勤務時間外・休日での仕事のやり取りを拒否する権利「つながらない権利」が欧米で話題を呼んでいます。一方、日本国内では、まだまだ「つながらない権利」が浸透していません。
働き方改革で労働時間が縮小され、副業を始める方が増えている今、これまで以上に仕事との関わり方を工夫しなければいけません。
そこで本記事では、
・「つながらない権利」の意味・使われ方
・副業における「つながらない権利」とは
・副業での報連相における注意点/事前対策
を順に解説していきます。
目次
「つながらない権利」の意味・使われ方
「つながらない権利」とは、勤務時間外や休日にメール/電話などの仕事上のやり取りを拒否する権利のことです。フランスでの労働法改正時(※)にメディアで取り上げられたことが発端となり、反響が広がりました。
※2016年、すべての被雇用者を対象に、勤務時間外での業務連絡(電話・電子メール)からの解放を保障する新法が成立
2019年2月27日には、フランス・イタリアで企業に向けた環境整備の義務付けが法律で施行されていることが、日経新聞で取り上げられています。欧米で「つながらない権利」が推進される中、日本国内での動きはまだまだ活発になっておらず、正式に取り入れている企業も少数とのことです。
しかし、働き方改革での労働時間短縮、副業推進などを皮切りに、「つながらない権利」が大きく問題視されるのも時間の問題でしょう。企業だけでなく、働く個人も「つながらない権利」をどのように考え、働き方に適応させていくかが課題になってきます。
参考:日経新聞『休日に業務連絡NG 「つながらない権利」日本では?』
副業における「つながらない権利」とは
本業と違い、副業において「つながらない権利」を主張することは難しいでしょう。なぜなら、そもそも副業は「勤務時間外」を利用して行うものであり、「勤務時間内」でのやり取りは原則禁止されているケースも多いからです。
しかし、働く誰もが「仕事」と「プライベート」のメリハリをつけ、適切な休息を確保したいはず。本業だけでなく副業においても、ある程度は「つながらない権利」を確保する工夫をする必要があるのです。
そのためには、副業先(クライアント企業/勤務先)とのコミュニケーションはもちろん、自身のメール/電話管理を見直すべきかもしれません。
副業での報連相における注意点・事前対策
まず大前提として、副業で副業先(クライアント企業/勤務先)とのやり取りが必要な場合、本業だけで働いていた時よりも、仕事に関するやり取りが増えます。
時間的にも身体的にも負担を感じることが増えるということです。当たり前のことですが、意外とこれは大きなストレスとなり得ます。事前に理解しておくのはもちろん、覚悟をしておきましょう。
その上で、副業における「つながらない権利」を確保するためには、「副業先(クライアント企業/勤務先)との報連相をルール化」することが大切です。副業者と副業先(クライアント企業/勤務先)の双方が設定したルールを守れば、
「早く返事が欲しい」
「わざわざ連絡してこないで欲しい」
「連絡が遅すぎる」
など、イライラを募らせることがなくなるでしょう。
具体的な方法は以下の通りです。
① 「連絡できない時間帯/日」を事前に伝える
② 「連絡できなくなる場合&その際の対応」を事前に伝える
③ 「緊急時の連絡手段(もしくは対応方法)」を事前に確認
④ ルールを守れないことが発覚したら、即座にその旨と代替案を伝える
できるだけ細かく決めておきましょう。想定外のことが起きないよう、副業先(クライアント企業/勤務先)と協力して設定をするのが大切です。副業を依頼する場合(クライアント視点)にも当然心がけましょう。報連相は依頼した仕事の成果に大きく関わります。
もし、副業先(クライアント企業/勤務先)がルールを設定していない/曖昧なルールを設定している場合、積極的に細かなルール設定を促しましょう。
その際は、最低でも先ほど紹介した4つのことを伝えた上で、
「恐れ入りますが、○○様とスムーズなやり取りを行うために、○○様の○○も教えて頂けますでしょうか?」
といった謙虚な姿勢で伝えると、信頼を築きやすいです。関係性にもよりますが、心がけとして覚えておきましょう。
また他にも、メール管理の対策も重要です。
・誤送信
・確認漏れ
など、納期遅れ・誤った意思疎通を起こしかねない失敗を防ぎましょう。
具体的な対策の例は以下の通りです。
別のアドレスを用意する
別のフォルダを用意する
別の端末を用意する
別のアプリを用意する
別のメールサービスを利用する
本業とは別で、管理する工夫をしましょう。
また、「通知」設定も有効に活用できます。
※副業での企業とのやり取りにおいて、頻繁に利用される『Chatwork』では、曜日・時間を設定して通知機能をオンにできる「通知しない曜日・時間帯設定機能」があります。仕事のやり取りをしない日・時間を設けている方は、積極的に利用してみましょう。
まとめ
欧米で注目を浴びている「つながらない権利」を、副業において確保するための「事前対策・準備」を紹介しました。
「連絡できない時間帯/日」
「連絡できなくなる場合&その際の対応」
を事前に伝え、
「緊急時の連絡手段(もしくは対応方法)」
を確認し、ルールを守れない場合には、即座にその旨と代替案を伝える工夫をしましょう。また、自らそういったルール決めを促す必要もあります双方のために、能動的に働きかけることが大切です。
他にも、メール管理・通知設定で工夫をすることで、「つながらない権利」を確保することができます。不透明な将来に向けて、報連相においても、働き方のカスタイマイズをしてみてください。