「初対面の人と話すのが苦手」
「話を盛り上げるのがもっと上手になりたい」
生きていく上で欠かせない、人とのコミュニケーション。その中でも特に初対面の相手や親しくない相手と仲を深めるために必要となるスキルが「雑談力」です。
最近ではビジネススキルの1つとして注目され、それに関する本も多数出版されていますよね。
しかし、「雑談」は苦手だという方も多いのではないでしょうか。実際、コミュニケーション総合調査<第3報> 「コミュニケーションへの苦手意識」でもコミュニケーションが苦手と回答した人は半数以上という結果が出ています。
たしかに初対面の方との雑談は身構えてしまいますよね。どんな人なのかも分からないのに話を盛り上げるなんて難しいと感じる方も多いと思います。
ただ、そんな方に1番伝えたいのは「雑談は面白い話をする必要なんてない」と言うこと。雑談を盛り上げるにはちょっとしたポイントを押さえるだけでいいのです。もちろん芸能人やyoutuberのようなセンスも不要。
トレーニング次第で誰でも雑談力は身につきます。本記事ではそのポイントと鍛え方をまとめました。
目次
雑談力とは
書店のビジネスパーソン向け自己啓発書のコーナーを見ると「雑談力」に関する書籍がたくさん並んでいますよね。それだけ多くの人が雑談力に興味を持ち「雑談力を身につけたい」と考えている証拠です。
まず、雑談力とは何なのか解説していきます。
雑談とは「雑=とりとめもない」、「談=話す、語る」という言葉です。
「とりとめもなく話す(語る)」の意味なら、「雑話」「雑語」でも良さそうですが、そうならないのは「談」の字は「談=言うに炎」と書き、話すことで関係性に火を灯す、という意味が含まれているから。(参考:桐生 稔 『雑談の一流、二流、三流』)
つまり、雑談力とは相手との関係性に火を灯す、育む力なのです。
良い関係性を築くことはプライベートでもビジネスでも大切。家族や友人、上司、部下、取引先など、周りの人と関係性が悪かったら地獄のような日々になってしまうでしょう。
「できることならすべての人と仲良くなりたい」「初対面でも早く距離を縮めてより良い関係を築きたい」そんな人々の思いから雑談力は注目されています。
オンラインでの会話やビデオ通話など非対面で人間関係を築く必要性が高まる今の時代では、尚更その重要性は増しているのです。
雑談力を身に付けるメリット
雑談力が身に付くと、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?雑談力を身に付けるメリットを紹介します。
良好な人間関係を築ける
雑談が盛り上がれば、相手との距離は縮まります。盛り上がることで「この人とは話が合う」「面白い人だな」と思ってもらえるようになるのです。
その結果、あまり人に言わないような話や打ち明け話、笑い話も互いにできるように。すると相手の価値観や経験を知ることができ、更に話が弾むようになります。
雑談が盛り上がれば、どんどんと良好な人間関係が築けるようになる好循環が生まれるのです。
さまざまな情報交換がスムーズになり、アイデアが生まれやすくなる
普段から雑談によって良好な関係性が築けていれば、ちょっとした情報交換もスムーズになります。
「良いアイデアが思いついたけど、今の業務と全く関係ないから口に出すのやめとこう」このように仕事中に思った経験はありませんか?
もしかしたらそのアイデアは口に出せば、とても役に立つものかもしれないのにもったいない。もし周りのメンバーと普段から雑談ができるような関係であればそう考えることもなく、口に出せるはずです。
またミーティング中、議論に行き詰まったら程良い雑談を挟むことで固くなった頭が柔らかくなり、新しいアイデアが思いつくことも。
日頃から気軽に雑談ができる関係であれば、ひょんなことから有益な情報が舞い込んでくるようになり、新しいアイデアが生まれる可能性が高くなるのです。
日々が楽しくなる
楽しい雑談の時間は日々を豊かに彩ってくれるでしょう。
同僚でも家族でも楽しい話が出来る時間が多くなれば笑顔は増え、毎日はもっとハッピーになりますよね。
雑談力を身につけるためのポイント① 心構え
ここからはその雑談力を身につけるためのポイントを3つの切り口でご紹介します。
まずは話す前の心構えから。雑談が苦手だと思う方の多くは「話を盛り上げなきゃ!」「面白い話をしなきゃ!」と考えがちです。しかし、それがそもそも誤り。
雑談の上でもっとも重要なポイントは「主役はあくまで相手」ということ。
自分から笑えるエピソードや鉄板ネタを提供する必要はありません。むしろ、相手に楽しく話してもらうことが重要なのです。
実際の雑談を例にしてみましょう。BさんとCさん、どっちと話を続けたいと思いますか?
Aさん「疲れたー。最近残業続きで嫌になっちゃうよ。」
Bさん「俺なんてこないだの土日も働いてたよ。しかも今週末は部長とゴルフ。全然休めないわー。」
Aさん「疲れたー。最近残業続きで嫌になっちゃうよ。」
Cさん「え、それは大変だ!たしかに顔にちょっと疲れが出てるかも・・・。こないだコンビニで買った〇〇って栄養ドリンク美味しかったよ!飲んだら元気出るかも!」
明らかにCさんが良いですよね!?(実体験をベースにしています。)
Bさんは話題だけしか考えず自分のことを語り、Aさんのことは考えていません。対してCさんは相手の感情を汲み取って、同調し、広げています。
つまり、相手の発言(感情)を上書きせずに寄り添うことが大事なのです。
変に盛り上げようと自分のネタを準備したり、気構えることなく、相手の言葉を丁寧に拾い上げる気持ちを大事にしていきましょう。
雑談力を身につけるためのポイント② テクニック
人と話をするときの主な要素は「始め方」「聞き方」「話し方」の3つ。
それぞれで使えるテクニックをご紹介します。すぐに使えるものですので、ぜひチェックしてください。
1.始め方「挨拶にツープラス」
人と会って話を始めるときに必ず最初にするものはなんでしょうか。
そう、挨拶ですよね。会っていきなり「こないださ〜」なんて話し始める人はいないと思います。挨拶から雑談力は鍛えていくことが可能です。
よく、話を盛り上げるために挨拶に天気の話を追加した方がいいなんて聞きますが、こんな経験はありませんか?
「おはようございます。今日は寒いですね。」
「そうですねー。」
「・・・。」
「・・・。」
それはそうなります。寒いことに寒い以上のコメントはパッと出ません。すぐ何か気の利いた返事ができる方はすでに雑談力が高い、雑談の達人だと思います。
そこで誰でもできるテクニックが挨拶にツープラス。
「おはようございます。今日は寒いですね。急に寒くなったから何を着ようか困りませんでした?」
「おはようございます。今日は寒いですね。そのカーディガン最近買われたんですか?」
もちろん天気じゃなくても大丈夫です。
「久しぶり!元気?なんだか忙しそうだね。」
「久しぶり!あれ、痩せた?なんかシュッとしたような・・・ジムとか行ってるの?」
このように最後に相手へ投げかけましょう。一見なんだか難しく感じるかもしれませんが、反復練習を繰り返せばツープラスの内容は溢れるように出てきます。
また「主役はあくまで相手」と考えれば、挨拶したときに自然とツープラス出来る言葉が出てくるはずです。ぜひ明日からの挨拶で試してみてください。
2.聞き方 大げさにリアクションする
コミュニケーションで一番のタブー、そして自分がされたら一番嫌なことはなんでしょう。
それは「無視」。当たり前だと思うかもしれませんが、実は「ほぼ無視」のリアクションを気づかない間にしがちの人も多いのです。あまり興味がない場合は特にでしょう。
「このグッズ、限定品なんだけどやっと買えたのー!」
「そうなんだ。」
もうこれはほぼ無視です。気をつけたいですよね。
こんなとき、誰でも使える反応が感嘆詞です。
文字にすると「へー」「ほー」「はー」などがありますが、声にするときは母音の方を大きく言うのがコツ。
これらを大げさと思われるくらい全力で表現すると「ちゃんと話を聞いてもらっているな」と思ってもらえることができるのです。また、全力で言うとその間にこの後話をどう広げるか考える時間も生まれます。
・「このグッズ、限定品なんだけどやっと買えたのー!」
「へぇえええ!⤴︎ それはどこで買えたの?」
・「こないだ、〇〇って話題のお店に行ったんだよね〜!」
「ほぉお⤴︎、なんのお店なの?」
・「やっとこのゲームのランキング100位になったんだよね」
「はぁー、すごい!どれくらいやり込んだの?」
大げさに言うのは恥ずかしいかもしれませんが、意外とそれくらいがちょうどいいのでぜひやってみてください。
3.話し方 セルフ質問
長い話を聞くのって退屈ですよね。小学生のとき、校長先生の話が長くていつも眠りに落ちそうでした。
その一方で長い話を聞いていても飽きない人っていますよね。そんな方々が使っているテクニックがセルフ質問です。
つまり一人で喋っているのに相手と話しているかのような雰囲気を作り出すのです。ラーメン屋の紹介を例に見てみましょう。
ダメな例
「〇〇ってラーメン屋オススメだよ。◯◯駅の近くにあるんだけど、中でも豚骨ラーメンがオススメで、結構濃厚なんだよね。しかもチャーシューも美味しくてさ、かなり分厚いのよ。ライスもランチタイムは無料だからお腹いっぱい食べれるよ。」
飽きます。多分スマホをいじりながら聞くでしょう。
良い例
「〇〇ってラーメン屋にこないだ行ったんだけどめっちゃオススメ。めっちゃ分厚いのに口に入れた瞬間とろけるチャーシューって食べたことある?ふわっ!って消える感じ。ないよね?そんな信じられないチャーシューがあるんだよ。絶対次はチャーシュー追加するって決めてるんだけど一緒にいかない?」
後者の方が長いですが、興味をそそられますよね。それは一方的に話すのではなく、間でセルフ質問が入っているからです。
ちょっと長い話や情報量が多い話をするときはこのように途中途中で質問「っぽい」フレーズを入れると話のテンポが生まれます。
すると、相手も聞く体勢になるので飽きずに聞いてもらえるのです。ついつい話が長くなってしまいがちな方はぜひお試しください。
雑談力を身につけるためのポイント③ 「NG話題」と「OK話題」
人との関係性を築くための雑談で触れちゃいけない話題もあります。無意識に相手を傷つけたり、ハラスメントになったりすることも。
特に初対面の方と話すときは注意が必要です。
あまり使わない方が良い「NG話題」と無難ですが話を広げやすくオススメの「OK話題」をご紹介します。
【NG話題】宗教
とてもデリケートな話題なので絶対に自ら出すのは控えましょう。ひょんなことから相手が神聖としているものを否定するような話になってしまうかもしれません。
【NG話題】政治
これも同じくあまり出すべきではない話題です。
相手の考えを否定してしまうといったリスクがあるだけではありません。相手のご家族や親戚、関係性が深い方に政治家の方がいるケースは多くあります。
わざわざ初対面の人にその話題に選ぶ必要性はないでしょう。
【NG話題】スポーツや芸能
無難なようで相手が全然興味がなく盛り上がらないことも。また相手の興味に無理やり話を合わせて失敗してしまうこともあります。
例えば私は野球にあまり関心がありません。それでも無理やり話題にしたとき、失敗してしまいました。
日本シリーズで優勝が決まった翌日に軽い気持ちで触れたら、相手が敗れたチームのファンだったのです・・・そのときは本当に焦りました・・・
では、無難な話題はなんでしょうか?簡単に使える2つのテーマをご紹介します。
【OK話題】地域ネタ
あまり付き合いが深くない方には地域の話が無難です。
「ここ、初めて来ました〜。駅からの商店街で美味しそうなお店がいっぱいありましたね。オススメとかあったりします?」
「わざわざお越しいただきありがとうございます。◯◯は来られたことはありますか?」
プライベートすぎず、無関係にはなりづらいテーマなので不快感を与える可能性は低いでしょう。場所の話から食べ物や出身地などに広げられることもできます。
【OK話題】変化
ある程度付き合いが長くなってきた人にはこれがオススメ。
恋愛同様「髪切った?」「今日の服装、いつもと違うね!いいね!」などの変化は相手にとって気づいて欲しいポイントです。
外見だけでなく「なんかハッピーオーラあるね、いいことあった?」「疲れてない?ちゃんと休めてる?」などもおすすめ。相手のことよく見ているということが伝わるような言葉を選びましょう。
オススメの本
最後に雑談力を身につけるためのオススメの書籍をご紹介します。
雑談の一流、二流、三流
本記事でご紹介しているテクニックの中にはこの本を参考にしているものも。
タイトルだけを見ると「雑談に一流、二流なんてあるのか!」とツッコミたくなりますが、本書は雑談における始まりから終わりまで解説されています。
著者の方は元々営業で中々成果をあげられることができなかったとのこと。そんな方が雑談を通じて売上ナンバーワンになったなんて、ぜひそのノウハウを知りたくなりますよね。
すべてのパートが「三流は〇〇、二流は〇〇、一流は?」というフレーズから始まるのが印象的。たとえば「話が止まったとき」であれば「三流は黙り込み、二流は無理やり話題を探し、一流はどうする?」といった具合です。
そのため「うわ〜、自分三流だった・・・」「え、これでも二流なの!?」と自分と照らし合わせて学ぶことができます。
気になる方はこちら『雑談の一流、二流、三流』
まんがでわかる 伝え方が9割
雑談に特化しているわけではありませんが、人と話をするのが得意ではない方にオススメです。原作である書籍の「伝え方が9割」は64万部を超えるベストセラー。漫画でもとても勉強になる内容です。
主人公は一生懸命働く編集者なのですが、伝え方があまり上手ではないため仕事に苦戦。そんなときにとあるオネエに出会って伝え方の技術を学ぶことに・・・というストーリー。
マンガなので感情移入しやすく、理解も簡単です。
雑談というよりビジネスや恋愛などコミュニケーション全般で使える本ですのでぜひご一読ください。
気になる方はこちら『まんがでわかる 伝え方が9割』
おわりに
心地よいコミュニケーションは人生を豊かにします。
あなたの人生の支えになる「雑談力」を鍛えるきっかけに本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
日々の会話で鍛えることで最強の雑談力を身につけ、より楽しい日々をお過ごしください。