フォロワーシップとは何か?4分でわかる意味・事例・研修・書籍【組織・リーダーシップ】

フォロワーシップとは

リーダーを支える力、”フォロワーシップ”が組織に与える影響力は8-9割。残り1-2割がリーダーの影響力だと言われています。

 

※米国カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授の調査

 

歴史上の偉業を振り返ってみると、圧倒的カリスマを持つリーダーのもとには必ず、偉大なフォロワーがいます。スティーブ・ジョブズを支えた天才エンジニア、ウォズニアック。大ヒットした『ボヘミアン・ラプソティ』のQUEEN、メインボーカルのフレディマーキュリーを支えた伝説のギタリスト、ブライアン・メイ。

 

関連:クイーン「ボヘミアン・ラプソディ」に見る良きリーダーシップとフォロワーシップ

 

 

リーダーの存在だけでは成し得なかった過去の偉業は、数知れません。組織における成果も同様。リーダーを支えるフォロワーが、高いフォロワーシップを発揮して初めて結果につながるのです。

 

本記事では、そんなフォロワーシップの5タイプ、具体的なシチュエーション事例を紹介していきます。

 

本記事の要点

  • フォロワーシップは、部下・メンバーの”チームで成果を上げるために”自律的・主体的な働きかけ”
  • フォロワーシップはタイプ別にマネジメントが必要
  • フォロワーシップはチーム全員に求められる

読んでほしい人

  • 上司と上手くいっていない人
  • チームで働くのが苦手な人
  • 仕事で成果を出したい人

目次

フォロワーシップとは・意味・重要性

フォロワーシップとは

フォロワーシップとは、フォロワー(部下・メンバー)が、上司・チームメンバーに対して”チームで成果を上げるために“自律的・主体的な働きかけをすることです。

関連自立と自律の意味・違い|5分でわかりやすく!カンタン解説【仕事の例】

2018年から働き方改革が急速に進み、年功序列社会が終わりを迎えています。

 

それに伴い、個の働き方が問われる今、上司の指示をただ受けるだけの『受け身』だけではなく、自ら考え、行動する『自発性』が求められているのです。

 

つまり、フォロワーシップの重要度は日に日に上がっているのです。

フォロワーシップの5タイプ

フォロワーシップとは

フォロワーシップには、5つのタイプがあります。

※米国カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授の区分け

①模範的フォロワー
独自の視点・価値観をもとに、上司・チームの動きに対して積極的な関与をしていくフォロワー。次期リーダー候補であり、エース的な存在を担っている。

 

[育成方針]
ハイレベルな教育を提供(マネジメント育成・新規事業立案など)

②孤立型フォロワー
独自の視点・価値観を持つが、上司・チームに働きかけないフォロワー。批判的思考が強く、組織にとってアウトロー的存在。

 

[育成方針]
適切で正当なFBが必須。常に
納得感を持たせる。

 

③順応型フォロワー
上司の指示を批判せずに受け入れるが、自ら考え、行動することは少ないフォロワー。ゴマすり・太鼓持ちタイプで、社内政治的な側面が強い。

 

[育成方針]
→アイデアを求めたり、責任を持たせることで主体性を発揮させる。

④消極的フォロワー
積極性・独自性、共になく、やるべき最低限の業務だけを行うフォロワー。言われた通りに、言われた分だけ。やる気がないタイプ。

 

[育成方針]
→意欲を上げるために、志・希望を聞き出す。やる気の源泉を見極める。

 

⑤実務型フォロワー
上記4タイプの中間に位置するフォロワー。現実派。堅実に業務範囲内の仕事をこなす。働きかけも必要があれば。

 

[育成方針]
→頑張れば届く、高めの目標を設定。堅実な姿勢が結果に。

マネジメント側は、各フォロワータイプの特徴に合わせて、フォロワーシップを発揮させる工夫が必要になります。

 

部下・メンバーであれば、自らのタイプを確認しておきましょう。以下の質問にも答えてみてください。

①積極的な働きかけの習慣がある?ない?
②独自の視点・価値観を活かしている?それとも、依存的?

自分のタイプを見極め、得意・不得意を把握しておきましょう。得意は伸ばし、不得意は改善する。成長への一歩を歩めるはずです。

フォロワーシップの具体的な行動事例

フォロワーシップとは

フォロワーシップを発揮するとは一体どういうことなのでしょう。

①意見・アイデアを積極的に伝える
②雑務でもきちんとこなす
③報連相を怠らない
④上司が完璧でないことを理解している
⑤上司の最終決定を支持する
⑥前向きな姿勢を貫く
⑦チームの未来を考えている

具体的な行動事例を順番に紹介していきます。

意見・アイデアを積極的に伝える

自ら考え、自発的に意見・アイデアを伝えることは、チームに新しい視点を与えること。フォロワーシップ発揮には、欠かせない行動です。

 

注意すべきは、ただの批判にならないこと。上司・組織・顧客のニーズ/気持ちを汲んでいれば、結果がどうであれ、進歩につながるでしょう。

 

また、その行動は、チーム内で発言しやすい雰囲気・文化づくりにもつながります。

 

 

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雑務でもきちんとこなす

資料整理、データ入力、議事録など、上司から任される仕事の中には、誰でもこなせるような雑務に近いものもあるでしょう。

 

 

やりがいの感じづらさもあるかもしれません。それでも、そんな雑務をミスなく正確に、時間通りにきちんとこなせる人は、フォロワーシップをいかんなく発揮しています。

 

チームのために献身的に仕事に取り組む姿勢が、他のメンバーを鼓舞するのです。チームの一体感にもつながります。

 

もちろん、信頼も上がるでしょう。そうなれば確実に、ステップアップした仕事を任されるチャンスも増えるはずです。

報連相を怠らない

フォロワーシップを発揮する部下・メンバーは、適切な報連相ができます。

 

特に、上司が目をかけられない現場の生の声・情報を届ける役割は大切です。

「Aさんの体調が優れなそうです」
「このタスクは、○○さんが得意だと言っていました」

現場からしか得られない一次情報が、チームを守る生命線になることも。フォロワーシップ発揮に、報連相は欠かせないのです。

上司が完璧でないことを理解している

フォロワーシップを発揮している部下・メンバーは、上司の指示通りに動きません。上司は完璧でないことを知っており、自らが補佐する必要性を理解しているのです。

 

ゆえに、上司の判断ミス・仕事の抜け漏れをしっかりと指摘します。

 

上司の顔色ばかりうかがって、指摘ができない人もいるでしょう。しかし、それではチームのためになりません。良いフォロワーシップは、チームの成果を優先します。

上司の最終決定を支持する

チームの動きを最終決定するのは上司の役割。責任も上司が取ります。

 

そこで、フォロワーシップが高い人は、上司の最終決定を受け入れ、支持します。批判をすることはありません。

 

最終決定に至るまでの過程で、納得いくまで積極的な話し合いをしているからです。

前向きな姿勢を貫く

良いフォロワーシップを発揮する人は、失敗を前向きに捉えます。

 

時には、責任を問われて落ち込みがちな上司を励ますこともあるでしょう。

 

チームがどれだけ後ろ向きな状況でも、長く立ち止まりません。すぐに前向きます。他のメンバーは励まされ、感化されるでしょう。陰ながらチームを引っ張るフォロワーシップです。

 

 

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チームの未来を考えている

高いフォロワーシップを発揮している人は、チームが掲げる目標・方針を理解し、メンバーに共有します。

 

また、チームの将来に対する意見・アイデアも積極的に発信します。実務に追われ、今に捉われることなく、リーダーと一緒に未来を歩む姿勢があるのです。

最悪のフォロワーシップ【行動事例】

フォロワーシップとは

フォロワーシップに欠けている行動を紹介します。

挨拶がきちんとできない
メモを取らず何回も同じことを聞く
敬語が使えない
雑用を率先してやらない
ホウレンソウができない
同じ間違いを繰り返す
自分のミスを謝らない
指示を待つだけ
プライド高く知ったかぶり
仕事中に私語が多すぎる
逆ギレをする
優先順位がつけられずパニックになる
好き嫌いで物事を判断し、露骨に態度に表す

参考書籍:中竹 竜二 『リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』

 

 

ビジネスマンとしての基礎的な項目ばかりです。フォロワーシップを発揮するためには、まず『当たり前』をこなせている必要があるということでしょう。

 

無駄だと感じてしまいがちな雑務であっても、チームを第一に考え、”きちんとこなせる”人がフォロワーシップが高いと言えるのです。

関連職場で嫌われる人が”自分で気づかない”10個のNG習慣・特徴【男性・女性・後輩】

また当たり前のことができていない人は、職場で嫌われる傾向もあります。職場で嫌われる人の特徴・習慣、改善法は上記の関連記事で解説しています。

リーダーシップとフォロワーシップの相互作用

フォロワーシップとは

チームを率いるリーダーが優れたリーダーシップを持っていたとしても、部下・メンバーのフォロワーシップが不足していれば、組織は大きな成果を残せません。

 

チームが力を最大限の力を発揮するためには、優れたフォロワーシップが必須。「優れたリーダーシップ」×「優れたフォロワーシップ」が、チームの生み出す価値を最大化する条件なのです。

フォロワーシップはチーム全員に求められる

フォロワーシップとは

フォロワーシップは、必ずしも上司以外の部下・メンバーに求められる能力ではありません。チーム全員が持つべきなのです。例を挙げてみます。

 

5人でメディア運営をしているチームが、集客のためにTwitterを運用することになった。これまでSNS運用のノウハウはなかったが、一番若い新入りメンバーBさんがTwitterの利用経験・知識が豊富なことがわかった。

 

そこで上司は、Bさんに、Twitter運用の舵きりを任せることにした。責任を与え、リーダーシップを発揮できるように即した。上司は役職・肩書に捉われることなく、Bさんが最大限のポテンシャルを発揮し、成果につなげられるよう、フォロワーシップに徹した。

 

例えば、他のメンバーからの妬みが生まれないよう、上司自身からBさんへ意見を求める頻度を増やしたり、他メンバーへも新しい仕事を割り振るようにしたり。チームに亀裂が生まれぬよう、工夫したのだ。

チームの抱える課題・テーマ次第では、リーダーがフォロワー側に回ることもあります。

 

 

上司のフォロワーシップ力が高ければ高いほど、部下はのびのびと仕事ができ、チームのパフォーマンスも上がっていくのです。

フォロワーシップが学べる書籍

フォロワーシップ 本

フォロワーシップが学べるおすすめの書籍を挙げてみました。

①『部下力―上司を動かす技術』
②『ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書』
③『新版 リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』

『部下力―上司を動かす技術』

結果がすべての豪腕一直線「イノシシ型」、仕事がお祭りになってしまう「モンキー型」、部下に翻弄されても気を遣う「借りネコ型」など、上司のタイプごとに部下が振るまうべきかを解説しています。

 

行動に移す難易度は高めだが、ワンステップ高いフォロワーシップを磨きたい方におおすすめ。

 

『ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書』

フォロワーには、勇気が求められる。恐怖・反発に負けず、リーダーと信頼しあえる関係を築き、真っ当で、充実した仕事人生を送るための実践ガイドです。

 

エピローグを紹介します。

「リーダーとフォロワーのバランスのとれた関係がもたらす恩恵は、あらゆる健全な関係がもたらす恩恵と同じである。そこには公正な争いがあり、成長と互いへの尊敬、そして愛さえも生まれる。力が健全に発揮されれば、自分たちが仕える人びとの生活の改善を目のあたりにすることができる。リーダーとフォロワーがそれぞれの役割を果たせば、どちらもさらに人の役に立てるようになる。この他者への貢献こそが、わたしたちの人生に意味を持たせるのだ。
健全な関係を築き、充実した生活を送るには、勇気が必要だ。勇敢なリーダーとフォロワーが協力して種をまいていけば、たとえすぐには収穫が得られなくとも、その真摯さと献身によって土壌を豊かにし、次の作付けに臨むことができる」

『新版 リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』

「日本一オーラのない監督」と呼ばれながらも、常勝早稲田のプレッシャーを背負いつつ、大学選手権2連覇成し遂げたチームづくりに秘訣が明かされています。

 

リーダー視点の解説ですが、フォロワーシップとはなんたるかを、より深く理解できるでしょう。

 

「全員がリーダーと同じ気持ちでいること。与えられたり指示されたりするのを待つのではない。最終的に決断を下すのはリーダーだが、常にフォロワーもリーダーと同じように主体性を持って考える。これは私の理想とする組織でもある」

フォロワーシップ研修の事例

フォロワーシップとは

フォロワーシップの注目度が上がり、研修を設ける企業も増えています。そこで、フォロワーシップ研修の事例を紹介します。

 

NASAが活用しているチーム力養成プログラム「NOLS(ノルズ)」です。

山間部や海、湖などのアウトドアを、外部との通信は一切できない中、チームを組んで人力のみで移動するというもの。私の場合、ワイオミング州の山間部を10日間で約120㎞を移動するというもの

 

このプログラムの面白い点は、チームを率いるリーダーを毎日、交替させるという決まりがあることです。10人のメンバーの中に、引っ込み思案の人や、コミュニケーションが苦手な人がいても、10日間のうち、必ず1日はリーダーになる日がまわってくる

 

その日の行程でどのルートを通るのか、休憩を何回入れるのか、テントをどこに設営するかなど、さまざまな意思決定をする舵取り役です。

 

自分本位で強引に決めてしまうとチームのまとまりはなくなりますから、みんなの意見を聞きながら納得した上で行動する必要があります。実際、リーダーをやってみると、チームを動かしているのはリーダーだけじゃなくて、それを支えるフォロワーの存在が大きいのだなということを感じました。

参考:BLOGOS『チームの力を高めるにはリーダーシップと同様にフォロワーシップも重要 – 第97回山崎直子氏(後編)』

 

山間部を10日間で約120㎞移動。コミュニケーションに亀裂が生まれざるを得ない過酷なプログラムです。リーダーがどれだけ試行錯誤をしても良い方向にいかないよう設定されているのでしょう。

 

メンバー全員が交代でリーダーを担い、苦労を経験することで、

リーダーだけではどうしようもない!フォロワーありきだ!

と胸に染みる経験を積めるはず。これは、その後リーダ―を担う者も、フォロワーを担う者にとっても、地に足の着いた実践的な知恵となるでしょう。

 

フォロワーシップ研修には、受講生に「リーダーとしての失敗経験」を与える方法があるのです。

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