ニュースや転職サイトなどでよく耳にする有効求人倍率。
聞いたことはあっても、詳しく知らない人もいるのではないでしょうか。
今回は有効求人倍率について解説します。
転職のタイミングや難易度を計る指標ともなる有効求人倍率。転職活動を本格的に始める前に理解しておきましょう。
目次
有効求人倍率とは
転職活動中、「その求人にどのくらいの人が応募しようとしているのか」「どのくらい自分が応募できる求人数があるのか」気になりますよね。
しかしこれらを明確に把握するのは難しいもの。そこで役に立つのが有効求人倍率です。
有効求人倍率とは、求職者に対してどのくらい公表されている求人数があるのかを表す比率のこと。
有効求人倍率は毎月、厚生労働省が発表しており、ホームページから確認できます。
有効求人倍率の求め方
有効求人倍率は求職者数、求人数は共にハローワーク(公共職業安定所)に登録されているデータを基に、以下の式で求められます。
有効求人数÷有効求人登録者数=有効求人率
有効求人数:その月、新しくハローワークに登録された求人数と前月の残りの求人数の合計
有効求人登録者:その月、新しくハローワークに登録された求職者数と前月の残りの求職者数の合計
【例】
・ハローワークに100件の求人があり、求職者が100人登録している
→100÷100=1:有効求人倍率は1倍
(1人当たり1求人割り振れる)
・ハローワークに100件の求人があり、求職者が125人登録している
→100÷125=0.8:有効求人倍率は0.8倍
(1人当たり1求人も貰えない)
・ハローワークに100件の求人があり、求職者が80人登録している
→100÷80=1.25:有効求人倍率は1.25倍
(1人当たり1求人以上ある)
有効求人倍率から分かること
・雇用情勢
有効求人倍率から、求職者1人当たりに、どのくらいの求人数があるかが分かります。
有効求人倍率の基準は1。
1より高いと単純に考えて1人1求人以上あることになるので、一般的に転職がしやすい売り手市場だとされます。
1以下だと1人当たり1求人もないので、就職難だとされるのです。
・景気動向
景気の動向の指標としても有効求人倍率は利用されています。
求人を出せるのは、金銭的余裕がある企業。そのため求人の多い有効求人倍率が高い時期は、金銭的余裕のある企業が多く景気が良いとされているのです。
逆に有効求人倍率が低い時期は、一般的に企業に人を雇う余裕がなく、リストラや倒産で求職者も増えているため景気が悪いとされます。
このように有効求人倍率は経済指標としても重要視されているため、ニュースなどで耳にすることも多いのです。
”有効”の意味
有効求人倍率の”有効”とは、どういう意味なのでしょうか。
ハローワークで出されている求人には、実は2か月の有効期限があるのです。そして、2か月経つとその求人は消えてしまいます。
まだ有効な求人数(応募できる求人数)を基に算出しているため有効求人倍率と言われているんですね。
有効求人倍率と合わせて知っておきたい言葉
新規求人倍率
その月に新しく登録された求人数と求職者数を基に算出されたもの。
これに前月からの繰り越し分を足したものが有効求人倍率となります。
完全失業率
15歳以上の働く意欲のある人のうち、職がなく、求職活動をしている人が占める割合のこと。
これも有効求人倍率と同じように雇用情勢を示す重要指標で、総務省が毎月発表しています。
景気が悪くなると、職を失う人が増え完全失業率が上昇するので、有効求人倍率とともに景気の動向も読み取れるのです。
有効求人倍率の推移
実際の有効求人倍率の推移を紹介します。
このように毎月、有効求人倍率は厚生労働省のホームページで公表されています。図のグラフは令和2年7月31日に公表されたもので、データは6月分のものとなっています。
このグラフを見ると、リーマンショックが起きた2008年後半から2009年にかけて一気に下がっており、景気が悪い時は有効求人倍率は下がるというのが、明らかに分かりますね。
有効求人倍率の活用法
転職活動において有効求人倍率を知ると、どのような役に立つのでしょうか?有効求人倍率の活用法を紹介します。
転職のタイミング
有効求人倍率が理解できると、転職活動のタイミングを決める時に活かせます。
有効求人倍率が高いと単純に考えて1人当たりの求人数が多いので、職がすぐに見つかり比較的に楽に転職できるでしょう。
一方、低いと求人数が少ないのでなかなか内定がもらえず、転職活動は苦しいものに。
転職する時は、できれば有効求人倍率が高い方がおすすめなのです。
いずれ転職を考えているのなら、リスクを抑えるために有効求人倍率を考慮して転職のタイミングを見極めるのが良いでしょう。
転職の難易度
有効求人倍率からある程度、転職の難易度も把握できます。
有効求人倍率は業種・地域別にも公表されるので、自分の目指している業種・地域の求人の人気が分かるのです。
希望の業種や勤務地がある人は、必ずチェックしましょう。
もし特に業種・地域を定めていないという人は、有効求人倍率の高いところを狙う戦略もありかもしれません。
有効求人倍率をチェックする時のポイント
有効求人倍率をチェックする時のポイントを紹介します。
有効求人倍率だけで転職のタイミングを決めない
「有効求人倍率が高い時は転職しやすい。低い時はやめたほうが良い」と一般的に言われていますが、有効求人倍率だけで転職するかどうかを判断するのはやめましょう。
転職のベストタイミングは、自分の転職の覚悟が決まった時。
「有効求人倍率が高いから、今のうちに転職しとこう」の考えから始めた転職は、転職理由や志望動機が曖昧になり、面接官を納得させることができず失敗に終わってしまうでしょう。
有効求人倍率が高いからと、全員就職できるわけではありません。低くても、転職活動がスムーズにいく場合もあります。
有効求人倍率は、転職のタイミングを決める参考程度に見るようにしましょう。
「有効求人倍率低いから、転職活動は長引くかもしれない。働きながら、転職活動を始めよう」
有効求人倍率は、このように転職活動の見通しを立てるときに活用するのがおすすめです。
ハローワーク以外での求人・求職者は含まれない
有効求人倍率はハローワークに登録されている求人数・求職者数を基に作成されるため、転職サイトや企業のHPで募集されているものは含まれていません。
また新卒の求職者数や新卒向けの求人も除外されています。
本当に有効求人倍率が社会全体の就職のしやすさを表しているものかどうかは、疑いの余地があるのです。
正社員の求人だけとは限らない
有効求人倍率のもとになる求人は正社員の募集とは限りません。正規と非正規の求人は区別されておらず、全ての雇用形態の求人が含まれているのです。
パート・アルバイトを除いて算出されたものはありますが、派遣、契約社員だけのものはありません。
もし求人数が多くてもそのほとんどが雇用後の安定が保障されていない非正規雇用だとしたら、有効求人倍率が景気の動向を正確に表しているとは言い切れないですよね。
地域や職種によって変動する
有効求人倍率は地域や職種によって違います。
そのため全体的な有効求人倍率が高くても、希望する職種や地域が低い場合もあるのです。
職種や地域別の有効求人倍率もチェックしましょう。
まとめ
もし自分が「転職したい」と強く思ったタイミングで有効求人倍率が低かったとしても、転職が不可能なわけではありません。
「有効求人倍率が低いのに転職しても大丈夫?」とどうしても不安な人は、1度転職エージェントに相談することをおすすめします。
あなたが理想のキャリアを描くために必要なアドバイスをしてくれるでしょう。
転職エージェントに「相談だけ」って大丈夫?”相談だけ”するメリット・注意点
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