【メンターとは】何すればいいの?メンター制度のメンターの役割・メリット・ポイント

メンターとは指導者、助言者を意味する言葉。そしてメンター制度とは、新入社員や若手社員を上司とは別の先輩社員がキャリア形成の助言者となりサポートする制度です。

 

厚生労働省は平成24年度に女性社員の活躍を推進するための「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」を発行し、メンター制度の導入は日本でも注目されています。導入している会社も増えてきているようです。

 

そこで今回は、新しく会社にメンター制度が導入されて詳しく知りたい人や、新入社員のメンターに任命された社員に向けて、メンターの役割やメリット・デメリットを解説します。

 

メンターを行う上で大事なポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次

メンターとは

 

メンターとは元々、ギリシャ時代の賢人「Mentor(メントール)」の名が語源とされています。

 

メントールは王に助言をしたり、王子の教育係を担当したりと良き助言者であり指導者でした。そこから助言者、指導者を意味するようになり、それを受ける人をメンティーと呼ぶようになったのです。

 

現在のメンターはメンティーがキャリア形成上での課題解決を援助し、成長を支援する存在。一方的に指導するのではなく、対話を通してメンティーの職場内の悩みや問題解決をサポートしていきます。

 

メンティー自身がその解決に向けて意思決定して行動できるようになるために、大切な存在なのです。

メンタリング、OJT、コーチング…違いは?

 

メンターと似たような言葉に、メンタリング、OJT、コーチングがありますが、これらはすべて違うもの。何が違うのかそれぞれ詳しく解説します。

メンタリングとの違い

メンタリングとはメンターがメンティーに対して行う1対1の支援全般のこと。面談もメンタリングに含まれます。

OJTとの違い

OJT(On-the-Job Training)とは実業務をしながら効率的に知識や技を教える教育訓練のこと。そのためOJTは同じ部署の先輩や上司が指導役になります。対してメンターは同じ部署の先輩である必要はありません。

コーチングとの違い

コーチングは目標が“プロジェクトの達成”と部分的ですが、メンタリングはより広い“キャリア形成上での成長”を目指しています。そのため知識や技術だけではなく精神面でのサポートも大切になってきます。

メンターの役割

次に、メンター制度においてメンターの役割はどのようなものか、具体的に解説します。

メンティーのモチベーションを維持・向上させる

メンティー自身のモチベーション維持・向上のサポートを行うのがメンターの大きな役割です。メンターとは、メンティーが自分自身のキャリア形成に向かって、自分で考え行動して成長できるように支援する存在。

 

メンティーが自分で考え行動するためには、やる気(モチベーション)が重要。モチベーションがなければ自分を奮い立たせることはできず、失敗したり辛いことがあったりしたら途中で投げ出してしまいます。

 

しかし、自分でモチベーションを維持するのは簡単なことではありません。そこでメンターが悩みを聞いたり、励ましたり、成果を褒めたりしてモチベーションを保つサポートを行うのです。

 

また、メンティーのやる気を維持・向上させるには信頼関係が大切。信頼していない人からの励ましや応援は心に響きませんよね。メンターになったら、まず信頼関係の構築から取り組むことが必要なのです。

メンティーの目的と目標を設定する

メンティーが成長するために目的を設定していくのがメンターの役割です。できればメンティーの口から出た言葉を用いると、メンティー自身に“責任感”と“自主性”が持てて良いでしょう。

 

もしメンティーが目的を理解しきれていない場合、メンターがメンティーとの対話を通して導いてあげましょう。また、目的が決まったら小さな目標も設定すると無理なくメンティーが取り組めます。

目標に対しての行動設計をサポートする

メンティーの目的や目標が設定できたら、計画を一緒に立てていきましょう。メンターは、仕事の経験が浅いメンティーでも無理のない計画なのかを判断しましょう。

 

周りの協力が必要な場合には、メンターが協力してほしい人とメンティーの間に立って仲を取り持ってあげると良いです。

進捗状況を確認し、メンティーに助言する

計画を立てていても、その通りに動くことは仕事に慣れないメンティーにとって容易なことではありません。そのためメンターは都度進捗状況を確認して、メンティーが悩んでいないかヒアリングを行いましょう。

 

メンティーが次の行動に悩んでいる場合、助言することもメンターの役割になってきます。

業務外の悩みごとの相談に乗る

業務外の悩みごとは一見関係のないように思われがちですが、仕事にも影響が出るもの。

 

解決できないとしてもまずはメンティーの話に耳を傾け、寄り添い何か手助けできないか考えるのもメンターの大事な役割です。

メンターになるメリット

 

メンター制度は、メンティーだけにメリットがある訳ではありません。メンター側にも嬉しいメリットがあるのです。

自分のキャリア形成の成長にもなる

メンティーのキャリア形成の成長を支援するのがメンターですが、メンター自身の成長にも繋がります。

 

メンティーとの日々の対話や、面談を通して問題はないか、どうしたら解決できるようになるかなど考えることで、メンターのコミニュケーション力、課題発見・解決能力の向上に繋がるのです。

柔軟な指導力が身につく

合うアドバイスや伝え方は人それぞれ。メンターはメンティーにあわせて支援を行う必要があります。そのため、メンターになると相手にあわせた柔軟な指導力が身につくのです。

 

常に最適解を出して皆を引っ張る人だけが良き指導者ではありません。

 

相手の意見に耳を傾け、一緒に目標を立てて支援できる指導者も必要。そうなるための柔軟に対応できる指導力がメンターになることで次第に身につくのです。

俯瞰的に物事を捉え、冷静に行動できるようになる

メンターはメンティーの視点だけではなく、メンティーが社会・会社に貢献できる人材になるために全体の視点に立って考える必要があります。

 

全体の視点に立って物事を考えるのは普段の業務でも大切なこと。

 

例えば企画を考える時、自分のことだけではなく、受け手の気持ちや社会でどのような役割を果たすか考えることで、発想やアイディアが出やすくなります。このような俯瞰的に物事を考える力がメンターを行うことで身につくのです。

 

また、限られた時間の中で一般の業務と合わせて、メンターの仕事をしなければならないので、仕事の優先順位をつける力も養われます。

チームの大切さを実感できる

メンティーが成長すると、最初は見えなかったゴールも見えてきます。メンティー自身の目標はメンターの目標でもあるので、達成感の共有ができますね。

 

また、できることが増えると目標も高くなりメンティーに覇気が出てきて、それはメンターにも伝わり良い影響を受けます。

 

1人では味わえない仕事の達成感とモチベーションは、チームの大切さを実感するキッカケになるでしょう。

メンターになったときのポイント

 

最後に、実際にメンターになったときに心がけたいポイントを紹介します。

メンター制度の導入の目的を確認する

まず、会社側がなぜメンター制度を取り入れたのか上司や幹部に確認しましょう。メンター制度が導入された場合、メンターが目的を設定する必要はありません。

 

もし目的が“人材育成”だとしても、そこでの成果が部署配属を決める判断材料にもなっていた場合、メンターはそこそこも考えながらサポートすることが大切。また、他の部署の協力が必要になる場合は、事前に幹部に伝えるとスムーズにいきます。

 

会社側の目的を確認しないまま行い、途中で上司の命令という理由でメンティー目標を変えてしまうと、メンティーとの信頼関係も崩れたり、モチベーションが下がったりする可能性があるので注意しましょう。

メンティーを知り、持ち味を活かすことを意識する

役割でも紹介しましたが、メンティーとの信頼関係は大切になってきます。そのためにも最初は時間をつかってメンティーとのコミュニケーションを計りましょう。

 

とは言っても、メンターの時間も限られているので、おすすめは始業前にチェックインを行うことです。

 

チェックインとは元々、会議の冒頭に行われる現在の心境を軽く共有するショートトークを指します。

 

具体的には始業前のメンティーの心境、できるだけ嬉しいことの共有をしてを共有し、その後に今日の一日の業務と懸念点を聞くようにしましょう。

 

チェックインを取り入れることで、メンティーは“心境を共有する”癖がつき、メンターに報告・連絡・相談しやすくなります。

 

また、メンティーの持ち味を活かすようにサポートすることもポイントです。仕事が慣れていない状況だとできないこと・わからないことの方がが多いもの。まずはどんなときでも意見は否定せずメンティーの考えを理由とセットで聞くようにしましょう。

 

また仮に失敗をしたとしても、メンティーができた所に着目し、いかにカバーできるかをアドバイスするようにしてください。

常に予期せぬことが起こると想定する

これはメンティーが相談しやすい環境をつくるために大切なポイントです。

 

もしメンティーがなにか問題を起こした場合、メンターが常に焦ったりイライラしたりすると、メンティーはメンターにこれ以上迷惑をかけてはいけないと悩むことに。

 

そうすると、次にメンティーが問題を起こした場合、隠れて1人で対処して更に事態を大きくする可能性があります。

 

それを避けるためにも、メンターは冷静さを持って対応しましょう。そして常に予期せぬことが起こると想定し、メンティーにもなにがあっても相談することの大切さを事前に伝えておきましょう。

守秘義務を守る

メンティーとの信頼関係が良好になると、誰にも言えないような悩みを相談されることも増えていきます。その時は、決して口外しないように気をつけましょう。

 

もしメンティーに知られた場合、信頼関係が崩れメンティーからの信頼を失います。

 

仮に会社側の問題で解決しなければならない場合は、人事などに相談するのも大事ですが、その前にメンティーにどこまで開示して良いかを確認しましょう。

メンターとしての相談相手を見つける

見落としがちですが、これも重要なポイントです。メンティーにとってメンターは頼れるべき存在であり、お手本のように振る舞う必要がありますが、メンター自身の仕事や悩みがあることを忘れてはいけません。

 

そのためにも、メンター制度で上手く行かないと感じたときは上司や自分のメンターなど相談できる人を見つけておきましょう。

おわり

 

メンターの役割は大変なことも多いですが、その経験はあなた自身をを大きく成長させます。

 

メンターに選ばれたら不安も大きいかもしれませんが、まずはメンティーに寄り添い、2人で1歩ずつ前に進むつもりで焦らず進んでいきましょう。

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