クリティカルシンキングとは、物事の前提を「それは本当にそうなのか?」「なぜそうなっているのか?」と疑うことで最適解を導き出すための思考プロセスのこと。
ロジカルシンキングと合わせて、クリティカルシンキングの言葉は耳にしたことはあっても詳しく知らないという人が多いのではないでしょうか。
今回はクリティカルシンキングについて、詳しく解説していきます。クリティカルシンキングを身につける方法も紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
目次
クリティカルシンキングとは
クリティカルシンキングとは批判的思考とも呼ばれる、物事の前提を疑うことで最適解を導き出す思考プロセスのこと。
「なぜなのか?」「本当に正しいのか?」と批判的、客観的な視点で物事を考え続けることで物事の本質が見えてくるようになるのです。
「批判的」とありますが、それは無意味に批判することを意味するのではありません。
考え方や事実を鵜呑みにするのではなく、客観的な視点に立ち正誤を見極めていく思考プロセスのため「批判的」と言われているのです。
日本では主にビジネスシーンで用いられていますが、元々はアメリカの教育界で広がったもの。
子どもに知識を詰め込むのではなく、自ら考える力を養うためのものとして注目されるようになったそうです。
ロジカルシンキングとの違い
クリティカルシンキングとよく比較されるのがロジカルシンキングですが、この2つはそれぞれ異なる特徴のもの。
ロジカルシンキングとは、物事に筋道を立て、根拠を示して結論を導く思考プロセスのこと。
ロジカルシンキングは物事を考える上で非常に役立ちますが、前提が間違うと間違った結論になるというリスクがあります。
そこで前提を疑い最適解を導き出すクリティカルシンキングも取り入れると、ロジカルシンキングを正しい方向に導けるようになるのです。
【具体例】
・事実
「A店のアイスクリームの売り上げが前年度の同時期より上がった」
・ロジカルシンキングを使って考えると・・・
アイスクリームを食べると体温が下がり涼しくなる
↓
例年よりも、今年は暑かった
↓
今年は例年より暑かったため、涼しさを求めてアイスクリームを買う人が多かった
・ここでクリティカルシンキングを活用すると・・・
「A店のアイスクリームは本当に涼しさのために買われているのか?」
「売れてるのはアイスクリームだけなのか?」
このように考えていくことで、より本質的な問題に気付くことができるようになる。
【ロジカルシンキングとは】なぜ必要なの?ロジカルシンキングのメリット・注意点・身につける方法
クリティカルシンキングのメリット
物事の本質に気づける
クリティカルシンキングの1つ目のメリットは、物事の本質に気づけるようになること。
当たり前だと思われている常識や前提に「なぜ?」と疑問を問いかけていくのがクリティカルシンキングのプロセス。
そのプロセスの中で余計なものをそぎ落とし、複雑に絡み合っているものを1つ1つ分解し考えていくことで、最終的に物事の本質に気付くことができるようになるのです。
また客観的な視点から物事が見れるようにもなり、今まで気付かなかった解決策やアイデアがみつかることもあるでしょう。
コミュニケーションを円滑にする
クリティカルシンキングで考えや事象に「なぜ?」と疑問を持ち考えを深められるようになることは、人とのコミュニケーションにも役立ちます。
自分の意見を伝えるときに明確な根拠も合わせて伝えられるようになり、相手に伝わりやすくなるのです。
また相手の意見を聞くときも「なぜ、その意見になったのか」などと深く考えられるようになり、相手の意図も汲み取りやすくなります。
矛盾や漏れが無くなる
クリティカルシンキングによって、物事を分解して1つ1つ疑問を持ち思考を進めていくと、矛盾や情報の抜け漏れに気付くことができるようになります。
クリティカルシンキングを行うことで、MECE(もれなくダブりなく)の状態で解を求められるようになるのです。
矛盾や漏れに気付くことができるようになるので、無駄な時間を費やすことが減り、思考の効率も上げることができるでしょう。
クリティカルシンキングの基本姿勢
クリティカルシンキングの基本姿勢について解説します。
クリティカルシンキングにはこれといった手法はありませんが、クリティカルシンキング行う上で大切な基本姿勢があるのです。
常に目的を意識する
まず大切なのが、目的を意識すること。
「なんのために思考するのか」が明確でなければ、一部しか考えられていなかったり、意味のない検討を繰り返してしまったりします。
無駄な時間を費やさないために、思考のゴールは明確にしておきましょう。
思考の癖があることを理解する
クリティカルシンキングは、常識や主観に捉われず客観的な視点から物事を考えることが大切。そのためにはまず、自分自身に思考の癖があることを理解しましょう。
人は誰でも、その人なりの価値観や偏見、思い込みがあります。どうしても考えが自分の思考の癖に寄ってしまうのはある程度仕方のないこと。
しかし、そこで思考の癖を事前に理解できていれば「偏った考えになっていないか」と自分に問いかけられるようになるのです。
問い続ける
クリティカルシンキングは簡単に身に付くものではありません。
一度、本質にたどり着くまで考えられたと思っても時間を置いて考え直すと、まだまだ足りなかったなんてこともあり得ます。
クリティカルシンキングは繰り返せば繰り返すほど、成熟度を増すものです。
一度だけで満足せず、継続してクリティカルシンキングは行うようにしましょう。
クリティカルシンキングの身につけ方
クリティカルシンキングを身につける方法を紹介します。
クリティカルシンキングも、ロジカルシンキング同様に一朝一夕で身につくものではありません。日々の生活に少しずつ取り入れ、定着させていきましょう。
クリティカルシンキングを学ぶ
ロジカルシンキングは正しい知識を身に着け、日々の生活の中での実践を繰り返すことで身に付いていくもの。
まずはクリティカルシンキングについての正しい知識を身に着けましょう。ロジカルシンキング同様、クリティカルシンキングも奥が深く、この記事もはじめの一歩にすぎません。
クリティカルシンキングに関する本を読んで、より深い知識を身につけましょう。
【おすすめの本】
・グロービスMBAクリティカル・シンキング
MBAのテキストであるこの本は、クリティカルシンキングの入門書として幅広く読まれています。演習問題や事例が多く盛り込まれており、読みごたえのある1冊です。
・入社1年目で知っておきたい クリティカルシンキングの教科書
入社1年目とありますが、何年目のビジネスパーソンにとっても、タメになる1冊。クリティカルシンキングの基本が網羅的に解説されています。
・3分でわかる クリティカル・シンキングの基本
「3分でわかる」とタイトルにもあるように、クリティカルシンキングが分かりやすく解説されている1冊です。事例もイメージしやすいものが多く、クリティカルシンキング初心者でも理解しやすい内容となっています。
常に疑問をもつ
クリティカルシンキングで大切なのが、事実や考えに疑問を持ち「なぜ?」「どうして?」と問い続ける力。
「なぜあの人はあんな行動をしているんだろう?」
「なぜあの位置に広告があるのだろう?」
このように、日常生活からさまざまなことに疑問を持ち考える癖をつけましょう。
反論を考えてみる
批判的思考とも言われるクリティカルシンキングを身につけるために、業務中や会議中、上司や同僚の意見に対して反論を考えるようにしてみましょう。
「その意見の根拠は何か」「隙はないか」「論点はずれていないか」などを常に考え、あなたなりの反論を考えることで自ずとクリティカルシンキングのプロセスが身に付くはずです。