2015年の流行語大賞にもノミネートされた”オワハラ”、正式名称「就活終われハラスメント」。これは企業が就活生に対して、就活を無理やり終わらせようとするハラスメントです。
学生以外にはあまりなじみのない言葉かもしれませんが、社会人の方にもぜひ知ってほしいオワハラの実態。無意識のうちに加害者になることや、転職活動で被害者になる可能性もあるのです。子供が被害にあう可能性もあるでしょう。
オワハラとはなんなのか、そしてその対策方法を紹介します。就活中やこれから就活する学生はもちろん、社会人の方も必見です。
目次
就活終われハラスメント、オワハラとは
就活終われハラスメント、通称オワハラは企業が学生に就活を終わらせることを強要するハラスメントです。
企業側が就活生に対し、自社に来てほしいがために甘い言葉をかけたりプレッシャーをかけたりして、就活を終わらせることを強要する行為を指します。
優秀な人材を獲得したいのはどの企業も同じ。
しかしその思いが強いあまりに、内定を出すことを条件に他社の内定辞退を強要したり、就活を終わらせるように迫ったりして、結果的にハラスメント(嫌がらせ)行為に及んでしまうのです。
このオワハラは2015年、NPO法人DSS(大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会 代表 辻太一朗氏)の小林史明衆議院議員がYouTubeに投稿した動画で話題になりました。
オワハラは企業と学生、そして誰もが持っている職業選択の自由を奪います。
オワハラが起こったきっかけ
オワハラ自体は昔から存在しましたが、問題視されるきっかけとなったのが2016年度の新卒採用時期の変更です。この年、それまで4月1日解禁だった学生たちの就職活動が、政府要請を受けた経団連の方針により、8月1日へと大きく変更しました。
政府は就職活動によって学生の学習時間が削られることを懸念し、就活時期を後ろ倒しするように経団連に指示。経団連は選考解禁を8月1日にするように呼びかけましたがそれに法的拘束力はなく、従うかどうかは企業に委ねられました。
その結果経団連に加盟している大手企業はそれに従い夏から、それ以外の中小やベンチャー企業は変わらずに春から選考を行う事態に。企業によって採用スケジュールがバラバラの状態ができあがり、就職活動は長期化することになりました。
これらにより、「先に見つけた優秀な人材をとられたくない中小・ベンチャー企業」「他の大手に奪われたくない/中小・ベンチャー企業から奪いたい大手企業」によってオワハラが増加したのです。
オワハラの具体例
では、具体的にどのような行為がオワハラに当たるのでしょうか。
参考:DIAMOND online この夏、就活生に軽蔑された「企業のオワハラ」事例集
交渉型オワハラ
これは内定を出す前に行われるオワハラです。
「内定をあげるから、他の選考をすべて断れ」
「この場で他社の内定を断らなければ、内定は出さない」
このように内定を出すことを条件に他社の選考や内定を辞退させ、縛り付けるのです。
就活生にとって内定は何よりも欲しいもの。「はやく辛い就活を終わらせたい」「遊びたい」と内定欲しさに目がくらんで、オワハラをする企業の言いなりになってしまうのです。
日程束縛型オワハラ
内定を出した後に頻繁に内定者研修を設定したり、内定者合宿を行ったりして、内定者に他の企業の選考をする余裕を与えないタイプのオワハラ。
信じられないかもしれませんが、以下のような経験をしている学生が実際にいます。
「(大手企業が選考解禁の)8月1日から1週間、内定者研修を入れられた」
「スケジュール帳を見せろと言われ、見せたら他社選考のところにすべて予定を入れられた」
「やっと内定をもらったのに、研修を断ったら内定を取り消されるんじゃないか」と怖くなり、他の志望度が高い企業の選考があるのにも関わらず研修を優先してしまう学生も少なくないのです。
同情型オワハラ
日程束縛型オワハラと似ているのが、同情型オワハラ。懇親会や食事会、レクリエーションなどを頻繁に開催し、内定者と心理的な結束をつくり辞退させにくくします。
「私にこんなにしてくれるんだから、この会社に入らなきゃ」
「こんな豪華なご飯を奢ってもらったから、裏切れない」
このように内定者を囲い込むのです。
脅迫型オワハラ
内定辞退後、行われる可能性があるのが脅迫型オワハラです。
「内定を辞退するなら、土下座しろ」
「君が内定を辞退するなら、もう君の学校の人には今後内定を出さない」
と内定を辞退したとたん態度を変え、辞退させないように脅してくる行為がこのタイプに当たります。
内定に法的拘束力はないのにも関わらず企業にそのような脅迫をされてしまうと、学生は「自分が悪いことをしているんだ」と思い従ってしまうのです。
オワハラの対策
オワハラによって社会人としての第一歩を台無しにしないための対策方法を紹介します。
オワハラを覚悟しておく
まず大切なのが、オワハラはいつでも誰にでも起こり得るものだと覚悟しておくことです。
企業が優秀な人材を確保していたいと思うのは当たり前。いつ自分がオワハラの被害にあったとしても冷静に対応できるように、シミュレーションしておきましょう。
・「内定をあげるから、他社の選考を辞退しろ」と言われたらどう答えるか
・オワハラされても行きたい企業なのか
・どの企業に一番行きたいのか
・どの企業の選考が終わるまで就活を続けたいのか
これらのことを事前に明確にしておくのです。それも自己分析の1つ。オワハラされても揺るがない、強い意志を持つことが大切です。
過剰に反応しない
もしオワハラの被害にあったら、過剰に反応しすぎず冷静に対応しましょう。
オワハラの被害にあうという事は、それだけあなたが優秀だということ。また、その会社はオワハラをしなければ人材が獲得できないブラック企業の可能性もあります。
何を言われても強い意志をもって「納得いくまで就活を続けさせてください」「第一企業の選考が終わるまで待ってください」と堂々と伝えましょう。
もしそれで落とされてしまっても、あなたに非はありません。優秀なあなたが認められる場所は他に必ずあるはずです。「そんな企業こっちから願い下げだ!」と気持ちを切り替えて、次の選考に臨みましょう。
オワハラする企業が良い企業だとは言えません。筆者自身、最終的に自分の就活を最後までサポートして見守ってくれた企業を選び、満足いく就職活動をすることができました。
内定が1つもないと焦ってしまう気持ちは分かりますが、あなたの人生、”就職”がすべてではありません。
相談する
どうしても自分では解決できない。
暴力を振るわれた。
気持ちが切り替えられない。
そういう場合は先輩や友達、家族、大学のキャリアセンターに相談しましょう。知っている人だと話しづらい場合は、外部の相談窓口もあります。
話すことで気持ちがスッキリしたり、なにか客観的なアドバイスがもらえたり、そのオワハラをする企業の立場が上の人にかけあってくれたりするかもしれません。
オワハラは、脅迫罪や強要罪、不法行為責任に問われるケースがあります。最悪の場合、法的に訴えることもできるのです。
【外部の相談窓口】
就活ハラスメント無料相談ホットライン【就活セクハラ・オワハラ】
オワハラ以外にも!あなたはいくつ知ってる?職場で起こり得るハラスメント
オワハラ以外にも、職場ではさまざまな種類のハラスメントが起こり得ます。例えば以下のハラスメントを知っていますか?
・ソーシャルハラスメント(ソーハラ)
・レイシャルハラスメント(レイハラ)
・カラオケハラスメント(カラハラ)
・ハラスメントハラスメント(ハラハラ)
「自分は大丈夫」と思っていても、知識不足だと被害者にも加害者にもなる可能性が高まります。被害者、そして加害者にならないように、以下の記事をぜひチェックしてみてください。
関連【ハラスメント大全2022】職場で起こる40種類のハラスメント一覧職場環境の悩みで辛いなら退職代行の利用も検討してみよう
職場環境の悩みに耐えられず会社を辞めたいと思っても「周りに迷惑がかかる」と辞められない人も多いでしょう。そんな人には退職代行がおすすめ。あなたの代わりに会社に退職の意思を伝えてくれるので、気まずい思いをせずにすみます。
・周りの目が気になる人
・なかなか言い出せずに毎日を過ごしている人
・引き止められて辞められない人
・ハラスメントを受けている人
このような人は、退職代行を利用すればスムーズに辞められるでしょう。きっとストレスからも解放されるはずです。
不安な場合は、まずは退職代行サービスに相談してみましょう。 安全に利用できるおすすめの退職代行は「【2022年徹底比較】退職代行おすすめ人気ランキング29選」の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。