【現役キャリアアドバイザー監修】転職理由(退職理由)のポイント・まとめ方・回答例

面接で「なぜ退職したの?」「転職を決めたきっかけは?」と必ず聞かれる転職理由(退職理由)

 

転職理由は人それぞれですが、その多くは2種類に分けられます。

 

1つ目は「新しいことに挑戦したい」「今の職場でやりきったから、次のステップに進みたい」とキャリアアップや、キャリアチェンジを目的にしたもの。

 

そして2つ目が多すぎる残業や年収の低さ、ハラスメントなど現状の不満を解決するためのものです。

 

前者は自信を持ってそのまま伝えられますが、後者が転職理由の人は「素直に伝えてしまうと印象が悪くなるのでは・・・」と悩んでしまいますよね。

 

今回はそんな現状の不満解決を目的としている人に向けて、転職理由のポイントとまとめ方を紹介します。

 

具体的な回答例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

面接で転職理由を聞かれるワケ

 

そもそもなぜ面接では必ず転職理由を聞かれるのでしょうか?

 

会社を辞めたことを責められているように感じてしまう人もいるかもしれません。

 

しかし面接官は決してあなたを責めたい訳ではなく、4つのポイントをチェックしているのです。

 

・またすぐに辞めてしまわないか

 

・主体性のある人間か

 

・応募者が求めているものを自社で用意できるか

 

・社風含め自社で活躍できるのか

4つのポイントを詳しく紹介します。

またすぐに辞めてしまわないか

応募者が語る転職の原因が自社で起こる可能性はないか、応募者と自社の相性を面接官は転職理由でチェックしています。

 

「コミュニケーション能力は問題ないか」
「多少の残業があっても大丈夫か」
「平日休みでも平気か」

採用しても、またすぐに辞められてしまっては困るので、このようなことを確かめるのです。

 

もし退職理由が「前職は残業が多く、体調を壊してしまった」の場合。繁忙期にどうしても残業が増えてしまう企業だったら、「すぐに退職されてしまうかも」と警戒される恐れがあるでしょう。

主体性のある人間か

転職理由から、不満を改善するための行動を自分で起こせるかどうか、つまり主体性のある人間かどうかがチェックされます。

 

完璧な会社はありません。少なからず欠点はあります。それを当事者意識を持って、自分で改善しようとする人こそ企業が求めている人なのです。

 

主体性がある人は顧客の問題も自分事として捉え、全力で向き合うことができるので信頼されます。

 

退職理由によって、忍耐力や仕事に対する取り組み姿勢はある程度見えてくるのです。

 

主体性とは|意味・自主性との違い・必要な理由・高める方法

応募者が求めているものを自社で用意できるか

転職は理想のキャリアに現状で足りないものを補う1つの手段

 

企業側は、応募者がその企業に求めているものが自社で用意できるかどうかも、転職理由で判断しています。

 

例えば転職理由が「生活が苦しく、給料を上げたい」の場合、前職よりも高い給与で雇えるかどうかで企業は採用を判断するのです。

 

求職者が求めているものと、企業が与えられるものがマッチしていないのに採用してしまうと、すぐに辞められてしまうリスクは高くなります。

社風含め自社で活躍できるのか

転職理由が「今の職場が人間関係が悪く、個人主義の会社だったから」という場合。

 

「この人を採用したときに配属する部署は、個人主義の傾向にあるから合わない可能性がある」と判断されます。

 

転職理由1つでこれだけのことを面接官は見ているんですね。

転職理由の伝え方のポイント

 

転職理由の伝え方のポイントは5つ

 

・嘘をつかない

 

・必ず現状を改善するために行動したことを伝える

 

・悪口・不満を言わない

 

・志望理由と一貫性を持たせる

 

・福利厚生・待遇面には触れない

それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

嘘をつかない

面接で嘘を言うのは絶対にやめましょう。面接官は面接のプロ。何人もの求職者を見てきています。嘘はバレると思ったほうが良いでしょう。

 

「とにかく転職したい」と嘘をつくと、以下のようなことが起こり得ます。

 

・問い詰められた時、うまく答えられなくて面接失敗

 

・入社後にバレて信用を失う

 

・嘘の理由で合格し、会社が合わずすぐに転職

また嘘の転職理由を伝えるのは、自分にも良くありません。

 

例えば本当の転職理由は「残業が多かったから」なのに、印象を良くするために「新しいことにチャレンジしたい」と嘘をついてしまった場合。

 

面接官は「残業が少し多くても、チャレンジ精神があるから頑張ってくれるだろう」と思い、採用。

 

結果、新しい会社でも残業が多く、すぐに転職なんてことが起こり得るのです。

 

「正直に話すとマイナスな印象を与えるのでは」と不安になる気持ちは分かりますが、それは言い回しでなんとかなります。

 

一回嘘をついてしまうと引き返せません。嘘の転職理由を言うのは絶対にやめましょう。

必ず現状を改善するために行動したことを伝える

不平・不満のある現状を解決するためにとった行動を伝えることで、このような力を面接官にアピールできます。

 

・自分の不満の原因を会社全体の問題として捉え、解決しようとする主体性

 

・現状の不満を周りのせいにするのではなく、自分にも非があると考えられる自責思考

 

・現状を分析し、「何をすれば解決できるか」が導き出せるロジカルシンキング

行動と言っても、「会社を良くするための委員会を立ち上げた」など大きなことをする必要はありません。

 

「上司に相談した」「同期と何とかできないか議論した」など改善する意志を感じられる行動なら、些細なことでも構わないのです。

 

しかしハラスメントや転職後のミスマッチなどが原因で、行動する前に退職してしまった人もいるはず。

 

そんな人は、まず何も行動せずに辞めたことを素直に伝え、反省の意を表しましょう。

 

その後に「今後同じことを繰り返さないためにどうしていくか」を述べられれば、マイナスになることはありません。

客観的な事実を伝える

転職理由を聞かれて

 

「上司の性格が悪く合わなかった」

「部署の希望を受け入れてもらえなった」

と悪口や不満ばかり言うのはやめましょう。

 

悪口ばかり言っている人は「自分で改善しようとしない」と印象が悪いですよね。

 

また悪口や不満だけを言われても、面接官は評価できません。面接は愚痴を言ってストレス発散する場所ではないのです。

 

悪口・不満ではなく、事実を伝えることを意識して「それなら転職を考えてもしょうがない」と納得してもらえるようにしましょう。

 

「月〇〇〇時間の残業時間」「月に4日しか休みがない」などと客観的に見ても納得できる数字を盛り込むのがおすすめです。

志望理由と一貫性を持たせる

転職理由は、志望理由と一貫性を持たせましょう。

 

転職理由・志望動機に一貫性がない人は「とりあえず今の会社を辞めたかったんだな」とマイナスな印象を与えます。

 

例えば「新しいことにチャレンジしたいから転職した」と言っているのに、受けている会社は現職よりも年収・待遇の良い現職の競合で、同業界・同業種。

 

「”新しいことにチャレンジしたい”は一番の転職理由ではないのでは」と疑われてしまうでしょう。

 

転職への前向きな姿勢や入社意欲をアピールするために、転職理由と志望理由には一貫性を持たせるようにしましょう。

福利厚生・待遇面には触れない

先ほど正直に転職理由は伝えようと述べましたが、もし1番の転職理由が福利厚生・待遇面の場合、それを伝えるのは避けるようにしましょう。

 

企業は「自社に貢献してくれる人」を求めています。

 

「家賃補助がなかった」「充実した福利厚生に魅力を感じた」などと答えてしまうと、「仕事内容にあまり興味がなく、やる気が感じられない」とマイナスな評価をされる可能性があります。

 

また福利厚生などは業績によって変動するもの

 

それだけを見て会社を選んでしまうと、入社後に「聞いていた話と違う!」なんてこともあり得ます。

 

福利厚生や待遇面も大切ですが、それを基準に選ぶのではなく、自分のやりたい仕事ができるかどうかを第一の基準にしましょう。

転職理由のまとめ方

具体的な転職理由のまとめ方を紹介します。

 

伝え方のポイントを踏まえ、自分らしい転職理由を考えてみましょう。

Step1
退職理由を洗い出す

まずは、転職理由の根幹となる転職を考え始めた現状への不満、いわゆる退職理由を洗い出します。

・大学時代の友達と比べて仕事量は多いのに、年収が低い

 

・休みが取れず、家族との時間が取れない

 

・残業が多すぎて、体調を崩すようになった

 

・子育てのため、勤務時間の融通が利く会社に転職したい

など転職をするに至った経緯を思い出して、些細なことでも構わないので思いつくだけ具体的に書き出してみましょう。

具体的に書き出すことで、オリジナリティと信憑性のある転職理由を伝えられるようになります。

例えば残業が多いから転職したい場合。

「残業が多い」とただ言うより、「友人との飲み会で、平均の月残業時間が〇〇〇時間はあり得ないと言われた。体調不良で辞めていく同期も増え始め、自分も危機を感じ始めた。」と、背景があると説得感が増しますよね。

Step2
アクションできているかを考える

次にStep1で洗い出した現状への不満に対して、アクションを起こしたものはどれかを考えます。

改善するための行動までできているということは、特に改善したいと思っている証拠。それを基準に転職理由をまとめていきましょう。

何もアクションできていないけれど、もう退職してしまっている人は改善したいと思う順で構いません。

もし在職中で、何もアクションできていないとここで気付いた人は、一度立ち止まりましょう。

今の会社でまだできることがあるかもしれないのです。

転職で現状の不満が全て解決するとは限りません。悪化する可能性も十分あります。今の会社で現状を改善するための行動を起こしてからでも遅くはないはずです。

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Step3
志望理由に繋げる

「伝え方のポイント」で述べたように、転職理由と志望理由に一貫性を持たせることは大切。転職理由を志望理由に上手く繋げましょう。

このステップはあまり難しくありません。

自分の理想のキャリアを叶えるために現状で足りていないことを、この会社なら補えると考えた根拠が志望理由。

志望理由はわざわざ考える必要がないのです。

例えば、現職で思い通りの仕事をやらせてもらえず転職を決意した場合。

やりたい仕事ができる企業を探し、「自分の得意分野である〇〇の知識とスキルを活かして、御社に貢献できると考え応募しました」と素直にその思いを伝えれば良いのです。

しかし企業研究をしっかりせずに応募企業を選んでしまった場合、転職理由と志望理由がちぐはぐになってしまう可能性があります。

例えば残業の多さを解決するために転職を決意し、「この企業は残業少ないらしいよ」と友人の言葉だけを参考に企業に応募した場合。

面接で「残業が少ないと聞いたので」と話すと、面接官から「そんなことないです」と言われ、そのあと何も話せなくなったなんてことが起こり得るのです。

転職理由を面接で自信を持って答えるためにも企業研究は必須。

自分の理想のキャリアを叶えられる企業はどこなのか調べられていれば、退職理由と志望理由がちぐはぐになることは防げるはずです。

企業研究の前に転職理由をまとめておくのも良いかもしれません。

もし転職理由と志望理由に一貫性がないと気付いた場合、Step1に戻り、この会社で解決できる現状の不満は何かを考え直しましょう。

【ケース別】転職理由の回答例

よくあるケース別に転職理由の回答例を紹介します。それぞれのポイントも紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。

理由:やりたいことができない

回答例)

転職をしようと思ったキッカケは現在の会社での自分のキャリアが見えなくなったのが大きな理由です。その理由を細かく分けると2点になります。

 

1点目は希望の部署に配属されない可能性が出てきたためです。弊社では3年ごとに部署の異動が出来ると入社前に聞いていたのですが、入社後、先輩から人手不足が原因で希望している部署に行けず、5年間過ごしているとの話を聞き危機感を抱きました。

 

2点目は自分の希望していた部署が想像していた仕事を行っていなかったためです。その部署は私がこれまでに得たマーケティングの知識を活かせる部署ではなく、クレームなどの対応を行うことをメインとしている部署だったのです。

 

それでも何か得られるものはあるだろうと考え3年間やってきましたが、改めてキャリアを考え直したときに、やはり自分のスキルを直接活かし、お客様の人生を豊かにする仕事がしたいと考え転職を決意しました。

 

【ポイント】

・話が具体的でオリジナリティがあり、説得力がある

 

・忍耐力がアピールできている

理由:勤務環境(残業、休日出勤)を改善したい

回答例)
繁忙期に残業が増えてしまうのは納得がいきますが、前職では朝8時に出勤し、深夜0時まで残業をしてクライアント対応を行う日々が当たり前になっていました。

 

心身を壊して退職するメンバーも多く、業務フローの改善や増員などを上司に提案しましたが受け入れてもらえませんでした。自分自身も体調を崩すことが増えて、このままでは周囲に迷惑をかけ、自分の心身のためにも良くないと思い退職を決意しました。

 

現在は休養をとり快癒しましたので、今後業務に支障はございません。

 

心身が健康でないとお客様が満足するような対応ができないことを実感したので、今後は自信の健康にも気を遣いつつ、これまでのスキルを活かし御社に貢献していきたいと考えています。

 

【ポイント】
・「夜0時まで残業」、「残業時間○○時間」と具体的な時間を入れることで労働環境がイメージしやすい

 

・改善しようと行動したことが伺える

 

・「現在の健康状態については問題ない」と不安要素を排除している

 

・良い労働環境で働くことは自分のためだけではなく、会社のためにもなると伝えている

理由:給与をあげたい

回答例)
成果に見合った評価を頂けなかったことが理由です。

 

以前の会社は年功序列型の給与体制だったため、どれだけ実績を出しても給与額に反映されないため、成果を実感できずモチベーションを保つことが困難でした。

 

キャリアと年収アップを目指し、成果主義の御社で、前職で培った営業スキルを活かし成果をあげていきたいと考えています。

 

【ポイント】
・不満だけで終わらず、給料が低いとどう支障が出るのかを述べている

 

・仕事に対する意欲が感じられる

理由:人間関係が上手くいかない

回答例)

上司はとても仕事熱心で丁寧に指導してくださる方ばかりでしたが、若手の提案や意見はあまり聞き入れてもらえませんでした。

 

御社は年齢関係なくプロジェクトマネージャーを任せてもらえたり、1年目から手を上げれば新規事業に挑戦させてもらえる制度があったり、若手の内から活躍できる環境が整っていると評判です。

 

若手にも裁量権があり、意見や提案を伝えることができる風通しの良い環境に身を置いて成長し社会に貢献したいと考え、転職を決意しました。

 

【ポイント】
・企業研究をしっかりしていることが伺える

 

・上司の悪口ばかりになっていない

理由:会社の業績悪化による、人員削減

回答例)

会社の業績が悪化し、これ以上業績回復に貢献できそうにないと考えていたところに希望退職募集があり、退職する決意をいたしました。

 

この機会を、以前より興味を持っていた企画職に就くチャンスと考え、スキルアップを重ね、これまで以上に会社に貢献できる人材となれるよう努力していきたいと考えています。

 

【ポイント】
・転職に対して前向きな思いが感じられる

 

・会社に対する不満になっていない

不安なら転職エージェントに相談しよう!

ここまで転職理由のポイントやまとめ方について紹介してきましたが

 

「そんなに上手くまとめられない」

「自分で考えてみたけど、本当にこれでいいの?」

と不安な人もいるのではないでしょうか。

 

そんな方には転職エージェントの利用がおすすめです。転職エージェントは企業を紹介してくれるだけのサービスではありません。

 

転職理由をまとめるサポートをしてくれたり、転職理由の添削をしてくれたりするのです。

 

転職理由に不安を感じている人は、ぜひ転職エージェントを利用してみてください。

 

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みんきゃり編集部

また転職エージェントを利用すれば、転職に関するさまざまな相談も可能です。転職やキャリア形成のプロに相談することで、慣れない転職活動でも心強くなるでしょう。

 

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