転職・就活中、面接でも履歴書でも必ず必要になる自己PR。人事担当者が採用を判断する際に重要視している項目の一つです。
「自己PRとは何を伝えれば良いの?」
「自己PRで好印象を与えたい!」
「どうすれば効果的に伝わる書き方ができるのだろう・・」
このように自己PRに不安や疑問を抱いている人も多いはず。
何をどうアピールしたら良いのか分からないまま自己PRしてしまうと、企業にあなたの良さは十分に伝わらないかもしれません。
そこで今回は自己PRの具体的な作り方を紹介しながら、効果的な書き方・話し方について詳しく解説していきます。
目次
自己PRの目的
面接や履歴書では、なぜ自己PRが必要なのでしょうか?また、企業側は自己PRから何を見ているのでしょうか?
自己PRの目的2つを紹介します。
人柄から今後の可能性を知るため
人事担当者は自己PRからその人がどんな人なのか、人柄を見ています。これまでどんな経験をしてきて、その経験からどんな強みや考え方を確立したのかを知りたいのです。
これまでの具体的な経験、主に力を入れてきたこと、頑張ったことなどをもとに自己PRはしますが、たとえばサッカーをしていた、飲食店でアルバイトをしていた、など、実際の活動に興味があるのではありません。
珍しい経験や誰もが驚くような経験でなくても良いのです。
当たり前のように皆がしている経験であっても、そこからどんなことを感じ、どんなことを考え、どう成長してきたのかから、企業側はその人自身の人柄を見ています。
そして、その人柄は会社の社風に合うか、欲しい人物像か、そして会社で利益を生み出し、長く定着し、活躍してくれる人材かどうかも見ているのです。
これまでの経験から学んできたことを踏まえて「社会に出て何が実現できるか」「どんな貢献ができるのか」など、人柄から今後の可能性を判断しているのでしょう。
意欲があるかを知るため
その会社に入りたいという強い意欲があるかどうかも自己PRで見ています。
「これまでの経験を通じて学んだことを入社後具体的にどう活かしていくのか」
「企業研究をし、その企業に合った内容で自己PRができているか」
話す内容はもちろんのこと、話し方や表情、声など含めて意欲が感じられるか判断しているのです。
自己紹介と自己PRの違い
自分という人を知ってもらうための自己PRですが、自己紹介とは違うもの。自己PRと自己紹介の違いを説明します。
自己紹介と自己PRの違い
自己紹介とは、自分自身について知ってもらうために簡単に自分について説明すること。氏名や学校名など基本的なプロフィールを伝えます。
一方、自己PRとは自分自身の経験やそこから得た強みなど「自分はこういう人間でこんな貢献ができる」とアピールするもの。「入社したい」「ぜひ私を採用してほしい」という強い意志を伝える場なのです。
自己紹介と自己PRを間違えた場合のリスク
自己紹介と自己PRを間違えてしまうと、以下の3つのリスクがあります。
自己紹介と自己PRの言葉の違いを理解していないと思われる
就活の基本とも言える「自己紹介」と「自己PR」の言葉の違いがわかっていないのでは、と思われてしまいます。それは就活自体において事前準備不足、または一般常識の欠如と見なされてしまうかもしれません。
人事担当者の話を聞いていないと思われる
「自己紹介をしてください」「自己PRをしてください」などの人事担当者からの指示を聞いていなかったのでは、と受け取られてしまいます。それは、入社後にも上司の話を聞かないのではないか、指示がきちんと通らないのではないか、とマイナスな印象になってしまうのです。
伝えるべき内容が伝わらない
自己PRをする場面で簡単な自己紹介だけで終えてしまったら、自分の強みやそのエピソード、熱意などを伝えることができず、アピールする場面で損をしてしまいます。
自己紹介と自己PRの求めるものの違いについてきちんと理解をしたうえで、面接官がどちらを求めているのか、間違いのないよう注意しましょう。
そして、履歴書に記載する際は、自己PRが簡単な自己紹介で終わらぬよう、しっかりと自分の強みをアピールすることが大切です。
自己PRの作り方
どのようにして自己PRは作れば良いのでしょうか?効果的な自己PRを作るためにやるべきことを具体的に解説していきます。
自己分析をする
まず、自分のこれまでの経験を振り返ることからスタートします。「自分にはアピールできるようなことはない」と言う人がいますが、必ず誰しもあるものです。
これまでの人生を振り返って頑張ったこと、大変だったこと、困難を乗り越えたこと、長く続けたこと、成功したこと、褒められたことなどをノートに書き出してみましょう。
書き出すと様々なことを思い出すことができ、新しい発見があったりと自分の経験を整理することができます。
箇条書きでも構いません。自己分析用のノートを一冊用意し、自分のこれまでを振り返り、何をしてきたか書き出してみましょう。
その時必ず、具体的なエピソードも一緒に書き出してみてください。大切なのは経験そのものより「経験から何を得たか」。何かを学び、それを次にどう活かしたか、活かそうとしているのか、など、人事担当者が知りたいのは、今後の可能性なのです。
詳しく思い出すことで必ず、自己PRに使える経験・強みが見えてくるはずです。
ノートは自己分析を深めるために、思い出しては書き足すようにし、自己分析の精度を高めるために継続して使用しましょう。
【例】
居酒屋のアルバイト、3年間続けた、新人の教育担当を任された、ある新人にやめたいと言われたが何回も話を聞き頑張るよう説得した、その結果新人はいきいき仕事をするようになった、その時工夫したことは○○だ、力を入れたことは○○だ。
企業の欲しい人物像を知る
次に企業がどんな人材を採用したいと考えているか知ることが大切。企業は「すごい経験がある人」を採用したいのではなく「自社で活躍してくれそうな人・利益を生み出してくれそうな人」を採用したいのです。
自己PRは自分の強みを売り込むことですが、企業の欲しい人物像とずれてしまうと、いくら優秀な実績や強みをアピールしても採用されません。
たとえば「黙々と一つの作業に集中できます」という強みは、システム関連の会社では活かせますが、接客業では欲しい人物像とは合致しないかもしれません。
そのため、志望先企業がどんな人材を採用したいのか研究することが大切です。ホームページや会社説明会、OB・OG訪問、口コミサイトなどを積極的に活用しましょう。
もう惑わされない!転職を成功させる口コミ収集方法・活用ポイント|おすすめの転職サイトも紹介
欲しい人物像に合わせてアピールする強みを決める
志望先企業の欲しい人物像が明確になったら、自己分析で見えてきた自分の強みの中から、アピールする内容を決めましょう。
伝えたいことが多過ぎるとポイントが絞れずにかえって伝わりづらくなってしまうので、一つに絞ります。
企業ごとに採用したい人物像は違うので、効果的な強みやそのエピソードも企業ごとに変わるもの。志望先企業に合わせた自己PRを用意しましょう。自己PRを予め複数パターン用意しておけると良いですね。
具体的エピソードも合わせて書く
伝えたい強みが決まったら、それを裏付ける具体的エピソードを整理しましょう。どんな出来事があって、それをどう乗り越え、そこから何を学び、自分自身のどのような強みとなったのかを文章にするのです。
人事担当者がイメージしやすいように、できるだけ具体的に書きましょう。具体的である方が説得力が増すのです。特に数値を入れるのがおすすめ。
たとえば、「私は粘り強いです」と書いても、本当に粘り強いのか、どのくらい粘り強いのかイメージできません。そこで「小学生から10年間、サッカーを続けています。レギュラーになるために毎日部活動後も○○の練習をしたり…」のように具体的エピソードや数値を入れます。
結果だけを示すのではなく、そこから気づいたこと、身についたことを強みとしてアピールするのです。そうすることで「伝えたい強み」に説得力が増し、人事担当者を納得させられるでしょう。。
強みを企業でどう活かせるかを書く
最後に必ず、自分の強みを企業でどう活かせるかについてアピールします。企業が知りたいのは、経験や活動そのものではなく「今後活躍してくれるかどうか」です。
「○○の経験から○○を学び、○○を身につけました」で終わりではなく、それを活かして入社後に何ができるか、何を実現したいか、について必ず言及しましょう。
入社後に実現したいこと、貢献したいことを書いて初めて、入社への意欲が伝わります。これまでの経験や実績を自慢することが自己PRの目的ではありません。
それを踏まえて、これから何ができるのかをアピールし「だから自分を採用してほしい!」と意欲を伝えることが大切なのです。
履歴書での自己PRのポイント
履歴書で自己PRを書く時に注意すべきポイントをまとめます。自己PRの内容自体はもちろん大切ですが、履歴書に書く時ならではの注意点があるので、ぜひ参考にしてください。
指定の文字数の8割は埋める
文字数が指定されている場合、少なくとも8割は埋めましょう。指定されていない場合は、400字程度が読みやすいと言われています。
長過ぎる場合は、エピソードをシンプルにしたり、強みを絞ることで調整しましょう。たくさんのエピソードや強みを盛り込むことで多くをアピールできると思われがちですが、何を一番伝えたいのかわかりづらくなり、印象に残りません。
【NG例】
「私は飲食店で6年間アルバイトをしていました。主な仕事内容は接客やレジですが、混雑する時間帯は、キッチンで料理を作るサポートもしました。閉店後は売上のチェックをすることもありました。また、新人の教育も担当し、社員と同じような仕事も任されてきました。責任感が強く一つのことを長く続けることができます。これまで培ってきた経験は、貴社で担う様々な業務に活かせると思っています」
(解説)
あれもこれもと盛り込み過ぎています。アピールしたいことがたくさんあるのは素晴らしいことですが、一つ一つの内容に具体性が欠けるため、具体的にどんな努力や工夫をしたのかが伝わりません。なぜ社員と同じような仕事を任されたのか、大変だったことやそれを乗り越えた工夫などに全く触れられていませんよね。
このような文章では自分の最もアピールしたい強みがぼやけてしまいます。自己PRでは、アピールポイントを一つから多くても二つに絞りましょう。
また短過ぎる場合は、エピソードをさらに具体的にしたり、事前知識がない採用担当者にもわかる内容になっているか確認しましょう。
また、困難を乗り越えた時のシチュエーションがわかりやすく盛り込まれているか、成果を数字で表せているか、などもぜひ確認してください。それらの情報を盛り込むことで強みの根拠が明確になり、文字数も長くなります。
【NG例】
「私の前職は求人広告の営業です。顧客の採用課題に対して的確な提案ができるよう努力してきました。その結果、顧客から多くの仕事を任され、社内の業績目標も達成してきました。顧客との信頼関係を築けることが私の強みと考えています」
(解説)
110文字程度と、短過ぎる自己PRです。具体的なエピソードがなく、どんな努力をしてきたのかイメージができません。「顧客の採用課題を知るために毎日訪問し、採用担当者と話をするだけでなく、現場の教育担当者からも課題のヒアリングを行いました」など、具体的な工夫について触れましょう。また、どのくらいの仕事を任されたのか、目標達成についても具体的にできると良いですね。
小さすぎず、大きすぎず、読みやすい文字
手書きで書く場合、たくさん書きたいからと小さい文字でぎゅうぎゅうに書くと読みづらくなります。また、要点を絞って伝えることも大切です。
大きい文字で書くのは読みやすいですが、あまりに大きいとスペースが足りなくなります。適度な大きさの読みやすい字で、丁寧に書くように心がけましょう。
誤字脱字、専門用語はNG
誤字脱字があるのはもちろんNGです。読み返していない、見直す作業を怠っている、とマイナス印象を与えます。
また、専門用語も使わないように注意しましょう。その経験をした人にしかわからないような言葉を多く使うと、読み手に配慮がないと思われてしまいます。
事前知識のない人事担当者が読むことを前提として書くようにしましょう。
面接での自己PRのポイント
次に、面接時に自己PRするときの注意点についてポイントをまとめます。対面で自己PRを伝える時ならではの注意点がありますので、こちらもぜひ参考にしてください。
キャリアプランについての記事はこちら!キャリアプランの書き方と例・面接時の上手な返答例
立ち振る舞いは堂々と
明るくハキハキと自己PRを述べましょう。自分自身を知ってもらうこと、アピールすることが目的ですので、自信なさそうに小さな声で話していては、強みとして伝わりづらいです。
堂々と話をすることで面接官からも好印象ですので、元気よく挨拶をし、笑顔で自己PRしましょう。
丸暗記ではなく、頭に入れておく
堂々と落ち着いて話をするためには、自己PRの内容を頭に入れておくことが大切です。しかし、丸暗記しようとすると、面接で緊張のあまり忘れてしまったり、きちんと覚えているかかえって不安になってしまいます。
丸暗記するのではなく、伝えたい内容自体を何度も読み込み声に出して伝える練習をし、内容を頭に入れるようにしましょう。
言葉や順番が多少変わっても問題ない、くらいの気持ちで自分の言葉で伝えると意欲も伝わるのです。
事前の準備・練習をすると、堂々と自信を持って自分の言葉で伝えることができるようになるので、練習は必ずしましょう。その様子をスマホで撮影し、客観的に見るのもおすすめです。
質問されたらアピールで返す
面接の場で、自己PRの内容について突っ込んだ質問をされたり、強みではなく弱み・短所について聞かれることがあります。
その対策としては、しっかり自己分析をし、予め様々な質問に対する答えを準備しておくことが大切です。
しかし、予想していなかったことを聞かれることももちろんあります。その際どんな質問であっても、自分の強みを盛り込むということを意識しましょう。短所も伝え方によっては強みとして自己PRができるのです。
【良い回答例】
質問:
「あなたの弱点を教えてください。」
回答:
「はい。私の弱点は慎重で心配性なところだと思っています。でも慎重だからこそ、早めに物事に取りかかり、何度も確認をすることで正確に物事を進めることができます。子どもの頃から宿題や課題は頂いたその日のうちに取り掛かり、期日よりかなり早く提出する性格です。そのため、部活では会計を任されたりと信頼されてきたと自負しております。」
また、「短所はありません」と答えるのもNGです。短所のない人はいません。弱みも、改善方法と合わせてや強みとして伝えることで、アピールの機会になり得ます。
「弱みはなんですか?」の質問で面接官が知りたいのは短所そのものではなく、その答えの返し方やエピソードを通して見えてくる人柄なのです。
貢献したい、入社したい意欲を前面に出す
対面での面接だからこそ、自己PRを通して伝えたいのは熱意です。うまく言えなくても構いません。途中で間違えたり、つっかえてしまっても良いのです。
入社したいという思いを持って堂々と自分を知ってもらいましょう。丸暗記してすらすらと上手く喋ることより、大切なのは「この会社に入りたい」という思いを持って自己PRすることなのです。
そのために特に締めの言葉を工夫しましょう。「入社して貢献したいこと」+「意欲を示す言葉」とするのが良いですね。
【例】
「これまで培ったコミュニケーション能力を発揮して、御社でも活躍できるよう精一杯頑張ります」
自己PRで不安なら転職エージェントに相談しよう
自己PRに不安を抱えている人は多いはず。自己PRについてこの記事でも解説してきましたが、それでも不安が消えない場合は、転職エージェントに相談するのがおすすめです。
第三者と話をすることで、不安が解消され自信が持てたり、自己分析が深まり、長所・短所が明確になることもあります。
転職エージェントはプロです。さらに基本的に利用料金はかかりません。
自己PRのサポートをしてくれるだけでなく、その添削や面接の練習などもしてくれますので、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
転職エージェントとは?メリット・注意点・選び方【使った方が良いの?】
転職エージェントに「相談だけ」って大丈夫?”相談だけ”するメリット・注意点
転職で悩んでいるなら転職エージェントの利用がおすすめ
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