【希望退職とは】会社が募集を始めたらどうすればいいの?希望退職のメリット・デメリット・注意点

最近テレビやネットで「希望退職」という言葉をよく見聞きしませんか?「字面からなんとなく意味はわかるけど、正しく理解できているかわからない」という人も多いかと思います。

 

希望退職の募集に出会う機会は多いわけではありませんが、もし自分が勤めている会社で希望退職の募集が始まったらどうすれば良いのでしょうか。

 

今回は4年間人事を経験してきた私が希望退職について、メリットやデメリットも含めて解説をしていきたいと思います。

目次

希望退職とは

 

希望退職とは会社側が社内にて、自主的な退職を募る制度です。

 

企業が希望退職を募る目的には

 

・業績悪化への対策として人件費削減
・会社の方針変更に伴う組織再編成や人員入れ替え

などがあり、会社側が必要に応じて募集を開始します。

 

希望退職は言葉の通り、従業員からの希望を募るので、強制的に退職させられるわけではありません。また、会社の希望退職の募集に応募をし、退職をした場合は会社都合での退職となることがほとんどです。

 

一方で、希望すれば必ずその募集の条件の通り退職できるというわけではなく、企業と従業員双方の合意あって初めて成立します。

 

例えば、会社が希望退職を募っている期間に退職を希望したにも関わらず、会社から認められなかった場合は、自己都合で退職をするという形になる場合もあるのです。

 

似たような制度に「早期退職」というものがありますが、それは希望退職とは別物となっています。早期退職とは、従業員の希望で自主的に退職できる制度。

 

希望退職制度と比較すると以下のようになります。

【制度利用可能時期】

 

希望退職制度
・状況に応じて、一時的に企業側が募集を開始する。

 

早期退職制度
・恒常的に従業員が利用できる制度。

 

【制度の目的】

 

希望退職制度
・人員削減、コストカット

 

早期退職制度
・従業員の新たなキャリア支援
・会社の流動性強化

希望退職の流れ

希望退職は基本的に以下の流れで進んでいきます。

Step1
企業側が希望退職を募集
基本的には年齢、勤続年数、階級などの条件とともに募集が開始されます。
Step2
面談
条件に該当する従業員は上司と面談を行います。そこで希望退職を受け入れた場合は、募集期間内に希望退職制度に応募することになります。
Step3
退職
引継ぎや有休消化を終えて退職となります。
希望退職をする人が少ないと企業側は複数回募集をかける場合がありますが、回数を重ねるにつれて、条件が悪くなることがあるので、決断は早めが良いでしょう。

希望退職のメリット

 

希望退職は退職という言葉からネガティブなイメージを持たれる人もいらっしゃいますが、メリットが多くあるもの。ここではそのメリットを3つご紹介していきます。

退職金が多く得られる場合がある

希望退職制度を利用する場合、退職金が従来よりも多く得られる可能性があります。また、退職金がないという企業であっても、希望退職に限り退職金が用意されるケースもあるのです。

 

希望退職は企業側が今後の経営を見据えて人員削減やコストカットのために行うことが多く、できるだけ退職してもらいたいという考えがあります。

 

できるだけ希望退職をしてもらうためにも、退職金を上乗せして希望者を増やそうとするため、退職金が上乗せされる、または用意される場合があるのです。

 

まとまったお金を得ることができるので、しばらく間のお金の心配なく生活をすることができるでしょう。

失業給付金が早く受給でき、長い期間もらえる

失業給付金とは仕事を失った人が受け取れる給付金のことです。この給付金は自己都合退職なのか、会社都合退職なのかにより、失業から給付金の受け取り開始までの期間と、受け取れる期間に差があります。

 

【自己都合退職】
受取開始=失業から7日と2ヶ月後
受取期間=90日から150日

 

【会社都合退職】
受取開始=失業から7日後
受取期間=90日から330日

 

※受取期間は自身の年齢と被保険者期間により変動。

希望退職制度を利用した場合は「会社都合退職」となるので、失業給付金を早く得ることができるのです。

転職活動がしやすい

希望退職の場合は、以下の理由から転職活動がしやすくなります。

 

①退職をしているので、平日日中に転職活動ができる。

 

割増退職金をもらっているので生活の心配をせずに転職活動に余裕ができる。

 

失業給付金の受け取りがすぐに開始されるので、転職活動費に充てることができる。

 

④履歴書に「会社都合により退職」と書くことができる。

④に関してもう少し説明をします。自己都合での退職の場合は履歴書に「一身上の都合により退職」と書くケースがほとんどです。この場合、面接の時に「なぜ退職されたんですか?」と理由を聞かれることが多く、この質問への回答は合否に影響します。

 

一方、「会社都合により退職」の場合は、なぜ退職したのかを詳しく聞かれるケースは比較的少なくなります

 

面接官にとって、会社都合の退職は理由を聞きにくく、また会社都合であれば「仕方ない」と見切りをつけている人もいるので、聞かれない場合が多いのです。

希望退職のデメリット

 

続いて、希望退職のデメリットを3つご紹介します。どれも人生において大切なことなので、メリットと合わせて理解をしておきましょう。

これまで積み上げてきた地位を失う可能性がある

希望退職に限らず退職をするということは、これまで自分が積み上げてきた地位を失うこと。希望退職の場合は、目の前の割増の退職金や失業給付金をすぐに受け取れるようになるというメリットがあるため、退職することが魅力的に見えてしまいます。

 

しかし年収が下がったり、役職を失ったり、転職はリスクがあるもの

 

退職してから、前の方がよかったと戻ろうとしても受け入れてもらえなかったり、前と同じ地位や給与を与えてもらったりすることは難しいので、慎重に考えるようにしましょう。

日々のやりがいを失う

これまで一生懸命仕事をしてきたあなたにとって、今やっている仕事は最もやりがいを感じることではないでしょうか?

 

もしそうだとすれば、希望退職を会社が募集されているという理由で退職をしてしまうと、日々のやりがいを失ってしまう可能性があります。

 

「勢いで退職してしまったけど、あの時の自分が一番イキイキしていたな」と後悔することのないようにしましょう。

転職先が見つかるとは限らない

希望退職のメリットでお伝えした通り、希望退職をした場合は転職活動が比較的進めやすくなります。しかし、転職活動で自分が納得のいく企業に内定をもらうことができるとは限りません。

 

また、勢いで希望退職した場合、自分が次何をしたいのかが決まっておらず、時間はあるけど転職活動が進まない可能性も。

 

「希望退職する/しない」を決める際にまずは「自分はどんなところが合っているのか」「自分がやりたいことは何か」と自分のキャリアについて事前にしっかり考えましょう。

希望退職の注意点

 

最後に希望退職における注意点をご紹介します。希望退職で後悔をしないように、以下3つの注意点をしっかりと理解しましょう。

長い目で見て判断する

希望退職のデメリットでも少し触れていますが、勢いで退職をすると後悔をしてしまう可能性があります。希望退職はしたくなければ、しなくてもいいもの。

 

希望退職制度を利用する前に自分の将来や今まで培ってきたものに目を向け、自分のためになるのか考えるようにしましょう。あなたの将来やこれまで培ってきたものは、お金に変えられないものなので、しっかりと理解をすることが大事です。

 

・将来あなたはどんな人になりたいのか
・あなたは今退職をして、今後何をするのか
・今退職したら得られるもの/失うものは何か

自分が納得するまで自問自答を繰り返しましょう。

 

キャリアビジョンとは|現代では必須!?キャリアビジョンを持つメリット・作り方

条件を確認する

希望退職制度の条件をしっかりと確認しましょう。希望退職制度は企業のその時に状況に合わせて条件がさまざまなので、細かく確認する必要があります。

 

・自分は希望退職の対象なのか
・退職金の割増があるか、あるのであればどれぐらいか
・転職活動の支援はしてもらえるのか、してもらえるのであればどこまでしてもらえるのか

このような条件をしっかりと理解した上で応募するようにしましょう。

転職活動は早めに開始する

希望退職をすると退職金により、金銭的余裕があるために転職活動にあまり力を入れず、だらだら過ごしてしまう、なんて人も。

 

確かに生活には余裕があるので、転職活動に力を入れなくても生活はできるのですが、だらだらやり続けると転職活動において不利になっていく場合があります。

 

会社都合の退職であったとしても退職から日数が経っていると面接官は「この間に何をしていたんだろう」と疑問に思うのです。おそらく日数が経つほどに質問される機会は増えていくでしょう。

 

「もちろんだらだら過ごしていた」なんて答えないとは思いますが、それでもしっかりとした回答をすることができず、面接官から「この人はしっかりしてない」という印象を持たれてしまうのです。

 

失業後はできるだけ早く転職活動を開始しましょう。

まとめ

希望退職は会社の経営状況が良くないときに募集が開始されるケースがあるため、募集が開始されるとこのままでは危ないと思い、また退職金などメリットもあるので、早期に決断をしてしまいそうになります。

 

しかし、目先のことだけ考えて行動すると後悔するかもしれません。

 

もし今、希望退職がちょうど募集されていてどうしようか悩んでいる方は、退職してから後悔、または希望退職制度を使わずに後悔しないよう、まず自分と向き合う時間を作ってみてください。

 

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