最近よく耳にする「自己ブランディング(セルフブランディング)」の言葉。「自己ブランディングって何?どうやるの?」「自己ブランディングの何が大切なの?」と思っている人も多いでしょう。
歴史ある大企業でさえ、いつ倒産するか分からない不安定な現代。重視されてきたのが、会社に頼らず自分の力で仕事を手に入れる「自己ブランディング」です。
自己ブランディングの意味とメリット、やり方を紹介します。
目次
自己ブランディングとは
まずブランディングについて説明する前に、ブランドとは何なのでしょうか?
ブランドと聞くと、トヨタ、資生堂、そのほかにもLOUIS VUITTONやAppleなど人によって思い浮かぶものはさまざまだと思います。
マーケティング界で世界的に有名なフィリップ・コトラー教授は、
「ブランドとは、個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ」
と定義しています。(引用:MBAのグロービス大学院 ブランドとは・意味|MBAのグロービス経営大学院)
つまり他の商品と差別化を図るための商品イメージであり、それによって私たちは商品を信頼したり、愛着を抱いたり、自己表現のための手段として使ったりするのです。
「○○の服は私のスタイルに合うから」「△△の食品は安全だから」と商品を選択している人も多いはずです。
その顧客と企業の共通認識を一致させる活動、つまり「○○といえば××だよね」という状態をつくるのがブランディングです。
そして自己ブランディングとはそのブランディングを自分自身に行うこと。勤めている企業の知名度に頼らず自分自身を商品としてとらえ、価値を高めていく行為と言えるでしょう。(参考:コンラボ セルフブランディングの真の意味とは?堅実に自己価値を高める方法)
自己ブランディングのメリット
自己ブランディングをすると、以下のようなメリットがあります。
自分の方向性が明確になる
自己ブランディングができると、自分がどのようになりたいか、どのように社会に貢献していくかなど、進むべき道が明確になります。
そうすると自分がすべき行動が明確になり、自信をもって人生を歩むことができるようになるのです。
例えば「モテクリエイター」として有名なゆうこすさん。学生のころから自分を動かしてきた「モテ」意識に着目して自己ブランディングをしたことで、スキンケアブランドの立ち上げや飲食店経営などやりたいこと・やるべきことが見えてきたそうです。(参考:新R25 ゆうこすと振り返る経歴。「モテ」ばかり考えてきた彼女が、唯一無二の存在になるまで|新R25 – シゴトも人生も、もっと楽しもう。)
このメリットは就職活動や転職活動にも活かせます。
自己ブランディングをすることで、エントリーする企業を自分の強みが発揮できる会社に絞ることができるのです。やりたいことも明確になるので、面接でも自信をもって自分をアピールできます。
信頼度が上がる
先ほども述べましたが、ブランドは顧客の選択基準になります。自己ブランディングをして確固たる自分のブランドがあると、顧客はそれを信頼し選んでくれるのです。
例えばのどが渇いたとき目の前に「水」と「ミシュラン3つ星シェフが選んだ水」があったら、あなたはどちらを選びますか?「ミシュラン3つ星シェフが選んだ水」ですよね。
自己ブランディングも同様に、あなた自身のブランドを信用した顧客から仕事を任せてもらえるようになるのです。
自己ブランディングの正しいやり方
では、どのように自己ブランディングをやれば良いのでしょうか。自己ブランディングの正しいやり方を紹介します。
Step1.自己分析
自己ブランディングにおいて、最も大切なのがこのステップ。自己分析をして「自分がどうありたいか」「自分の強みは何か」「社会で自分のどの部分を活かしていきたいか」を考えていきましょう。
その具体的な方法の1つは、マインドマップ。自分が人生で大切にしているものが見えてきます。
自分の名前を紙の真ん中に書き、その周りに家族や友人、習い事などこれまでの自分を形成してきたものや、受験や出会いなど人生の転機となった出来事などを思いつくだけ書き出してみてください。
2つ目は、なぜなぜ分析をして「自分自身を突き動かすもの」を見つけましょう。
自分の過去を振り返り、「最も嬉しかった(感動した)こと」と「最も悔しかった(悲しかった)こと」を書き出し、それがなぜそうなったのかを「なぜ?」を繰り返して導き出していきます。
関連5回の「なぜ?」で原因究明!「なぜなぜ分析」のやり方
自己分析において捉えておいてほしい枠組みが「機能的価値」と「精神的価値」。
機能的価値とは、顧客に対してあなたが何をできるか。
例えば大学で学んだ知識や資格、スキルなどのことです。
精神的価値とは、顧客をどのような気持ちにすることができるか。
例えば「面白い」や「共感できる」、「憧れる」などの感情面に訴えかける価値のことです。
機能的価値は誰が見ても価値を感じやすく、精神的価値は個人によって感じる価値は異なってきます。
機能的価値は差別化を図るのが難しく他人にコピーされやすいので、機能的価値と精神的価値をバランスよく組み合わせて、自己ブランディングをしていくことがポイントです。
Step2.ターゲティング
次に自分の強みはどんな人を助けられるのか、どんな人に求められているのかを考えましょう。
過去に感謝されたことを振り返ったり、似たような強みを持って活躍している人を探したりして、自分の強みが生きる場所を探します。
万人に受けるブランドはありません。ターゲティングを明確にすることで自分がすべきことが明らかになってきます。
Step3.継続的に発信する
自分のブランドをどのように社会に広げていくかを決め、発信します。
会社に頼らなくてもTwitterやInstagram、YouTube、Newspicksなどのツールが広がった今、自分のブランドを自分自身で発信できるのです。
使用するメディアや発信方法は、ターゲットに合わせましょう。
例えばターゲットが「流行に敏感な女子高生」ならInstagramを使用して、いわゆるインスタ映えを狙った画像をあげていくのが良いかもしれません。
他にも社長やクリエイターと関わりたいという人は、彼・彼女らがよく情報発信しているTwitterがおススメ。自己ブランディングが成功したら、仕事をもらえるかもしれません。
さらに自分のキャッチコピーを考えてプロフィールにかいておくと「あなたが何者なのか」分かってもらいやすいでしょう。自分が設定したターゲットには、どのようなものが響くのかを正確に考えることがポイントです。
Step4.PDCAをまわす
1回発信するごとに、どのくらいの人に見られたか、どのくらいフォロワーが増えたかなどを分析し、改善点を洗い出していきます。
そしてどうやったらもっと良くなるかを考え、実践するというように、PDCAをまわしながら発信していきましょう。
自己ブランディングの間違ったやり方
自分の力で社会を生きていくために、自己ブランディングはとても大切。しかし間違った方法で行ってしまうと、かえって信用を無くし嫌われてしまいます。
それを防ぐために、間違ったやり方を事前にチェックしておきましょう。
見栄張りブランディング
本当は成果を出していないのに、自分を大きく見せようとするブランディングのことです。
例えば「年商1億稼いでます」と嘘をつき、実際にノウハウを聞いても詳しく教えてくれない人。次第に嘘だとばれて信用は落ち、それ以降仕事はまわってきません。
すぐに注目されたくて大げさにアピールしたくなるのも分かりますが、嘘をついてしまったら全て水の泡です。
自己中心的ブランディング
稼ぎたい、有名になりたいと自分のことばかり考えたブランディングは失敗します。
自己ブランディングで大切なのは、顧客にとって何が必要か、何をしたら喜んでもらえるか。「あなたに価値がある」と相手に思ってもらわなければならないのです。
自己中心的な行動や発言をしていると、次第に顧客は離れていくでしょう。
乗っかりブランディング
提供しているサービスや商品ばかりを宣伝していると、顧客は嫌気がさして離れていきます。
自己ブランディングは、自分自身を売ることが目的。それを忘れて自分が売っている商品やサービスの良さに頼ってしまうと、広告ばかりのメディアになってしまい何の魅力も感じられません。
例えばYoutuberのHIKAKINさんの動画も、紹介している商品だけなくHIKAKINさん自身が面白いから人気なのです。ただ商品の紹介だけではつまらないですよね。
自己ブランディングによって信頼を得ていくことで、商品は自然と売れるようになっていくのです。
まとめ
Webデザイナーやエンジニア、ライターなどフリーランスやYoutuberなど会社に頼らず個人で生きていけるようにもなった現代、自己ブランディングは非常に重要なもの。
自己ブランディングをして「○○さんだからこの仕事お願いしたい」と言われる人を目指しましょう。