が少ないので、「企業の雰囲気がわかりやすいです」と好評の声をいただきました。
樽磨さん:3つほど取り組みを行っていて、1つ目は面接中にWebカメラを面接室だけでなく執務室に持って行き、いろいろな角度から会社や人事の雰囲気が伝わるようにしています。
2つ目は事前事後連絡を増やすこと。「明日は面接お願いいたします」「選考ありがとうございました」など綿密なコミュニケーションをとることで、他社との差別化ができるのではないかと思います。
3つ目は、採用サイトの活用です。選考以外でも与える情報を増やして会社のストーリーを作るのが、大事なポイントだと思います。
学生も企業も、Web選考ではより能動的なコミュニケーションが求められそうですね。
Webだとわかりづらい点を補うため、Webと対面では質問内容や評価ポイントは変わるのでしょうか。
全員:特に変えていないです。
樽磨さん:ただ今後選考以外の電話・メールの質やスピードが重視されるのでは、と思っています。対面だと受付での挨拶や説明会での姿勢などが見れますが、オンラインだとそれがないので。
末廣さん:イヤフォンをしているので、無意識に声量や声の圧でその人の情報を感じ取っている気がします。特別評価基準にしているわけではないですが、Webだと対面より視覚情報が少ない分、聴覚で補っている形ですね。
電話やメール、声など選考以外でもあらゆる方法で表現が可能なんですね。
学生側が得られる情報を増やすため、採用活動にSNSやブログなどを活用していますか?
鹿島さん:Twitter運用を行っています。フォロワー数が多いわけではないですが、学生からお問い合わせが何件もくるので可能性を感じますね。
末廣さん:弊社はスキルや学歴ではなく「価値観採用(理念やビジョンへの共感)」を重視しているので、Twitterに力を入れていますね。Twitterの「フォローした人しかタイムラインに現れない」という特徴を活かし、「フォローしてくださっている≒そもそも価値観への共感度が高い」と考えています。
実際、Twitterから何名か選考に進んでいますがマッチ度が高いと実感しています。
樽磨さん:弊社では採用ブログを強化しています。選考+αの情報として学生や選考フローに合わせて、その時必要としていそうな情報が書かれた記事を送ることも。
その甲斐あってか選考後半まで通られた方は「見てます」と言ってくださる方が多いですね。
Web採用だと人事以外と会う機会が少ない分、SNSや採用ブログは他の社員を知る貴重な情報源ですね。より価値観が理解できそうです。
最終選考までWeb選考はアリ?ナシ?
これまでWeb選考のみで内定を出した経験のあるエージェントさんとRettyさんに質問です。
一回も会わずに内定を出すことについて、懸念点などはなかったのでしょうか。
樽磨さん:やはり大きいのが「雰囲気がわからない」という問題だと思うんですね。ただそれはコミュニケーション量次第で乗り越えられると思っています。実際にWeb選考のみで採用した内定承諾者からも「コミュニケーションの質も量も良くて、会わなくてもイメージがつきました」という声もありました。
例えばスキルに関しては、プレゼンなどアウトプットを選考に入れています。マインド面では、幼少期の思い出など価値観を形成する体験のヒアリングを工夫して、懸念点を払拭しています。
ただ、最終選考もWebで行ったのは21卒が初めて。入社してどうなるのかは正直まだわからないです。
大森さん:弊社でもこれまでWeb選考を行った方に入社までには必ずお会いしていますが、会った時の雰囲気で合格・不合格が決まることはないです。「会わないとわからない」と思う場合は内定を出さないと思います。
Web選考のみで内定を出す/出さないは、”会社側の採用要件をどれだけ具体化できているか”が大事なのではないでしょうか。弊社では選考基準がしっかりと言語化されているので、オンラインと相性が良いのだと思います。
ただ、それは職種によって異なる可能性も。例えば営業だと会った時の印象で”売れる/売れない”のカリスマ性がわかることもあるので、Webのみだと難しいかもしれないですね。
「どんな人を求めているか」は会社の方針に直結しますもんね。選考方法を知ることも企業分析の1つになりそうです。
ピアズさんとエスケーホームさんは、これからWeb選考のみで内定をお出しすることは考えられていますか?
末廣さん:Web選考のみでの内定出しも考えています。緊急事態宣言明けを待ってしまうと、学生は他の企業との面接や授業、バイトなど忙しくなってしまうと思うんですよね。
内定を出してからでも「ピアズで働くかどうか」考え直すきっかけがあっても良いと思うので、とにかく「一緒に働きたい」と思う方がいたら内定を出します。
鹿島さん:最終選考をWebにする予定は今のところないですね。「採用したら終わり」ではないのでミスマッチが起きないか不安、というのもありますが、一番は学生にしっかりと見極めてほしいから。
弊社の代表も「学生と対面でしっかりと話したい」との方針なので、異例事態関係なく焦らず学生と向き合っていきます。
Web/対面関係なく、「この会社で働きたいか」が就活では一番大事ですね。
就活生へのメッセージ
最後に、就活生にメッセージをお願いします!
大森さん:ぜひ自分が一番苦しくない方法で、就職活動を乗り切ってください。就活中は誰かと比べたり、人からの評価が気になったり、自分で自分を追い詰めることが多いですよね。自分の心と、健康を優先して就職活動をしてほしいと思います。
鹿島さん:「適応力」を大事にしてほしいです。時代がどんどん変化していて、この先どうなるかもわからないので。「会社に迎え入れてもらう」ではなく、「自分が会社に入っていく」という姿勢が良いですね。
末廣さん:就活は人生において大事な岐路でもあるので、自分の人生に向き合って進路を決めていただければと思います。その覚悟を決めきるために、「自分がどうありたいのか」「どんな時にやりがいを感じるか」「どんな時に幸せか」を探れば、その覚悟を決めきれるのではないでしょうか。
樽磨さん:就活はわからないことが多く、不安ですよね。ビジネスも正解がわからず曖昧なまま進むことが基本なので、「良いトレーニングだな」とポジティブに考えていただきたいです。
人事目線の希望としては、「一緒にこの会社を創っていきたい」と能動的な学生が理想的だと思っています。
未来は可能性に満ちています。自分自身の可能性を信じて、ワクワクする道を選択しましょう!
ありがとうございました!
学生はWeb面接で内定承諾はアリなのか?
4社の人事にお話を伺いましたが、実際学生は突然のWeb選考をどう感じているのでしょうか。
既にWeb選考を経て内定承諾をしたお2人にインタビューしてきました。
・どんな会社だと内定承諾したくなるのか?
・Web選考だからこそ重視する点とは?
必読です。
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