スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が20世紀末に提唱した”計画された偶発性理論”。
「キャリアは100%意のままにコントロールできない。8割は偶然の出来事によって決定されている」
というキャリア論の一つです。
VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)時代とよばれるいま、すぐ先の未来でさえ、誰も予想ができないと言われいます。それゆえ、計画通りにいかないのは当たり前。綿密な計画立てよりも、”偶然を掴み取る力”が問われているのです。
本記事では、計画された偶発性理論の定義・意味・ポイント・重要性・具体的な事例を順に紹介してきます。
目次
計画された偶発性理論とは・ポイント
計画された偶発性理論からくみ取れるポイントを紹介します。
①キャリアの大部分は偶然の出来事によって成り立っている事実がある。
②キャリアに満足している人は、偶然を積極的につくりだし、自分の可能性を広げ続けている。
③見通しのない将来に、不安を抱きすぎても意味はない。
④好奇心・持続性・楽観性・柔軟性・冒険心、5つの行動指針を持てば、偶然が見つかる。
計画された偶発性理論を提唱した米国スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授は、多くの人が歩んだキャリアを調査した結果、キャリアの大部分を偶然が占めている事実を発見しました。
クランボルツ教授が解説しているキャリア論の内容を踏まえると、いまの時代、キャリアに満足できる人の特徴は以下が挙げられます。
・唯一無二の仕事を見つけようとしない
・先が見えないことを不安に思い過ぎない
・選択肢を絞りすぎず、オープンに構えている
・想定外の出来事を前向きに捉える姿勢がある
・目の前のことに集中している
先が見えないと、誰でも不安を抱くものです。それでも、今がVUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)時代であることを忘れないようにしましょう。
不安が意味ないと気付いたクマ
と考えましょう。不安が少し軽くなりませんか?
計画された偶発性理論で勧められる行動指針5箇条
計画された偶発性理論によると、偶然の出来事を”ただ待ってる”だけではなく、”自ら生み出す“ことが重要であることがわかります。
偶然の出来事を生み出すためには5つの行動指針を大事にしましょう。
①好奇心 [Curiosity]
たえず新しい学習の機会を模索し続ける
②持続性 [Persistence]
失敗に屈せず、努力し続ける
③楽観性 [Optimism]
新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考える
④柔軟性 [Flexibility]
こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
⑤冒険心 [Risk Taking]
結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
カンタンに整理してみるとこうなります。
・新しいことに興味を持とう!
・努力を続けよう!
・ポジティブな姿勢を持とう!
・こだわりは不要、柔軟になろう!
・結果にこだわらず、挑戦をしよう!
当たり前と言えば、当たり前です。それでも、自分に足りない要素を見つけましょう。行動指針に乗っ取った行動の事例を挙げてみます。
偶然を掴まえる姿勢を持ったタコ
偶然を掴まえる姿勢を持ったキリン
目標が不要なわけではない
計画された偶発性理論が提唱しているのは、目標や計画に”とらわれ過ぎない”姿勢が大事だということ。目標や計画が要らないわけではありません。
目標を立てることは、”方向性を定めること”です。「こういう仕事がしたい」「こういう感じになりたい」「こういう人でありたい」、漠然とでも決めておきましょう。目標が全くないと、偶然の出来事を掴みにくくなります。
漠然とでも目標を掲げていると、こんなチャンスが舞い込むかもしれません。
偶然のチャンスを持っている教授
自分の興味・関心を周りに伝えてた太郎くんにチャンスが訪れそうです。ここで大事なポイントは「開放性」。好奇心・持続性・楽観性・柔軟性・冒険心、5つの行動指針に加えおきましょう。
⑥開放性 [Openness]
自分の想い・気持ちを周りに向けて発信する
自分らしい目標を持つ方法
計画された偶発性理論では、漠然とでも自身のキャリアに方向付けをしておく必要性があることがわかりました。
そこで、そもそも「キャリアってなんだろう?」と感じている人もいるはずです。
外的キャリア
社歴
転職回数
経歴
能力/スキル
年齢
内的キャリア
価値観・動機・想い
習慣・態度
外部要因
景気(社会/働く業界)
健康状態
雇用状態
家族/家庭状況
居住地
自然災害
キャリアの大枠(上記3点)のさらに細かい解説が載っている関連記事をご覧ください。
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実は、90%の人が、やりたいことを持っていません。目標がない自分に落ち込む必要は一切ないのです。その代わりに、「自分がどうありたいか」という”理想の状態”を考えておきましょう。
「自分がどうありたいか」を知るためには、まず、自分の好き・嫌いを知ることから始めましょう。6つの方法は以下の通り。
②長時間できることを考えてみる
③人より簡単にこなせることを考えてみる
④周りに”自分の良いところ”を尋ねてみる
⑤嫌いなこと洗い出してみる
⑥新しいことに挑戦する
計画された偶発性理論の理解が深まる名言
計画された偶発性理論と同じニュアンスの意味が込められた名言を紹介します。
人生とは、10%が我が身に起こること。そして残り90%は、それにどう対応するかだ。
-アメリカンフットボールコーチ ルー・ホルツ-
10%の我が身に起こる行動は、すなわち”偶然の出来事”です。残り90%にどう対応するかは、”柔軟性”と捉えられます。
つまりは、好奇心・持続性・楽観性・柔軟性・冒険心・開放性を持ち、新しい偶然を呼び出すこと。その偶然を活かしてキャリアを創っていくことこそが、人生であるということではないでしょうか。
着想を、それが僕の心に浮かんだとおりに定着できることは稀なのだ。仕事にとりかかるや否や、別のものが僕の画筆の下から浮かび上がるのだ。…描こうとするものを知るには、描き始めねばならない。
-芸術家 パブロ・ピカソ-
かの有名なピカソの名言です。ざっくり言うと”やってみなければ、何もわからない”ということでしょうか。計画された偶発性理論で言う、偶然の出来事についても同様。
誰も予測できない未来を歩むためには、まず挑戦あるのみ。挑戦して初めて、描きたいキャリアがわかるのです。
本記事のまとめ
キャリアの8割は偶然の出来事で成り立っています。満足するキャリアを歩むためには、以下6つの行動指針を意識してみましょう。
①好奇心 [Curiosity]
たえず新しい学習の機会を模索し続ける
②持続性 [Persistence]
失敗に屈せず、努力し続ける
③楽観性 [Optimism]
新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考える
④柔軟性 [Flexibility]
こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
⑤冒険心 [Risk Taking]
結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
⑥開放性 [Openness]
自分の想い・気持ちを周りに向けて発信する
またそれに伴い、漠然とでも目標を定めておく必要があります。「どういう状態でいたいか」を知るためには、以下の方法で”自分の好き・嫌い”を見決めましょう。
①幼少期に夢中になっていたことを思い出す
②長時間できることを考えてみる
③人より簡単にこなせることを考えてみる
④周りに”自分の良いところ”を尋ねてみる
⑤嫌いなこと洗い出してみる
⑥新しいことに挑戦する
クランボルツ教授が計画された偶発性理論を通じて”伝えたいこと”の大枠を解説しました。あなたらしいキャリアを歩むためには、”偶然”を大切にしていきましょう。