日本の離職率の平均は?離職率の調べ方・離職率の高い業界/低い業界

離職率はその企業に一定期間在籍していた人が離職した割合を指します。

 

離職の理由は転職、結婚や出産、介護などさまざまなため、離職率が高い会社が一概に悪とは言えません。

 

ただ、転職において自分が望む業界の離職率を知ることは、自分のキャリアプランと合っているかを考える上で大切な1つの材料。

 

そこで今回は、転職希望者にぜひ知っておいてほしい、離職率の高い業界・低い業界、離職率の調べ方、計算方法を紹介します。

目次

離職率とは

離職率

 

離職した人の割合を示す離職率。その数値からその業界や企業にどれほどの人が定着したかを読み取ることができます。

離職率の計算方法

まず離職率はどのような計算方法で導き出されるのでしょうか。

 

実は離職率の方法に決められたものはなく、企業や機関によって算出方法が異なっているのが現状です。そのなかでも厚生労働省が厚生労働省が雇用動向調査で使用している計算式は以下の通り。

 

「一定期間内の離職者数」÷「1月1日現在の常用労働者数(年齢階級別は6月末日現在の常用労働者数)」×100

転職においては、公表される各企業の離職率の方が気になるのではないでしょうか。企業で多く採用されている離職率の計算式はこのようになっています。

 

「一定期間中に離職した人数」÷「起算日に在籍していた人数」×100

起算日とは「期間計算の第一日目」のこと。4月1日を期初としている企業では、4月1日を起算日とすることが多くあります。「一定期間」に決まりはなく、一年間とする場合もあれば、3年間で計算することもあるようです。

 

例えば1年前に入社した新入社員の離職率を計算する場合は、以下の計算式となります。

 

「一年前の4月1日~3月31日までの間で退職した人数」÷「一年前の4月1日在籍人数」×100

 

例えば100名の企業で年間20名が辞めた場合・・・

20÷100×100=20%となり、その企業の年間離職率は20%となります。

日本の離職率の平均は?

では、日本における離職率の平均値はどれほどなのでしょう。前述したように、企業が公表する離職率は企業により算出方法が異なるので、ここでは厚生労働省の調査結果を用いて解説します。

 

厚生労働省が発表した2019年の雇用動向調査結果によると、2019年1年間での平均離職率は15.6%。過去3年を見ると次のとおりです。

 

平成30年 14.6%

平成29年 14.9%

平成28年 15.0%

直近ではやや上がっていますが、おおよそ15%程度が平均と言えそうです。

離職率が高いとどんなリスクがあるの?

15%程度が日本の平均年間離職率となっていますが、この平均を上回る離職率の業界・企業があるのも確か。いわゆる「離職率が高い」業界・職場には人が定着しない理由があります。

 

例えば労働環境。過酷な労働、派閥などによる人間関係形成の難しさ、給与の低さといった劣悪な労働環境が原因の場合、転職先としてはリスクが高いと言えるでしょう。

 

ただ「離職率が高い=劣悪な労働環境である」と一概には言えません。女性が多い職場では寿退社や出産での退社によって離職率が高くなる可能性もありますし、スキルを身に付け独立する人が多い業界などもあるでしょう。

 

離職率が高い企業でも、自分にとってはその会社の労働スタイルが合っている可能性もあります。離職率だけで転職先を判断するのはやめましょう。

離職率が高い業界

離職率

 

前述したように労働環境が厳しく離職率が高い業界もあれば、業界の特徴的におのずと離職率が高くなってしまうケースもあります。

 

では実際に離職率が高いとされる業界にはどのようなものがあるのでしょう。厚生労働省の雇用動向調査から見た離職率の高い3つの業界を紹介します。

宿泊業・飲食サービス業

雇用動向調査結果では、宿泊業・飲食サービス業が離職率33.6%とトップとなっています。2019年に限らず、毎年宿泊業・飲食サービス業は離職率が高い傾向です。

 

・土日に休めない

・接客によるストレス

・比較的給与が安い

このようなことが理由でしょう。

 

ただ労働環境だけが理由とも限らず、この業界はアルバイトやパートなど非正規雇用が多く、学生を雇うことも多いもの。そもそも長期的に働くつもりで就職する人が少ないのでしょう。

 

また店舗数が多いため「さまざまな店舗で経験を積みたい」と同じ業界内で店舗を変える人もいます。

生活関連サービス業・娯楽業

続いて多かったのが生活関連サービス業・娯楽業。2019年の雇用動向調査結果では離職率20.5%となっています。

 

生活関連サービス業の例としては、清掃業や家事サービス業。娯楽業の例としてはパチンコ店やアミューズメント業が挙げられるでしょう。

 

これらの業界は肉体労働が多く、高齢になると継続が難しくなる仕事です。また飲食サービス業と同じく、非正規雇用や学生の雇用が多いのも離職率が高い理由のひとつと言えるでしょう。

教育・学習支援業

教師や塾講師、教材開発業などの教育・学習支援業も17.7%と高離職率。

 

教師や塾講師は授業時間以外も学習計画の作成やテスト採点などがあり業務量が多いことで知られています。また、保護者や生徒との関係へのストレスから離職に至るケースも少なくないでしょう。

 

しかし教育・学習支援業には、ピアノ教室講師や英会話教室講師なども含まれます。個人で教室を開いていた人がなんらかの事情で教室を閉じるケースもあるため、一概に労働環境の問題とは言えません。

離職率が低い業界

離職率

 

離職率が平均を大きく上回る業界がある一方で、離職率が低い業界もあります。続いて、離職率が低い3つの業界と人が定着する理由を紹介しましょう。

建設業

離職率が平均を大きく下回ったのが建設業。離職率は9.2%でした。

 

住居やビルを建築したり土木工事を行ったりと、生活の基盤をつくる建設業。インフラ整備に欠かせないこの業界では、常に仕事が発生します。そういった意味では安定が見込める業種と言えるでしょう。

 

スキルアップに伴う昇給アップも反映されやすく、資格取得で手当てがつくことも。「長く働いてスキルやキャリアを積みたい」という人が多いのでしょう。

情報通信業

続いては情報通信業。離職率は9.6%でした。

 

情報通信業に含まれる業種は幅広く、電気通信業、ソフトウェア業、インターネット関連業などいわゆる「IT系」と言われるものから、新聞業、出版業、テレビ・ラジオ番組制作業までも含まれます。

 

激務をイメージする業種も少なくありませんが、情報通信業は大手企業も多く、高給与や福利厚生が充実しているところも多いと考えられます。最新の技術に触れられることも業務に対するモチベーションを高めるのでしょう。

鉱業・採石業・砂利採取業界

鉱業・採石業・砂利採取業界の離職率も11.0%と平均より低め。

 

聞き慣れない業界かもしれませんが、鉱物を掘採・採石する事業所や、掘採した鉱物の品位向上処理を行う事業所などがこれに分類されます。

 

事業内容からもわかるとおり、専門技術を要する業種であるため比較的高給与

 

あまり一般的とは言い難い業種ですが、それゆえにこの業種への就職を決める人はもともと強い興味を抱いており、仕事への思い入れが強いとも考えられます。

離職率の調べ方

離職率

 

転職時に確認しておきたい離職率ですが、企業のホームページ等を確認しても離職率は明記されていないことがほとんど。

 

ではどのような調べ方をすれば、離職率を知ることができるのでしょうか。

転職エージェントに聞く

離職率を調べる際、転職エージェントに聞いてみるのは有効な方法です。

 

転職エージェントにとっては企業への人材紹介だけでなく、企業に紹介した人にできるだけ長く勤めてもらうことも重要。紹介した人材が定着すれば、企業からの信頼も厚くなるからです。

 

そのため各企業の離職率や離職率が高い(もしくは低い)理由を把握し、それに合わせて紹介する人材を選んでいることも多いでしょう。

 

転職エージェントとは?メリット・注意点・選び方【使った方が良いの?】

就職四季報を確認する

「就職四季報」とは東洋経済新報社が発行している就活生向けの企業紹介本。掲載料をもらい企業を紹介する本と異なり、中立な立場で企業を分析し、情報を提示しています。

 

離職率も掲載されている情報の一つ。すべての企業の離職率が掲載されているわけではありませんが、離職率が掲載されていない企業はその企業が情報を開示していない可能性が高く、「会社にとって不都合=印象的に良くない離職率」と推測できます。

ハローワークの求人票で調べる

ハローワークの求人票には直近3年間の採用者数、離職者数が記載されています。計算式を用いれば、そこから離職率を算出することが可能です。

 

ハローワークの求人票で気になる求人を見つけたときはぜひ離職率も調べてみてください。

 

また、その企業がどの程度の頻度で求人を出しているかをハローワークの窓口に聞いてみても良いでしょう。極端に頻度が高い企業は離職率も高いと推測できます。

面接時や会社説明会時に聞く

面接の際や会社説明会の際に直接その企業の採用担当者に聞くという手段もあります。ただし「離職率はどれほどですか?」とストレートに聞くと印象を悪くしてしまう可能性も。

 

「御社で長く働きたいのですが、実際にどのくらいキャリアを積まれている方が多いですか?」

「自分のような中途で入社した方はどれほどいらっしゃいますか?」

このようにさりげなく離職率を量る聞き方がおすすめ。

 

長くキャリアを積んでいる人が多い企業や中途入社の社員が多く働く企業は人が定着していると考えられるでしょう。

まとめ

離職率

 

離職率は転職先を選定するうえでの1つの指針になります。

 

ただ、解説したように離職率だけで企業の良し悪しを量ることはできません。あくまで判断材料の1つという考えのもとで注目してみましょう。

 

転職で悩んでいるなら転職エージェントの利用がおすすめ

 

 

転職エージェントとは、転職を希望している求職者と中途採用活動を行っている企業の間に入り、転職活動をサポートするサービス。

みんきゃり編集部

また転職エージェントを利用すれば、転職に関するさまざまな相談も可能です。転職やキャリア形成のプロに相談することで、慣れない転職活動でも心強くなるでしょう。

 

おすすめの転職エージェントは【2022年徹底比較】転職エージェントおすすめ人気ランキング9選の記事で紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。あなたの希望にあう転職エージェントが見つかるでしょう。

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