キャリア発達に関する研究の成果”キャリア理論”は、すべての働く人に役立つわけではありません。活用しやすいキャリア理論、活用しにくいキャリア理論。役立つかどうかは、自分で見極めるべきなのです。
環境・特性(業界・職種・習慣・価値観など)をもとに、
自分のキャリアには、どのキャリア理論が参考になるだろうか?
という目線を持っておきましょう。本記事では、できるだけ汎用性が高い現代に合ったキャリア理論を厳選して、要点をまとめていきます。あなたらしいキャリアづくりの役に立つはずです。
関連目次
キャリア理論まとめ一覧
本記事で紹介するキャリア理論のまとめ一覧です。
計画された偶発性理論
4Sトランジション・モデル
キャリアアンカー
3つのキャリア理論が掲げるポイントをまとめてみます。
計画された偶発性理論
「キャリアは100%意のままにコントロールできない。8割は偶然の出来事によって決定されている」
スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が20世紀末に提唱したキャリア論の一つ、”計画された偶発性理論”。
VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)時代と呼ばれ、すぐ先の未来も予想でさえも誰も予想できないと言われる現在。計画通りにいかないのは当たり前。綿密な計画立てよりも、”偶然を掴み取る力”が問われているのです。
計画された偶発性理論のポイントは4つ。
①キャリアの大部分は偶然の出来事によって成り立っている事実がある。
②キャリアに満足している人は、偶然を積極的につくりだし、自分の可能性を広げ続けている。
③見通しのない将来に、不安を抱きすぎても意味はない。
④好奇心・持続性・楽観性・柔軟性・冒険心、5つの行動指針を持てば、偶然が見つかる。
好奇心・持続性・楽観性・柔軟性・冒険心を持った行動の具体例は、以下の記事で紹介しています。
関連4Sトランジション・モデル
キャリアは転機の連続であり、それらに上手く対応することが肝心である。
ナンシー・シュロスバーグが提唱した4Sトランジション・モデルでは、キャリアは転機の連続であること。転機を乗り越える力が大切であると説いています。転機には4つの種類があります。
4種類の転機
① 人生役割の変化:結婚して家庭を持つ
② 人間関係の変化:既婚社員との交流が増えた
③ 日常生活の変化:家事、育児等に時間を費やす
④ 自己概念の変化:なによりも家族を1番にしたい
さらに、これらの転機を受け入れ、乗り越えるための4つの方法を挙げています。
転機を乗り越える4つの方法
① 状況[Situation]
ex) 起こり得るリスク、メリット、必要なこと/もの、いつまで続くか
② 自己[Self]
ex) 何が嬉しいか、何が悲しいか、何が大事か、仕事状況、稼ぎ
③ 支援[Support]
ex) 家族、友人、会社の社員、サービス、公的機関、民間団体
④ 戦略[Strategy]
ex) 優先順位を決める、最適な行動を定める
4つの軸をもとに、現状を整理し、具体的な行動に移してきましょう。
キャリアアンカー
キャリア選択の軸となる、絶対に譲れない価値観・欲求・能力
マサチューセッツ工科大学の組織心理学者、エドガー・シャイン博士が提唱したキャリア理論が、キャリアアンカーです。アンカー(Anchor)とは船の”錨”を意味し、一度下すと動かないものである。
キャリアアンカーを定めると「何が大事か?何が不要か?何するべきか?」、選択がスピーディに、主体的になります。
8種類のキャリアアンカーを紹介します。
①管理職:出世思考タイプ
ジェネラル・マネジメント・コンピタンス
②専門能力・職人:特化タイプ
テクニカル/ファンクショナル・コンプタンス
③安全・安定:堅実タイプ
セキュリティ/スタビリティ
④起業家的創造性:生み出すタイプ
アントレプレヌール的クリエイティビティ
⑤自律と独立:マイペースタイプ
オートノミー/インディペンデンス
⑥奉仕・社会貢献:社会性タイプ
サービス/大義への献身
⑦チャレンジ:ワクワクタイプ
ピュアなチャレンジ
⑧生活様式:バランスタイプ
ライフスタイル
社会人になり立ての20代では、キャリアアンカーが定まらず曖昧であるケースがほとんどです。挑戦・失敗・環境の変化に応じて、少しずつキャリアアンカーをつくっていくイメージを持ちましょう。
「キャリアアンカーをつくらなきゃ」と焦ってはいけません。最初のうちは、「達成」することではなく、自分が「どうありたいか」を考えることから始めてみましょう。
自分らしいさを見つける6つの方法
①幼少期に夢中になっていたことを思い出す
②長時間できることを考えてみる
③人より簡単にこなせることを考えてみる
④周りに”自分の良いところ”を尋ねてみる
⑤嫌いなこと洗い出してみる
⑥新しいことに挑戦する
各方法のさらに詳しい解説は以下の関連記事をご覧ください。
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