40代の転職は厳しいと言われますね。しかし厳しいという現実があっても、成功している人がいるのも事実。
40代の転職の実態を紐解き、厳しいと言われる理由を探ってみましょう。40代の転職を本気で考えている人に、失敗しない転職のコツを紹介します。
目次
40代転職の実態
実際に40代で転職を考える人の実態をみてみましょう。
40代の転職・採用の理由
厚生労働省が行った調査によると40代前半で転職を考えた理由として最も多く挙げられたのは「労働条件が悪かった」ということ。また「職場の人間関係が好ましくなかった」を理由としている人も上位を占めています。
40代ではスキルアップのための転職ではなく、自身の職場環境の改善を求める人が多いようです。
40代を採用した企業の採用理由として最も多かったのは「豊富な経験」。「年齢は関係ない」という回答も多いので、40代という年齢が必ずしも不利な理由にはならないことがわかります。
「定着が期待できる」という回答が多いことから、最後の就職先として期待している一面もうかがえます。
40代転職の成功率
2019年上半期にdodaが行った転職成功者の年齢調査によると、2019年上半期40歳以上の成功者は14.4%。年々増加傾向にあることも事実ですが約85%が失敗しているという現状です。
正社員としての雇用は30代がピーク、40代になるとグッと減るのが実情です。正社員以外の雇用については20代、30代とさほど変わりませんが正社員の雇用に関しては減少しています。
40代の転職後の収入
平成30年の調査によると40代の転職成功者の約60%が前職と同等あるいはそれ以下の年収になると回答しています。40代は増加している人と減少している人の割合を比べるとまだ増加している人の方が多数ですが、50歳以上になると減少している割合の方が上回る結果になっています。
40~44歳:増加41.4%変化なし31.7%減少24.3%(増加-減少17.1%)
45~49歳:増加38.9%変化なし30.7%減少29.5%(増加-減少9.4%)
経験年数による年収の変化をみると、経験年数が上がるほど職種による年収の差が大きいようです。
・営業職では、経験年数0~3年は「300~349万円」、経験年数10年になると「400~449万円」。
・ITエンジニアでは、経験年数0~3年は「300~349万円」、経験年数10年になると「500~549万円」。
年収は同じ会社で培ってきた実績だからこそ。転職先でも通用するスキルが認められれば同じ水準に戻るのは時間がかからないかもしれませんが、一時的な減少は覚悟したほうが良いかもしれません。
参考:厚生労働省『平成 30 年雇用動向調査結果の概況』P.16 表6 転職入職者の賃金変動状況別割合
40代での転職が難しいと言われる理由
特に正社員としての雇用を考えた場合、40代での転職は決して楽なものとは言えません。その理由を企業側と求職者側の両面から深堀りしてみましょう。
企業側の理由
正社員だと給与が高くなる
40代は年齢的にもスキル的にも、20代30代より年収が高くなっていきます。「果たしてその価値はあるのだろうか」「20代を採用して育てた方が良いのでは」、企業側としてはそう考えることでしょう。
20、30代よりポテンシャルが低い
職務能力が同等であれば、若手を採用するでしょう。給与も低くて済みますし、即戦力にはならなくても育てていけるポテンシャルを見出すからです。
例えば未経験の場合、40代よりも20代の方がそのスキルを使える時間が長くポテンシャルがあるので、同じ未経験でも20代を採用するのでしょう。
よく「未経験職種への転職は20代で」って話を耳にしますよね。知識の吸収が早い・周りと溶け込みやすいなどの理由もあるけど、一番は【身につけたスキルを活かせる期間が、若いほど長くなる】から。スロースタートだと、スキルを活かせる期間が短くなる。今が一番若い時、変わりたいなら今すぐ行動!
— 岡本 啓毅|(株)UZUZ(ウズウズ)代表取締役@第二新卒・既卒・フリーターをサポート。 (@okamoto_uzuz) September 18, 2020
固定観念に染まっている可能性がある
40代は社会人経験が長く、ある程度の地位についたことがある人が多いので、今までの実績や前の会社のやり方に固執しているのでは、と思われてしまうことも理由の一つ。
もちろん40代全員が固定観念に染まっているというわけではありませんが、そのような先入観を持つ人も多いでしょう。
転職先の会社で必要としているのは、新天地でもうまくやっていける対応力。その点に問題がないことをうまく伝えられないケースでは採用が難しくなります。
求職者側の理由
転職先へのハードルが高くなる
40代での転職が難しくなるのは転職先に求めるものが多いことも理由の一つ。40代の転職では今までの会社での実績や年収を踏まえて、現状維持あるいはそれ以上の職場環境を求めて転職先を探すでしょう。あるいは家族を養っていく都合でどうしても譲れない条件もあるかもしれません。その条件に見合う転職先を見つけることは簡単とは言えないのです。
過去の経験や実績へのこだわりがある
今までの年収の高さやステイタスにプライドを感じ、こだわっていると転職先も限定されるため転職は難しくなります。例えば前職が大企業で、部下も大勢いた立場の人はその環境に慣れているので、小規模の会社は「ネームバリューがない」「年収が下がる」などの理由で選択肢に入れづらいでしょう。
年齢差に抵抗を感じる
40代で転職すると採用担当や上司が自分より年下というケースも珍しくありません。面接の時に謙虚な姿勢が感じられないと、他の社員とうまくやれないのではと不安がられ採用が難しくなります。
社会人として20年近く働いてきた実績と築き上げた地位があるので、新卒採用の時と同じようにいかないのは当然でしょう。しかし、転職先では「新人」のような謙虚な姿勢や前向きで素直な態度が求められています。
40代で転職を成功させるコツ
40代での転職は難しいものの、成功者が年々増えていることも事実です。転職を成功させるコツを紹介します。
情報収集を徹底する
何より重要なことは情報収集。少しだけ調べて企業を選んでしまうと現実とギャップがあるなるなどうまくいきません。新卒採用とは異なり40代の転職は「会社にどう貢献できるか」がポイントです。複数の情報源を活用し、徹底的に情報を収集しましょう。
企業が求めている人材像やスキル、異業界であっても経験を生かせる可能性はあるので、幅広く情報を入手する必要があります。
市場価値を把握する
あなたのの市場価値も把握しておきましょう。社内での評価だけを自信に活動をしてしまうと他の会社では通用しないことも起こり得ます。
市場価値が高い能力とは、数多くの企業が40代の社員に求める能力。あるいはスペシャリストとなるくらいある能力に秀でていることも、市場価値は高いと言えます。市場価値が高いと思われる要素を把握し、それに沿って自己PRを考えていきましょう。
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自分の価値を把握する
自分の価値を具体的にアピールできるよう、徹底的に自己分析しましょう。
企業にアピールするには自分をよく知っておく必要があります。スキル、マネジメント能力、良好な人間関係を築く力、など自分の価値となるものをできるだけ細かく考えましょう。
自分価値は武器のようなもの。どんな市場価値でもどんなスキルを企業が求めていても、それに合致する自分価値をアピールできるように多様で多量の自分価値を把握しておきましょう。
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人脈を広げる
40 代だからこそできる転職戦略、それが人脈を広げることです。仕事仲間や取引先など、今までの仕事で得た人脈を利用してリファラル採用を狙えます。
リファラル採用は社員に友人や知人を紹介してもらう採用方法のこと。自社の企業理念や文化を理解している社員が、人柄をよく知っている知人を紹介することで、ミスマッチが起こりにくい採用方法です。
・過去に繋がりを持った人とご飯に行ってみる
・イベントなどに出向き、有力になりそうな人と繋がる
・話が盛り上がるようなネタを用意しておく
オンでもオフでも積極的にコミュニケーションを図り、多くの分野に人脈を広げておくことで、転職市場には出ていない情報が入手できるなど有利なことがあるでしょう。
しかし、リファラルだからこそスキルや人間性が評価されないと「紹介したくない」と思われてしまう場合も。「人脈さえあればなんとかなる!」と頼りすぎないようにしましょう。
ストレス耐性を鍛える
転職するにあたり、少なからずのストレスは覚悟しなければなりません。転職という大きな人生のイベントで、体調を崩すことのないよう、日頃からストレスと上手に付き合う方法を見つけておきましょう。
40代は責任のあるポストを任されるだけでなく、部下の育成にも尽力し、広い視野と許容力が求められます。チーム全体に気を配り仕事をするのでストレスが溜まりがち。
一方で身体は徐々に若さを失いつつあるのも事実。ストレスから身体に影響が出やすくなってくる年頃です。
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家族の理解を得る
既に結婚している場合には、転職は自分1人の問題ではありません。転職が決まってから家族から猛反対されてしまうことのないように、家族とよく話し合って理解してもらいましょう。
場合によっては年収がダウン、家計にも影響が出るかもしれません。今後の人生設計を踏まえた転職であることを伝え、家族にも応援してもらいましょう。
転職エージェントに相談する
効率的に転職活動をするなら、転職エージェントに相談がおすすめ。
自分価値や市場価値は自分ひとりで調べ上げるには限界もあるでしょう。転職エージェントに相談すれば、専門家ならではの視点で、市場価値と自分価値のマッチングを分析してくれます。
特に自分価値については他者の視点は参考になります。自分では当たり前のことに思っていても他人から見れば長所となることもあるでしょう。
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