キャリアを形づくる外的キャリア・内的キャリア・外部要因のうち、「内的キャリア」は、内面的な“価値観・動機・想い”、そこから生まれる“習慣・態度”です。本人にしか見えづらく、自分自身で考え、理解する必要があります。
自分の内的キャリアをきちんと理解できれば、納得のいくキャリアを歩めるでしょう。まずは、内的キャリアとは何たるか?を把握することからスタートです。
目次
内的キャリアとは?意味・概念
内的キャリアは、内面的な“価値観・動機・想い”、そこから生まれる“習慣・態度”を意味します。
以下のような具体例を挙げてみました。
価値観・動機・想い
⇒選択・行動の根底にあるもの
:大学教育に携わりたい
:革新的なプロダクトをつくりたい
:東南アジアの発展を助けたい
習慣・態度
⇒物事を行う傾向・考え方のクセ
:知人と教育をテーマに話す機会が多い
:IT関連の最新書籍を読む
:東南アジア関連のセミナーに参加する
目に見えやすい外的キャリアとは対照的に「見えにくい」特徴があります。また、キャリアにおける様々な選択を決定付けるのも、自身の根底に根差す内的キャリアに違いありません。
内的キャリアを見つけるために「働く意味」を見直そう
内的キャリアを見極めるためには、あなたのエネルギーを掻き立てる動機を見つける必要があります。
ここでは、仕事に対する人の価値観「働く意味」の14項目を紹介します。
❶能力の活用
-自分の能力を発揮できること
❷達成
-良い結果が生まれたという実感
❸美的追求
-美しいものを創りだせること
❹愛他性
-人の役に立てること
❺自律性
-自律できること
❻創造性
-新しいものや考え方を創りだせること
❼経済的価値
-たくさんのお金を稼ぎ、高水準の生活を送れること
❽ライフスタイル
-自分の望むペース、生活ができること
❾身体的活動
-身体を動かす機会が持てること
❿社会的評価
-社会に仕事の成果を認めてもらえること
⓫危険性、冒険性
-わくわくするような体験ができること
⓬社会的交流性
-いろいろな人と接点を持ちながら仕事ができること
⓭多様性
-多様な活動ができること
⓮環境
-仕事環境が心地よいこと
働いてるとき、どのような状況で、どのような気持ちになっているか、今一度振り返ってみましょう
内的キャリアを探る質問リスト
自分の内的キャリアを探る際に使える質問を挙げてみました。
・どんな時に嬉しくなる?
・泣くほど嬉しかったことは?
・悔しくてたまらなかったことは?
・没頭してしまうことは?
・周りから褒められることは?
・とにかく辛く感じたことは?
・空しい気持ちになったことは?
・恥ずかしい屈辱を味わったことは?
・無力を感じたことは?
・驚き、ワクワクを感じたことは?
・安心で満ちていたことは?
感情が動くとき、そこには”価値観・動機・想い”が隠れています。仕事に限らず、過去の経験全てを踏まえて考えてみてください。
そして、思い浮かんだエピソードにはどのような特徴/条件が当てはまるのかを探ってみましょう。それらは全て、あなたが大事にしていることを見つけ出す材料となるはずです。
内的キャリアは変わり続ける
内的キャリアが大きく変わることは稀ですが、ある時のあるきっかけによって、大きく揺れ動くことがあります。
例えば、たまたま「やってみない?」と誘われてはじめた些細な仕事をきっかけに、自分でも驚くような分野に興味を持つようになることがあります。過去に一度も経験してこなかったこと、触れてこなかったものと関わることで、大きく心が動くことがあり、その後のキャリアが一変するのです。
また、コツコツと営業経験を積んでいく中で幅広い人脈が積み上がっていた人が、ちょっとした友人の助言をきっかけに、個人で営業代行の会社を立ち上げることもあり得ます。本人が起業をちっとも考えたことがなかったとしても、そこにチャンスが広がっていれば、これまでの内的キャリアが大きく揺れ動くのです。
つまり、意識せずとも内的キャリアはアップデートされ続けているといういこと。節目でキャリアを見直す必要があるときには、内的キャリアの見直しも欠かせないのです。
キャリアの節目一覧
・異動希望を出す
・留学をする
・移住する
・起業する
・転職活動を始める
・結婚する
・離婚する
・子どもを授かる
・家を購入する
・旅に出る
・ボランティアをする
・影響力の大きな人に出会う
・強烈な印象を残す書籍を読む
・イベント/セミナーに参加する
・大きく健康を損なう
・上司が変わる
・転勤を命じられる
・昇格する
・降格する
・業務が大きく変わる
・家族が亡くなる
・宝くじが当たる
・事故に遭う
・天災に遭う
・スカウトされる
・予期せぬ自分の適性を知る
起こり得る節目をきちんと想定しておけば、慌てて大きな選択を迫られることなく、納得のいくキャリアをつくっていけるでしょう。
外的キャリアも知っておこう
外的キャリアは「履歴書に記入できる情報」です。含まれる項目を挙げてみました。
社歴
:これまでどんな会社で働いてきたのか?
転職回数
:過去の会社に何年間勤めたのか?何社努め来たのか?
経歴
:どんな職種/業種/職位を経験しているのか?学歴は?
能力/スキル
:何ができるのか?どんな専門性があるのか?
年齢
:成長は見込めるか?
人脈・影響力
:SNSのフォロワーはどれくらい?優秀な知り合いは多い?
外的キャリアに含まれる情報は、人材の”市場価値“を判断するための基本情報です。シンプルに「外的キャリア=人材情報」だと認識しておいても良いでしょう。
また、履歴書に書くことはなくとも、SNS等で知ることができる「人脈」「影響力」も、重要な外的キャリアの一つです。
最近では、Twitterのフォロワー数が人事採用の結果に影響することもあるほど。他にも、社員の紹介を通じた人事採用「リファラル採用」が活性化しています。「人脈」と「影響力」の重要度は、今後ますます上がっていくはずです。
環境(時代の変化)・組織ニーズも理解しておこう
内部キャリアを重視するのは大切ですが、それに合わせて、外の情報をおざなりにしてはいけません。
「今の時代はどんな能力・スキルを求めているのか?」
「勤務する会社からはどんな役割を任され、どんな成果が期待されているか?」
など、環境(時代の変化)・組織ニーズを踏まえたキャリア選択を取るのが大切です。
環境・組織ニーズの例
現在特に問題視されている社会問題は?
現在需要が伸びている人材の特徴(性格・スキル・能力)は?
現在注目されているサービス・企業は?
現代的とされる働き方は?
会社が抱える重要課題は?
会社から任されている役割は?
会社から期待されている成果は?
会社が求めている人材の特徴は?
会社がこれから抱えるであろう問題は?