「デジタルウェルビーイング」という言葉を知っていますか?
スマホやタブレットが普及し、もはやテクノロジー無しでは生きていくのが難しいこの時代。便利になっていく一方、スマホがないと落ち着かず一日中使ってしまうなどのスマホ依存も問題になっています。
そこで注目されているのが「デジタルウェルビーイング」。今回はデジタルビーイングの実態、iPhoneでデジタルウェルビーイングの対策をする方法、スマホとの付き合い方を見直す方法を紹介します。
スマホと心地よい関係を築きましょう。
目次
デジタルウェルビーイングとは
デジタルウェルビーイングとは、スマホやパソコン、SNSをはじめとしたテクノロジーとより良いバランスを保っていて心身ともに健康な状態。おもしろいコンテンツや新情報が溢れるあまり夢中になってしまい、テクノロジーに時間を支配されてしまっている人が多いことから、注目されているトピックです。
androidでは仕事や家族など、重要なものに集中するためにデジタルビーイングは必要だと言っています。
参考:android Digital Wellbeing New ways to find balance for you and your family.
もはや1人1台と言っても過言ではないスマホ。仕事では一日中パソコンを使用し、通勤時間はスマホでゲームやニュースチェック。家でもSNSを使って友達とコミュニケーションをとる。
「1時間以上画面から目を離している時がない」
そんな方もいるのではないでしょうか。実際にInstagramの利用者やアクティブ率は年々増加し、Twitterの月間アクティブユーザー数も2017年時点で4500万人に達しています。
データ参考:Social Media Lab 2019年12月更新!11のソーシャルメディア最新動向データまとめ
スマホの使い過ぎによる心身への悪影響
いつでもどこでも連絡がとれ、欲しい情報をいくらでも得られる。そんな便利なスマホですが、GoogleをはじめとするIT大手企業が使い過ぎによる心身への悪影響を危惧しています。
スマホの使い過ぎによる主なデメリットはこちら。
・集中力の低下
・自己肯定感の低下
・目や肩など身体への負荷
・うつ病の増長※
※参考:excite.ニュース 10代のうつ病が増加傾向。原因はゲームではなくSNSであるとする研究結果(カナダ研究)
常に誰かと繋がっていて、自分と向き合う時間がとれない。キラキラしている友達のSNSとは反対に、”いいね”が全然つかない自分の投稿。スマホの画面に目がチカチカしてなかなか眠れない。
どれか1つでも感じたことがある人はいるのではないでしょうか。それはスマホにあなたの時間をコントロールされている状態。テクノロジーと最適な距離を保って、健康的で幸せな生活を送りましょう。
いち早くデジタルウェルビーイングの機能を搭載したGoogle
Googleはユーザーのデジタルウェルビーイングを実現させるため、Android 9 Pieにデジタルウェルビーイングを推進するいくつかの機能を追加しました。
・アプリを使用した時間を表示
・スマホをアンロックした回数を表示
・通知の受信回数を表示
・アプリごとの時間制限設定可能
・通知の非表示
・24時間に使うアプリの種類を制限
このように、ユーザーとスマホの関係を見直すような機能が作られました。今までスマホの使い過ぎを意識していなくても、「こんなにスマホを使っているんだ。ヤバイ」と気づくきっかけになりそうですね。
iPhone搭載機能を使ってデジタルウェルビーイングを実践する方法
デジタルウェルビーイングに関してAndroidが注目されがちですが、実はiPhoneにもスマホの利用方法を考え直す機能が備わっています。チェックしておきましょう。
スクリーンタイム
・今日/今週のスマホ利用時間
・1日あたりの利用時間、先週との差
・週の合計
・よく使っているアプリとその時間
・スマホを持ち上げた回数
・通知が来た回数
iPhoneの「設定」から「スクリーンタイム」をタップしてみましょう。上記の情報がチェックできます。あなたは普段どのくらいスマホを使っているのか、デジタルウェルビーイングを始める一歩として、現状把握するには最適です。
「1週間で約1日分以上をスマホに使っているなんて…」
「予定がない日の利用時間が長いから、自分の時間をほぼ全てスマホに使っているということか」
実際に数字を見ることで、いろいろなことに気づけるでしょう。最初から利用時間を制限せず、まずはスクリーンタイムを毎日チェックすることから始めるのも良いですね。
休止時間
・アプリを開けない時間の設定
・曜日別に設定時間をカスタム
例えば22:00~6:00を休止時間に設定すると、22:00になるとアプリを開くと「時間制限」という画面が表示されます。
つい「制限を無視」をタップしないように要注意。休止時間の5分前には「あと5分です」と通知されるので、心の準備ができます。
App使用時間の制限
・アプリごとの使用時間を設定
こちらは「SNSは1日1時間以内」のように、アプリの使用時間を制限できる機能です。使用可能時間を超えた場合、先述した休止時間に関係なくアプリが利用できなくなります。
使いすぎてしまうアプリがある場合、「リストの編集」で対象アプリを設定しましょう。曜日ごとにも設定できるので、「土日は多めに2時間使用可能」などカスタマイズできます。
おやすみモード
・着信と通知の停止
・運転中の通知を停止
就寝時間や運転中、どうしても連絡がとれない商談中など、通知・着信自体が来ないように設定する機能です。
「通知が気になって眠れない/仕事に集中できない」という事態を防げます。
今すぐできる!スマホと距離を置く方法
スマホに搭載されている機能を使う以外にも、工夫次第でスマホと距離を置くことはできます。まずできそうな方法から試してみましょう。
スマホをしまう箱を用意する
「家にいると気づいたらSNSを開いている…」
そんな人におすすめの方法が、スマホ専用の箱を作ること。目の届くところにスマホを置いているから、通知が気になって触ってしまうのではないでしょうか。箱に入れてスマホを強制的に視界から消すと、通知にすら気づかなくなります。
家に着いたら、お風呂を出たら、就寝1時間前になったら、など自分で時間を決めて、その時間になったらスマホをその箱に入れましょう。
箱に用意してもすぐに取り出してしまう人は、こちらの設定した時間まで開けられないボックスを利用してスマホから離れましょう。
ホーム画面にSNSを置かない
スマホをロックするとまず目につく最初のページに、どんなアプリを置いていますか?すぐにチェックできるように、TwitterやInstagramなどのSNSを置いている人も多いのではないでしょうか。
そんな方は、つい使ってしまうアプリを最後のページに配置し、何回もスクロールしないとたどり着けないようにしましょう。スクロールが面倒になり、「そこまでしてSNSを見たくない」と思えるようになるかもしれません。
平日はSNSアプリをアンインストールする
「次の日も朝から仕事なのに、どうしても夜遅くまでSNSを使ってしまう」
そんな人はSNSから離れられるよう、まずは平日だけでもアプリをアンインストールしましょう。アプリで使いやすいようにできているSNSは、ウェブサイトだと使いづらい。毎回ログインするのも面倒ですよね。
平日に制限することで、休日に楽しんでSNSを利用できるようになります。「SNSがなくても生きていけるんだ」と思えば、休日にすら使いたいと思わなくなるかもしれません。
Twitterのリストを活用する
毎分毎秒新たな情報が流れてくるTwitterのタイムライン。いろいろな人の多種多様な意見が面白く、多くの人をフォローしてつい何時間も見てしまいがちですが、それによって心が惑わされることも。自分に何が大事かわからないと全ての意見が正論のように聞こえ、情報の取捨選択ができなくなってしまいます。
そんな時はTwitterのリストを利用して、ジャンルごとにフォローしている人のアカウントを整理しましょう。
「今は趣味のゲームに関する新情報を知りたいから、ゲーマーのリスト」
「通勤時間は仕事のモチベーションを上げたいから、起業家のリスト」
このようにメリハリをつければ、たくさんの意見に翻弄されることもなくなるはず。「欲しい情報が全然出てこない」という事態もなくなり、利用時間も減るでしょう。
アプリ「自分ルール」を活用する
「自分ルール」というアプリをダウンロードして、ゲーム感覚でスマホ利用を制限しましょう。
・タスクを行ってポイントを貯める
・ご褒美としてそのポイントを消費する
このような機能があります。デジタルウェルビーイングを目指すとしたら、このようなルールはどうでしょうか。
貯める
・朝起きて30分間スマホを触らなかった(30pt)
・お風呂の後SNSを開かなかった(30pt)
・1日のスマホ利用時間が1時間以内だった(60pt)
使う
・好きなYouTuberの動画を5つ見る(150pt)
・ゲームを好きなだけする(500pt)
自分に合わせてルールやポイントを決めて、楽しみながらスマホと適切な距離をはかりましょう。
スマホとの”ちょうど良い”距離を知る方法
スマホは一概に悪いとはいえません。仕事のために一定時間利用する必要がある人もいるはず。自分にとって心地よいスマホとの付き合い方を見つけるために、以下のことを自問自答してみましょう。
なんのためにスマホを使うのか?
スマホは何かをするツールであり、目的ではありません。「スマホを使う」が目的になっていると、あなたの時間はどんどん食いつぶされていきます。
自分に合ったスマホの使い方を決めるために、まずはあなたがスマホに何を求めているのかを知っておきましょう。
・なぜ毎月〇千円、〇万円も払ってまでスマホを使いたいのか?
・スマホを取られて一番困ることは?
・今までにスマホを使って助けられたことは?
例えばこれらのことを考えながら、「自分はなんのためにスマホを使っているのか」考えてみましょう。
なぜそのアプリを使いたいのか?
スマホに欠かせないアプリ。大量のアプリをダウンロードしているかもしれませんが、それぞれ何のために残しておいているのでしょうか。
・Instagramはおしゃれなカフェを見つけるため
・Twitterはアウトプットのため
このように整理していくと、今まで使っていた「無駄」な時間がわかるようになります。
「インスタは口コミを知りたい時に使うけど、毎日チェックしなくても良いかも」
「Google Mapsで検索できるから、乗り換えアプリはいらない」
1つ1つ整理していくのは時間がかかりますが、「1日1つ」などと決めてアプリの断捨離をしていきましょう。あなたにとって大切なものがわかっていきます。
一日の中で絶対に確保したい時間は?
「スマホ」「SNS」関係なく、あなたが一日の中で一番大切な、誰にもとられたくない時間はなんでしょうか。
もしかしたらスマホゲームをする時間かもしれませんし、インスタに写真を投稿する時間かもしれません。1人で暖かいお茶を飲む時間や、家族に一日の出来事を報告する時間が大切な人もいるでしょう。
あなたが大切にしたい時間がわかったら、その時間は絶対に確保できるようにスケジュールを組みましょう。
その時間がスマホに関わることでも、大事なのはテクノロジーにコントロールされないこと。「スマホゲームが私にとって癒しだから、一日1時間は確保したい」と決めたら、それでも良いのです。スマホにあなたの時間を使われるのではなく、自分から能動的に使えるようになりましょう。
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デジタルウェルビーイングという言葉から、スマホとのちょうど良い関係を保つ方法を紹介しました。
Androidは新しい機種にデジタルウェルビーイングにまつわるツールをリリースしていますが、iPhoneユーザーが落ち込むのはまだ早い。iPhoneを開発したアップルのスティーブジョブズは、自身の子どもにはテクノロジーの使用時間を制限していたそう。
参考:現代ビジネス ジョブズは自分の子どもにiPadもiPhoneも触らせなかった 2020/1/16
アップル製品にも、デジタルウェルビーイングを加速させる機能がさらに追加される日は近いかもしれません。
しかしそのような機能に頼らず、自分自身でスマホとの付き合い方を見つめ直すことも大事。自分の時間を取り戻しましょう。