日本の多くの企業は週休2日制していますが、働き方改革や多様性などを背景に、1週間のうち休日が3日間ある「週休3日制」を導入する企業が増加しつつあります。
「休みが増えるから嬉しい」と思う人がいる一方で「仕事ができる時間が減るから会社が回らなくなるのでは?」と思う人もいるのではないでしょうか。
今回は週休3日制のメリット・デメリットや、実際に導入している企業事例を紹介します。さまざまな働き方を理解して、自分らしい働き方を叶えるための選択肢の幅を広げましょう。
目次
週休3日制の3パターンの働き方
週休3日制とは、その名の通り一週間のうち勤務する日数を4日間、仕事を休む日数を3日間にする制度です。週休3日制の働き方には、以下の3つのパターンがあります。
1日の労働時間が増えるパターン
1つ目のパターンが、週休2日・週5日勤務の労働時間と同じくするために1日の労働時間を増やすタイプ。
例えば週40時間労働であれば、週5日勤務のときは1日あたり8時間(40時間÷5日)であった労働時間を、週4日勤務では1日10時間(40時間÷4日)とするのです。
ただし労働基準法では1日の法定労働時間は8時間と定められているので、2時間の時間外労働が毎日発生してしまうことになります。
そこで企業は「変形労働時間制」を導入し、時間外労働は発生しても残業代を支払わないという仕組みを取り入れているのです。
※変形労働時間制とは
月単位や年単位で労働時間を調整できる制度。
通常、法定労働時間は1日8時間・週40時間とされているが、変形労働時間制を導入することで「ある週は法定労働時間より長くする代わりに、別の週は法定労働時間よりも短くする」調整ができる。
1日の労働時間はそのままで給与が下がるパターン
2つ目は、週休2日制と同じく1日の労働時間を最大8時間とするパターン。
この場合、週4日勤務となると1週間の労働時間は32時間となるため、週5日勤務よりも給与が下がることが一般的です。
1日の労働時間はそのままで給与が下がらないパターン
3つ目のパターンが1日の労働時間は週休2日制と同じくしますが、給与は変わらないというものです。
特に成果主義の風潮が強い企業では、週休3日制でも給与が下がらないという傾向があります。
また有給休暇を取得することで、特定の月のみ週休3日制を導入するケースもあるようです。
週休3日制のメリット
週休3日制は社員にとっても企業にとってもメリットがあるもの。具体的にどのようなメリットがあるのかを紹介します。
ワークライフバランスの実現
休日が増えることでプライベートの時間を多く確保できるようになり、ワークライフバランスが実現します。
増えたプライベートの時間で趣味に没頭したり十分な睡眠や美味しい食事をとったりすれば心身共にリフレッシュでき、健康を保てるでしょう。
また資格取得やスキルアップのための勉強時間も十分に確保できるようになるはず。
週休3日制では家族との時間を増やすこともできるので、仕事と家庭を両立しやすくなるというメリットもあります。
例えば週休2日制の人は、子どもの習い事に送り迎えができる日が土日しかないため、平日の習い事に通わせることが難しいです。
しかし週休3日制で平日の休みが増えることにより、平日の習い事をさせることができるようになります。
また介護をしている人にとっては、平日の休みに病院に付き添ったりケアマネージャーと話したりする時間を設けることができるのです。
生産性の向上
週休3日制によって仕事の生産性向上も期待できます。
休める時間が少ないと体の疲れやストレスが溜まってしまい、仕事に集中できずパフォーマンスの低下を招きかねません。
しかし週休3日制によってリフレッシュできる時間が増えることで、仕事に集中できるようになるのです。
仕事へのモチベーションが高まることで、生産性の向上につながります。
また、心身ともにリフレッシュできれば頭もスッキリとして、今まで浮かばなかったような斬新なアイデアが浮かぶかもしれません。
人材不足や離職率の改善
週休3日制は企業にとってもメリットがあります。
社員のワークライフバランスを尊重している企業ということをアピールすることで「この会社で働きたい」という人が増えて採用活動でも有利になります。
そのため応募者も増え、さらに優秀な人材が集まる可能性も高まるのです。
また、ワークライフバランスを充実させることができるので社員の満足度も高く、離職率の低下にもつながるでしょう。
また、休日が増えることで学びの時間を確保することができ、社員ひとりひとりのスキルアップにつながるので、社員の質が向上することも期待できます。
週休3日制を導入することで優秀な人材を確保しつつ、ビジネスを発展させていくことが期待できるのです。
週休3日制のデメリット
週休3日制は多くのメリットを得られる一方で、デメリットもあります。週休3日制を選択する場合はデメリットも理解したうえで検討しましょう。
収入が下がる可能性がある
「休みが増える!」と喜んでばかりはいられません。
週休3日制には、1日の労働時間はそのままで給与が下がるパターンがあり給与が下がってしまう可能性があるのです。
生活が苦しくなり、現在の生活水準を保てなくなるかもしれません。
就業日のストレスが増加する
週休2日制のときよりも就業日のストレスが増えてしまうことも考えられます。
1日の労働時間が増えるパターンの週休3日制を利用すると、1日10時間の労働時間となり帰宅時間が遅くなってしまうのです。
労働時間が増えて帰宅時間が遅くなってしまうと、休める時間が少なくて翌日に影響が出てしまう人もいるでしょう。
また収入が下がったぶん、インセンティブや成果報酬を得ようと思って無理して働いてしまう人もいます。
しかし、せっかく週休3日制で休日が増えたのに仕事で頑張りすぎてしまうと、以前よりもストレスが蓄積されてしまう可能性もあるので注意が必要です。
仕事が回らないこともある
週休3日制を導入しても、仕事量は減るわけではありません。
生産性が上がったり、斬新なアイデアが生まれやすくなったりする効果はありますが、これまでと同じ量の仕事を大幅に短縮された勤務時間内で行うのは難しいでしょう。
週休3日制の導入で仕事に充てる時間が減ってしまうことで、業務が回らなくなる可能性があるのです。
例えば納期がタイトなプロジェクトや細かいスケジュールの案件は、仕事が回らずにスケジュールが遅れてしまうこともあるでしょう。
従来通りの仕事量をこなすためにも、社員一人ひとりだけではなく企業側でも体制を整える必要があります。
コミュニケーションが滞ってしまう
週休3日制により、社内外のコミュニケーションが不足することも懸念されます。
まだまだ週休2日制の企業は多いもの。
自分が週休3日制であって顧客や取引先が週休2日制の場合、自分は週に4日しか対応できないためスムーズなコミュニケーションを取ることが難しくなってしまうのです。
緊急連絡やトラブルなどに自分自身が対応できなくなる可能性もあるため、他の社員でも対応できる体制を整備する必要があるでしょう。
また、社内のコミュニケーション不足も懸念されます。
オフィスで顔を合わせる機会が減ってしまうため、充分なコミュニケーションが取れずに報連相が滞ってしまうことも。
社員によって週4日勤務なのか5日勤務なのかが異なる場合、「自分は出勤しているのに、話したい相手が出勤していない」ということにもなります。
週休3日制の導入事例
実は、週休3日制を導入している日本企業は少なくありません。
それでは、実際に週休3日制を導入した企業の事例を紹介します。
日本マイクロソフト株式会社
日本マイクロソフトでは、2019年8月に全社員を対象にして週休3日制をトライアル導入しました。
8月のすべての金曜日を特別有給休暇として週休3日制にしたのです。
その結果、社員の92.1%が週休3日制について「評価する」と回答したことを公表しています。
時期は未定ですが今後も週休3日制にチャレンジするとしており、本格的な導入の可能性もあるでしょう。
(参考:「週勤 4 日 & 週休 3 日」を柱とする自社実践プロジェクト「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」の 効果測定結果を公開 – News Center Japan)
株式会社ファーストリテイリング
ユニクロやGUを展開しているファーストリテイリングでも、週休3日制を採用しています。
ファーストリテイリングの週休3日制は変形労働時間制を利用し、1日10時間×週4日勤務にするパターンのもの。
そうすることで収入を下げることなく休日を増やすことができています。
利用している社員は、育児や介護との両立や自分のスキルアップのためにプライベートの時間を使っているそうです。
(参考:週休3日制とは?|ユニクロ(UNIQLO)地域正社員 中途採用)
ヤフー株式会社
ヤフーでは、育児や介護をしている社員に限定して「えらべる勤務制度」を設けています。
この制度は、従来の週2日ある休日に加え、1週間あたり1日の休日を与える制度です。
その休日は無給となるものの、育児や介護など家庭の事情があっても柔軟な働き方を選択でき仕事を続けられるのは嬉しいですね。
(参考:従業員との約束)
まとめ
週休3日制はプライベートや家族との時間を多く確保でき、仕事へのモチベーションも向上する制度です。
しかし、給与面やコミュニケーション面などでデメリットもあります。
メリット・デメリット、両方を理解し週休3日制を視野に入れつつ、自分らしい働き方を探していきましょう。
週休3日制という今までにない働き方で、自分の新しい可能性が広がるかもしれません。
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