キャリアドリフトとは?26個の節目・即実践可の4ステップ解説【実例・理論】

キャリアドリフト

キャリアドリフトとは、キャリアを歩む上で「偶然の出来事を柔軟に受け止め、その状況に抗うことなく、あえて”流されてみる”ことも大切である」こと。

 

加えて、「偶然に流されるだけでなく、節目ではきちんと方向付けをする必要がある」という考え方です。

 

変化に柔軟でありつつも、大事なポイントでは自らの意志で舵を切れる。そんなキャリアを築ければ、誰もが納得できる人生を歩めるのではないでしょうか?

 

読んでほしい人

  • このままでは不安だと感じている人
  • キャリアの目標が持てない人
  • 自分に自信が持てない人

目次

キャリアドリフトとは?意味・定義・理論

キャリアドリフト

キャリアドリフトとは、キャリアづくりにおいて”柔軟性を大切にすべきだ”とする考え方です(神戸大学大学院の金井教授が提唱したキャリア理論)。具体的なポイントは二つあります。

❶偶然の出来事を柔軟に受け止め、その状況に抗うことなく、あえて”流されてみる”ことも大切である

❷偶然に流されるだけでなく、節目ではきちんと方向付けをする必要がある

簡単にまとめると、

節目と節目の間では偶然を大切にし、あれこれ考えすぎず目の前のことに集中してみよう。

 

しかし、節目に限っては、きちんと自分で方向付けをすること。何が大切なのか?何が好きなのか?何が得意なのか?深く内省し、本当の想いを探るべきタイミングもある。

ということです。

 

提唱した金井教授によると、「職業人生は、キャリアドリフトとキャリアデザインの繰り返し」だとも説明しています。

◆キャリアドリフト
=あえて流される


◆キャリアデザイン
=きちんと方向付けをする

あれこれ考えすぎず、あえて流されてみるキャリアドリフトの期間と、きちんと方向付けをするべきキャリアデザインの期間。二つのタイミングを見極めることこそが、理想のキャリアを歩む秘訣なのです。

キャリアの節目一覧【具体例】

キャリアドリフト

キャリアドリフトの理論で説明される「節目」とは、いったいどのようなタイミングなのでしょうか?節目には、意図的につくり出せる節目と、意図せず生まれる節目があります。一覧化してみました。

意図的につくり出せる「節目」
・異動希望を出す
・留学をする
・移住する
・起業する
・転職活動を始める
・結婚する
・離婚する
・子どもを授かる
・家を購入する
・旅に出る
・ボランティアをする
・影響力の大きな人に出会う
・強烈な印象を残す書籍を読む
・イベント/セミナーに参加する

 

意図せず生まれる「節目」
・大きく健康を損なう
・上司が変わる
・転勤を命じられる
・昇格する
・降格する
・業務が大きく変わる
・家族が亡くなる
・宝くじが当たる
・事故に遭う
・天災に遭う
・スカウトされる
・予期せぬ自分の適性を知る

これらの節目は全て、あとから振り返ったときに「いま思えば、あの時のあれが転機だったんだなぁ」と思える出来事かもしれません。

 

そう考えると、どんな出来事も節目になり得ます。そのままキャリアドリフトの理論に従うと、全てのタイミングで方向付けをしなければいけません。それでは度々迷うことになり、疲れてしまうでしょう。

 

そこで大事になるのは、「自分にとって大事なものを失うリスクがあるかどうか」の判断基準です。

 

例えば、家族の健康状態が悪くなり、看病をする必要が生まれれば、在宅ワークや短時間勤務を優先した職業選択をするでしょう。そのとき、看病ができなくなるような選択は取れません。

 

また、自分のキャリアにおける揺るぎない指針(ex:誰にでもチャンスのある社会をつくりたい)に大きく逸れた仕事のスカウトをもらっても、断る可能性は高いはずです。

キャリアドリフトの4STEP

キャリアドリフト

キャリアドリフトを提唱した金井教授によると、キャリアドリフトを実行するためには4つのSTEPを歩む必要があります。

❶キャリアに方向感覚を持つ

一生かかってもそれに近づきたい、実現したいと思う、息の長い夢です。同時に、さまざまなきっかけや理由で生まれる数年のスパンで、ぜひ実現したいという目標や夢もありますね。こうした短めの目標や夢は、節目のたびに修正、見直しを行います。

引用:新R25『映画の主人公も、“使命”には途中で気付く。やりたいことがない人のための転職入門』

方向付けには、必ずしも、「長期的に成し遂げたいこと」を見つけ出す必要はありません。「やりたいこと」ではなく、「どんな人でいたいか、どんな状態でいたいか」でも構わないことを知っておきましょう。

 

※「やりたいこと」があるのは1%程度、一握りの人

 

また、方向付けをする方法には、自分の好き・嫌いを見つけ出す方法もあります。

①幼少期に夢中になっていたことを思い出す
②長時間できることを考えてみる
③人より簡単にこなせることを考えてみる
④周りに”自分の良いところ”を尋ねてみる
⑤嫌いなこと洗い出してみる
⑥新しいことに挑戦する

上記6つの方法を解説している目標がない人はダメなの?をご覧ください。

❷節目だけはキャリアデザインする

自分で選び取ったという感覚をしっかり持つことです。さまざまな人からいろんなアドバイスや選択肢を示されたとしても、最後は自己選択、自己決定したという自覚を持っていることが、キャリアを主体的に切り開いていくことにつながります。

引用:ITmedhia『金井壽宏教授が提唱する「節目」のキャリア論』

何かを選択をする際には、“自らの意志が反映されているかどうか”が重要になります。それが、自ら方向付けをするということです。

 

人間は、他の人の意見に流されてしまう心理的な働きを持っています。(社会的証明)。行列に並ぶことも、流行りのタピオカを飲むことも一つの例です。

 

周りに振り回されてしまうと、「自分の本当の気持ち」を閉じ込めてしまうことを覚えておかなければいけません。

尊敬する人が言っていたから
友人が言っていたから
ネットで有名な人が言っていたから
いつも見ているメディアに書いてあったから

こういった理由だけで物事を判断してしまうと、そこに自分の意志は存在していないことになります。何よりも、自分の頭で考えるステップを組み込むようにしましょう。

 

 

周りの情報に鵜呑みにされないリテラシーを鍛える方法は、ネットリテラシーが低いとなぜ危険?3種の鍛える方法・意味【検定・診断】内で記載しています。

❸アクションを起こす

進むべき道を選び取ったら、しばらくはより大きなエネルギーと努力を投入して元気良く力強く歩いていく。特に20代のころは、お試し的にさまざまな仕事にチャレンジすることが必要ですが、ちょっとかじったくらいで簡単にあきらめてはいけません。ある一定以上の時間と労力、すなわちMER(最低必要努力投入量)を超えないと明確な成果は得られませんし、自分の適性、能力を発見・開発することができないことを肝に銘じておきましょう。

引用:ITmedhia『金井壽宏教授が提唱する「節目」のキャリア論』

一定の時間と労力を注ぎ込むことで初めて、目に見えた成果が生まれる事実を知っておきましょう。ここでは、「やってみなければ、何が起こるかわからない」精神、「逆境に屈せず、あきらめない」精神が大切になります。

❹ドリフトも偶然も楽しみながら取り込む

キャリア・ドリフトを強調されるのは、そもそも何もかも詳細に計画しようとすると息が詰まるからだそうです。デザインがなければただ流されるだけですが、デザインだけでは自由がない。車のハンドルに「遊び」があるように、ある程度自由の余地を残しておき、「未見の我」(まだ自分の知らない自分の隠された可能性)との出会いをワクワクしながら待ってみたらどうでしょうか。

引用:ITmedhia『金井壽宏教授が提唱する「節目」のキャリア論』

偶然を楽しむ姿勢には以下のような例が挙げられます。

・唯一無二の仕事を見つけようとしない
・先が見えないことを不安に思い過ぎない
・選択肢を絞りすぎず、オープンに構えている
・想定外の出来事を前向きに捉える姿勢がある
・目の前のことに集中している

スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱したキャリア論、”計画された偶発性理論”でも、偶然を楽しむ姿勢の重要性が強調されています。

「キャリアは100%意のままにコントロールできない。8割は偶然の出来事によって決定されている」

この理論では、上手く偶然を取り込むための5つの要素として、好奇心・持続性・楽観性・柔軟性・冒険心を挙げています。

キャリアドリフトを理解すれば、目の前のことに集中できる

キャリアドリフト

キャリアドリフトは、流されるだけの「受け身」ではなく、変化を主体的に「受け止め、楽しむ姿勢」を持つことの重要性を説いています。

 

これは簡単に言い換えると、あれこれ考え悩み、行動を起こせず立ち止まるのではないこと。目の前のことをポジティブに捉え、自分を信じて突き進もうとする前向きな精神を持とう!ということではないでしょうか。

 

VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)時代とよばれる今、すぐ先の未来でさえ、誰も予想ができません。計画通りにいかないのは当たり前。これまで以上に、予想外が生まれることは確実です。これは、正解なんて誰もわからないことを意味しています。

 

そこで、問われてくるのは、変化に素早く適応する力。言い換えると、キャリアドリフトが提唱する通り、変化を受け止め、楽しむ姿勢を保つ力です。キャリアドリフトを体現すればするほど、未来を生き抜ける可能性が高まるのではないでしょうか。

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