「職人気質」と聞くと、どのようなイメージを抱きますか?「頼りになる」「情に厚い」「プロフェッショナル」などと良いイメージを持つ人がいれば、「付き合いづらい」「気難しい」などマイナスイメージを持つ人も多いでしょう。
「職人気質」は身近な言葉ではありますが、正確に説明できる人は少ないのかもしれません。
「自分は職人気質かも。どんな職業が向いているのだろう?」
「職人気質だね、と言われたけど、どういうこと?」
「職場に職人気質の人がいて、どう上手く付き合ったらいいかわからない」
この記事では、このように「職人気質」について疑問・悩みを抱えている人に向け職人気質の人の特徴をまとめたうえで、向いている仕事や付き合い方についても詳しく解説します。
目次
「職人気質」とは
職人気質とは「自分の持つ職人としての技術を信じて誇りとし、納得できるまで仕事に実直な姿勢で取り組む気質」のことです。(参考:職人気質(ショクニンカタギ)とは何? Weblio辞書)
読み方は「しょくにんかたぎ」。「気質」の漢字は「きしつ」「かたぎ」の2つの読み方がありますが「きしつ」と読む場合は個人の性格を指すため、「かたぎ」と読むのが正解なのです。
個々の腕や技術が必要で黙々と作業に打ち込み、自分のやり方を変えない頑固さは、職人の世界独特の性質。そこから職人のような気質を持っている人を「職人気質」と呼ぶようになったのです。
職人気質の人の特徴
次に職人気質の人の特徴について詳しく解説していきます。
強い信念を持っている
職人気質の人は仕事への強いこだわりや信念を持っているもの。その背景には、長年積み重ねてきた努力、経験、実績があります。
そのため、簡単に自分のやり方や考え方を変えない頑固さがあるのです。何があってもこだわりや信念に従い、自分の納得のいくクオリティの高い仕事を維持しようとするでしょう。
その姿に周りの人は「この人に仕事を任せていれば大丈夫」と安心感を感じます。
一方、柔軟に物事を進めなければならない時にはなかなか考えややり方を曲げないその姿勢に「扱いづらい」と感じることもあるかもしれません。
自信を持っている
職人気質の人は自分の仕事に自信を持っています。
長年培ってきたやり方や経験、自分の感覚や見る目は絶対だと自信があるのです。なぜならそれまで誰よりも努力し、実際に結果や成果を残してきたから。自分の仕事に対する高いプライドを持っているのも特徴の一つです。
そのため周りからはやはり「この人に任せておけば安心」と信頼されるでしょう。ただし、イレギュラーが起きた時や自分のやり方で上手くいかない時、それをなかなか認められず柔軟に物事を進めることは苦手です。
自分にも他人にも厳しい
職人気質の人は自分の仕事に手を抜きません。仕事に対して責任を持ち、高いクオリティを維持します。そして、それが当たり前になっているので同じレベルの仕事を他人にも求めてしまい他人にも厳しくなりがちです。
周りの人から「すごいなぁ」と尊敬の念を持たれる一方「厳しすぎる」と思われることもあるでしょう。
気難しい
職人気質の人は、自分のやり方や技術に強いこだわりと自信を持っています。結果が全てで周りからの評価を気にしないため、人に媚びたりしません。
また、曲がったことが嫌いなため、厳しいことであっても率直に伝えます。
常に自分を曲げずに突き進むため、他人にはなかなか理解されにくく、気難しいと思われることも多いでしょう。
完璧主義である
職人気質の人は、仕事にこだわりを持っており、それを完璧に遂行しなければ気が済まない、と考える完璧主義者です。周りの人にとっては、完璧に仕上げてくれる、と安心して仕事を任せることができるでしょう。
しかし、完璧にやることよりスピードを優先してほしい場面では「そこまでしなくても…」と思われてしまうこともあります。
職人気質の人に向いている仕事
職人気質の人はどんな仕事に向いているのでしょうか。具体的な職種や仕事内容を解説していきましょう。
ただここで紹介する職種以外にも、職人気質の人の特性を活かして活躍できるフィールドがたくさんあります。真面目で忍耐力があり、最後まで責任持って完璧な仕事をやり遂げる職人気質の人は多くの分野で活躍できるのです。
緻密さと集中力が求められる仕事
例えば・・・研究職
一つのことに集中し、時間をかけてじっくり取り組むことが得意な職人気質の人。緻密な作業を黙々と丁寧に取り組む必要のある研究職は、職人気質の人が向いている仕事の一つです。
集中して同じ実験を繰り返したり、顕微鏡でしか見えない細かな作業に没頭するような研究は職人気質の人にとっては、苦にはなりません。
新しい発見のために情熱を持ってなかなか成果が出なくても辛抱強く調べ続け研究に没頭する仕事は、職人気質の人に向いている仕事と言えるでしょう。
自分の納得いくものを作り出す仕事
例えば・・・プログラマー、Webデザイナー
プログラマーやWebデザイナーなど、スピードや効率より自分の納得いくものを追求する仕事は、職人気質の人に向いていると言えそうです。
プログラマーは多くの情報やプログラミング言語を使って様々なシステムやソフトウェアを作る仕事。Webデザイナーは、Photoshopなどの画像編集ソフトを使ってデザインを手がける仕事です。
自分独自の考えやイメージを形にするために細部にわたって考え、集中して作業をするので、こだわりの強い職人気質の人に向いている仕事と言えるでしょう。
コツコツと丁寧な作業が求められる仕事
例えば・・・家具職人、靴職人、大工
コツコツと丁寧な作業を繰り返す仕事も職人気質の人に向いている仕事。小さな妥協も許されない、例えば家具職人、靴職人、大工などの仕事です。
家具職人や靴職人は、デザイン、設計、制作まで細かで丁寧な作業を必要とします。大工は、主に木材を使って建築や修理を行い、人が安心して利用できる建物を作る仕事です。
これらの仕事は1ミリのズレが全体に影響を及ぼすため、ミスが許されません。こだわりを持って丁寧な作業をコツコツと行うことが得意な職人気質の人に向いている仕事と言えるでしょう。
常に腕を磨き続ける仕事
例えば・・・料理人
常に高みを目指し、こだわりを追求し続けるような仕事も職人気質の人には向いています。
例えば料理人。料理の世界も職人気質の人が多いと言われています。一人前になるまで皿洗いや掃除などの下準備をひたすら行う必要があったり、上下関係が厳しかったりと忍耐力も必要でしょう。
もっと美味しい料理を作りたい、と食材や調理方法の研究をし続け、丁寧で繊細な作業を積み重ねる仕事です。向上心を持って理想を追求することが得意な職人気質の人に向いている仕事と言えるでしょう。
専門性が求められる仕事
例えば・・・エンジニア、CADオペレーター
ひとつの技術を極め、専門性を求められる仕事も職人気質の人に向いていると言えます。例えば技術職であるエンジニア、CADオペレーターなどがそれに当たります。
自動車や重機などを作り出すエンジニアや、システムを構築するエンジニア、コンピューターを利用して設計図を作成するCADオペレーターなど、いずれも細かい作業を必要とし、正しい作業をしなければ物もプログラムも動きません。
丁寧で真面目に、細かな作業を得意とする職人気質の人に向いている仕事と言えるでしょう。
職人気質の人との上手な付き合い方
こだわりが強く、プライドの高い職人気質の人と付き合うのは難しそう、と思われてしまいがちです。しかし、仕事において頼りになることも多く、人間としても真っ直ぐで裏表のない情に厚い職人気質の人。
どんなふうに付き合えば、良好な人間関係が築けるのでしょうか?ここでは職人気質の人との上手な付き合い方について紹介します。
相手を認める
職人気質の人は自分の仕事、技術、やり方に誇りを持っています。それを認めていることが伝われば、人間関係の壁をなくすことができるのです。
誰しも一番大事にしていることを認めてもらえると嬉しいもの。警戒心の強い人であっても、自分のことを認めてくれるなら相手のことを受け入れ、認めるようになります。
「あなたの仕事を尊敬しています」「安心して任せられます」と相手を認めていることを伝えましょう。
積極的にコミュニケーションをとる
職人気質の人と良好な関係を築きたいなら、自分から積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
職人気質の人は自分の信念のもとで仕事をしているため、積極的に他人の意見を取り入れたり、必要以上に周囲と関わりを持とうとしません。
しかし気難しそうと思われがちな職人気質の人でも、自分のことを好いて一生懸命に関わろうとしてくれるのは嬉しいもの。
ただ「気難しい」とのイメージから話しかけにくいこともあるでしょう。その場合は、具体的な仕事内容、これまでの経歴や商品のこだわりなどについて質問してみると良いですね。
また話しかけるタイミングも大切。職人気質の人は仕事に集中しているため、どのタイミングで話ができるか予め確認しておきましょう。
気難しく思われがちな職人気質の人ですが、その一方、情に厚いという特徴もあります。一度壁を取り払えば一気に距離が縮まることも。勇気を出して一歩近づいてみましょう。
誠意を伝える
自分にも他人にも厳しい職人気質の人は「この人は適当な仕事をしている」と感じれば相手にすらしないでしょう。
職人気質の人に信頼されたいのなら、言葉だけではなく、仕事に真剣に取り組んでいることを姿勢で伝えることが大切です。
誠意、真剣さが伝われば一肌脱ごうと力を貸してくれるのも、職人気質の人の真面目さ。情に厚いという特性があるのです。
プライドを傷つけない
職人気質の人は自分の仕事に自信があり、プライドを持っています。それを否定されたと感じるとなかなか心を開かなくなってしまうのです。
職人気質の人に心を開いてもらうためには、まず相手のやり方や仕事内容、製品などを深く知ることや褒めることから始めるのがおすすめ。
決して不用意にプライドを傷つけないよう、認めていると伝えたうえで、意見をしたり、依頼をする方がお互いスムーズに物事が進むのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
真面目で実直、高い技術と信念を持って物事を進める職人気質の人は、安心して仕事をまかせられる反面、付き合いづらいと思われてしまうこともあるでしょう。
しかし職人気質の人たちが、あらゆる分野を支えているのも事実です。
また職人気質の人は仕事だけではなく、人間関係にも真っ直ぐで真剣に向き合おうとします。一度心を開いて信頼関係ができてしまえば、長きに渡りその関係を大切にするでしょう。
自分が職人気質かもしれない、と思う人はその特性を活かして社会で活躍することをぜひ考えてみてください。
また周りに職人気質の人がいる場合、その特性を理解して良好な人間関係を築いてください。きっと大きな力、支えとなってくれるはずです。