部下の様子がおかしい!部下のメンタル不調のサイン・適切な接し方

部下のマネジメントを引き受ける上司としては、部下がメンタルに不調を感じていないか気になりますよね。

 

部下のメンタル不調は上司の責任と言われるかもしれない。もしかしたらそのつもりがなくても「パワハラ」と受け取られているなんてことも?部下のメンタル不調を感じ取った時、どう接すれば良いのでしょうか。

 

ここでは部下のメンタル不調のサインを早期に発見し、ハラスメントにならない対処法を紹介します。

目次

部下のメンタル不調、上司の責任?

部下のマネジメントは上司の職務であり、モチベーションアップやメンタルケアもその一環です。

 

部下の悩みの原因はさまざま。例えば真面目過ぎる性格から自らを追い込んでしまうケース、人との交流が苦手で周囲から孤立してしまうケースなど、本人の性格が原因のもの。他には過剰勤務や職場の人間関係など職場環境が原因のものもあるでしょう。

 

アドバイスが上手な上司に限って、部下の気持ちを後回しにしがち。いわゆる頭の回転が速いと言われるような人はすぐに解決策を提示できてしまうからこそ、その策が浮かばない人の気持ちに気づきにくいのです。

 

部下が求めているのは、自分の状況を理解してもらうこと。「質問があれば何でも聞くように」と言われても、何がわからないかわからないから質問できない状況かもしれません。「仕事が遅い」と怒られた時も、仕事が滞ってしまった経緯をきちんと説明することができなかったことが何より辛いと部下は感じています。

部下のメンタル不調を察知する7つのサイン

部下のメンタル不調を重症化させないためには、早期発見が大切になります。日頃からこまめにコミュニケーションをとり部下の様子をよく観察するように心がけましょう。メンタル不調であることは次のような7つの行動に現れます。

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勤務状況の乱れ

今まできちんと出社していたのに少し遅刻するようになるなど、メンタルの不調は勤務状況に現れます。見過ごしていると最初は週明けの月曜日だけだった遅刻が徐々に増え、遅刻する時間も5分から10分、1時間、半日と長くなっていきます。出勤したとしても、急に体調不良を理由に早退する日もあるでしょう。

 

次第に突然有給休暇を取ることや、欠勤も増えていきます。一週間のうちに半分くらいしか出勤できない状況になると、手遅れといっても過言ではないかもしれません。

挨拶や服装の乱れ

毎日の挨拶の様子からもメンタル不調のサインは見ることができます。声のトーンや大きさ、服装や髪型を観察しましょう。

 

例えば挨拶の返し方は人それぞれなので、元気よく挨拶するかどうかよりも「いつも通りかどうか」に注意しましょう。元気のない返し方をする日が続いたら要注意。他にも服装や髪型の乱れも気持ちがふさぎこんでいる証拠と考えられます。

 

寝癖がついている、服にシワがついているなどが増えたらそれもサインの1つかもしれません。

姿勢の悪さ

気持ちが落ち込んでいると、視線がいつも下を向くようになります。仕事をしている姿も縮こまってPCにしがみついているよう。いつもより声も小さく感じ、無意識に人との接触を避けようとしているのでしょう。

仕事の効率の低下

気がつくと手が止まりぼーっとしている様子が見られるときも要注意。今まではできていた仕事ができなくなっていませんか。例えば取引先に仕事の電話をかけられなくなる、定型文書なのにうまく作れない、など。ストレスがたまるとなかなか集中できず、単純なミスを何度も繰り返すようになります。

 

もしかしてあなたはそんな部下の様子にイライラしているかもしれませんが、一旦「なぜ部下がミスをしてしまうのか」に目を向けてみましょう。メンタルに不調をきたしているサインかもしれません。

コミュニケーションの減少

仕事をするには、関係部署や取引先とコミュニケーションを取らなければなりませんが、メンタルに問題を抱えていると、積極的にコミュニケーションを取らなくなります。さらにランチに誘っても断るようになり、飲み会など業務以外のイベントにあまり参加しなくなっていくでしょう。

 

人と楽しい時間を過ごす余裕がなかったり、会社の人と極力関わりたくないと思っていたりするのかもしれません。

不安定な感情

以前より些細なことでイライラしている、落ち込んでいるなど、感情が安定しないこともメンタル不調のサインのひとつです。「それまでは注意をすると素直に受け止めて前向きに進めていたのに」と、周囲は変化に気づいて戸惑っていても本人は気づいていないかもしれません。

 

または本人も「あんな態度を取ってしまった」と自己嫌悪になっていることもあるでしょう。上司であるあなたが声をかけるべき状況かもしれません。

食欲の変化

メンタル不調は食生活にも現れます。食欲不振だけでなく食欲旺盛になりることもあります。タバコの本数やアルコール摂取量が多くなる人もいるでしょう。食生活については一緒に食事に行かない限りよくわかりませんよね。

 

そこで仕事の合間に「昨日、何か美味しいもの食べた?」と聞いてみましょう。「いや、最近は食欲がなくて」という答えが返ってくるかもしれません。さりげない会話の中でさらっと軽く聞くと、本音が聞きやすくなります。

部下のメンタルが不調な時の接し方

部下のメンタル不調に気がついたら早めに対応するようにしましょう。上司からメンタル不調について聞かれても、部下としてはなかなか本当のことは言いにくいものです。さりげなく本音を聞き出せるよう、次にあげる方法を参考にしてみてください。

面談をする前に準備するべきこと

適切な対応をするためにも、まずは準備する必要があることを紹介します。

 

セルフケアの情報提供

メンタルの不調を抱えている部下に個人的に対応する前に、チーム全体にセルフケアについて情報提供をしましょう。チーム全体でセルフケアについて情報を共有しておくことで、誰かに対処しなければならなくなった場面でも協力体制が作りやすくなります

 

仕事をしていれば誰でも大なり小なりのストレスを感じるもの。誰にとっても役立つはずなので、「こういうサイトを見つけたから見て」などとチーム全体に情報を共有しましょう。自分のセルフケアの話をすることも良いですね。上司自らセルフケアに努めていることがわかると、自分もやってみようという気になるかもしれません。

 

自分の話をする時には自分のストレス解消話だけで終わりにせず、「あなたはどうですか」と必ずチーム全体に促すようにしましょう。部下も「自分もセルフケアをちゃんとしよう」と思えるようになるはずです。

参考:こころの耳 e-ラーニングで学ぶ15分でわかるセルフケア

面談で気をつけるべきこと

部下から「相談があります」と言われた時、またはあなたから直接話を持ち掛ける時、どちらも慎重に対処する必要があります。さらなるトラブルを招かないよう、配慮しましょう。

 

プライバシー管理を徹底する

面談をするときは他の人に話の内容が聞こえないように個室を用意しましょう。誰かに聞かれる恐れがあるような場所は極力さけて、安心して本音を口にできる環境を作ることが大切です。

 

本人から聞いて知った個人情報については、不必要に他人に話してはいけません。やむを得ず話さなければならない場合でも、必ず本人の了解を得てからにしましょう。

 

傾聴する

相談したい部下は話を聞いて欲しいと思っています。まずはしっかり耳を傾けましょう。「それは考えすぎなのでは?」と内容を疑うような発言や「よくあることだよね」といった無理解な発言はよくありません。この人に言っても仕方がないと相談することをやめてしまうかもしれません。「そういうことがあったんだね。」「それはつらかったね」と部下の状況や気持ちを受け止める態度を心がけましょう。

 

また、時間がないからと作業をしながら相談を受けることはタブーです。良いアドバイスであっても、他のことをしながらだと心には響きません。自分のことは真剣に考えてくれていないのだと逆にストレスを感じることさえあるでしょう。

 

食事をしながら、お酒を飲みながらの相談も同様です。お酒の席であれば肩の力も抜けて本音が話せるだろうというのは、上司側だけの言い分なのです。もちろん個人差があるので、部下の特性やその時の状況を見て判断しましょう。

 

職場で見られる行動に対して質問をする

「最近、メンタルが弱っているようだけど、何かあった?」といきなり切り出すのはNG。ただでさえ心が弱っていると誰かに話す準備ができておらず、「そんなことはありません。」と更なる攻撃を避けるように頑なになってしまうかもしれません。上司に個人的に呼ばれたというだけで「何かしたかな」と緊張するものです。

 

そこで、メンタル不調のサインとなっている日頃の様子の変化をもとに話すようにしましょう。

「最近、遅刻することが増えたけれど、よく眠れていますか。」
「今までに見られないようなミスがあったけれど、負担になっている仕事はありますか。」

職場で見られる行動をベースに具体的に話をすることで、部下も答えやすくなります。

 

部下のペースで話をすすめる

なかなか口を開かなくても、焦らずにゆっくり待ちましょう。あくまで部下のペースで話を進めることが大切です。部下は、今の自分の正直な気持ちを話してもよいものかどうか、迷っています。

 

「ゆっくり、話しやすいことから話せばいいですよ」とじっと待つ姿勢を見せることで部下を尊重していることが伝わり、やがて安心して少しずつ心を開いてくれるでしょう

 

解決策を勝手に決めない

話を聞き終わってもあなたが解決策を勝手に決めたり、自己判断で病名を口にしたりすることは避けましょう。解決策はまずどうして欲しいのか、本人の意思を尊重することが大切です。また病名をつけることができるのは医師のみと心に刻みましょう。

 

専門機関につながる環境を整える

業務に支障なく安心してメンタル不調に向き合える環境を整えようにしましょう。研修などで積んだメンタルケアについての知識を生かして、適切に専門機関につなげられる環境を作ることが上司としての役割です。

職場環境の改善の対処法

職場環境の改善については、本人の希望を聞くことはもちろん、社内のメンタルヘルス担当とも相談しながら対応しましょう。既に医療機関にかかっている場合には主治医に意見も聞いてみるとよいですね。

 

本人から聞いた個人情報を許可なくチームに話すことはタブーですが、仕事内容や業務量調整でチームから不平不満が出てしまいそうなときは、本人の了解を得たうえで必要最低限の内容を伝えるようにしましょう。

時間的・量的な業務削減を行う

時間的・量的な業務軽減を行うことを検討しましょう。

 

残業の時間制限や禁止が一般的ですが、ただ「残業禁止!」と宣言するだけでなく同時に業務量も調節する必要があります。業務量が変わらないと、持ち帰り仕事で抱えこんでしまう可能性があるのです。症状に合わせて量を減らしつつ、ひとつの仕事に集中できるよう仕事内容にも配慮しましょう。

関連「何でこんなに?」仕事の割り振りがおかしい時に最初にすべき4つのこと

専門機関の受診を勧める

人間関係がストレスとなっている場合には、専門機関の受診を進める一方で、できるだけ折衝業務はさせないようにしましょう。他部署や取引先とやむを得ずコンタクトをとらなければならないときには、頼りになるサポート役をつけるとよいでしょう。

メンタルヘルス対策におすすめのサイト

労働者のメンタルヘルス対策として厚生労働省が推進する活動に「4つのケア」があります。

・セルフケア
・ラインによるケア
・事業所内産業保健スタッフによるケア
・事業場外資源によるケア

そのうち、上司の役割は「ラインによるケア」と言われています。「ラインによるケア」とは事業所・管理職が部下や組織に対して実施するメンタルヘルス対策のこと。厚生労働省のサイトで詳しく学ぶことができます。
参考:こころの耳 e-ラーニングで学ぶ「15分でわかるラインによるケア」

まとめ

メンタル不調の部下に対処するのが難しいと感じるのは、部下を心配してとった行動がハラスメントと言われかねない環境もあるからでしょう。

 

部下の変化に気づくためにも、ハラスメントと言われないためにも、日頃からこまめにコミュニケーションをとっておくことが一番大切な事です。

「おはようございます。今日も元気ですか。」
「ありがとう」「ごくろうさま」

毎日の挨拶に加え、さりげないねぎらいの言葉が効果を発揮します。

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