「鈍感」と聞いて何をイメージするでしょう。
「気を使えない」
「空気が読めない」
このようなマイナスなイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。
しかし社会で生き抜くために身に着けたい力の一つに「鈍感力」というものがあります。
鈍感力は普段の人間関係だけでなくビジネスにも活きるとされており、ビジネスパーソンは鍛えておいて損のないスキル。
ここではそんな鈍感力のメリットや鍛え方を紹介します。
目次
鈍感力とは
鈍感力とは「ストレス要因となる外部情報を上手に受け流し、抱え込まない力」のこと。
鈍感は「鈍い」の意味を持ちます。「鈍い」には本来あまり良い印象がありませんが、鈍感力はこの鈍さをポジティブな方向で捉えます。
・相手からの悪意のある言い方にわざと気づかないふりをする
・SNSでの誹謗中傷を受け流す
このようにあえてストレス要因に対して鈍くなることで精神的疲労を軽度で食い止め、現代のストレス社会を生きやすくしようというわけです。
鈍感力を身に付けるメリット
ストレスから身を守ってくれる鈍感力。ビジネスにおいては具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
仕事のパフォーマンスが上がる
鈍感力で上手くストレスを回避できれば、その分仕事に全力を注げる時間が増え、パフォーマンスも上がると考えられます。
ストレスは仕事のパフォーマンスに大きな影響をきたすもの。ニッセイ基礎研究所が発表した「2018年度 被用者の働き方と健康に関する調査」によると、仕事に影響した体の症状としてストレスが9.0%で1位。
ストレスは体調に表れることもあり、そうなれば仕事に集中するのも難しくなるでしょう。鈍感力でストレスを減らすことで、生産性を上げられるのです。
新しいことに積極的に挑戦できる
人の意見に敏感でストレスを抱えやすい人は、他人から批判されることを恐れます。「失敗できない」という思いが強いため、なかなか新しいことにも積極的になれません。
一方、周囲の評判に対し鈍感力を発揮できる人は、例え批判されたとしてもスルーできるため、失敗を恐れず積極的にものごとに挑戦できるのです。
仕事の幅を広げていく中で、新しいスキルや経験値をどんどん積み上げていけるでしょう。
立ち直りが早く挑戦し続けられる
鈍感力がある人は他人の言葉だけでなく自分が抱く負の感情にも鈍感。
挑戦して失敗したときの後悔や自信損失も少ないため、すぐに失敗から立ち直り、再挑戦や方向転換に切り替えることができます。
失敗のストレスを引きずってしまう人の場合、一度大きく失敗したことで心が折れ、挑戦するステージを自ら降りてしまうケースが少なくないのです。
鈍感力を鍛える方法
そもそも敏感・鈍感というのは生まれ持った性格もあります。しかし鈍感力はトレーニングで鍛えることも可能。今日からでも始められる鈍感力の鍛え方を紹介します。
とりあえず「なんとかなる」と思うようにする
・仕事でミスをした
・上司を怒らせてしまった
このような過酷な状況になったときでも、いったん「なんとかなる」と思うクセをつけましょう。
「なんとかなる」と実際に口に出してみるのもよいですし、「何かあってもなんとかなる」と紙に書いて見るのも有効。
心で思うだけでなく目や耳から脳に取り込むことでより自己暗示をかけやすくなるでしょう。
「なんとかなる」未来があると思えれば、「その未来のために今何をすべきか」とベクトルを未来に向けることができます。「今はクヨクヨしている場合じゃない」と気持ちを切り替えやすくなるでしょう。
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変えられない状況は割り切るようにする
例えばある人に嫌われ、悪口を言われたとしましょう。当然傷つき、ストレスを抱えてしまいますよね。しかしそこでなんとか好かれようと努力しても、それすらストレスになってしまうかもしれません。
他人の気持ちは自分ではコントロールできないもの。変えられない状況は仕方ないと割り切りましょう。そうすることで「どうして私のことを嫌うの?」「嫌わないでほしい」と考える分のストレスが軽減されます。
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自分のことは自分で評価する
他人の言うことや態度に敏感に反応してしまうのは、他人に評価されていると思っているから。自分のことは他人でなく自分が評価する、と思えば、他人の評価がさほど気にならなくなります。
例えば、毎日の終わりに今日の自分の評価を記入するノートをつけてみてはいかがでしょうか。自分を評価するときは、減点方式でなく加点方式で。
自分へのプラス評価で自信を持てるようになり、他人の意見に振り回されることもなくなってくるはずです。他人の評価が気になったときには、ノートを見返して自信を取り戻しましょう。
反論することをやめてみる
他人との会話の中でカチンとくることを言われてもあえて反論しないようにしてみてください。「反論するのは時間のムダだな」と考えるのです。
反論しようとすると「相手を言い負かしたい」という負の感情が高まりますが、反論するのをやめることでその感情を抑えられ、冷静になれます。
反論することで心からすっきりすることはありません。逆に双方がヒートアップしてしまい、かえって感情が高まってしまうでしょう。
また反論しようとすると、相手の話から反論の要素を掴むために真剣に相手の話に聞き入ってしまいます。
「反論はムダ」と思うことで、カチンとくる話を聞き流す力が身に付いてくるでしょう。
客観的に見るクセをつける
他人の言葉に傷つき感情的になると、冷静にものごとが判断できなくなります。
本来気にしなくてよい程度のことにまで敏感に反応してしまうようになります。
感情的になりそうなとき、一度客観的になりましょう。冷静さが取り戻せます。おすすめは、ドラマやバラエティー番組のようにカメラで撮影されているイメージをすること。
「この人はこの前のことを根に持って八つ当たりしているんだな」
「ちゃんと話を聞いているふりをしている自分、偉い!」
カメラの視点からの今の状況を想像すると、このように冷静に観察できるようになるのです。
そのイメージをしている間に、相手の話も終わり重く受け止めることもなくなるでしょう。
鈍感力の注意点
鈍感力を身に付けることは社会生活において重要です。しかしどのようなシチュエーションでも鈍感であれば良いというわけではありません。
・自分のために上司が助言してくれているときはしっかり耳を傾ける
・後輩が不満を抱えているようであれば話を聞いてみる
このように聞き流さない・見逃さない能力が必要なシーンも多々あります。
鈍感力ばかりを重視して敏感さをまったく失くしてしまうと、本当に「気を使えない」「空気が読めない」人になってしまい、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性も。鈍感力を高めるとともに、適宜鈍感と敏感を使い分ける能力も磨きたいものです。
まとめ
ストレスから転職や退職に追い込まれるケースも少なくない現代。鈍感力を身に付けることは、ビジネスの成功だけでなく、自分の身を守ることにもつながります。
ただし鈍感力はすべてのシーンで発揮すべき能力ではありません。状況をきちんと見極めながら上手に活かしていきましょう。