『みんなのキャリア相談室』新企画「#私のキャリア失敗談」。これは、さまざまな分野で活躍する方の社会人生活のしくじり・失敗談を紹介する企画です。
記念すべき第1弾の今回は現在、主にウェブライターとして活躍されているNanaさんの経験談を紹介します。
目次
「広報ってなんかかっこいい」
数年前、わたしは従業員数700名を超える会社で広報を担当していた。
10歳ほど離れたベテランの先輩のもと、自社について知ってもらうためにプレスリリースを書いたり、業界のニュースを社内にシェアしたり、外部の人や他部署で働くメンバーとコミュニケーションを取ることも多い。
「広報ってなんかかっこいい」と、そんな気持ちで入社した。
新卒1年目で窓際族に
オーナーの指示がすべてだったこの会社で、わたしが何度も投げられたのは「君はゆとりそのものだなー。」という言葉と、冷たい視線だった。
いわゆる体育会系の精神が根付いていて、仕事の内容よりも何年もこの会社に従事してきた部長たちの気に入る人柄が評価される。
「仕事しやすくするなら、上司に気にいられないと。」というアドバイスもよくわかる。
わたしなりに飲み会でのマナーや上司との接し方に気を使っていたが、わたしは彼らが求める人柄ではなかったようだ。
仕事をすべて取り上げられてしまい、勤務時間の8時間まるまるビジネスマナーのセミナーへ強制的に参加させられた。これはもう、俗にいう窓際族。
わたしはこの会社で業務についてもっと勉強したり、成長するために入社したはず。
しかし、性格ばかりにフォーカスが当たってしまい、本来身につけたいこととは別のところで時間と労力を使って心と体が疲れてしまった。
「セミナーに行くだけで給料がもらえるなんてラッキーじゃん」なんて強いメンタルは持ち合わせておらず、入社して1年も経たずに退職を決意した。
自信を失い、負のループに陥っていた私を助けてくれたのは・・・
両親や周りの友人に相談しても、否定されるだけだった。
「何年も働かないと、仕事ができるようになるかどうかわからないよ」と言われても、わたしとしてはこの会社で信頼を取り戻している時間があるなら、技術を身につけたい。
もう戻れる気力もないし、誰もわたしのツラさなんてわからないんだ、と半ば勢いで退職した。
とは言っても、人間性が否定されたように感じ、「わたしなんて、なにもできない人間なんだ……」と自分に自信なんてない。
自信がないから積極的になれず面接に落ち、面接に落ちたことでまた自信をなくすという、負のループに陥っていた。
疲労困憊したわたしを見かねて、友人が遊びに誘ってくれた。
このときなんてもう、「こんな人間が友達でごめん……」と申し訳ない気持ちしかない。そんな思いとは裏腹に、友人はわたしの好きなところを教えてくれた。
独自の世界観だったり、自分の考えを尊重するところ、好きなものをハッキリと主張するところなど、自分では思ってもみないところでとても嬉しかった。
わたしは「なにもできない人間」じゃなかった
わたしにはできないことがあると同時に、役に立つかわからないようなどんなに小さなことだとしても良いところがある。
20代半ばにしてようやくわたしは自分自身としっかり向き合った。
何ができて何ができないのか、どんな生活に憧れているのか、好きなものや大切にしたい考えは何か……自分自身と向き合うことは怖かった。
それは、理想の自分とかけ離れている現実を突きつけられるからである。
でも、苦手なことをしっかり把握して今後対策することで、その分得意なことや好きなことに使える時間や労力が増えるのだ。
自分らしく働くために、わたしは自分と向き合う
社会にいる人たちは立派に働いていて、とても優秀に見える。
それでも自分自身と向き合って「わたしにもできることがある」と信じた結果、その可能性を信じてくれた企業の面接に通った。
今までは悪いことばかりに目がいってしまっていて、好きなことや得意なことという伸ばしていきたい力が見えなくなってしまっていたのだ。
わたしは転職がきっかけとなり、自分に自信を持てるようになった。
今はウェブメディアの編集者として働いている。新進気鋭の企業で1人でも欠けていたら成り立たないような環境。身につけたい技術を学ぶのに、絶好の環境である。
今も自分らしく働けるために、わたしと正直に向き合っている。
大切にしたいことや好きなこと、苦手なこと、嫌だったこともすべて含めて内省して、これからもわたしの価値観を確かなものにし、自分の仕事に誇りを持っていきたい。
このエッセイを書いたのは・・・・
Nana
ウェブメディアのライター・編集者、Nana。
1993年2月19日、東京都生まれ。 好きなものを好きなまま、環境や世間に流されず、自分が求める自分を追求して生きていきたい。
・twitter:@nanazo1993